確信あるエントリーのために
「予測が当たれば儲かる」と、多くの人が先行きを読もうと努めます。
でも実際は、頑張っても当たったり外れたり……。
実践派は、真剣に予測を立てるものの、それに固執することなく、「流れについていこう」とします。
6月12日の放送では、予測不能の株価変動への“対応”、必然となる分割売買の考え方と実際を解説しました。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第110回 中源線は“分割売買” ~建玉操作で“うねり取り”を実現する)

行動の範囲を限定する
トレードは、頭で考えたことを実行する──。
こう考える人が多いのですが、この点について疑問を投げかけたいと思います。
たしかに、肉体的な要素はありません。
値動きの捉え方などデリケートな部分についても、“入り方”を少し変えただけでイメージはガラッと変わります。行動の方向性は、一瞬で変わり得ると思います。
でも、大切なカネがからむシゴトですから、どうしたって緊張した状態となり、行動力や瞬発力が低下します。
例えば、2016年11月、米大統領選を境に動きが荒れた際、予測の当たり外れを別として、事前に考えていた通りにスムーズに行動できたか、ということです。
さらに重要なことがあります。
『マーケットでは明らかに“競争”がある』という事実です。
株価と自分だけ……実践のイメージとしてはシンプルで実用的ですが、実はマーケットを通じて間接的に、世界中のライバル(ほかの投資家)と利益を取り合っているのです。
結論は、いたってシンプル。
「考えれば、うまく行動できる」という理屈は決して間違っていないものの、ほかの参加者にも等しく与えられた条件だということです。
つまり、真剣に考えても、深く考えても、上手に思考を展開しても、それだけで優位性をもつことは難しいのです。
では、どうするか──。
いくつもの方法があるでしょうが、最もカンタンで効果が高いのは、行動を限定的にする、守備範囲を狭いところに設定するという地味なアプローチです。
多くの投資家が、目まぐるしく変化する株価変動にうまく対処しようと躍起になり、散らかった行動を取って自滅します。そこに巻き込まれないことが第一です。
そのうえで、そんな混乱する人たちの売買を逆に利用するには、対岸に立ったままでいることです。
たとえ売買頻度が高くても、狙いどころや銘柄を広げず、自分の得意技を意識するだけで、悪い対処が悪循環になる可能性は低くなります。ダメな流れのときでも損を膨らませないという、現実的な対応がやりやすくなります。
でも、もっと考えてほしいのは、売買頻度そのものを落とす試みです。
個人投資家は、ほかのマーケット参加者に比べると、情報の量、質、スピードなどで不利な面がありますが、唯一最大の武器は「休むことができる」という点です。毎月、あるいは四半期ごとの成績を報告する義務などありません。本業や私生活のリズムを壊すことなく、ムリのない範囲でトレードすればいいのです。
この武器を使って意図的に休みをつくり、出動のタイミングを絞り込むのです。
細かい取り損ないは生じるでしょう。
でも、やりすぎてドタバタするような失敗はありません。
なによりも、値動きを落ち着いて観察できる立ち位置を確保できます。
いずれにしても、なんでもやろう、どんどん進もうという姿勢では、自滅する可能性が高すぎてキケンですよね。うっかり、やりすぎてしまわないように、心地よい範囲を設定することが、トレードの第一歩です。

わかることだけでいい
今回(フォローアップ3)のタイトルは、「確信あるエントリーのために」。
緊張しながら連続的な判断を迫られるのがトレードなので、良い流れをつくるために「ゆとりをもとう」、そのために「行動を限定しよう」という提案です。
ゆとりがないと対処が遅れ、ちょっとした悪循環が大きなキズを生みます。
資金がガクンと減ると、戦いにくくなります。
取り返すだけでもひと苦労……心にダメージを受けながらの戦いを強いられます。
好循環の時期はたまにしかなく、悪循環の可能性がゴロゴロあるのが株式市場、いや、すべての金融マーケットの特性です。そんな極端な状況に合わせ、変則的な上げ下げを吸収するための“ゆとり”をもつことが求められます。
「わかることだけでいい」という見出しを立てましたが、わかることって?
予測は「上か下か」で半分だけ当たる……当たったときが「わかること」?
ちがいます・・・
当たり外れは、コントロール不可能な「結果」です。
だから、仕掛け(エントリー)の段階でチカラを入れて考えることではありません。
チカラを入れるべき最大の一点は、
『そのエントリーが、本当に自分の出番か』ということ。
株式市場には、利益のチャンスがゴロゴロと転がっています。
すべてを拾うなんてできないので、実際はほんの一部だけが本当のチャンスなのですが、ついソワソワして手を出したくなります。
ここで、グッとこらえて……いや、心地よくトレードするために、「よし、これこそが自分の出番だ!」と確信できるときだけ出動するようにしたいのです。
結果は神のみぞ知るところ。。。でも、確信をもってポジションをつくれば、ダメだったときでも的確な撤退を判断できます。うまくいったときは「どこまでねばるか」が課題ですが、これについても集中して考えることができ、結果として、確信ある決断、後悔のない判断を下すことができます。
これが、「わかること」です。
未来のことはわかりません。
誰かに聞こうとしても、知っている人はどこにもいません。
だから、「自分が信じる値動きパターン」を考えるだけなのです。

