6月12日放送のフォローアップ(3)
林 知之

確信あるエントリーのために

「予測が当たれば儲かる」と、多くの人が先行きを読もうと努めます。
でも実際は、頑張っても当たったり外れたり……。

実践派は、真剣に予測を立てるものの、それに固執することなく、「流れについていこう」とします。

6月12日の放送では、予測不能の株価変動への“対応”、必然となる分割売買の考え方と実際を解説しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第110回 中源線は“分割売買” ~建玉操作で“うねり取り”を実現する

行動の範囲を限定する

トレードは、頭で考えたことを実行する──。
こう考える人が多いのですが、この点について疑問を投げかけたいと思います。

たしかに、肉体的な要素はありません。
値動きの捉え方などデリケートな部分についても、“入り方”を少し変えただけでイメージはガラッと変わります。行動の方向性は、一瞬で変わり得ると思います。

でも、大切なカネがからむシゴトですから、どうしたって緊張した状態となり、行動力や瞬発力が低下します。

例えば、2016年11月、米大統領選を境に動きが荒れた際、予測の当たり外れを別として、事前に考えていた通りにスムーズに行動できたか、ということです。

さらに重要なことがあります。
『マーケットでは明らかに“競争”がある』という事実です。

株価と自分だけ……実践のイメージとしてはシンプルで実用的ですが、実はマーケットを通じて間接的に、世界中のライバル(ほかの投資家)と利益を取り合っているのです。

結論は、いたってシンプル。
「考えれば、うまく行動できる」という理屈は決して間違っていないものの、ほかの参加者にも等しく与えられた条件だということです。

つまり、真剣に考えても、深く考えても、上手に思考を展開しても、それだけで優位性をもつことは難しいのです。

では、どうするか──。
いくつもの方法があるでしょうが、最もカンタンで効果が高いのは、行動を限定的にする、守備範囲を狭いところに設定するという地味なアプローチです。

多くの投資家が、目まぐるしく変化する株価変動にうまく対処しようと躍起になり、散らかった行動を取って自滅します。そこに巻き込まれないことが第一です。

そのうえで、そんな混乱する人たちの売買を逆に利用するには、対岸に立ったままでいることです。

たとえ売買頻度が高くても、狙いどころや銘柄を広げず、自分の得意技を意識するだけで、悪い対処が悪循環になる可能性は低くなります。ダメな流れのときでも損を膨らませないという、現実的な対応がやりやすくなります。

でも、もっと考えてほしいのは、売買頻度そのものを落とす試みです。

個人投資家は、ほかのマーケット参加者に比べると、情報の量、質、スピードなどで不利な面がありますが、唯一最大の武器は「休むことができる」という点です。毎月、あるいは四半期ごとの成績を報告する義務などありません。本業や私生活のリズムを壊すことなく、ムリのない範囲でトレードすればいいのです。

この武器を使って意図的に休みをつくり、出動のタイミングを絞り込むのです。

細かい取り損ないは生じるでしょう。
でも、やりすぎてドタバタするような失敗はありません。
なによりも、値動きを落ち着いて観察できる立ち位置を確保できます。

いずれにしても、なんでもやろう、どんどん進もうという姿勢では、自滅する可能性が高すぎてキケンですよね。うっかり、やりすぎてしまわないように、心地よい範囲を設定することが、トレードの第一歩です。

わかることだけでいい

今回(フォローアップ3)のタイトルは、「確信あるエントリーのために」
緊張しながら連続的な判断を迫られるのがトレードなので、良い流れをつくるために「ゆとりをもとう」、そのために「行動を限定しよう」という提案です。

ゆとりがないと対処が遅れ、ちょっとした悪循環が大きなキズを生みます。
資金がガクンと減ると、戦いにくくなります。
取り返すだけでもひと苦労……心にダメージを受けながらの戦いを強いられます。

好循環の時期はたまにしかなく、悪循環の可能性がゴロゴロあるのが株式市場、いや、すべての金融マーケットの特性です。そんな極端な状況に合わせ、変則的な上げ下げを吸収するための“ゆとり”をもつことが求められます。

「わかることだけでいい」という見出しを立てましたが、わかることって?

予測は「上か下か」で半分だけ当たる……当たったときが「わかること」?
ちがいます・・・

当たり外れは、コントロール不可能な「結果」です。
だから、仕掛け(エントリー)の段階でチカラを入れて考えることではありません。

チカラを入れるべき最大の一点は、

『そのエントリーが、本当に自分の出番か』ということ。

株式市場には、利益のチャンスがゴロゴロと転がっています。
すべてを拾うなんてできないので、実際はほんの一部だけが本当のチャンスなのですが、ついソワソワして手を出したくなります。

ここで、グッとこらえて……いや、心地よくトレードするために、「よし、これこそが自分の出番だ!」と確信できるときだけ出動するようにしたいのです。

結果は神のみぞ知るところ。。。でも、確信をもってポジションをつくれば、ダメだったときでも的確な撤退を判断できます。うまくいったときは「どこまでねばるか」が課題ですが、これについても集中して考えることができ、結果として、確信ある決断、後悔のない判断を下すことができます。

これが、「わかること」です。

未来のことはわかりません。
誰かに聞こうとしても、知っている人はどこにもいません。

だから、「自分が信じる値動きパターン」を考えるだけなのです。

判断、決断、行動

「確信あるエントリー」は、わかっただけでは成立しません。
実際、実行する直前で止まってしまう行動パターンが多いのです。

「わかっていたんだよなぁ……」とか「やっておくべきだった」と後悔しても、すべては後の祭り。1秒前には戻れないのがトレードです。

判断、決断、行動、この3つがスムーズでなければいけません。

判断……「買いだな」
決断……「よし買おう!」
行動……「買います」(サッと行動する)

ふだんの生活で起こる、不測の出来事について考えてみましょう。

「チカンに遭遇したら大きな声を出しましょう」
そうだね、そうすれば誰かが助けてくれるよね。
そう理解して納得し、「チカ~ン!」と声を出すことを想像したとしても、いったい何割の人が実行できるでしょうか。

