分割・併合で誤発注が増加

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昔の証券会社では、多くのことがアナログ的な手作業で、細かいルールも示されていないまま「不文律」の状態ですべての仕事が進んでいました。
発注ミスに気づいた担当者が上司に報告すると、すぐさま注文通りの結果に修正するための作業に着手しながらも、「そのままのほうが儲かるぞ」などと悪い冗談を言うのです。なんとかの法則ってヤツですね。違う銘柄を買うと「そっちのほうが上がる」とか、売り買いドテン(逆)でも「それでいいんじゃない?」なんて、まあ、今でも随所で“あるある”の会話ですけどね。

株式市場では現在、株式の分割や併合が増加しています。
特に多いのが株式併合で、例えば300円の銘柄が単元株数(最低の売買単位)を1,000株から100株に引き下げる際に「10株→1株」の併合を行うと、株価は10倍の3,000円になります。そのかわり、最低単位を買うのに必要な金額は今まで通りの30万円。会社の内容は、いっさい変わりません。

東証が、売買単位を100株に統一しようとしています。
この統一によって混乱を減らそうとのテーマがあると同時に、投資単位の低下、ひいては個人株主の増加を図る狙いもあるようですが、少額の株主を嫌って、株式併合を同時に行う企業も少なくないということでしょう。

分割・併合銘柄の発注時に、株数を間違えるケースが多発しているそうです。
「10株→1株」の併合で300円が3,000円になっていたら、以前の1万株は現在の千株ですが、うっかり1万株と注文してしまう可能性があるのです。
みなさん、お気をつけください。

もしも予定の10倍買ってしまったら……下げた場合は、損金の額が大きいので損切りの判断が遅れます。「こんなに損するんじゃ切れない……」と。
本当は、だからこそ即行動が正解です。

間違えて10倍買って上がったら万々歳の状況ですが、これはこれで余分な力が入ります。20万円のはずが200万円の評価益……この状況で人間は、よからぬことを考え始めます。「ラッキーな間違えをした。この機を利用して、利益をためておこうかな」と、利食い手仕舞いできなくなります。自分の感覚の10倍のペースで評価益が膨らむからです。逆に下げかけた場合も、感覚の10倍のペースでマイナス方向にいくので、やっぱりフリーズして動けなくなります。

ちなみに証券会社では、注文処理のミスについて、ヘンな冗談を言いながらも、「即刻始末する」のが大原則です。いかなる思惑も入れず、その場ですぐに始末することを最優先させるのです。

個人のトレードでも、思った通りに売り買いし、その結果がプラスになるように行動指針を修正しなければなりません。考えに考えた渾身の一手が曲がるのなら、意思決定のプロセスを見直すしかありません。

ただし、「予測は常に当たったり外れたり」の認識が絶対なので、情報の整理が重要です。株数を間違えたときの混乱は、情報の整理ができないことが原因です。


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10月3日放送のフォローアップ(2)
林 知之

理想と現実を認識する方法

手法の優劣を語るのは難しいのですが、個人投資家にとって“やりやすい”か“手がけやすい”かで判断することは可能です。
最も制約が少なく、感情の面も含めて継続が容易なのは、数カ月単位の上げ下げに注目した「うねり取り」だと思います。その「うねり取り」を、機械的判断で実行しようとする手法が、中源線建玉法です。
マーケット・スクランブル10月3日の放送は、手法とは何か、個人の努力がどこまで及ぶか、といった深い事柄をテーマに設定し、個別銘柄の中源線を数多く取り上げて解説しながら“トレードのあり方”を考えました。
そのフォローアップ(2)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第94回 個人投資家の勝負所「うねり取り」の銘柄選び ~中源線を軸にチャートを見るポイントを探る~

理想の“モデル”が必要

株価の上げ下げを的確に当てる方法はありません。値動きには、さまざまなパターンがあるからです。

そのため多くの投資家は「臨機応変に判断しよう」と考え、複数の判断基準を使い分けようとするのですが、混乱するばかりで、情報をうまく整理したとしても、非常に行動しにくくなってしまいます。

さまざまな値動きパターンの中には、「これだけは逃したくない」と思えるものがあるはずです。それだけを大切にして、自分の理想のモデルとするのです。必然的に、そのパターン以外は黙って見逃しです。「できそうだ」程度のパターンは捨ててしまえば、適当な「休み」の期間が生まれます。そして、余ったエネルギーを向けるべきは、「これは取る!」という理想の値動きパターンが発生したときです。

こう考えることができれば、プロが行うメリハリのあるトレードが実現します。

「もう少しできそうだ」という気持ちをグッと抑え、ちょっと物足りないくらいのところに基準を置くのが正解です。どんな分野でも同じで、何でもこなすのがプロではなく、「自分が絶対にできる」と自信のあるものにしか手を出さないのがプロです。「機会損失」などという言葉に惑わされず、得意なパターン、好きなパターンに集中し、あとは気持ちよく捨ててしまいましょう。

さて、自分の理想のパターンに絞れば、いわゆる勝率は上がると期待できます。それでも、負けるときは必ずありますし、そもそも勝率の高い低いは大きな問題ではありません。すべては、値動きに応じた対応の仕方です。

予測が当たった、つまり見込み通りに展開している場合は、確実な利食い手仕舞いを考えつつも、可能な限り利を伸ばす努力をします。

予測が曲がったという状況は、要するに避けられない見込み違いなので、「チキショー」と叫ぼうが「相場が間違っている」と嘆こうが、ストレス発散のために好きなようにすればいいのですが、撤退の処理、仕入れてしまったダメ商品の処分売りを行うことは待ったなしです。

こうして「当たった」「曲がった」と結果を二分すれば極めて単純ですが、時間の経過の中ですべてを自由に決定する、その決定を連続して行うのがトレードですから、常に無限の選択肢を抱える難しい作業を強いられます。

