理論に裏付けられた実行力

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ヒマなじいさんが、買い物に出かける嫁に赤ん坊の世話を頼まれました。
「少しの間見ていてください」「はいはい、どうぞ行ってらっしゃい」
嫁が帰宅すると、赤ん坊は何かを訴えるように大泣き、その横でじいさんは、なにもせずにジッと赤ん坊を見つめていたそうです。
じいさんは私の祖父、泣いていた赤ん坊は私、50数年前のエピソードです。
「見ている」って、視野に入れておけばいいんですかねぇ(笑)。

料理の本やレシピを熟読しても、実際に作ってみないとわかりません。
初心者ならば、数々のミスを重ねて覚えていくものでしょう。

筋肉を鍛えても、実際に行うスポーツの動きには直結しません。
あらためて、鍛えた体を有効に使う方法を訓練する必要があります。

知識や理論の理解は、筋力と同じく、いわば基礎力であり、潜在的な能力です。
総合的な能力、つまり真の実行力を高めるのは、実践しながらの学びです。
そもそも、理論や教えというのは、実践で苦労した人がまとめたものですから、それを実行に結びつけるのは、いわば逆輸入、苦労と工夫が不可欠です。

相場の知識や理論も同じです。
相場には肉体的な要素がないので、つい理論だけで実行可能だと考えてしまいますが、同じ値動きは二度とないので、いつでも緊張した状況でデリケートな決断を要求されます。想像以上に難しいのです。

やはりスポーツと同じ、“からだが動くかどうか”が問題となります。
反射的に動くことができずにタイミングを逃したが最後、フリーズしてしまう、手持ちのポジションを動かせなくなるのが、人間の通常の心理のようです。

そこで、理論の深い理解が必要です。
表面をなぞっただけではなく、行動をコントロールするうえで重要な理論を、自らの体験によって独自のものに昇華させていくのです。

そのためには、理論を理解したうえで、自分自身が売買している状況をリアルに想像することが実践の準備です。

こんなプロセスが、うっかり抜けていないか、ぜひ再チェックしてみてください。

大きな助けとなるのは、値動きの中で真に苦労した記録です。
理論を説明するためにはシンプルな実例が有効ですが、生の記録があれば、実践の試行錯誤を、最初から大きく前進させてくれます。

そういった情報は意外と少ないのですが、林投資研究所オリジナルの書籍で、主に「うねり取り」の売買実例を取り上げて、林輝太郎が解説を加えた一冊があります。

『株式売買記録と解説』
この本はコツコツとロングランで売れているため、増刷を機に新装刊します。
間もなく、12月上旬のうちに発売する予定なので、お知らせしておきます。

2005-100

新タイトル: 【詳説】うねり取り実践 ~株式売買記録と解説~

※旧『株式売買記録と解説』と内容は同じです。


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中源線建玉法
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11月14日放送のフォローアップ(2)
林 知之

保合は売り

うねり取り、つまり「数カ月の上げ下げ」を狙う理想的なエントリーポイントは──。
正解は、ひとつではありません。プロや上級者は必ず見込み違いを想定し、その部分の考え方によってタイミングに差が生じます。また、現実味のない“一点狙い”を否定して分割売買を前提とすれば、値動きへの対応は無限の選択肢を生むのです。
マーケット・スクランブル11月14日の放送は、上げを狙う場合の買いタイミングを考えました。原則は何か、一般的な誤解はどこにあるか、生身の人間にとって自然な入り方は……そして、中源線のシンプルなエントリー思想について、実例を挙げて詳しく解説しました。
そのフォローアップ(2)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第96回 うねり取りにおけるトレードの入り口 ~ポジションを取り始める基準~

個人投資家は「持つリスク」を意識すべき

株価の先行きについては毎日、新聞紙面、テレビ、インターネット上にさまざまな情報があります。それらの共通点として、「投資家の不安を利用している」ことが挙げられます。

資金の流れがグローバル化しているとはいえ、海外の雑多なイベントを材料に、「この先どうなる?」と不安を増幅させる論調ばかり……気にしていたら体がもちません。

相場がグイグイと上昇してきても、同じように不安をかき立てます。
「持たざるリスクが生じている」

職業としてファンドマネージャーを務めていたら、上昇相場についていかないことは明確にマイナスです。しかし、個人投資家に「持たざるリスク」なんてありません! 個人投資家は、トレード以外の本業で生活費を稼ぎ、本業や私生活とのバランスを保ちながら資産を安全に運用するのが基本です。くだらない言葉に惑わされてはいけないのです。

個人投資家はむしろ、「持つリスク」を考えるべきです。
持ち株に見直しが必要な気がする、忙しいのに売買の手数が多すぎるかも、そもそもトレード資金が大きすぎるかな……ちょっとした疑問や違和感を抱えながらもポジションを放置しているケースが圧倒的に多いはずです。

生活費を稼ぐために、のべつ売り買いしている職業トレーダーにとっても、「休むも相場」という格言が重要です。つい、やりすぎてしまうことへの戒めです。

ましてや個人投資家は、例えば「年に2、3回のチャンスがあればいい」というくらいのイメージをもつべきです。そうすれば、刹那的な解説で投資家を振り回す投資情報をキッパリと遮断できます。プロのように高い頻度で売買する場合はなおさら、マーケットとの“距離感”、つまり「どこまで近づいてリスクを取るか」を常に意識しなければなりません。

保合は売りが正解

持たないリスクなんてない、「持つリスク」を意識するべきだ──。これについて、別の角度からも考えてみましょう。

相場師と呼ばれる人たちは昔から、株価変動を「トレンド」という観点で捉えています。上げ相場と下げ相場、それぞれの特徴を考え、自らの立ち居振る舞いのあり方を素直に考えるのです。

