「これは鉄板だ!」
個別銘柄を物色していて、こんなふうにビビッとくることがあります。
実践する立場で「鉄板だ」と感じる、「これはいける」と電気が走る感覚は、とても大切です。この感覚こそが、「勝率を上げる」重要な突破口だからです。
ただ、期待するほどの確率は得られないのも現実。
この部分を冷静に捉えることが重要です。
突破口を見つける作業では、相当にデリケートな対応が求められます。
なにかを見つけても、「こんなのはダメな思いつきだよな……」などと否定的だと、大切な手がかりを見逃しかねません。
しかし、小さなことを掘り返して「これこそ勝ちパターンだ!」なんてコーフンしてばかりだと、“こじつけ”の「なんちゃってチャンス」だらけになってしまうでしょう。
アクセルを踏むべきかブレーキか……考えすぎるとギクシャクしかねないので、別の観点を入れてみたらいいかもしれません。
「3つの段階」に分けるのです。
攻めの裁量、つまり「これはいける」パターンを見つける──そんな突破口を探るのが第1段階です。
自由に妄想しながら、「これかな?」「いや、こっちもいいぞ」とポジティブな姿勢で考えを進めていきます。
でも、この段階では“こじつけ”の度合いが強いので、第2段階でフィルターをかけます。
このフィルターは、打って変わってネガティブ姿勢です。
「そんなこと言ったって、現実は厳しいんだよ!」
「それ当たるの? 無数のマーケット参加者がいるなかで、自分だけがお利口さんのつもりかよ」
と、もうひとりの自分、慎重派の自分を登場させます。
そして、その意見に素直に耳を傾けます。
「まあ、それも一理あるな」
しかし、こんな“ひとり議論”のなかで、「でも、これだけは合格だろ?」と主張できるケースが浮き彫りになるでしょう。
それこそが、残すべき“よい思いつき”、少なくとも、その可能性が大きい発見だといえます。
さて、第3段階はなんでしょうか。
第1段階では、いろいろなケースを幅広く見て可能性を拾いました。
そして第2段階では、厳しい目で絞り込みました。
「ここまでやったら、あとは実行するのみ」と、売買に集中するのが第3段階です。
第2段階で前面に出したネガティブ思考は引っ込めます。
慎重派の自分は役割を終えているので、かまわずポジティブな姿勢に傾けます。
事前に考えた「このパターンだ」というケースに遭遇したら、迷わず、逃さずに出動してポジションを取るのです。
さて、一連のプロセスをおさらいしましょう。
「原案を考える」「原案を検討して仕上げる」「実行する」
これら3つの段階に分け、それぞれで、ポジティブ、ネガティブ、そして再びポジティブと切り替えていけば、微妙な加減を気にする必要はなくなります。
ナチュラルにフルスロットル、そのあとフルブレーキ、再びグイッとアクセルを踏み込むというシンプルな切り替えです。