だからこそ、フリーズして行動できない事態に陥らないよう、超シンプルな基準を持たなければなりません。「儲かりそうだけど、自分の好きなパターンではないから手を出さない」といった、抑えめの行動規範を心地よく感じる心が求められるのです。

それが、「理想のモデルを設定する」ことです。
この条件とこの条件がそろったら上がる、だから買う、といった自分の「型」です。

理想型ならばOK、理想から少し外れたらバツ、三角印をつけてあがいたりしない……こう考えることでギリギリ、一連のポジション操作をこなすことができるのです。

また、経験を積みながら戦略を向上させていくうえでも、この「理想のモデル」が役に立ちます。明確なモデルが、変化と向上を見据えて試行錯誤する基準となります。この部分が少しでも弱いと、常に結果論、常に結果に一喜一憂する「相場難民」に近づいてしまうのです。

そして現実を受け入れる

さて、前項で、「理想のパターンに絞ると勝率が上がるが、それでも負けるときはある」と述べました。これを聞いた冷静な常識人は、「その通りですね。肝に銘じます」と答えるのですが、実際に負けると感情的には受け入れにくい気持ちになり、いたたまれなくなるものです。

「これなら勝てる」という理想のパターンに絞り込んでいるのに負ける、「ここで出動しないでどうするんだ!」と感じる流れでポジションをつくったのに勝てないなんて、冷静な常識人でも納得しがたいのです。

もう少しなんとかならないものか……この気持ちがないと、必要な創造性が刺激されません。でも、紙一重で“やりすぎ”のダメな対応になってしまいます。現実を、さらに冷静に分析することが必要です。

「やってみると予測の4割は外れる」というのが現実として、この表現は単なる傍観者の視点でしかありません。プレーヤーにとって“真の現実”は、4割の外れによって何を感じるか、どういった行動の傾向が生まれるか、といった、二次的な作用を含んだ複雑な事柄です。

「この対応基準なら、一定期間の累計損益はプラスになる」と確信があったとしても、たまたまの連敗があれば非常につらいと感じます。不安になり、基準を変更してみようかと考えるものです。

こんなとき、「取れない場面もある」「それが続くことだってある」という認識が、非常に重要です。1回ごとの結果で、いちいち基準を変更しようとしたら、永遠に迷うことになります。それこそ、相場難民です。

さて、こういったトレードの機微を考えながら、実際のチャートを見てみましょう。

中源線なので、3分割の売買が機械的に判断されます。
赤い線は買い線(陽線)で、買いポジションを3分割で増減させます。
黒い線は売り線(陰線)で、買いポジションを持たずにカラ売りを3分割で増減させます。

今回のチャートには、中源線による売買の結果を大まかに示す記号を加えました。
○=取れた、△=トントンかわずかな利益、×=少なからずマイナス、と3つに分けてあります。

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宝ホールディングスは、この1年間、適度な上げ下げがあり、かつ周期的で、中源線の基準と合致しています。俗にいう、「手が合っている」状態です。かなりうまくいっているケースだと思いますが、それでも「×」の場面があります。こういった悪い結果を過剰に気にすると、ルールを変更して“根底のロジックを壊す”ことになりかねないので、注意が必要です。

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双日の直近1年間を見ると、「うねり」とは呼べない小さな上げ下げに終始していることがわかります。感覚的に眺めるだけで、「数カ月の上げ下げ」を感じない、いわゆるトレンドを見出しにくい値動きが続いていることがわかります。

結果として、適度なトレンド発生を前提とした中源線のルール、つまり売買判断の基準として設定した「理想のパターン」に合わない値動きで、必然の連敗が起こっているわけです。

シグナル配信においてパラメータ(変数、中源線では「キザミ」)の設定を行う際、「どこの1年間を切り取ってもプラスになるようにしたい」と思いました。しかし、現実的な発想ではないことが、すぐにわかりました。

株価変動のサイクルは、思った以上に長いものです。数カ月単位の「うねり」が集まって数年単位の大きな上げ下げを形成しているので、銘柄ややり方を適切に絞り込んでいると、「取れない年」が発生することも珍しくありません。

これも、受け入れる必要のある現実でしょう。

このことから導き出される対応方法のひとつは、「波動の異なる銘柄を複数、組み合わせて売買する」ことでしょう。ドカンと暴騰する銘柄を当てたいと考える人もいますが、まともに考えれば、小さな資金でしか実行できないやり方です。結果として、過度なリスクを抱える(大きな資金で一発狙い)か、大化けを当てても金額的には小さい(適正なトレードサイズ)かのどちらかです。

大切な資産を運用する、計画的にトレードして継続させる、バカ勝ちを夢見ずに結果を安定させることが最優先です。

ヤラレてもブレるな!

一定の金額を動かさないと、トレードを実行する意味がありません。10万円の資金を100%稼働させて10倍になる銘柄を当てたとしても(さらに10倍まで持ち続けたとしても)利益は90万円ですが、資金が1,000万円あれば1割の利益を取れば100万円ですし、継続して結果を出すことも可能です。

かといって、ムリは禁物です。資金の稼働率には、実行するやり方に応じて適正な余裕をもたせる必要があります。そもそも、過度に大きな金額を売買口座に入れてはいけません。見込み通りにいったときの利益を減らしてでも、大きくヤラレる可能性を排除しなければならないのです。

こういった、ちょっと臆病すぎるくらいの感覚で余裕ある計画を立て、そのなかで思いきり、感じた通り積極的に行動すると、全体のバランスは良くなるでしょう。

中源線に従う機械的な売買には「感じた通り」と呼ぶ細かい対応がないと感じるかもしれませんが、銘柄の選定と組み合わせ、裁量を加えるか否かなど、プレーヤーとして感じた通りに行う設定がいくらでもあります。それ以前に、中源線を手法として選んだことが、自由意思によるものにほかなりません。