多くの人が実行できないから、チカンが減らないのです。

駅で起こる不測の出来事は、チカンだけではありません。
オトナだって、階段や通路で転ぶことがあります。
でも、転ぶなんてことは想像していないから、「恥ずかしい」という思いが優先してしまい、サッと起き上がってなにごともなかったように歩き出そうとします。

本当は、周囲の人に迷惑をかけなかったか、自分が足にケガをしなかったか、カバンやポケットから何か落とさなかったか、といった大切な確認事項があると知っているのですが、それらのことを二の次にしてしまいます。

いざその場になって、事前に考えていた理想通りに行動するのは、とても困難なことなのです。

だから、トレードにおいては、
ガッツリと想像し、頭の中で何度もシミュレーションしておくこと。
ひとりでリハーサルを繰り返すこと。

なによりも、極めてシンプルな理屈、サッと行動に移せるカンタンな対応を用意しておくことが肝心です。

番組で継続的に紹介している手法「中源線建玉法」を例に、「判断、決断、行動」の流れを考えてみましょう。

まずは、陰陽(強弱)が変わるかどうか、つまり「転換するかどうか」を確認します。
(法示とは、売買シグナルです)

転換したら、ポジションをドテンします。
つまり、売り買いをひっくり返すのです。
もしポジションがゼロだった場合は、新規にエントリーします。

転換しなくても、3分割でポジションを増やしたり(増し玉)、減らしたり(手仕舞い)といったアクションがあります。

シンプルなルールがあるので、判断と決断が一体化しています。
その部分にストレスがないため、実行するのが容易なのです。

中源線は、うねり取りを実践するためのツールです。

でも、うねり取りには中源線が必須、ということではありません。
裁量のルールでも、ほかの判断基準でもいいのですが、絶対に欠かせないのは、「判断、決断、行動」のスムーズな流れがあるかどうか、実際の場面でプラン通りに動くことができるかどうか、なのです。

こういったプロの対応を、誰でもラクに実行できる、プロの行動スタイルをカンタンに体感できるので、私は中源線を強くオススメしているのです。

売買対象の“値運び”に集中する

ポジションがあってもなくても、日々いろいろなニュースを聞いて考えます。
考えているうちに“考えすぎ”の状態になります。

ついつい情報集めをしてしまうものですが、かなりの部分を切り捨てる、最初から見ない、といった堂々とした姿勢がないと、最もやっかいな「迷い」が生じます。

中源線は、その「迷い」を生まないための、完成された“行動指針”なのです。

説明のために、林投資研究所が行っている「中源線シグナル配信」の画面をご覧ください。

林投資研究所の「中源線シグナル配信」は、上場全銘柄が対象。
そして、パフォーマンスが良好かつ安定している銘柄を研究対象として選定した「ユニバース」(2016年7月現在98銘柄、チャート表示もあり)のほか、東証一部、東証二部……と市場ごとに画面を切り替えることができます。

図は、「東証一部」を表示したあと、「すべての法示」で絞り込んだ状態です。
「法示」は売買シグナルのこと。だから、この画面は、陰陽転換を含めて“何らかの売買アクション”がある銘柄のみを表示させたものです。

銘柄ごとに、陰陽の別、売買アクションといった情報が並んでいます。
1つだけ取り上げて、詳しく説明します。

上の図は、4768大塚商会の「法示」と、約1年間の中源線チャートです。

この日、陰陽の転換が起こっています。
今まで陽線(買い線)だったものが、この日の大引で陰転、つまり買いから売りへと判断を変えたわけです。

当然、ポジションを動かします。
その具体的なアクションが、「4/3売り」という表示。

中源線は3分割なので、転換後に1/3建玉、その後の増し玉で2/3、3/3と増やします。図では「4/3売り」と、満玉の3/3よりも大きな値が示されていますが、これは、「3/3買い」だったものをすべて手仕舞い売り、と同時に「1/3新規売り」(カラ売り)という意味です。
「3/3売り手仕舞い」+「1/3新規売り」で、つごう『4/3売り』が実際の売買アクションです。

そして、その売買アクションのあと、「1/3売り」というポジションが残るということも、追加で表示しているのです。

さて今回も、個別銘柄の具体例を見ます。

下のチャートは6728アルバック。
放送では6月9日大引までのチャートを使いましたが、このフォローアップ原稿を書いている6月27日の前日、6月26日までのチャートで解説しましょう。

2016年の夏過ぎから上昇し、2倍になりました。
大きな上げ相場です。
この上げを、中源線はそこそこ上手に捉えていると感じます。

でも、2016年末までのゆるやかな上昇では、中途半端な上げ下げによってダマシの転換も散見されます。

2017年に入ってからは、そうした気迷い的な動きも減り、上昇を気持ちよく取っています。

そして放送の翌日、6月13日に6千円を割り込む動きによって陰転しました。
それまでの買いポジションをすべて利食い手仕舞い、と同時にドテン、カラ売りを仕掛けます。

陰転した時点では、まず1/3だけカラ売り。
その後、1/3ずつ分割で増し玉した結果、現在は3/3売りと満玉売りの状態です。

この先どうなるかは誰にもわかりませんが……

・確固たる判断基準で、しっかりと決断
・決断した通りに行動する

と、多くの人が実行できないことをアッサリやってのける流れが、中源線にはしっかりと用意されています。
これが、中源線という手法の大きな価値なのです。

これで、6月12日放送のフォローアップは終わりです。
次回の放送は7月10日、「利益を伸ばす」というテーマでお送りする予定です。
お楽しみに!


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

こちらのページへどうぞ!



たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
林投資研究所オリジナル(旧書名「株式売買記録と解説」)

詳しくはこちらのページでご覧ください。


長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
林投資研究所オリジナル

詳しくはこちらのページでご確認ください。


※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

相場人為論

本日発行のメールマガジン「1分間の相場実践知識」の内容を、そのまま掲載します。メール配信をご希望の場合、こちらのページからお申し込みください。

──────────────────────────────
 連載「トレード哲学」……13
──────────────────────────────

ゴルフ場にいるカラスは、バッグのファスナーを開けて、中のチョコレートやアメを盗んでいきます。ある時、やめさせようということになり、タバスコやとうがらし入りのおにぎりを仕掛けたのですが、あっさりと見破られました。カラスのほうが賢かったなんて結論はつらすぎるので、「なんでも、意図した通りに動いてくれるものではないんだ」としておいてください。

 

価格を絶対視するのが「相場神聖論」。
理論通り、不特定多数の参加者によって合理的な価格形成が行われる、市場の価格は、ある意味、神聖なものという思想です。

この対岸にあるのが「相場人為論」です。
この人為論も、捉え方によって細かく分類されるのでしょうが、

『価格は、一部の参加者によって意図的につくられる』

と考えるわけです。

価格の観察において、証券会社の営業政策や、大資本の都合を考えるのです。

例えば、仕手が大衆を意のままに動かそうとの目的で、「チャートの形をつくるべく売買している」とか、そういったことに目を向けます。
「ユダヤ系の資本家がすべてを牛耳っている」といった発想もあります。

神聖論をベースにする投資家は、価格動向と自らの行動に意識を集中させますが、人為的な価格形成がゼロだと考えるわけではありません。

人為論だって、教科書通りの価格形成を真っ向から否定するものではないでしょう。

どちらに主軸を置くかという問題であり、人によって異なった入り混じり方をするのですが、器用に使い分けようとすると、かえって混乱します。

あなたは、「市場の価格」をどのように捉えていますか?

こんなことを考えてみるのも、行動に“厚み”をつくる作業ではないかと思います。


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

こちらのページへどうぞ!



たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
林投資研究所オリジナル(旧書名「株式売買記録と解説」)

詳しくはこちらのページでご覧ください。


長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
林投資研究所オリジナル

詳しくはこちらのページでご確認ください。


※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

相場神聖論

本日発行のメールマガジン「1分間の相場実践知識」の内容を、そのまま掲載します。メール配信をご希望の場合、こちらのページからお申し込みください。

──────────────────────────────
 連載「トレード哲学」……12
──────────────────────────────

最新の家電製品が、今までなかったような機能でスゴい動きをみせると、「中に小さいオジサンが入ってる」なんて言ったりしますが、やっぱり昭和のギャグですよね……若い人たちは「その感覚わかる」って感じで笑いながらも、「もっと科学的に観察しますよ」という顔をします。やれやれ。

トレード哲学──。
この路線で考えていくと、具体的な売り買いの方法に直結する考え方だけでなく、「市場そのもの」についての思想といったことも浮かび上がります。

例えば、「市場の価格をどう捉えるか」といった問題です。
「価格は、どのように決まるか」を考えてみます。

私が提示したのは、価格が決まる物理的仕組みではなく、『価格を神聖なものと考えるかどうか』です。

神聖って……別に、神様の存在がどうのこうのというハナシではありません。
教科書通り、「不特定多数の人が集まって合理的に価格が形成されている」という認識です。

効率的市場仮説と近いようですが、少し観点が異なります。
難しいでしょうか? でも、安心してください。これ以上、深掘りはしません。

要するに、仕手とか、一部の関係者が市場に及ぼす力を肯定するか、否定するか、ということです。

神聖論者は、価格を絶対視します。
仕手など特別な参加者の存在を否定するわけではありませんが、好ましくないと考えたり、仕手は市場の華ともいえるが長続きはしない、と考えるわけです。

「最後は、大衆を含めた参加者全員がつくる人気で決まる」といった捉え方をして、価格動向と自分の出処進退に気持ちを集中させます。

林投資研究所が提唱する「相場技術論」は、この神聖論がベースです。

次回は、神聖論の逆にある「相場人為論」を紹介します。


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

こちらのページへどうぞ!



たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
林投資研究所オリジナル(旧書名「株式売買記録と解説」)

詳しくはこちらのページでご覧ください。


長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
林投資研究所オリジナル

詳しくはこちらのページでご確認ください。


※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

6月12日放送のフォローアップ(2)
林 知之

分割売買の効果

「予測が当たれば儲かる」と、多くの人が先行きを読もうと努めます。
でも実際は、頑張っても当たったり外れたり……。

実践派は、真剣に予測を立てるものの、それに固執することなく、「流れについていこう」とします。

6月12日の放送では、予測不能の株価変動への“対応”、必然となる分割売買の考え方と実際を解説しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第110回 中源線は“分割売買” ~建玉操作で“うねり取り”を実現する

自らの手で“結果”をコントロール

「売買には分割が必須」
「分割売買が技法の要件」
私はこのように述べ、分割売買を提唱しています。

しかし、反論もあるでしょう。

「分割に注ぐエネルギーで、より精緻な分析に努めるべきだ」
「真剣に分析するのだから、売買のタイミングも絞り込めばいい」

なるほど、一理あります。
「分割そのものが、林が指摘する“カッコいいワザ”“不要な行為”ではないか」ってことですよね。

しかし、私の主張の前提は、「ものごとが計算通りに進まない現実」です。

例えば、スポーツの世界に、「イップス」という、やっかいなシロモノがあります。
メンタル面のよろしくない作用によって、体を動かせなくなる、体がスムーズに動かないという“病気”です。

練習ではスムーズにできる、しかし本番でダメになる・・・

例えばゴルフは、ボールが止まっていて好きなタイミングで打てばいいので、症状が顕著になりますが、イップスはあらゆるスポーツに存在するようです。
私はほとんど見ないので知りませんが、テニスのシャラポワ選手がイップスで苦しんでいるとか……。