その結果、たとえ安値圏であっても、動意が見られない横ばい、相場用語でいう保合(もちあい)では、上昇を期待して仕込むのではなく「むしろ売り建てが正解」と定義するのです。

株価が下落して、十分に安いと思える価格帯で横ばいをみせているならば、次に動くとすれば上方向しかないというのが一般的な解釈です。私も、その部分には違和感をもちません。

でも、本当に「上がるはず」ならば、そんな安値圏に放置されている状態を説明しにくいという評価も成り立ちます。少なくとも、「いい銘柄を見つけた。上がるだろう」という自分の予測を過大評価する傾向は否定できません。そんな“自分の都合”によって誤った行動を取りたくないというプロの“こだわり”を言葉にすると、「保合は売り」との指針になるのです。

物理的な可能性として、動けば上だろう。
しかし、想定以上に長く待たなければいけないかもしれない。
それならば、動意づいてから乗れば十分だし、時間もムダにしない。
安値圏であっても、動かない銘柄を買っていたら下落リスクを抱える。
プレーヤーとして考えると、ポジションを取るならば「売り建て」だ。

決してひねくれているのではなく、自分をコントロールし、損益という結果をコントロールするための実践的な論理なのです。

ここで、中源線の買い出動について、あらためて説明します。
安値を這いつくばっていても、それを買う理由にはしません。あくまでも、ピクッと上がる動きがあり、それが中源線ルールの「陽転」に当てはまらない限りは買わないのです。

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中源線では、図の「3」で買い出動し、「4」の押し目で買い増しするという、計画的な分割の仕込みを行います。分割によって、見込み違いだった場合の損失を抑える、条件がそろえばポジションを積み増していく──こんなプロの対応が、シンプルな数式に落とし込んであるのが中源線なのです。

だから、名前は古くさく、取っつきにくい印象もあるでしょうが、トレードの土台を確立するツールとして、私は強くオススメしているのです。
もちろん、長く利用して本格的トレードを継続することも可能です。単なる初心者向けの“補助車”ではありません。

安値圏でも買い、高値圏でも買う

フォローアップ(1)で、「安く買って高く売る」はミスにつながると述べました。

上げ下げをトレンドとして捉え、自分の買い値や以前の安値など、単なる「過去」の出来事に縛られることなく、正しく「未来」を見据えれば、安く買うことにとらわれず、「上昇トレンドのときに買いポジションを持つ」という答えが出ます。

買うときの平均値は安いほうが有利ですが、時間を要するほど、結果として値幅を取るのが難しくなります。安値保合で上手に仕込んでも、6カ月かかって50円幅の利益で終わるかもしれません。動き始めてから乗れば、同じ50円幅をより短期間で取ることができますし、さらなる上昇を取る可能性も高くなります。

株は「安く買って高く売る」のではなく、「高く買って、さらに高値で売る」とイメージするのが、実践的には正解といえるのです。

実践者によっては、「それでは生ぬるい。高く買い、さらに高値で買い乗せるんだ」と語ります。ドラマに登場するような“勝負師”よろしく無謀な行動を取るということではなく、サイアクの場合の撤退にもそなえながら“効率”を求める計算づくの「戦略」です。

中源線による事例を見てみましょう。

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これは、10月放送時に示したチャートで、9月30日大引までのものです。赤い線は「買い線」(陽線)で、買いポジションを3分割で増減させます。黒い線は「売り線」(陰線)で、下げを見越してカラ売りを3分割で増減させます。

放送の当日は売り線でしたが、これを見た大橋ひろこさんは、「上放れしているので、これから面白いかも」とコメントしました。もう相場が終わっていて、あとはしぼむだけという可能性もはらみつつ、上昇したときにはスピードがありそうです。そんな、実践的な目で「面白い」と評したのでしょう。

私は11月の放送の中で、彼女に質問しました。「買ったの?」と。
「シグナル配信」のページで陽転したのをみて買ったそうですが、けっこう短期で売ってしまったそうです。負けてはいませんが、このタイミングで乗ってサッサと降りてしまうなんて……本人も笑っていました。

それはさておき、大橋さんが買い出動した陽転を確認してみましょう。

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青い線までが、10月放送時のチャートです。青い線より右側はそれ以降、11月18日の終値まで入っています(11月放送時のチャートに1週間分、追加しました)。

直近の上げ相場に絞って観察します。

1.安値での陽転
7月の前半、安値圏で陽転しています。見事なタイミングで、上昇に乗ることができました。その後、9月半ばにヨタッとしたところで陰転しています。買いポジションをすべて手仕舞いして、総量の3分の1だけ売り建てです。この陰転だけを取り上げれば「ダマシだった」と不満を言いたくなるのが人情ですが、下げにそなえてドテン売ることで“買いの利食いを確定”したと認識するべきでしょう。実際、そのあと強張った場面で再陽転、再び上げの波に乗っています。次項へ続きます。

2.高値での陽転(1)
10月5日の再陽転は、大橋さんが買った場所です。
いったん売りに転じたあとドテン買うという、値動きに素直についていくポジション操作が展開されています。このあたりが、まさに「相場を張っている」感覚で、人間の感性とも合致する中源線の魅力です。

3.高値での陽転(2)
11月2日にも陰転していますが、翌営業日の11月4日に再陽転しています。2の再陽転と同様に、素早く買いポジションに戻っています。
11月9日、“トランプショック”と呼ばれる下げがありましたが、これに対しては冷静に買い増しのシグナル。ちょっとできすぎなくらいで、軽い表現を使えば“神対応”というところでしょう。

いかがでしょうか。
安値圏で動意づく動きを見て買いを仕掛けましたが、高い位置でも「さらに上値がありそう」となれば迷わずに買うのです。こうして、効率のよい値幅取りを実現し、手の合わない時期のチマチマしたマイナスをカバーしてトータルをプラスにするのです。

次回のフォローアップ(3)では、チャンスを逃さないための工夫は何か──押したり引いたりしながら値動きに対応するプロのやり方を深掘りします。
お楽しみに!