とにかくトレードでは、数多くの事柄を自分自身で決めることが求められます。
ところが、自分で決めたことなので、自分で変更することもカンタンです。注意すべきは、いわゆる「ブレ」です。今回はダメだったから次はこの基準で……とチョコマカ変更するようでは、数回後には「ダメだった」と判断する基準そのものが消失しているでしょう。

統計的に降水が少ない時期に雨の日が続いて客が来なかった……こんなことだけで商売の方向を変更したりしません。ところがトレードでは、そんなダメな対応をしてしまいがちなのです。「ラクして儲かる方程式」を探そうとすると、この類の過ちを犯してしまうので、「苦労をつらいと感じない姿勢」を探し求めるべきです。

基準を絞り込んでトレードに臨むしかない以上、避けようのない連敗でブレないこと、小手先の対応を試みないこと、そうならないような認識と計画をもつことが大切です。

自分の意思で方式を決めてトレードしているのですから、「ヤラレても続ける」ことが、ひとつのコツといえるでしょう。

根本を見直す姿勢

連敗も必須だから、ヤラレても続ける──これがトレードの現実ですが、連敗が多すぎる場合や、2年、3年と続けてもプラスになりそうもないのならば、根本を見直す必要があります。

直近だけ具合が悪いか、根本的な誤りがあるかの判断は非常に難しいのですが、理屈として理解しておく必要があります。

パラメータ設定がうまくできていない、銘柄選定が悪い、資金稼働率の設定が悪い、銘柄の組み合わせ方が良くない等々、チェックする観点はたくさんあります。これを総合的に考えて「長く続く」方法を構築していくことこそが、トレードの道です。

そのなかで、思い切って方式を変更すべきときもあります。

トレードの道を適切かつ良質なものにするために、理想のパターンを設定する、そのうえで現実を正しく認識することが必須です。手法を決め、その手法の長所だけでなく欠点もあわせて確認することです。

自由に考えて自由に進むのが個人投資家の姿ですが、自由とブレは全く意味が違います。確固たる考え方をもち、ブレずに続けることです。同時に、考えを改めることをいとわずに研究してください。

次回のフォローアップ(3)では、個々のトレード手法がもつ欠点に焦点を当てて考えます。
お楽しみに!

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10月3日放送のフォローアップ(1)
林 知之

「うねり取り」のススメ

手法の優劣を語るのは難しいのですが、個人投資家にとって“やりやすい”か“手がけやすい”かで判断することは可能です。
最も制約が少なく、感情の面も含めて継続が容易なのは、数カ月単位の上げ下げに注目した「うねり取り」だと思います。その「うねり取り」を、機械的判断で実行しようとする手法が、中源線建玉法です。
マーケット・スクランブル10月3日の放送は、手法とは何か、個人の努力がどこまで及ぶか、といった深い事柄をテーマに設定し、個別銘柄の中源線を数多く取り上げて解説しながら“トレードのあり方”を考えました。
そのフォローアップ(1)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第94回 個人投資家の勝負所「うねり取り」の銘柄選び ~中源線を軸にチャートを見るポイントを探る~

うねり取りこそ個人投資家の勝負所

手法を分類する観点はいくつかありますが、最もわかりやすいのは「期間」でしょう。
トレードで想定する期間、どれくらいの期間の上げ下げを狙うか、ある意味、「ポジションを持っている期間」です。

うねり取りは、数カ月単位の上げ下げを狙う手法です。
ウォーレン・バフェット氏のように、企業の成長性を軸に長期に保有するのではなく、かといって、デイトレードのような超短期でもありません。

うねり取りでは基本的に、銘柄を“固定”します。
極端な場合は1銘柄、多くても5銘柄か10銘柄を対象にして、同時にポジションを持つ銘柄数も、例えば2銘柄、3銘柄と、十分に気配りできる範囲に限定します。

そして、上げも下げも両方狙います。
銘柄数が少なくても、上げを買い戦略で取り、下げをカラ売りで取るためには、緻密なポジション操作が必要ですが、特別なファンダメンタル分析による売買手法ではなく、特に何も材料のない状況でも発生する“自律的な上げ下げ”にうまく乗ろうとする方法なので、多くの個人投資家が実戦可能な手法なのです。

多くの人は、ふだん仕事をしています。しかし、たまの休みや、ちょっとした空き時間にデイトレードをする人がいます。私は、絶対にやめるべきだと考えます。

ザラ場にも適度な価格変動があり、なんだかカンタンにこづかい稼ぎができると感じるものですが、不特定多数の参加者と、非常に小さい利益のもとを取り合うのがデイトレードです。プロの証券ディーラー、プロのデイトレーダー、さらには100分の1秒、1,000分の1秒単位でコンピュータが注文を出すHFT(超高速取引)とガチンコの勝負を強いられるのです。

個人投資家1,000人に1人はデイトレードで勝てるのかもしれませんが、実際の確率はもっと低いかもしれません。よほどの条件がそろわない限り、ひたすら損を続けるだけですから、安易に手を出すべき分野ではありません。

周期的な上げ下げが理想

株価は毎日、上げたり下げたりと忙しく変動します。
予測不能、とらえどころがない、といわれるゆえんです。

しかし、日々の値動きをドラマ仕立てで後講釈する、ちまたの市況解説の視点から離れれば、異なるものが見えてきます。それが、前述した「自律的な上げ下げ」であり、一定期間のトレンドです。

ポンッと上げたと思うと翌日にはガクンと下げる……それが株価の変動ですが、数カ月単位で「高値」「安値」をチェックしてみてください。底をつけた翌日、あるいは数日以内に天井を打つことはありません。また、天井をつけた直後に底を打って再び上昇することもありません。天体の動きとは違い、正確に周期的な動きはみせてくれませんが、少なくとも「一定の期間で上げ下げがある」と説明できます。