トレードには肉体的要素がないのですが、メンタルの働きは同じです。
「こうするんだ」というやり方を知っているうえに、理論も経験も十分なのに、肝心なところで脳がブレーキをかけてしまう……正確には、感情を伴う複雑な記憶が作用して「脳と心」がヘンな命令を下す、ということでしょう。

こんな現実を考えると、表面的な理論の限界は意外と低いと考えざるを得ません。

また、分析と研究にエネルギーを注いでも、長い時間を割いても、先行きを当てる能力は大きく上がりません。マーケット参加者全員が、ほぼ同じ条件で「当てよう」と競争しているからです。つまり、努力しても、予測の的中率はわずかな上昇しか望めないという現実があるのです。これも、「予測」よりも「対応」に力を入れるべきだと考える根拠のひとつです。

結局は、それなりの確率で曲がる(予測が外れる)ことを前提にするということです。

少なくとも勝率100%でない限り、負けたときの金額を抑える努力は欠かせません。
99連勝しても、それまでの勝ち分をつぎ込んだ100回目の勝負で大負けしたら・・・

資金が大幅に減って物理的に厳しい状況に追い込まれる、あるいは、大きな負けで精神的にダメージを受け、イップスどころか再起不能になるといった“激ヤバ”な状況だけは、なにがなんでも避けなければなりません。

しかし、そんな厳しいことが起きてしまうのが、株式市場の現実です。

もう少し軽いダメージのほうが、想像しやすいでしょうか?

▼ちょっと株数が多いために、「あれ、ダメかも……」と感じながらポジションを維持して、結局は損切り……株数を抑えていれば、などと後悔する。

▼株数は多くないけど、損切りが遅れて放置した結果、まあまあの値幅のヤラレ……ダメ玉の維持に長い期間とエネルギーを費やし、ほかのチャンスを逃してしまう。

小さな悪循環でも、蓄積すると、かなり大きなマイナスとなります。

躊躇(ちゅうちょ)せずに行動する、ポジションを維持するべきときはジッとする。
こういったメリハリをつけ、株価そのものはコントロールできない、予測の的中率もままならない現実の中で『結果をコントロールする』するのが、実践家の狙いです。

それを可能にする、いや、どうにか実現するための工夫が「分割売買」なのです。

当てようと躍起になっても、なかなか当たらない。
だから、真剣な予測で「売りか買いか」を決めて行動しながらも、その後の値動きに応じて予測を変化させる、その変化をポジションに反映させる“対応”が重要です。そのためには、「分割売買」が不可欠なのです。

一点狙いの危険性

すでに前項で述べましたが、狙いすまして「よしここだ!」という“一点狙い”は、なにかとギクシャクした状態を生みます。柔軟に対応する姿勢が、どうしても薄らいでしまうのです。

2016年11月、米大統領選の時の値動きを思い出してください。

「トランプ氏が当選することはないだろう。彼が大統領になったら、株は暴落する」
こんな観測が広がり、実際にトランプ氏が優勢との情報に反応するかのように11月9日、日本の株は大きく売られました。しかし、日本時間の夜、ヨーロッパ時間、アメリカ時間と進むうちに日経平均先物は逆に大暴騰。翌日からは、日本株の上げが加速しました。

決め打ち、一点狙い、気合いを入れた予測、自信たっぷりの読み……これらには「当たったら気持ちいい」という期待があるだけで、実際に当たってもカンタンに大きな利益につながるわけでもないし、当たらなかったときは対処が遅れます。

最初から、当たったり外れたり、まあ予測なんてそんなものだ……とユルいくらいの構えでいるほうが、素直な対応を実行できるというもの。

だから、『分割売買』なのです!

好循環を期待するな!

ものごとには必ず、好循環の時期と悪循環の時期があります。

なんだか知らないけどうまくいくときもあれば、それほどヘタを打っていないのに結果が出ないなんてときもあるわけで、運というか巡り合わせというか、どうしてもコントロールできない、読むことのできないブレがあるのです。

相場の予測がかなりの確率で当たるのなら、不測のブレが影響する度合いも小さいのですが、当たったり外れたりなので、ブレまくります。

だから、ビギナーズラックで大儲けとか、迷いながらモタついたら評価益が大幅に膨らんで大成功、なんてことも起こるのです。

好循環と悪循環、どちらもあるんだと考え、好循環のときはガンガン攻める、悪循環のときはお茶をにごすようにガマンする……一定の経験があれば、こういった発想をもつでしょう。

でも、「好循環のときは……」との発想に、警鐘を鳴らしたいと思います。

たしかに、「取れるときは取る」というイメージが大切です。
悪い玉は早めに切り、良い玉はさっさと利食いせずにねばるのが正しい考え方です。
でも、いわゆる「好循環」のイメージは、たいした流れでもないのに期待を膨らませてしまう状態、おかしな妄想だけで行動してしまう過ちを招きます。

さて、今回のテーマである「分割売買」は、こういった好ましくない過度な期待を、そもそも発生させないための工夫、“安定”と“安全”を第一に考えるプロのワザなのです。

ドラマチックな売買なんて、ふつうはありません。
あったとすれば、「あぶなかった」という反省すべきケースです。

めいっぱい買ってギリギリまでねばり、大暴落直前で売り抜けた……カッコいいトレードではなく、あと少しで息の根を止められるところだったと猛省すべきです。

プロのワザというものは、ものすごく地味で、説明しても「おぉっ!」と感じてもらえない、だけど、それなりの経験と大きな覚悟がなければ実行できない行動です。
値動きを見ながら、それなりに手を出し、しかし絶対に大負けしないギリギリを進む、意外な“スゴワザ”なのです。

中源線の3分割

さて、「プロの対応を実現する」と説明している中源線建玉法。
その3分割の売買を、詳しく説明しましょう。
あらためて、中源線による3分割売買の流れをご覧ください。

中源線は、終値を結んだシンプルな折れ線チャートのパターン分析で、トレンドを判断します。「上がる」と予測して買うか、「下がる」と想定して売るか、つまり、強弱の判断を最初に行います。