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情報は加工されている

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タレントが、訪問先の家庭で料理を食べる番組があります。
「いやあ、これ、おいしいですね~」と満面の笑みでコメントするのですが、中には「マズっ」「これツラいわぁ」って食べ物もあるでしょうね。
でも、それでは番組になりません。

私自身の経験で、ラジオ番組に出演した時、行間に込めた本気のメッセージは「銘柄情報なんて考えるな」だったのに、投資家だけを対象としたチャンネルだったため、「最後に銘柄を挙げる」ことが絶対の依頼でした……。

多くの投資関連情報において、有望銘柄を挙げて夢を語るのはOK、未来を見てきたかのように講釈するのが望ましいかわりに、下げ狙いなんてタブーです。
下げ相場は“宴の終焉”、そんな現実的な話題を好むのは限られた人だけ、不特定多数の人をワクワクさせる情報が「商売になる」からです。

大切なカネのことだから……と考えるあまり、「真実だけが発信される」と期待するのは間違いです。多数の投資家にウケる情報、スポンサー企業が望む情報に偏ると認識すべきです。

手前ミソですが、インターネット放送の「マーケット・スクランブル」は、私たち自身で運営しているので、つまらない力が働きません。番組内容も、好きなように決めることができます。実に快適です。

「情報の加工」は、他人の手によるものだけではありません。
例えば株価変動は単なる数字ですが、受け止めた瞬間から自分自身の手で評価を加えます。「昨日よりも10円上がったぞ。では明日も……」というように、重いもの、軽いもの、さまざまな価値判断を行います。しかも、連続的に。

そもそもオトナですから、売りと買いしかないシンプルなトレードという行為について、結末まで想像してしまうでしょう。それこそが、人間の創造力なのですが、あえて頭を使わずに一部分だけを考えるべき場面も多いと思います。

試し玉で買い、状況を見ながら買い増しし、見込み通りに上がってきたらツナギを入れてみて……常識的な人がふつうに考えた結果、“考えすぎ”てしまうことも多いはずです。

一部分だけを考えるというのは、例えば、「買い戦略」において「買い始める」タイミングについて、とことん掘り下げてみる、といったことです。
11月の放送は、こんなテーマを取り上げてみました。

msうねり取りにおけるトレードの入り口
~ポジションを取り始める基準~

放送動画(30分)とフォローアップのブログは、こちらのページでご覧ください

中源線の売買を例として挙げていますが、すべてのトレードに通じる大切な考え方を説明する内容です。


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11月14日放送のフォローアップ(1)
林 知之

買いは「上げの動きに乗る」行為だ

うねり取り、つまり「数カ月の上げ下げ」を狙う理想的なエントリーポイントは──。
正解は、ひとつではありません。プロや上級者は必ず見込み違いを想定し、その部分の考え方によってタイミングに差が生じます。また、現実味のない“一点狙い”を否定して分割売買を前提とすれば、値動きへの対応は無限の選択肢を生むのです。
マーケット・スクランブル11月14日の放送は、上げを狙う場合の買いタイミングを考えました。原則は何か、一般的な誤解はどこにあるか、生身の人間にとって自然な入り方は……そして、中源線のシンプルなエントリー思想について、実例を挙げて詳しく解説しました。
そのフォローアップ(1)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第96回 うねり取りにおけるトレードの入り口 ~ポジションを取り始める基準~

「安く買って高く売る」は間違い

株で儲けるには、安く買って高く売る──。
間違いではありませんが、この表現をそのまま行動に反映しようとすると、実践的なミスが起きやすいと私は考えています。

「安く買う」という言葉から、チャートにおけるタテ軸だけに目が向いてしまうのが自然な心理です。チャートは、タテ軸の「価格」とヨコ軸の「時間」という2つの要素で成り立っているのに、そのうちの1つを忘れてしまうようではバランスが悪いのです。

考えるべきは、「トレンド」です。
上げ、下げ、横ばい、という“ベクトル”です。

タテ軸とヨコ軸を同時に見ることで、同じ上げでも「急激な上げ」とか「ゆるやかな上昇」と区別して認識できますし、「ジリ高から急騰」といった変化もストレートに感じ取ることができるわけです。

タテ軸だけに目が向くと、例えば株価をチェックするとき、「自分の買い値」「現在値」「前日比」を見て一喜一憂するというように、トレードの最適解を探そうという正しい道から大きく外れた思考になってしまうのです。

具体的に、図を示して説明しましょう。

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タテ軸だけを見た場合、理想の買い場はBです。
しかし、実践的には疑問なのです。

図の値動きは、安値の往来を経てFあたりからハッキリと上昇に向かっています。もしBで買った場合、C、D、Eとモタモタする間も、不安を抱えながら買いポジションを維持する必要があるので、F、Gと上がりかけたところで売ってしまう可能性が高くなります。精神的に疲れた結果の、「やれやれ売り」と呼ばれる行動パターンです。