その上げ下げを「トレンド」として捉えると、買いポジションで利益が出る期間、売りポジションを持つことで儲かる期間に分けることができ、うまく波に乗ることで勝つチャンスがあると結論づけられます。

これが、うねり取りの基礎となる発想です。

一般的には「価格」、つまりチャートのタテ方向にばかり目が向いてしまいます。自分の買い値、現在値、前日比……この3つだけを見て一喜一憂する姿勢は、多くの個人投資家に共通しているのではないでしょうか。

そんな思考から離れることが重要です。
「トレンドは一定の期間で形成される」と考え、ヨコ方向の「日柄」(時間)で考えたほうがスッキリします。

買っている場合に「いくらまで上がるの?」と考えても迷いが増幅するばかりですが、上げたり下げたりを繰り返すという発想で「あと何日くらい上げが続くか」と考えれば、未来を当てることはできない状態は変わらないものの、迷わずにポジション操作を考える状態はつくれるでしょう。これが、「日柄」を意識した思考、適正な相場観測です。

誰にも頼らずに、自分の戦略を持ち、それを自分自身の手で実行する、つまり、世間を飛び交う予想情報に惑わされることなく、自分で自分をコントロールしながらトレードを継続していくのです。おのずと、経験とともに自分自身の力量が上がっていきます。ゆっくりとながら、進歩していく自分の姿を認識できます。

このように、自立した状態で「確信ある自分流」を構築していくさまを想像してください。リアルに想像し、自分がどんな気分で株価を見ながら、周囲の人とどんな会話をしているかをイメージしてください。その想像によって生まれる“心地よさ”を、現実の中で実現させようと真剣に求めるべきです。

さて、「いくらまで上がるの?」ではなく「あと何日くらい上げが続くか」が適正な発想だと述べました。つまり、うねり取りは、例えば大化けする銘柄を発掘しようといったアプローチではなく、できれば同じ価格帯にとどまりながら適度な上げ下げを繰り返す銘柄を対象にする手法なのです。

その際、チャートのヨコ軸である「日柄」が一定、つまり“周期的な上げ下げ”をみせてくれる銘柄が理想だということです。この銘柄選びのポイントが、今回の放送のテーマです。

裁量の底力と裁量の限界

チャートのタテ方向にとらわれず、ヨコ方向の「日柄」を意識することで、「上げトレンド」「下げトレンド」をイメージする姿勢が生まれます。これで、相場観測が相当にスッキリするはずです。

とはいえ、やはり株価の変動は常に予測不能、カンタンに儲かるわけはありません。

うねり取りは「上げも下げも取る」というのが入口の説明ですが、現実は、「上げ相場で取ったり取られたり」「下げ相場でも取ったり取られたり」と、ふつうにもがき苦しむのが当然です。ただ、自分がやるべきことが明確ならば、しっかりと手法をもつ状態にあるので、悩みは尽きないものの、迷いをゼロに近づけることは可能です。

さてさて、言葉の上では実にスッキリしてきました。ですが現実では、正しいと思う姿勢を継続することが実に困難なのです。理由は、1回ごとの損益が、とてつもなく生々しい結果として感情を揺さぶるため、うねり取りを習得する地道な練習売買が意外とイバラの道であり、多くの人が挫折します。そして、一発勝負の穴狙いなど、情報をかき集めて迷い続ける道に戻ってしまいます。

解決策として、唯一の方法とは言いませんが、中源線建玉法を利用する手があります。

中源線では、日々の終値だけを結んだシンプルな折れ線チャートを用い、毎日の上げ下げのパターン分析によってトレンド判断を行います。日柄観測の視点よりも、目先の上げ下げでトレンドの変化を検知しようとする予測法です。しかし、単にトレンドを“当てにいく”のではありません。予測は当たったり外れたり、現実の相場は取ったり取られたりだという正しい認識をベースにした、損益を上手にコントロールする狙いで、3分割のポジション操作が規定されています。

機械的な判断基準によるため、トレンドを意識して株価変動を観察する人間には納得しにくいダマシも発生します。逆に、裁量では乗れない動きに対して素早く反応するケースも多々あります。どちらが優秀かを論じるのは非常に難しく、それぞれに一長一短があるとしかいえないのですが、自分の売買を自分でコントロールする姿勢を身につけるには、「明確な基準で確実に行動する」中源線の規定が、非常にありがたい存在なのです。

「切っておけばよかった……」と後悔しながらしこり玉を抱えるとか、「売ろうか、どうしようか……」と迷いに迷って他人の予想を気にし始めるとか、そういったブレがトレーダーとして進む方向を誤らせます。経験を積むほど実力が上がるという望みとは裏腹に、いちいち迷ってしまう悪いクセをつけることだけは避けたいのに、まんまとそうなってしまうのが人間の弱さです。

確固たる意思をもってポジションをつくり、見込み通りでも見込み違いでも、次の一手をピシッと決めて行動する──そんな姿勢をもつのが理想のトレーダー像です。

中源線に限らず、機械的な判断は、絶対に人間には及びません。
でも、気分によるところもなければ、誰かのささやきに惑わされることもなく、淡々と同じ判断を示すのが強みです。ブレが生じないのです。

だから、中源線を使って実際にトレードすることは(もちろん、株数を抑えた練習売買からスタートです)、とにもかくにも、自分を“型にはめて”みる、ブレのない計画的なトレードを体感してみるという、価値ある経験をもたらします。こう確信しているからこそ、林投資研究所では中源線の解説に力を入れ、番組でも継続して取り上げているのです。

中源線によるうねり取りの実際

中源線という手法における予測法は、前述したように、「目先の上げ下げでトレンドの変化を検知しようとする」ものです。しかし、機敏に判断して方向転換しながらも、3分割のポジション操作が加わるので、結果として、数カ月のうねりを捉えるべく、株価変動の波を泳いでいこうとしている──。私は、こう解釈しています。