そして、上がると予測しているときは、終値と終値を赤い線で結びます。
これが「買い線」です。

しかし、下げを想定した場合には、黒い線で終値を結びます(売り線)。

この判断基準が、明確にルール化されているのです。

図は、買い線からスタートしています。

途中、弱い動きになったところで中源線が陰転、買いポジションを閉じて1単位(計画の3分の1)を売り建てします。

しかし、再び強張ったところで陽転、1単位のカラ売り玉を手仕舞いして、こんどはドテン買いに回ります。でも、まずは1単位だけです。

押し目で、1単位ずつ増し玉して、計画の総量である「3分の3」までポジションを増やします。その状態で、狙い通りに上がり始めた、という流れを示しました。

陰陽の転換、増し玉を始めるかどうか、どのタイミングで増し玉するかなど、すべてのアクションがルール化されています。そのため、状況によっては人間の感覚に反した判断が下されますが、重要なのは「確固たる判断と行動指針がある」という部分です。「どうしようかなぁ……」と迷ったり、「このままでいいかな」と甘い考えで先送りするといった不安定な対応は絶対にあり得ないのです。

必ず明確な答えを出し、その答え通りに行動することになるので、損失がどんどん膨らんでしまったり、行動できないままフリーズした状態に陥ることはありません。

また、人間の感覚だけでは行動に踏み切れないケースで「買え」「売れ」と、中源線が強みを発揮してくれるケースも少なくないのです。

予測が当たり外れする実際

実際の中源線チャートを見ながら、分割売買の様子を確認しましょう。

8614東洋証券は、取ったり取られたりで、現実の相場を見るうえでニュートラルな素材ではないでしょうか。ちなみに、金融株は全般に、突飛な動きをすることも多く、例えば銀行株は中源線との相性が悪いのですが、証券株はまずまず手が合うようです。

2016年11月からの上げは、見事に取りました()。
しかし、その後は取れていません()。

直近では、6月に入ってポンッと上がったところで陽転しましたが、これもダマシですぐに陰転しています()。この陰転は、中源線のルールにある「再転換」です。カンタンに言うと「転換したのに、すぐに逆方向に転換」というケースで、「3分の1ずつの3分割」を基本としながら、再転換は「最初から2単位(3分の2)建てる」と決まっています。

この場合は、買いから売りへの方向転換です。
上がると思って買った(1単位)、しかし再び弱くなったので再転換で陰転……やっぱり下げトレンドが続いていたのか……で、買った1単位を投げるとともに2単位売りにいく、ということです。

裁量で実行するのは難しいかもしれませんが、「こんなときは思い切って行動したいよね。でも、完全な決め打ちはよくないなあ」といった実践家の感覚を、シンプルでわかりやすいルールに落とし込んであるのが中源線です。

次は、7717ブイ・テクノロジーです。
この銘柄については、2017年4月後半に陽転してから1カ月ちょっとで大きく上伸した期間に絞って、ポジション操作を追ってみます。

この間、図中にも示したように、細やかなポジション操作が行われています。
中源線のルールで定められた、ポジションを増減する“対応”です。

    • 4/19 陽転 → 1単位買い → 残1/3買い
    • 4/24 1単位買い増し → 残2/3買い
    • 5/12 1単位買い増し → 残3/3買い
    • 5/16 1単位手仕舞い → 残2/3買い
    • 5/23 1単位買い増し → 残3/3買い
    • 5/24 1単位手仕舞い → 残2/3買い
    • 5/25 1単位買い増し → 残3/3買い
    • 6/08 陰転 → 買い玉手仕舞い。ドテン1単位売り建て

中源線は、転換後に3分の1ずつポジションを増やします。
しかし、利益が伸びたとき(買い線で上伸、または売り線で下落)に、順行線をみて一部を手仕舞いするルールがあります。そのあと、一定の逆行線をみて再び増し玉します。

この、トレンド途中の手仕舞いと再度の増し玉については、「あまり意味がない」との意見もあって議論があるのですが、以下に示すような効果があります。

人間の行動は、偏りがちです。
買って上がったら成功ですが、完全に手仕舞いするまでは終わりません。
よくあるのが、ねばって評価益が膨らんだまでは良好、しかし放置したために利益がしぼんでしまった、というもの。

そこで、「やはり、上げ相場では勢いのあるうちに売り逃げなくちゃ」と考え、その通りに実行してみたら、結果的に上げの初期で降りることになった、「まだまだ取れたのに……」と嘆くのも、相場あるあるです。

天井で売るなんて不可能ですが、「取れるときは取る」と考えて値幅取りに努めることも大切です。大きく動いたときは、だいたい変動値幅の半分取れれば名人級と考えるべきですが、あまりにも早く利食いしてしまった、さらなる勢いがあると十分に判断できた、と反省するケースも少なくありません。

対する中源線は、逆方向の動きを感じるまでポジションを放置します。
その放置の中で、一部手仕舞い、再びポジション増加というアクションを起こすところがミソです。

値動きに応じて行動を取りながらも、芯となる見通しは変えない──まさにプロの姿勢が表現されているのです。

次回のフォローアップ(3)では、中源線の仕掛けに絞って考え、トレードにおける「エントリー」のあり方を深く考えてみようと思います。
お楽しみに!


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

こちらのページへどうぞ!



たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
林投資研究所オリジナル(旧書名「株式売買記録と解説」)

詳しくはこちらのページでご覧ください。


長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
林投資研究所オリジナル

詳しくはこちらのページでご確認ください。


※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

脱・相場難民!