理想の買い場はズバリ、Eです。
トレードでは、時間をかけないようにするのが、ひとつのポイントです。
刹那的な短期狙いをしようということではなく、ムダにポジションを持つ時間を短くするという発想です。時間をかけるほど逆方向に動くリスクが増加します。また、資金を寝かせて効率が悪いという問題も起こります。「さあ、いよいよ!」となってから仕掛け始めるのが、これらの問題を避ける工夫なのです。

そう考えると、実はIで買ってもオーケーという説明が成り立ちます。
最安値のBで買った結果として、時間がかかった割に値幅が取れない……こんな結末よりは、グングンと上がる様子を見てIで飛び乗るほうが、戦略として有利かもしれないという論理です。もちろん、ダメだと判断して飛び降りるそなえが必須ですが。

さて、この図において私が最も言いたいのは、「一点狙いをするな」ということです。分割売買を前提にすれば、必死に予測を当てようとするムチャな発想から解放されます。戦略に、実践的な幅が生まれます。

例えば……Bでも買うが、それは単なる試し玉。また、CやDでも拾うが、その時点でも十分に資金を空けたまま、ダメだったときに撤退する構えを維持する。そして、Eのように煮詰まったところで本格的な買い増しを考え始め、最終的にはGやHで“乗せ”が完了したらサイコー、といった具合です。

もっとシンプルな戦略のほうが、わかりやすいでしょうか。
Bのようなたまたまの最安値には興味をもたず、C、D、Eと続く整理の期間を見ながら買い戦略の入り口、つまり最初の仕掛け場を探る。DからEで買っていれば理想だが、上げの兆しFを過ぎてからでもよし。

どうでしょうか。予測不能の値動きと向き合いながら、自分の確固たる見通しを基準に「そのまま進むか退くか」を常に考えていくのが王道です。そういった現実的、実践的な対応を実現するのが、「売買を分割する」という発想なのです。

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をつけたEが、「もし一点狙いなら」という前提での正解です。

しかし、前述したように、さまざまな対応パターンがあって人それぞれ、戦略によって異なりますし、同じ戦略でも値運びによって変化します。

林投資研究所の中源線建玉法では、F、G、Hで買い、I以降の上げを取ろうとします。その狙いを、シンプルな数式に落とし込んでいるのです。さらには3回の分割売買を規定し、上向きが明確になったと思えるところで総量の3分の1を買う(F)、上向きの動きがホンモノだと判断したら押し目で増し玉する(G、H)という戦法です。

必須の分割でパターンいろいろ

前項で説明したように、フラフラと動いて読み切れない株価変動を相手にする以上、分割を前提にすることが必須です(デイトレードなど超短期の売買は単発的になる)。しかし、その分割を「どこでスタートするか」は非常に重要な問題なのです。

中源線では「上向きが明確になったと思えるところ」、と述べました。
中源線のルールは「保合の上辺」を定義していませんが、一般的な「ブレイクアウト」の戦略に近いイメージだと理解してもらって差し支えないでしょう。

先ほどのチャートではなく、もっとシンプルな図を使って「買い始めるタイミング」のパターンを説明します。

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1.下げて止まった
まだ時間がかかることを覚悟で、下げ止まりを感じたら買い始めるパターンです。

2.保合で煮詰まった
1と同じように、安値を拾うのですが、十分な底練りを経て「整理が進んだ」との認識をもって買い出動、というパターンです。

3.保合を上抜け
いわゆる、ブレイクアウトです。
今までの動きとは異なり、大きく上伸しそうな上昇をみて乗る、というパターンです。

4.上がりかけて押し
3と同様にブレイクアウトを基準としていますが、少しだけ時間の経過をみて「出損ないではない」と判断したあと、押し目を拾おうとするパターンです。

いろいろな動きに対し、いつでも臨機応変に行動するなんて、絶対にできません。自分の得意パターンを決め、取ったり取られたりを繰り返しながらトータルでプラスにする、手が合わない場面は、きっちりとヤラレる(損を抑えながら撤退)といった考え方をするのです。

中源線のロジックは実に素直だ

林投資研究所の中源線建玉法は、これら4パターンの分類でいうと、「3と4の融合」です。3で打診買い(3分の1)、4で増し玉(3分の1ずつ2回)、合計3回で満玉(事前に計画した株数)に達する、という作戦です。

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冒頭で「安く買う」はミスにつながると述べました。
上がりかける値動きパターンを見て「よし動き出した」と買い始める方法が、価格的には不利でも、時間的に有利です。要するに一長一短があるといえばそれまでですが、動き始めてから乗る、そのうえで価格が有利になるよう努める──これが、人間の感覚に最も近い買い方だと私は確信しています。

いつ動き出すかわからない電車、もしかしたら車庫に入ってひと晩動かないかもしれない電車に乗るのではなく、急いで飛び乗る必要はあるものの、動き始めた電車に乗るほうが正しい、こんなイメージで捉えてください。

次回のフォローアップ(2)では、「保合は買わない」「保合は売り建てが正解」という、ちょっと納得しにくいようなプロの感覚を紹介します。
お楽しみに!

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トランプショックってなに?