さて、中源線による売買の事例を挙げましょう。
「数カ月の上げ下げに乗る」という、うねり取りの発想を意識しながら見てください。

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これは、9月の放送でも紹介した、東京個別指導学院の中源線チャートです。
終値を赤い線で結んでいる期間が買い線(陽線)で、3分割で買いポジションを増減させます。黒い線は売り線(陰線)で、買いポジションをゼロにしてカラ売りを3分割で増減させる期間です。

チャートには、各陽線・陰線の期間における累計損益を加えてあります。3分割なので、最高は3単位の合計値幅です。

2月の陽転から9月の陽転(売り玉を手仕舞い)まで、合計6回のトレードで、陰陽で分けると3勝3敗、勝率は50%です。しかし、期間の累計損益はプラス389円幅と見事な結果、成功した事例です。

4月から8月末までの下げをあとから見れば、「売りっぱなしでよかった」となりますが、それは単なる結果論というもの。5月末の陽転、6月下旬の陽転には、戦略的な意味があるのです。

ピクッと上がりかけた、いったんカラ売りを手仕舞いして買いポジションを持とう、そして上げる動きにそなえよう、ということです。結果としては、2回の陽転は見込み違い、そのあとの下げで「やっぱり下向きだ」と判断してドテン売るのですが、取ったり取られたりの現実を素直に受け入れ、経費としての損をいとわずにポジションを動かしていくさまは、実に堂々としたトレードスタイルのひとつです。

とはいえ、さらに精度を上げることができないかと思うのが人情です。
理想を追うことこそが、人間ならではの創造性です。

次回のフォローアップ(2)では、理想と現実についてのプロの考え方を紹介します。
お楽しみに!

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手法の要件

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中学校の生物の先生がちょっと美人で、思春期の男子校生徒としては軽い非日常だったのですが、ある時「生き物の“典型”を描け」とのお題を出され、10種類くらいタイプの異なる動物をキモチわるく合体させたところ先生は、冷ややかな目で私を見つめながらダメ出ししました。クセになりそうでした。。。

株価変動をパターン分類し、常に通用しそうな行動指針をまとめたものが「手法」と呼ばれます。一定の具体性をそなえた方法論です。

常に通用するといっても、「どんな場面でも当たる」ということではありません。
どうにかこうにか対応次第で利益が狙える、という意味にほかならないわけです。

根拠となる観察を、ものすごくゆるくしたら、「株価は上がったり下がったりしている」「だから、安いところで買い、高いところで売ればいい」という具合に、行動指針のレベルに届きません。

しかし多くの個人投資家は、逆にきつい方向に偏り、「黙って儲かる方程式」を想像してしまう傾向にあると思います。手法を構成する3つの要素、「予測法」「ポジション操作」「資金管理」のうち、予測法だけに目が向くのです。

その結果、どうなるかというと、バランスのよろしくない状態に陥ります。
でも、その状態にジワジワッと移行するので、とても気づきにくい。

・目先の動きばかり気になる(対応不能な枝葉末節な変動を考えてしまう)
・他人の予測情報を求める(情報過多、あるいは予測情報を買い続ける)
・見込み違いをいっさい容認できない(損が膨らむ、塩漬けをつくる)

知らず知らずのうちに、相場難民化するわけです。
でも、誰もが最初から、こういう傾向にある、というか、ちまたの情報によってこの方向にもっていかれるのだと思います。

右側に曲がった鉄の棒は、いったん左側に曲げないとまっすぐになりません。
だから、「株価は上がったり下がったり……」という、やや乱暴なイメージを意識することで、ちょうどよくなるのかもしれません。

林投資研究所の基本姿勢は、個人投資家の学びを補助することです。
基礎的な考え方だけでなく、普遍性のある手法を「教科書」として示すことです。

長年にわたって学習の情報を発信し、長期の利用者も多いもののひとつが、低位株を対象に買い戦略を実行する「FAI投資法」です。

その“原典”である、林輝太郎による解説を、林投資研究所オリジナル書籍として単行本化しました。

「株価は上がったり下がったり……」という大原則を、あえて言葉にして、そこに「だから、〇〇して〇〇するんだ」という指針を乗せた「手法」です。
いろいろな対応策が、系統立ってまとめられています。
そして多くの人が、やさしい、入りやすい、と親しんでいる売買法なのです。

月足で長期の上げ下げを観察しながら取り組むという、自然体の取り組み方に、ぜひ触れてみてほしいと思います。

新刊『原本 FAIクラブの株式投資法』 林輝太郎 著 9月30日発売
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9月12日放送のフォローアップ(3)
林 知之

プラン通りに行動するための中源線

マーケットの未来を知っている者はいない──実はこれが、金融市場における“最大の秘密”です。「当てよう」と躍起になると、誤った方向に進んでしまいます。
とはいえ、「臨機応変に」「アンテナを高くして」と考えると、あっさりと行動指針を失い、四六時中、情報を探し求める“相場難民”になってしまうのです。
マーケット・スクランブル9月12日の放送は、予測不能だからこその「計画」、つまり、さまざまなケースを想定した「対応策」を持つことの重要性について、実例を示してお送りしました。
そのフォローアップ(3)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第92回 計画的なトレードを実行するために ~脱・相場難民!~

移動平均線のワナ

株価変動を大きな目で捉えると、「常に上げたり下げたりしている」との認識が生まれるでしょう。この上げ下げを上手につかまえて利益を出そうとするのが、私たちが行っている相場、投機、トレードという行為です。

上げたり下げたりとはいっても、完全な規則性などありません。小さな規則性が発生することはあると考えられますが、発生から間もなくして消えるはずです。その規則性に気づいた少数の人が利用するだけでなく、そんな人が増える過程で規則性は消えてしまいます。参加者の売買が、価格に影響するからです。