本日発行のメールマガジン「1分間の相場実践知識」の内容を、そのまま掲載します。メール配信をご希望の場合、こちらのページからお申し込みください。

──────────────────────────────
連載「相場のこころ トレードの本質」その27
──────────────────────────────

難民とは、政治その他の理由で自国を追われた人たちのことです。
その延長で、「ものごとに、ひどく迷っている状態」を指して難民と呼びます。

新刊『ブレない投資手法 曲げない投資哲学』
では、「相場難民」という造語を紹介し、

『迷って思考停止の気配がある投資家』と定義しました。

「相場難民にならないために」という項から、結論の部分を引用します。

「セミナーを渡り歩き、本を読みあさり、頭でっかちになってはいけません。
ひとつの手法を選んだら、それを極めるまで続けること。そのあとで、ほかの手法について学べば、自分の手法のことがさらによく見えてくるはずです」
(引用終わり)

極端な例を紹介します。

おカネにまつわるセミナーがあり、題材となったのは、ベストセラーとなった不動産投資の成功者の本。でも、主催者は、著者の関係者でもなければ、出版の関係者でもありません。その本を“題材”として取り上げただけです。

しかも、セミナーの最後に講師が言ったのは、それまでの話とは関係なく、「これからは、ネットワークビジネスです!」という、どんでん返しのひと言。

なんと乱暴で、大胆な進行!

それでも、「なにかしから、おカネに関する“いい話”はないか」という程度の気持ちで参加した人たちは、ほとんどがその場に残り、怪しげなネットワークビジネスの説明に食いついていたそうです。

そんなバカな話があるか?
よほどのマヌケじゃないと、引っかからないよ……。

こう思うかもしれませんが、私たち投資家のことを素直に考えてみましょう。
のべつチャンスを求め、血まなこになって値動きを見ていると、マヌケな発想で行動してしまう可能性は、いつでも、誰にでもあります。

この怪しいセミナーの話を記憶していて、こうして紹介した、ということは、私にとって完全に無視できない出来事だという証明です。

洪水のように情報があふれる現代において、行動を狭い範囲に限定するのは意外としんどいものです。それなりの“覚悟”が必要です。

ぜひ、自分なりの“覚悟”をもって、投資活動に臨んでください。

勉強、売買、相場談義……自分の中に「芯」があれば、安っぽい詐欺行為に引っかかることはなく、ビミョーな情報も的確に評価できます。

ちなみに、近ごろは、ビットコインなどの“仮想通貨”を利用した詐欺が横行しているとか……。お気をつけください。


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

こちらのページへどうぞ!



たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
林投資研究所オリジナル(旧書名「株式売買記録と解説」)

詳しくはこちらのページでご覧ください。


長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
林投資研究所オリジナル

詳しくはこちらのページでご確認ください。


※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

6月12日放送のフォローアップ(1)
林 知之

“真の技術”は古典にあり!

「予測が当たれば儲かる」と、多くの人が先行きを読もうと努めます。
でも実際は、頑張っても当たったり外れたり……。

実践派は、真剣に予測を立てるものの、それに固執することなく、「流れについていこう」とします。

6月12日の放送では、予測不能の株価変動への“対応”、必然となる分割売買の考え方と実際を解説しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第110回 中源線は“分割売買” ~建玉操作で“うねり取り”を実現する

職人の技“うねり取り”ってなに?

うねり取りとは、銘柄を限定し、数カ月単位の上げ下げを狙うトレード手法です。

短期の売買ではありませんし、ウォーレン・バフェット氏が行う“バイ・アンド・ホールド”の長期投資でもありません。また、有望な銘柄を見つけて入れかえていく“選別投資”とも異なります。

トレードを職業のように位置づけ、狭い範囲だけを見てトレンドを読み、自らの基準でポジション操作を行いながら、株価変動の波を“泳ぐ”技術です。

個人的な感覚が中心の売買スタイルで、実行のハードルが少し高い、説明もやや難しいのですが、それを支えるのが株式市場との“距離”、つまり株価変動を俯瞰(ふかん)する姿勢です。

多くの人が、日々の上げ下げについて理由を知りたいと感じます。
で、どうするか・・・

売買を実践しない経済記者による、取って付けたような市況解説を読みます。
読んだ結果、思考がどのように変化するか・・・

「〇〇だから上がった」「〇〇で下げた」と、常に結論を出さないと気がすまない、誰もがうなずく理由を見つけないと落ち着かない状態になります。

これに対して、真の実践家は、もっとザックリとした捉え方をします。
端的にいえば、「今はトレンドが上か下か」を自ら判断します。

情報の多いローソク足を使わず、あるいは使っても、極めてシンプルな見方をします。

そして、トレンドが上向きならば、たとえ水準が高くても「買いだ」と考えます。
値動きに“ついていく”という、単純な行動を考えるのです。

この単純な行動の“核”となるのが、「先行きを当てようとしない」姿勢です。

いや、当てたいし、当てようという気持ちで真剣に考えないといけないのですが、最初の予測に固執せず、素直に方向を変えていく柔軟な姿勢をもつということです。

相場の“読み”の重要性

値動きについていく柔軟な姿勢──うねり取りは、生き物のように変化する株価に、少し遅れながらも“合わせていく”姿勢を大切にします。

そこで重要となるのが今回のテーマ、「分割売買」です。

「よし、この銘柄だ!」とか「ここが絶好の買い場である」と決め打ちして一点狙いをすると、その予測に固執してしまいます。自分自身を、引くに引けない状態に追い込み、柔軟性を失います。そもそも、「見通しと値動きがズレている」ことに気づきにくくなってしまうのです。

上の図は、うねり取りを構成する要素を、簡潔に示したものです。

赤の2つ、「分割売買」と「試し玉」が重要だというのが、私の意見です。
多くの人が最も力を入れる「読み」(予測)も、「ツナギ」「乗せ」といった、ちょっとカッコいいワザも重要度は低い、と考えているのです。

現在の株価水準を考える場合でも、将来の変動を予測する場合でも、判断や評価の基準はさまざまです。十人十色、百人百様……したがって、最後は「自分がどう思うか」を基準に、エイヤッと行動するしかないのが現実です。