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奥歯が1本、虫歯になりまして、池袋の歯科医院で治療中です。まず神経を抜いたわけですが、2回目の治療の時はまだ鈍痛がある状態なのに、担当の女医さんは「林さん。痛いの好きだよね」と麻酔なしでグリグリ……悲鳴を上げました。
私もつい「そういうお店だった?」なんて言ってしまうので、それがいけないのでしょうが、もうちょっと丁寧に扱ってほしいものです、ホント。

最近は、日常の態度について、「オレはS」とか「あの人はM」なんて表現を、ふつうに使います。ちょっとイジワル系がS、いじめられキャラや、それを素直に受け入れている人がM、という具合です。傾向が強い場合は、「ドS」「ドM」などと言うのですから、日本人のセックス観、言語観は面白いと思います。

株式市場は多くの参加者が競争し、ある意味、対立している構造なのですが、仕手戦とか相場操縦でない限り、相手をいじめる機会はありません。
誰もが、孤立したような状態で「値動き」と戦っているのです。
だから、Sは成立せず、みんなが少なからずM傾向だということですね。

トランプ氏が大統領になったら暴落する……“トランプショック”という単語が早くから出回りましたが、戦々恐々で大騒ぎする人ほど買いポジションを減らすことなくガッツリと抱えていたようです。つまり、ドM?

結果的には、なぜだか東京だけが大暴落、そして翌日は大暴騰。依然として今後の政策は不透明なまま「トランプ大統領に期待」なんて後講釈するのですから、
本当に困ったものです。
要するに、相場が上げようとしている状態で「買いたい弱気」が多かっただけ?
というのが平易な捉え方かもしれません。
ちなみに、「じゃあ、皆これから買うんだな」というのは、個人的なつぶやき、いわゆるポジショントークというヤツですね。

金融マーケットにかかわる情報だけでなく、政治、経済、国防など多くの観点で、トランプ大統領に対する「不安」をまき散らすような論調が多いと感じます。
メディアから情報を受け取る私たち一般人は、そろってドMを演じるよう強要されているのです。不安を解消するために次の情報に注目しますが、次の情報によって不安が増幅したり新たな不安を与えられるから、またまた情報を買う……そして情報を買い続ける。やはり、ドMの情報中毒といえそうです。

ドM状態を回避するには、「手法をもつ」ことです。
手法だっていろいろ、ファンダメンタル分析を主とするやり方もあるのですが、メディアが流す情報を気にする“受け身”の姿勢とは違います。

誰にでも実行できるアプローチ、特別な知識や分析能力を要しない方法は、林投資研究所が提唱する「相場技術論」、つまり株価だけを見て、自分の戦略を淡々と実行するという考え方に基づく行動指針です。

明日の株価は誰にもわからない、予測が当たっても外れても“次の一手”が重要
という大原則を忘れず、常にそこに立ち返ることが大切です。


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10月3日放送のフォローアップ(5)
林 知之

手法の要件
~利益を生む突破口を探る~

手法の優劣を語るのは難しいのですが、個人投資家にとって“やりやすい”か“手がけやすい”かで判断することは可能です。
最も制約が少なく、感情の面も含めて継続が容易なのは、数カ月単位の上げ下げに注目した「うねり取り」だと思います。その「うねり取り」を、機械的判断で実行しようとする手法が、中源線建玉法です。
マーケット・スクランブル10月3日の放送は、手法とは何か、個人の努力がどこまで及ぶか、といった深い事柄をテーマに設定し、個別銘柄の中源線を数多く取り上げて解説しながら“トレードのあり方”を考えました。
そのフォローアップ(5)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第94回 個人投資家の勝負所「うねり取り」の銘柄選び ~中源線を軸にチャートを見るポイントを探る~

キルクルの法則

投資家なら誰でも、予想を当てようと努めます。しかし、投資家の頭の中には数え切れない不安があり、純粋な気持ちで値動きを観察できないのです。有能なはずなのに、その力を発揮することができず、考えれば考えるほど予想は曲がってしまいます。

「よし、これは間違いない」と思った予想ほど曲がります。
裏を読もうとしても同じで、「オレが買いたいと思うから天井だろう」などと考えたってダメです。ファイナルアンサーを「売り」にすると皮肉にも、株価はさらに上がることになるのです。
なんとかの法則、ってヤツですね。

実際のところ、予想がそこまで曲がることもないのですが、現実の対応力、行動力、瞬発力は期待値を下回るので、そのギャップが原因でギクシャクして悪い結果につながるという悲劇が展開されるわけです。

買った銘柄が下げて評価損が生まれ、それでも頑張ってジッとしていたところ、とうとう耐えきれなくなって切ると上がり出す……“切る”と“くる”から「キルクルの法則」……そんな冗談では吹き飛ばせないイヤな感情が残り、それが足かせとなって次回もミスをしてしまうという悪循環。これが、ある意味、「ふつう」の流れなのかもしれませんが、ちょっと考え方を工夫するだけでベクトルが変わります。

「自分に見えているのはわずかなことだけ、参加者の数を考えたら市場の0.0001%しか見えていない、いやもっと少ないはずだ」

いくら考えても、明日の株価さえ言い当てることはできないのですから、いっそ開き直って、考えるのをやめてしまえばいいのです。

手法がもつ価値観はひとつだけ

「考えるのをやめる」と表現しましたが、正確には「いろいろ考えることはしない」という意味です。市場の0.0001%に集中し、「これが自分のやるべきことだ」と気を引き締めて集中するのです。その結果、どうにかこうにか、自分の戦略通りに進めることができます。でも、「予想が当たる」ということではありません。

「当たったときは、それなりに取れる」
「外れたときは、それなりに損を抑えることができる」
ということです。

「予想」と「対応方法」のセットが、値動きの波を泳ぐための具体的方法論であり、それに資金管理の基準が加わって、やっと「手法」として成り立つのです。

トレードは、スポーツなどとは異なり、入り方、手仕舞いの仕方、数量の調整、銘柄の選択などすべてが自由です。そのため、ダメなポジションを持ったままグズグズと決断を先送りして損を拡大させたり、逆に、素早く動いて損切りを決断したために利益のチャンスを逃したりします。