そもそも、「この要素がこんな規則性を生んでいる」と気づいても、株価を動かす無数の要因のたった1つか2つです。規則性そのものが、決定的なものにはなり得ないのです。

例えば、何らかの要因で「年末に売りが多くなる」という観測があったとします。かくかくしかじかで換金売りが増え、株価が下げる可能性がある、というようなことです。もし、こんな観測が市場参加者の一定範囲まで広まったら、「その安値を拾おう」とする向きが次々と登場します。仮に「年末に売りが多くなる」との観測が真実だったとしても、結果として株価が下がることはない、という結果が生まれます。

そもそも、年末の換金売り、それに向かう買いだけで株価が変動しているわけではありません。信用取引の取組をもとにした「上がる」「下がる」の予想を見かけることもありますが、同じ理由でキケンな情報です。

株価の予測は、誰が何をしたとしても当たらないのです。

しかし、移動平均線による観測は、最もポピュラーなもののひとつといえるでしょう。
株価は上げ下げを繰り返すのだから、移動平均線をうまく利用してすう勢を見ていれば、売り買いのポイントが明確になるのではないか、という発想です。

以下のチャートは、ある銘柄の実際の値動きについて、5日移動平均線を重ね合わせたものです。終値を結んだ折れ線チャートで、黒い線が実際の価格、赤い線が5日移動平均です。

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例えば「移動平均線を下回ったら買い、上回ったら売り」で利益になりそうな気もしますが、現実の売買は一歩遅れるので、このチャートを見たときの印象とは異なる結果、つまり印象以下の結果になります。それに、「下回ったから買い」と考えて仕込んだところ下げが加速したら……誰でも思いつく発想を使ったって利益を上げる法則など見いだせるわけはありません。単発売買をひたすら繰り返して当て続けようという姿勢が通用しないのです。

もし外れまくるのならば、その法則は利用価値があります。
逆のポジションを取れば勝ちまくるのですから。
しかし、勝ったり負けたりなので、次のステージには進めません。ざんねん。。。

株価の将来を言い当てることができない以上、予測の精度を上げようと躍起になってもダメ、そうではなく「ポジション操作」を工夫する必要がある、という結論に至るのです。

「中源線建玉法」は、そうした実践的な姿勢を貫いて仕上がった方法論なのです。

中源線のルールは……

予測の精度を上げようと躍起になってもダメ、と述べました。
必死になれば精度を上げることが可能ですが、その成果は微々たるものだという意味です。半面、予測の精度が「当たったり外れたり」が、当たり前のレベルある「五分五分」でも、工夫によって、損を小さく抑える、利益を伸ばすことは可能です。数量やタイミングを、すべて自由に決めることができるからです。

そして、五分五分の確率を受け入れることが、正しいトレードの道です。
実際、多くのシステムトレーダーが、「勝率50%前後」のロジック(判断基準)を用いて損小利大を実現するのが王道だと考えています。

災害を完ぺきに予測できなくても、ふだんからの備えで被害を抑えることができます。災害に対して過剰な姿勢をもつとマイナス面もたくさん発生しますが、バランスよく備えることで日常生活を犠牲にせずに過ごすことができるのです。

「雨は降らない」という予測が外れたからといって、ズブ濡れになることはありません。オトナとして、数々の対応策を実行することができます。

トレードもしかり。
株価の変動を「当てよう!」とする真剣な気持ちは重要ですが、固執せずに外れも想定し、どっちにしても“ぼちぼち”の結果を出して次に進もう、というのが実践的な姿勢なのです。

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中源線の優れた点は、つい力を入れすぎてしまう「予測」を軽めにして、そのかわりに積極的なポジション操作を行おうとしている部分です。

買って間もなく投げるなんて実につらいが、素直に受け入れて上手な撤退を試みる。一定以上の連敗は耐えがたいが現実を考えて受け入れる──軍資金の温存を第一に考えて生き残り、予測が当たったときの利益をしっかりと享受するのです。

中源線の、シンプルな強弱判断のルールと、わかりやすい3分割のポジション操作が、こうした実用性のある対応を狙った連続的な行動を組み立てています。

最長31年間を検証した

林投資研究所では2015年4月から、上場全銘柄を対象とした「中源線シグナル配信」サービスを展開しています。

中源線はルールが非常にシンプルで、いわゆる“調節つまみ”にあたる数値(パラメータ)は1種類だけですが、この値を変えることで売買の内容は変化します。シグナル配信をスタートするにあたっては、最長31年間の過去データを検証して最適な値を導き出しました。

短絡的に「最高のパフォーマンス」を求めると、「たまたま通用しただけ」の法則を未来の値動きに適用することになってしまいます。カーブフィッティングと呼ばれる、絶対に避けなければならないダメな最適化、最適ではない最適化です。

カーブフィッティングに注意しながら私たちは、真の最適化を図りました。
今後も研究は続きますが、現時点での“ファイナルアンサー”を、中源線シグナル配信に盛り込んだのです。

そして、多くの銘柄について、期待を上回るパフォーマンスを確認しました。といっても、当たり外れを判断する「勝率」は、平均して50%を少し下回る結果でした。実際にポジションを取っていたら納得しにくいくらいの連敗もあります。売買数量などの設定を誤ると、継続が難しくなるようなケースがあるということです。

当たったり外れたり……この現実からは逃れられません。

さて、中源線シグナル配信において、過去のパフォーマンスが良好、かつ安定性があると思える銘柄を東証一部に限定して選び、「研究対象銘柄」という位置づけで別枠にしました(現在、99銘柄)。「ユニバース」と名づけ、シグナル配信でありながら直近約1年間のチャートも表示させています。