その、自分自身の感覚というか感性を活用する、感じていることと実際のポジションを一致させるのが、“ついていく”姿勢、“柔軟性のある”態度です。

「上がる!」と確信するから買うのですが、一点狙いでバンッっと買うのではなく、まずは最小単位で買ってみて、その後の値運びを受け止めます。そして、「よし、いけるな」と思ったらポジションを積み増していきます。

こうした分割売買を行うことで、攻めも撤退も自由自在、臨機応変に行動できる状況を維持するのが、うねり取りの大切な部分です。

ちなみに、この「柔軟性」は、多くの個人投資家が放棄してしまっていることです。

後悔しない決断と対応

トレードの結果はズバリ、カネの増減……とても生々しいものです。

そのため、つい「当てよう」と意気込んでしまうのですが、当たったり外れたりの現実を受け入れようというのが実践論です。

一般的な現実を考えてみましょう。

テニスプレーヤーは、相手がどこにボールを打ってくるか、何らかの基準で予測しながらも、“どこに打たれても対応できる”ように努めます。

天気の急変、期待外れの状態にも、オトナとして一定の対応をします。

日本の電車は世界で最も正確に運行されていますが、それでもダイヤ通りに動くとは限りません。乗ろうとしたら遅延……とても残念で、ちょっとイラッとしますが、駅員に文句を言っても状況は改善しません。待つ、会う相手に連絡する、ほかの交通機関を利用するなど、オトナの対応を考えます。

トレードは大切なカネのことなので、しっかりと考える結果、考えすぎてしまいます。実は、大切なカネのことだからこそ、日常生活と同じような姿勢で、「対応」を大切にするべきなのです。つい力んで、よけいなことをしている部分が誰にでもあります。

これさえできれば投資家の上位1割

番組で、「トレードの二大要素」という話をしました。
一般的にいわれていることではありませんが、私は最近、この2つを強調して説明しています。

株を「買う」とき、つい、いろいろな理由で銘柄を選んでしまいます。

  • 値動きが面白い
  • 配当利回りが高い
  • ビジネスに将来性がある
  • 好きな専門家がすすめている
  • トレード友だちが買った

範囲ややり方を限定するといっても、「バカのひとつ覚え」と呼べるほど極端では、前述した柔軟性に欠けます。多少の“遊び”は必要です。

とはいえ、だらしがないほど広げて、なんでも買ってしまう、運用というよりも株のコレクションをしてしまう人が多いはずです。

売買は、「売り」と「買い」です。
買い戦略においては、買いが“攻め”、売りが“撤退”です。
2つの行動のバランスがよくないと、ギクシャクしたものになります。

自分がコントロールできる範囲で手を出すのが、「運用のため」に「株を利用」する際の鉄則です。適正な範囲で、「よし、いける!」と確信あるとき、あるいは、確信ある銘柄だけにすれば、手仕舞い(撤退)の迷いもゼロに近づきます。

「確信あるエントリー」と「手仕舞い」、この2つを実行できているか──たまには、こんな観点で自分のトレードをチェックしてみるのも有効ではないでしょうか。試してみてください。

これら2つは、多くの人が実行できていません。
だから、この2つを守ればトレードのクオリティは格段に上がるはずです。
「ウハウハに儲かります」なんてウソは言いませんが、良識あるオトナが常におかしな行動を取ってしまう株式市場では、この2つを守るだけで上位1割に入ると感じます。

シンプルな対応を数式化した中源線

株価の変動をシンプルに捉え、柔軟性を維持しながら確固たる判断を行う。
その判断通りに、きちんとポジションを動かしていく。
これが、うねり取りです。
でも、自由な分だけ、実行のハードルも高いといえます。

そこで、練習ツールとして「中源線建玉法」が有効なのです。

終値を結んだシンプルな折れ線チャートを使い、ジグザグの動きをパターン分析して強弱(売りか買いか)を判断するルールは、経験の多寡(たか)にかかわらず「なるほど!」と納得できる内容です。

しかし、現実の問題として、ピシピシ当たるわけではありません。
値動きの読みに固執せず、ゆらゆらと方向を変える株価に「対応」することが必要です。その対応を実現する「分割売買」まで、中源線ではルール化されています。

わずか3回の分割ですが、十分に「技法」の要素を盛り込むことができ、なおかつ理解しやすく、感覚と一致した状態で利用できるルールなのです。

長く使うツールとしてもバランスよく出来上がっているのですが、うねり取りを練習する道具、「決めた通りに行動する」という最も大切なことを体験・体感するための具体的な理論として、とても価値があるものなのです。

上の図は、中源線の判断によって、買い→売り→買いとポジションを変化させていく過程を示しています。

詳しくは、来週のフォローアップ(2)で説明しますが、「その場では行動できないけど、あとから考えるとこうするべきだったね」という実践者の感性を、そのままシンプルなルールに落とし込んであるので、この部分が納得しやすいのです。
継続して利用する投資家が多い理由だと思います。

さて、実際の中源線チャートを見てみましょう。

4331テイクアンドギヴ・ニーズは、2016年9月に中源線が陽転したあと2倍以上に上がり、2月に陰転したあと3月に戻り天井、そのあと下げ傾向です。

「ほら、当たってるでしょ!」ということではありません。
中源線と“手が合わず”にダマシが出る場面だってあります。

ダマシと呼ぶ動きではありませんが、3月の戻り天井は、中源線を考える、いや、ルール通りに判定する方式を深く考えるうえで、わかりやすいケースです。

2月の後半にガクンと下げところで陰転した、つまり「ここから下げだ」と中源線が判断したので、それまで持っていた買いポジションを利食い手仕舞いすると同時に、こんどはカラ売りを仕掛けます。俗にいうドテンです。

しかし、ドテンして売りに回ったあと新高値を更新したのですから、実践している身としては、おだやかなではありません。
「このまえ売ったところが買い場だったのか……」と悩むでしょう。