荒い動きをみせる市場において、落ち着いて、バランスよく、計画的なトレードを展開するには、「いろいろ考えることはしない」という発想が非常に大切です。

トレーダーが100人いれば、考え方も100通り、当然のように方法論も100通りあります。多くの値動きパターンすべてに対応して百戦百勝なんて、実現不能なイメージを抱いてはいけません。百戦百勝はムリでも、いくつかの基準をうまくミックスするくらいなら……こう考えるのが人情ですが、それも単なる幻想です。

バランスよく計画的なトレードを展開するためには、自分が選んだ1つに集中すること、それは「残りの99は捨てた」という意味です。堂々とした態度で、捨てたものを気にしないようにしましょう。自分が選んだ「100分の1」について質を高めることだけを考え、他人との比較などしないようにするのです。隣の芝生は青いのです。

取れる相場と取れない相場

「100分の1」を選んで売買に臨むのが王道です。
必然的に、取れない場面、取れない値動きにも遭遇します。そんな苦しい時期が、覚悟している以上に続くこともあるのです。

いわゆる勝率は、50%前後に落ち着くのが道理です。以前から説明しているように、勝率を70%、80%と高めることは可能ですが、そのロジックでは、利益が限定、損失はそこそこ大きくなるため、トータルでは利益にならないのです。

さて、勝率50%と聞けば、「そうか……2回に1回は負けるのかあ。仕方がないな」と考えるでしょう。常識的なオトナとして、「現実を受け入れて覚悟を決めよう」ということです。ところが、「2回に1回は勝てるんだよね」と、ちゃっかり期待しているのが人間という生き物です。

長い期間の結果は「勝率50%」に収れんするにしても、自分が選んだトレードスタイルが機能しない時期が続くこともあります。「えっ、こんなにも勝てないの?」と気分が悪くなって混乱するくらいの連敗は、かならず経験させられます。

でも、ここでブレてはいけません。
冷静に状況を分析し、絶好のチャンスを逃さないようにヤラれ続けるのか、チャンスを逃すのを覚悟で休みを入れるのか、自分自身で決断しなければなりません。
この気持ちが少しでも弱いと、チョコマカと基準を変更してみたり、思いつきで異なる方式を取り入れてみたりして、せっかく固めた土台を壊してしまうのです。

もちろん、自分が選んだ「100分の1」が間違っている、ほかの方法を探るために一から出直し、というケースもあるでしょう。だからこそ深く考えるよう努め、そのために迷いが生じたりするのですが、小手先の対応によってフラフラする悪いクセがつくことだけは避けなければなりません。

余談ですが、番組の中で実例を示す中、相方の大橋ひろこさんがセガサミーホールディングスについて、「レンジをブレイクしたし、今から面白そうね」などと言っていました。どこまで本気のコメントだったのかは知りませんが、そんなスケベ心満載の落ち着かない姿勢はよろしくありませんね(笑)。
次の放送で、その後のことを聞いてみましょう。

セガサミーホールディングス

セガサミーホールディングス

取れる銘柄を選ぶ

多くの人が、「どの銘柄が良いか」と、子どもっぽい“当てっこ”をします。目の前で派手に動く銘柄が話題となり、そんな投資家の興味に迎合したメディアの姿勢によって、派手な動きは美化されていきます。流行の銘柄に触れないのは投資家ではない、くらいの強迫観念が生じるかもしれません。

そんな落とし穴に、まんまとはまってはいけません。「100分の1」を選んだ姿勢を貫き、自分が選んだ「100分の1」の方法に合う銘柄、相性の良い銘柄を、自分の目で判断して決めるのです。

裁量を軸にうねり取りを行う、つまり「数カ月単位の上げ下げを対象に、トレンドを見出してポジションを取る」のならば、なにしろ周期がわかりやすい銘柄が適しています。値動きが小さすぎる場合は、そもそも利益の可能性がないのですが、大きく動けばいいというものではありません。「いくら勝てるか」と盲目的な発想で突進して大きくヤラレるのが相場です。「着実に勝つ」「大きな損をせずに次回のために資金を温存する」ことが第一ですから、誰も話題にしない銘柄のほうが好都合で、値動きをつかみやすい、ムダに興奮しないで売り買いできる銘柄が理想なのです。

中源線も、うねり取りを実現するための方法論ですが、裁量を軸に上げ下げの周期を見るアプローチとは異質です。大まかには、裁量と同じく「周期がハッキリしているほど良い」といえますが、中源線を使うならば、中源線のロジックに合う銘柄を探そうと考えるべきです。

とにかく、銘柄を先に決めて「とにかくやる。この銘柄を“いじくって”結果を出すんだ」式の考え方は、キケンだと認識してください。

ラーメン一筋の人が、いきなりイタリアンの店を出してもダメだと思います。あらためてイタリアンの修行をするうえで、ラーメンの経験が土台となるでしょうが、すぐに店を開くならば得意のラーメンで勝負するのが当然です。

キーワードは“普遍性”

あらためて“手法の要件”とは、「予測法」「建玉法」「資金管理法」の3つがバランスよく連携し、系統立ってまとめられていることです。長期的な視点で、行動指針が明確になっている必要があるのです。

しかし、目先の動きに焦点を当てるのも当然です。
例えば、「今の市場では、ブレイクアウトした銘柄に乗っても利益にならない」といった短期間の値動き傾向を観察することで、「建玉法」の微調整を行うのがプレーヤーの仕事ですから。