その中から、林投資研究所のスタッフが実際に実験売買を行っている銘柄を紹介します。4745東京個別指導学院です。次項で詳しく説明しましょう。

個別事例「東京個別指導学院」

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実は、先ほど5日移動平均線を示した値動きが、このチャートの青い線で囲んだ部分です。

これは中源線によるチャートなので、同じ終値の折れ線でも、中源線の基準によって陰陽の判断が行われています。赤い線が買い線(陽線)で、買いポジションを3分割で増減させます。黒は売り線(陰線)で、下がっていく想定でカラ売りを、同じく3分割で増減させます。

チャートには、実際に中源線通りに売買した結果を書き込んであります。
中源線は3回の等分割でポジションを動かすので、最も増えたときで3単位となります。損益の数字は、その3単位の累計の値幅です。

  1. 2月陽転~4月高値 +150円
  2. 4月陰転~5月末陽転 +94円
  3. 5月末~6月中旬 ダマシの陽転 -122円
  4. 6月の下げ -4円
    ※取れているようだが、下げを見て売るのでマイナスの結果。ちなみに1単位のみ。
  5. 6月から7月にかけての上げ -48円
    ※上げをみて乗り、高値圏で1回だけ増し玉(つごう2単位)、下げをみて手仕舞いなのでマイナスの結果。
  6. 7月上旬~9月上旬までの下げ +319円

移動平均による、予測法に偏ったアプローチではなく、中源線ならではの判断基準に3分割の売買を重ねることで、いわゆる相場の苦しみは残るものの“迷いのない”行動を取り、値動きの波を泳いでいるさまがわかります。

この間の勝率を陰陽転換ごとに計算すると、ちょうど50%です。
2回に1回は外れるということです。
しかし、累計で389円幅の利益を残しました。

特に、最後の下げは、「よし! これを待っていたんだ」と感じる、心地よい利食いです。常に適度な往来をみせてくれれば、ダマシへの対応で苦しい気分になることもないのですが、そんな都合のいい動きはあり得ません。

たいして利益が取れない時期が続くことなど当たり前ですし、連敗もふつうにあります。納得できないダマシが発生することもあります。当たったり外れたりで、「もう少しなんとかならないか……」と悩みながらポジション操作で対応し、一定の期間でつじつまを合わせてプラスに持ち込む──これが現実です。

カッコよさなど、みじんもありません。
むしろ、カッコわるいほど悩みながら逃げ回り、チャンスをつかんだときでもヒーヒー言いながら利益を出し、トータルプラスを確保します。

これが、予測は当たらないという現実を踏まえた「計画的なトレード」です。

9月12日放送のフォローアップは、これで終了です。
そして今夜は生放送、いつものように午後8時からお送りします。
ちょっと上級者向けの内容で、タイトルは……

個人投資家の勝負所「うねり取り」の銘柄選び
~中源線を軸にチャートを見るポイントを探る~

お楽しみに!

chg-1_cover_frame150四部構成の書籍『中源線建玉法』

その「第一部 解説」のみ、無料配布版があります。
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研究部会報および中源線シグナル配信は、当局に届出の投資助言サービスです。契約にあたっては「契約締結前の書面」をよくお読みください。

9月12日放送のフォローアップ(2)
林 知之

相場難民にならないために

マーケットの未来を知っている者はいない──実はこれが、金融市場における“最大の秘密”です。「当てよう」と躍起になると、誤った方向に進んでしまいます。
とはいえ、「臨機応変に」「アンテナを高くして」と考えると、あっさりと行動指針を失い、四六時中、情報を探し求める“相場難民”になってしまうのです。
マーケット・スクランブル9月12日の放送は、予測不能だからこその「計画」、つまり、さまざまなケースを想定した「対応策」を持つことの重要性について、実例を示してお送りしました。
そのフォローアップ(2)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第92回 計画的なトレードを実行するために ~脱・相場難民!~

相場難民にならないために──。
このタイトルを見て多くの人は、「私は大丈夫です」と答えるでしょう。

しかし、私が考えるに、名人と呼ばれるほどの人も含めて全員が、少なからず「難民」の要素をもっています。内面にある心理的な弱点だったり、外部から入ってくる良くない情報だったりと引き金になるものが多いなか、名人は知恵と経験でうまく処理するのですが、全く無縁ということはないはずです。

相場難民とは?

詳しい説明の前に、「相場難民」を定義しておく必要がありますね。
簡潔に表現すれば、「迷って思考停止の気配がある投資家」です。

まず、100%の相場難民になってしまった例を示しましょう。

株の売買をしたいと考えて、証券会社に口座をつくった。
いろいろなニュースを見ながら「これから有望な銘柄」を考えた。
そして、3銘柄ほど買ってみた。

結果がどうであれ、新たなことをいろいろと考えます。
「この銘柄は、なぜ上がらないのか」
「上がってきたが売り時がわからない……」 等々

自然と、さらなる情報を求めて行動するでしょう。
厳しくいえば、この時点で相場難民です。

情報は、いくらでも存在します。その気になれば、それこそ無限に集められます。
だから、確固たる取捨選択の基準がない場合は、情報過多に陥ります。
情報が多すぎると人間は、思考が停止します。

確固たる取捨選択の基準がないと、集める情報の質も低下します。
そのなかで、絶対に自分で決断しなければならないこと、例えば具体的な売り買いのタイミングなどについても外部に情報を求めると、完全に思考が停止します。

誰にもわからない近未来の株価について、「誰の予想が当たるか」を自分で当てようという、よくわからない試みを始めてしまったら、ドツボにはまるだけです。

ついでに、「手法をもつ」という正しい発想をもちながらも難民になる例を示します。

ある手法に目をつけ、本を読んだりセミナーに参加して勉強した。
実行前に、じっくりと考えた。
すると、その手法の欠点が気になって実際の売買に踏み切れない。
慎重な姿勢を維持したまま、別の手法について勉強し始めた。
そして。。。このあとは同じことの繰り返し……

