手法=予測法ではない! | 株式投資「虎の穴」

手法とは、平たく表現すれば「やり方」です。

特に意識していなくても、銘柄を選んだり、ポジションを取るタイミングを考えたり、手がける銘柄数を多くしたり少なくしたり……自分なりの売買の“かたち”があるでしょう。

そんな一連の行動のなかで、「予測」がどんな意味をもつか、考えてみます。

日常、「うん、正解だった」と言うことがあると思います。
「この店に入って正解だった」とか。
よい結果を確認して、「選択が間違っていなかった」と満足するわけです。

例えばディズニーランドに出かける場合、1週間くらい先のことで、かつ候補日が複数あれば、天気予報を見て「正解」の日を選べる可能性は高いでしょう。でも、正解を当てるヒントすらないケースだって多々あります。

では、相場・トレードにおける「正解」とは?

マーケット参加者がみんな「当てよう」と予測している、いわば全員で“当てっこ”をしている状況なので、当たりまくることなんてありませんが、曲がりまくることもありません。当たったり当たらなかったり、誰の予測も大きな差はないはずです。

私が定義する「正解」は、「自分が決めた出動パターンに従うこと」です。

往来をみせている銘柄が直近の高値付近にきた、という状況を考えてください。
逆張りで往来を取る狙いの人は、買いポジションを利食いしながら、下げを取るカラ売りを仕掛けるかもしれません。でも、ブレイクアウトを狙う人は、逆張り狙いの人が売るタイミングで、順張りの買い出動をするかもしれません。

先のことがわからないので、両者のどちらが正解かを議論しても、全く意味はありません。
どちらも、「自分の想定をもとに、自分が決めたとおりの行動を取っている」ので、両者とも正解というのが答えでしょう。

当然、当たったかどうかで対応が異なります。

上に抜けた場合、逆張りの人はカラ売りポジションを損切りします。
そのとき、ブレイクアウト狙いの人は、「よし、きた!」と買い乗せのタイミングをさぐるでしょう。

でも、そこで上げ止まって下げはじめたら、逆張り狙いの人は、利を伸ばすべくポジションをキープします。追撃売りをするかもしれません。かたやブレイク狙いの人は、「見込み違いだったか」と損切りして、次のチャンスにそなえます。

「下げ止まっている様子の銘柄を、上がる前に買う」という戦略を考えてください。
いろいろな観点があるでしょうが、自分なりの判断基準をいくつか用意するでしょう。

では、用意した判断基準に合致した、条件がそろったという状況で、なんとなくビビって買わなかったとします。そして、下げ止まりではなく一段安してしまったとします。

結果論としては「損をしないですんだ」「正解だった」ということですが、これは不正解だと思います。次に同じ状況が生まれたとき、ひたすら迷うしかありません。考えてもわからない未来の株価を、必至になって想像することになります。これはダメでしょう……。

この場合の正解は、想定したとおりに買いポジションを取り、一段安を見て「今回はダメだった」と損切りすることです。見込み違いを認めずに先送りしたりせず、ポジションをゼロにして次のチャンスをさぐることです。こうした損失が、相場・トレードの経費です。

このように、適切な対応をすることが肝心で、いわゆる正解は、人によってちがうのです。
ラーメン屋で塩を選ぶかしょうゆを選ぶか、「好きなものを選べばいい」というのと同じです。

私はいつも、「手法をもつ」ことを提唱しています。
かっこいい名前をつける必要はありませんが、「こうして、こうやって、こんな動きを狙い、ポジションをこう動かして利益を取るんだ」という自分のスタイルをもつ、ということです。

では、どんな手法がいいか──手法として仕上がっているものなら、優劣はつけられません。どれを利用しても、予測の的中率が驚異的にちがうことなど考えられないからです。

林投資研究所では、低位株を選んで分散投資する手法「FAI投資法」銘柄を限定して数カ月の上げ下げをシブく狙う「うねり取り」、そして、うねり取りに“機械的な判断”を持ち込んだ「中源線建玉法」を学ぶ環境があります。

世の中には数多くの手法があり、個人的なアレンジを考えたら無限に存在するのですが、例えば上記の3つから何を選ぶか考えたとき、これまたラーメンと同じ、「好きなもの」が正解です。手法を自分のものにして「確信ある自分流」を確立するためには、教科書どおりの売買をつづけながら経験を積む必要があります。だから、「好きになれそうなもの」「長くつづけられそうなもの」を選ぶのが正解です。

本題に戻り、「予測」がどんな意味をもつか、結論を導き出しましょう。

具体的な売り買いは手法によって異なりますが、それぞれの予測法によってポジションの取り方が決まります。「予測法」と「ポジション操作」がセットです。

でも、現実は勝ったり負けたり、取ったり取られたり……ということで、極端な損失が出ないようにポジションサイズを調整しなければなりません。また、勝った(予測が当たった)ときに“そこそこ”取りたいという計算もあるでしょう。

資金稼働率が高すぎる、つまり“やりすぎ”の状態はキケンです。
勝ちが3回つづいても、4回目の負けで大損したら、勝率75%なのにトータルでマイナスなんてこともありえます。「調子がいいぞ」と気がゆるんで、4回目に株数を大きくして負けたら、こんなザンネンな結果もあり得ます。

「余裕資金は多いほどいい」のですが、慎重すぎて、資金の1%しか稼働させていなかったら、買った銘柄が見事に倍化しても、資金はたったの1%しか増えません。

デリケートな設定が求められますが、利益を最大化するべく努めながら、損失を最小限に抑える基本的な設定、いわゆる「資金管理」も不可欠です。

つまり、やり方(手法)は、「予測法」「ポジション操作法」「資金管理法」の3つの要素で成り立っている、ということです。

予測がなければポジションを取ることすらできないのですが、「予測が当たれば儲かる」というイメージは、売買・トレードの現実を無視しています。

当たったときは、可能な範囲で“利を伸ばす”べく行動します。
予測が曲がったときは、損失がちいさいうちに、余り時間をかけずに損切りして出直します。

この「取ったり取られたり」を継続して、資金が大幅に減ってしまうことがないようにバランスを整えるのが現実です。
 

ブログ一覧に戻る