ところが、そんな目先の動きにばかり気を取られて、微調整ではなく“安易に流行を追う”姿勢になりやすいのがトレードです。長く続けられる方法論、普遍性のあるやり方が土台にあることで微調整も成立する──こう考えるのが当然です。

普遍性がある、つまり“いつもで通用する”ものとして誰でも思いつくのは、例えば「株価は上がったり下がったりする」といった身もフタもない説明かもしれません。これでは「手法」にならないのですが、つい目先の傾向を気にしてしまうのが問題なのですから、意識的に大ざっぱなイメージをベースにしてみることに意味があります。

中源線のルールがシンプルで、生身の人間が感覚的に理解・納得できるのも、ムリな試みをせず、あえて最大公約数的なロジック(数式)にとどめているからです。

自分で手法を構築するとき、あるいは既存の手法をアレンジするとき、既存の手法を分析するときも同じですが、あえて「大ざっぱなイメージ」を大切にする、「長く続けられる」という視点を重視するよう心がけるべきです。それが、揺るぎない土台となるからです。

職人的なうねり取り、手がけやすいFAI投資法

林投資研究所では、うねり取りの手法を提唱しながら、そのうねり取りを実行するひとつのアプローチとして「中源線建玉法」を推奨しています。普遍性があるからです。

それとは別に、低位株に選別投資する「FAI(エフエーアイ)投資法」も、林投資研究所が扱う手法として大きな柱のひとつに位置づけています。

「どの銘柄が買いか」という一般投資家の興味に応えながらも、安っぽい銘柄発掘法ではなく、一貫性のある理論で説明できる具体的方法論です。もちろん普遍性があり、1984年に「FAIクラブ」を発足していらい継続的に情報を発信し、多くの実践者がいるのです。トレードの「技術」が重要であることは同じですが、銘柄選定が果たす割合が大きい売買手法、ウォーレン・バフェットのように、ビジネスモデルといったファンダメンタルを重視して10年、20年と保有する方法ではなく、特別な知識なしで実行できる低位株投資法です。

2020
【原本】FAIクラブの株式投資法
林輝太郎 著
各巻9,000円+税 → 3巻セット割引24,000円+税

中源線のように、プロ的感覚を有する手法を利用し、自分自身をガチッと型にはめてみるのもひとつ、FAI投資法のように、やさしく実行できる手法でラクに進みながらトレード哲学をつくり上げていくのもひとつ。今までの経験をより効果的に生かすためにも、「手法」という観点でじっくりと考える時間をつくってみてください。

これで、10月放送のフォローアップは終了です。
来週の月曜日は次の生放送、トレードの入り方、特に「買い方」に焦点を当て、実践的な内容をお送りする予定です。
お楽しみに!

chg-1_cover_frame150四部構成の書籍『中源線建玉法』

その「第一部 解説」のみ、無料配布版があります。
1.印刷版(無料にて郵送)
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10月3日放送のフォローアップ(4)
林 知之

不可避なヤラレをカバーする値幅取り

手法の優劣を語るのは難しいのですが、個人投資家にとって“やりやすい”か“手がけやすい”かで判断することは可能です。
最も制約が少なく、感情の面も含めて継続が容易なのは、数カ月単位の上げ下げに注目した「うねり取り」だと思います。その「うねり取り」を、機械的判断で実行しようとする手法が、中源線建玉法です。
マーケット・スクランブル10月3日の放送は、手法とは何か、個人の努力がどこまで及ぶか、といった深い事柄をテーマに設定し、個別銘柄の中源線を数多く取り上げて解説しながら“トレードのあり方”を考えました。
そのフォローアップ(4)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第94回 個人投資家の勝負所「うねり取り」の銘柄選び ~中源線を軸にチャートを見るポイントを探る~

ヤラレないことが第一

トレードには、偶然の要素があります。どんなものにも偶然はありますが、トレードにおける偶然は意外と大きいと考えるのが妥当ではないでしょうか。

初めて株を買う際、たまたま選んだ銘柄が大化けした──こんなことだって起こります。「初心者だから50円幅で強制手仕舞い」なんてことはありません。初心者もベテランも、百戦錬磨のプロだって、みな同様に偶然の要素を抱えて売買しているのです。

だから、個々のトレードについては、勝って当然、負けて当然なのです。
「十分に下げた。確実に下げ止まっている」と冷静に判断したつもりでも、見込み通りに上がらないことはあります。

この事実が、トレードシステムにおいて「勝率50%前後がちょうどいい」という理論の背景です。

一定の期間、例えば半年、1年の累計が大きくマイナスになりさえしなければOK、多くの場合は「やり方は間違っていない」といえるでしょう。連敗しても個々のヤラレが小さければ、資金は十分に温存されます。資金が減ったので仕方がなく株数を減らす、なんて対応は必要ありません。すると、いわゆる「手が合う」状況に遭遇したとき、十分な資金と十分な心のゆとり、そして戦略によって利益を出すことができます。

見込み違いは必然なので、グズグズ言わずに手を打って損失を小さく抑えるようにします。極端な連敗にたいしては「やり方に難ありか」と考えざるを得ませんが、売買法に応じて適正な資金稼働率を守っていれば、資金があっという間に3割も4割も減ることはないでしょう。退場させられずに生き残っていれば、チャンスが巡ってきます。そのチャンスを逃さないために、計画的なトレードが必須です。勝ちを積極的にイメージしながらも、サイアクの状況を考えて稼働率を抑えるガマンが重要なのです。