慎重な姿勢は大切ですし、欠点を気にする視点も重要です。
しかし、どんな手法のどんなやり方にも、長所があれば表裏一体の欠点があるのは当然。「よし、これだ!」と思ったら、すべてを受け入れて実際にやってみるのが正しい取り組み方です。料理の初心者がレシピを見て「調味料のバランスが……」なんて語ってもバカにされるだけですが、それと同じ行動が、オトナとしての慎重さによって生まれるという図式だけでも頭に入れておく必要があるでしょう。

セミナーを渡り歩き、本を読みあさり、頭でっかちになってはいけません。
ひとつの手法を選んだら、その手法を極めるまで続けることです。
そのあとで、ほかの手法について学べば、自分の手法のことがさらによく見えてきます。また、極めたあと手法を乗り替えるのもアリです。

メディアの情報に注意!

難民を生む図式を簡潔に紹介しましたが、キーワードは「不安」でしょう。

不安があるから「もっともっと」と情報を求め、いつの間にか“正解探し”をしてしまうのです。

実は、私たちが日常、最も目にしている投資情報は、投資家の不安心理に応えているようで、構造的には「不安心理を利用して情報を売り続ける」ものなのです。

メディアの記事は、経済記者が執筆します。
彼らは、超能力者でもなければ未来からのタイムトラベラーでもありません。
不安を解消したいと願って正解探しをする読者と同様に、肝心なことは知りません。

それどころか、立場上、株の売買を禁じられているはずです。
つまり、文章力や取材力、読者のニーズをつかむ技術はあるのですが、相場という行為の機微など理解していません。いきおい、大企業が行う商業的な情報発信のサイクルを支える「歯車」として執筆し続けることになるのです。

だから、多数の人が気にしている不安材料を取り上げながら、「この先どうなるのでしょうか……」と紙芝居の区切りのような“引き”で記事は終了するのです。
翌日、「今日は何が書いてあるんだ?」と考えて記事を読んだ時点で相場難民、乱暴に表現すれば「情報発信者のカモ」になるのです。

さて、不安を解消するには「自分の手法」をもつことです。
明日の価格を知る術はないので、誰にでも不安があります。悩みは尽きません。
しかし、「買う」「買わない」「今の状態を維持する」など、自分の行動を決めるうえで「迷いがない状態」をつくるべきです。難民にならないために。

予測だけに偏るな

難民化を助長する要素として最も大きいのは、「予測を当てよう」とする姿勢です。
予測が当たれば儲かる、予測が当たらないと損をする……こう考えてしまうことです。

実はこれがくせもので、なかなか納得できないところなのですが、予測の的中率は、タイムマシンでも手に入れない限り、「上か下か」で考えて50%、少ししか動かなかったときを外れとすれば、多くの人の期待を大幅に下回るのが現実です。

先ほどから「手法」という単語を使っていますが、きちんとした手法は、単に「当てよう」とするのではなく、「当たったときの対処」「外れたときの対処」を含めた一連の行動指針なのです。そもそも、「当たり」「外れ」なんて短絡的な捉え方をせず、上がると読んだとき具体的にどのタイミングでどれくらい買うか、といった戦略が盛り込まれていなければなりません。

手法とは、「予測法」があり、それと一体の「建玉法」(ポジション操作)があり、予測がサイアクの外れ方をしたときでも資金を温存できるように計算する「資金管理」もあるもの、具体的な行動が定義され体系化された「方法論」なのです。

「儲かるの?」を捨てる

儲けるために相場をやるのですが、個々のトレードについて「これ、儲かるの?」と考えるクセをつけると、やはり難民化の大きな原因となります。

手法が決まっている、サイアクを想定した資金管理も含まれている、とすれば、あとは淡々とポジションを動かすだけです。カネの問題は実に生々しいのですが、良い結果を出すためには、プロに倣(なら)った行動、ある意味、“規格化された行動”をイメージするべきです。

手法が定まり、それに従って直近の値動きを観察していれば、「自分の出番かどうか」という視点で判断することが可能です。

自分の出番ならば迷わずに出動です。
もちろん、ほぼ50%の確率で見込みは外れるので、その場合は上手に撤退します。

見込み通りだった場合は、確実に勝ち逃げすることを第一としながらも「利を伸ばす」努力をします。

相場のプロについて、「卓越した能力と度胸で勝負する人間」なんてイメージを抱く人もいるのですが、それは映画やドラマの世界です。行動を自分で決め、それを淡々と続けながら地味な試行錯誤をするのがプロ、そういう道筋を進むと決心している人がプロなのです。

そんなプロの取り組み方をシンプルなルールに落とし込んだのが、中源線建玉法です。シンプルなだけに長所が明確なのですが、誰でも気づくような欠点も存在します。しかし、それらをあわせて“ひとつの完成された手法”なのです。

中源線の良いところは、なんといっても、ルールがシンプルな点です。
実行しながら、長所と欠点を考え、最終的な自分だけの手法を想像することができます。

中源線の行動基準に従うことは、「自分を型にはめて」行動することです。
教科書通りにやってみること、料理をレシピ通りに作ってみること、まずは師匠の教えの通りに売買してみることです。繰り返すことで中源線を深く理解し、中源線を極めた段階で「確信ある自分流」を歩む段階に到達します。

中源線を利用する場合は、私が説明している具体的な利用法などを読みながら、慎重な姿勢を崩さず、しかし「とても少ない株数での実験売買、練習売買」といった、極める過程に必要なプロセスを大切にしてください。

次回のフォローアップ(3)では、今回説明したポイントである「予測」「ポジション操作」について、中源線のチャートを表示しながら詳しく解説します。
お楽しみに!

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1.印刷版(無料にて郵送)
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