結果として、中源線は陽転せずに売り線のまま推移し、そのあと下がったので「当たり」ですが、実際に売りポジションを抱えていたら、高値で戸惑います。

こんなとき、中源線のシンプルなルールが助けとなります。

強弱判断のルールがハッキリしているし、3分割で値動きの中を“泳ぐ”感覚があるからです。資金稼働率を抑えるルールもあるので、一時的な損を「トレードの経費」として受け入れる余裕も生まれます。

ちなみに、この戻り天井に向かう上げで、中源線が「陽転」と判断するケースもあります。ちょっとしたアヤで、答えがちがってくるからです。
でも、その場合は、あらためて下げに向かうところで再び陰転します。

また、今回のように陰線のまま上昇した場合、どこかで中源線が陽転し、ドテン買いという判断が下されます。

こうして、値動きについていく柔軟な対応、予測に固執せずにポジション操作を行うプロの思考が盛り込まれているのが、中源線建玉法です。

次回のフォローアップ(2)では、今回のテーマである「分割売買」について、また別の角度から考えてみます。同時に、中源線の3分割をもっと詳しく解説し、具体的な事例とともに示します。
お楽しみに!


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

こちらのページへどうぞ!



たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
林投資研究所オリジナル(旧書名「株式売買記録と解説」)

詳しくはこちらのページでご覧ください。


長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
林投資研究所オリジナル

詳しくはこちらのページでご確認ください。


※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

そろそろ、おカネのはなしをしようか…

本日発行のメールマガジン「1分間の相場実践知識」の内容を、そのまま掲載します。メール配信をご希望の場合、こちらのページからお申し込みください。

──────────────────────────────
 連載「相場のこころ トレードの本質」その26
──────────────────────────────

「あんた、年収いくら?」
相場の世界にいる人間は、こんな質問をすることに抵抗がなかったりします。

プライベートについてズケズケと質問するのは控えるとの常識はあるものの、相手との関係が近いとあり得る、世間からはズレた部分があるということです。

答えが「2百万円です」でも「2千万円です」でも反応は同じ……「あっ、そう」。
収入が少ないから不幸とは限らず、高収入でも苦労している人がいます。来年どうなるか、いや、来週どうなるかもわかりませんし……。

例えば、「年間いくらが高収入か」といった尺度は、人それぞれ。
そもそも、「おカネとはなにか?」という捉え方そのものがバラバラです。

トレードの勝ち負けとは無関係のようで、「自分にとっておカネとはなにか」が少しでもあいまいだと、外部の“強い情報”に流されます。

「低金利だから運用を考えなくては」
「株取引をしないと負け組?」
「トランプ氏が大統領になったら株は暴落必至」

何十年も相場の世界にいて、相場が大好きな人たちと接しながら思うのは、多くの投資家が以下の2つ、どちらかに傾いているということです。

Aタイプ──もっと積極的になればいいのに、慎重すぎる
Bタイプ──ムリに挑んで、不要な損を重ねている

Aタイプは“もったいない”だけで、ケガはありません。
でもBタイプは……わざわざ自分からケガをしにいっています。

このBタイプが、意外と多いと感じるのです。
その原因はズバリ、「自分にとっておカネとはなにか」が少しだけあいまい、あらためて考える機会がなかった、ということではないかと……。

そんな思いから企画したのが、新刊『ブレない投資手法 曲げない投資哲学』。
「起」「承」「転」「結」と4つの章に分けてあり、

最初の章「起」は『そろそろ、おカネのはなしをしようか…』
「起」の第1項は『おカネについて真剣に考えてみる』

という構造です。

根幹の考え方から具体的な取り組み方までを網羅した一冊。
『ブレない投資手法 曲げない投資哲学』

ぜひ、手にとってみてください。
林知之の熱い思い、林投資研究所が発する渾身のメッセージです!


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

こちらのページへどうぞ!



たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
林投資研究所オリジナル(旧書名「株式売買記録と解説」)

詳しくはこちらのページでご覧ください。


長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
林投資研究所オリジナル

詳しくはこちらのページでご確認ください。


※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

テクニカル分析の三原則

本日発行のメールマガジン「1分間の相場実践知識」の内容を、そのまま掲載します。メール配信をご希望の場合、こちらのページからお申し込みください。

──────────────────────────────
 連載「トレード哲学」……11
──────────────────────────────

「3」という数字は、とても便利に使われます。
仏の顔も三度、二度あることは三度ある、三日坊主、石の上にも三年……犬だって、「三べん回ってワン!」ですからね。

相場用語にも「3」を使ったものがありますが・・・

「三段上げ」「三段下げ」って、数字ではなく雰囲気、「3」という数字の語呂を利用した感がたっぷりとあります。

チャートを見るときの原則として挙げられる、「テクニカル分析の三原則」はどうでしょうか?

  1. 価格はすべてを織り込む(すべての材料は瞬間的に織り込まれる)
  2. 価格はトレンドを形成する
  3. 歴史は繰り返す

「1」は、市場は効率的だという前提に基づいています。
でも、市場が効率的ならばトレンドは起こらないのではないか……こんな疑問も生じます。

実践的に考え、

 チャートを見るときは、値動きを“厳然たる事実”として受け入れる
 しかし、効率的でないためにトレンドが持続する

というのが答えでしょうか。

結局、誰にも明日の価格すらわからないのですから、好き勝手というと語弊があるものの、“独自の考え方”によって「株価は〇〇な動きをする」と想定し、それに基づいてポジションを動かす、ということなのです。

ちなみに、「市場は極めて効率的だ」「技術を用いても平均を上回る利益など得られない」「相場なんてやるもんじゃない」という結論もあるわけで、私たちのように売買を実践する立場からすれば“まちがい”といえますが、それはそれで、そう主張する人にとっての「正解」「真実」なのです。

今後も、思いつく限り、いろいろな哲学を紹介していきます。


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

こちらのページへどうぞ!



たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
林投資研究所オリジナル(旧書名「株式売買記録と解説」)

詳しくはこちらのページでご覧ください。


長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
林投資研究所オリジナル

詳しくはこちらのページでご確認ください。


※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。