経費としての損

「チャンス」と述べましたが、多くの投資家は「利益のチャンスを絶対に逃したくない」と考えすぎるようです。「1回でも逃したらタイヘン」とばかりに、やたらと手数が多くなり、“損するリスク”も増えて混乱するのです。

また、1回ごとの結果に神経質だと、見込み違いに対する対応がゆるくなります。
「負けるなんてあり得ない」と考えるので、「マズいなぁ……」と感じつつも対処が遅れて損失が大きくなります。しかも、たっぷりと時間をかけてしまいます。金額と時間、ダブルの損失です。そこに、精神的ダメージも加わるのでトリプル、いや際限ないマイナスを食らうのです。

フォローアップ(2)で、「自分の理想のパターンに絞れば、いわゆる勝率は上がると期待できます」と述べました。それでも、個々の見込み違いをゼロに近づけることはできません。利益を逃す結果を恐れずに出動を絞る行動の、現実的な効果は、「小さなチャンスも逃したくない」というムチャな気持ちがなくなり、値動きや自分自身の可能性を冷静に考えるようになることかもしれません。

株価は時折、突発的な変動をみせる。
でも、手が合う場合もあるから、自分の理想型をイメージする。

見込み違いの損失は避けられない。
でも、うまく波に乗って大きく取れることもある。

どんなやり方でも、それが「手法」として正しく成立していれば、取ったり取られたりを繰り返しながら最終的にプラスにもっていくことができます。ただ、対応の歯車が狂うと、手痛い失敗もあります。

避けようのない損失を「経費」として受け入れ、来たるべきチャンスを待つという姿勢が重要なのです。

損益の出方いろいろ

個々の損失には、必要以上に神経質になってはいけません。
一定の期間、半年とか1年の累計が大きくマイナスならば、やり方そのものを見直すべきですが、ヤラレることがあって当然、プロだって例外なく苦労しているのが現実なのです。

落ち着いて考え、自分が行う手法について“損益の出方”を知ることが大切です。

派手な値動きを対象としていれば、そこそこ大きな損がある一方、勝ったときの金額が非常に大きくなります。例えば、年間の利益が1,000万円、損失が600万円、差し引き400万円のプラス、といった結果です。

これに対して地味な張り方の場合、同じ400万円の利益を得る内訳は、利益500万円、損失100万円といった配分かもしれません。

もっと別の観点もあります。

機会損失を嫌がらずに出動を絞れば、実際に利益のチャンスを逃すことが多くなりますが、いざ出動したときの集中力が高くなり、質の高い対応が可能になると期待できます。一方、小さなチャンスも含めてどんどん出動し、見込み違いはサッサと切って次に臨むという繰り返しも、やり方のひとつです。

出動を絞る場合は「損失2回、利益8回」で、あえて出動を多くする場合は「損失20回、利益20回」といったイメージでしょうか。しかし、どちらがトータルの利益が多いかは、こういった勝率の数字ではなく内容次第です。

損益の出方は、手法そのものや、手法の運用方法、あるいは銘柄選定などで大きく異なります。どれがいいか、どれが有利かは一概に言えません。好みやトレード思想(トレードとはこうあるべき、という考え方)で選ぶだけです。

メンタルを考えれば、損失の回数や金額が小さいほうがいいというのが原則でしょうが、「継続してプラスになる計算ならば、ひたすら売買し続けるべきだ」と考えるプレーヤーもいますし、システムトレードでは、そう考えるのが原則ともいわれます。

手法について、表面的な優劣で比較しようとせず、「どんな点が異なるか」と分析し、「どれを選ぶか」と自分に問うのが正解です。

中源線は3分割と値幅取りで稼ぐ

中源線は、買いを仕掛けるときもカラ売りを仕掛けるときも、3回の等分割が原則です。転換を判断しても、予定数量の3分の1しか建てないわけです。

分割は、見込み違いだった場合の損失を抑えるために当たり前のテクニックです。
トレードは、単純な当たり外れでは評価できません。

中源線は、トレンドが上向いたと判断してから買い始める、下がり始めたと判断してからカラ売りをスタートする方式です。中途半端な往来、いわゆる“ちゃぶついた”値動きには対応しきれず、経費としての損失を避けられません。

そのかわり、値幅が発生したときは大きく取ることができます。
実際にチャートで、不可避なヤラレをカバーする「値幅取り」に注目してみましょう。
「中源線シグナル配信」では、東証一部の銘柄から、パフォーマンスが良好かつ安定しているものを「ユニバース」として別枠にし、配信ページでチャートも表示しています。その中から4銘柄を紹介します。

チャートに追加した印は、個々の陽転、陰転における大ざっぱな損益状況です。
×……ヤラレた
……利益わずか
……取れた
……十分に取れた

それぞれ、突飛な動きで納得しにくいヤラレが発生することもありますが、「買いだ」「売りだ」と判断をひっくり返しながら3分割で値動きの波を泳ごうと努めているうちに、ぼちぼちの値幅が取れる場面、気持ちよく大きく取れる場面もあります。見込み違いも、見込み通りの動きも、すべて偶然と片づけられるかもしれませんが、ポジション操作によって損益をコントロールする「損小利大」が実現できるのです。

東京個別指導学院

東京個別指導学院

東洋鋼鈑

東洋鋼鈑

セガサミーホールディングス

セガサミーホールディングス

ブイ・テクノロジー

ブイ・テクノロジー

次回のフォローアップ(5)では、多くの投資家がつい見失ってしまう「手法」という観点について、じっくりと考えてみます。地味ですが、とても大切なテーマです。

手法とは何か──お楽しみに!

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