判断、決断、行動
「確信あるエントリー」は、わかっただけでは成立しません。
実際、実行する直前で止まってしまう行動パターンが多いのです。
「わかっていたんだよなぁ……」とか「やっておくべきだった」と後悔しても、すべては後の祭り。1秒前には戻れないのがトレードです。
判断、決断、行動、この3つがスムーズでなければいけません。
判断……「買いだな」
決断……「よし買おう!」
行動……「買います」(サッと行動する)
ふだんの生活で起こる、不測の出来事について考えてみましょう。
「チカンに遭遇したら大きな声を出しましょう」
そうだね、そうすれば誰かが助けてくれるよね。
そう理解して納得し、「チカ~ン!」と声を出すことを想像したとしても、いったい何割の人が実行できるでしょうか。
多くの人が実行できないから、チカンが減らないのです。
駅で起こる不測の出来事は、チカンだけではありません。
オトナだって、階段や通路で転ぶことがあります。
でも、転ぶなんてことは想像していないから、「恥ずかしい」という思いが優先してしまい、サッと起き上がってなにごともなかったように歩き出そうとします。
本当は、周囲の人に迷惑をかけなかったか、自分が足にケガをしなかったか、カバンやポケットから何か落とさなかったか、といった大切な確認事項があると知っているのですが、それらのことを二の次にしてしまいます。
いざその場になって、事前に考えていた理想通りに行動するのは、とても困難なことなのです。
だから、トレードにおいては、
ガッツリと想像し、頭の中で何度もシミュレーションしておくこと。
ひとりでリハーサルを繰り返すこと。
なによりも、極めてシンプルな理屈、サッと行動に移せるカンタンな対応を用意しておくことが肝心です。
番組で継続的に紹介している手法「中源線建玉法」を例に、「判断、決断、行動」の流れを考えてみましょう。

まずは、陰陽(強弱)が変わるかどうか、つまり「転換するかどうか」を確認します。
(法示とは、売買シグナルです)
転換したら、ポジションをドテンします。
つまり、売り買いをひっくり返すのです。
もしポジションがゼロだった場合は、新規にエントリーします。
転換しなくても、3分割でポジションを増やしたり(増し玉)、減らしたり(手仕舞い)といったアクションがあります。
シンプルなルールがあるので、判断と決断が一体化しています。
その部分にストレスがないため、実行するのが容易なのです。
中源線は、うねり取りを実践するためのツールです。
でも、うねり取りには中源線が必須、ということではありません。
裁量のルールでも、ほかの判断基準でもいいのですが、絶対に欠かせないのは、「判断、決断、行動」のスムーズな流れがあるかどうか、実際の場面でプラン通りに動くことができるかどうか、なのです。
こういったプロの対応を、誰でもラクに実行できる、プロの行動スタイルをカンタンに体感できるので、私は中源線を強くオススメしているのです。

売買対象の“値運び”に集中する
ポジションがあってもなくても、日々いろいろなニュースを聞いて考えます。
考えているうちに“考えすぎ”の状態になります。
ついつい情報集めをしてしまうものですが、かなりの部分を切り捨てる、最初から見ない、といった堂々とした姿勢がないと、最もやっかいな「迷い」が生じます。
中源線は、その「迷い」を生まないための、完成された“行動指針”なのです。
説明のために、林投資研究所が行っている「中源線シグナル配信」の画面をご覧ください。
林投資研究所の「中源線シグナル配信」は、上場全銘柄が対象。
そして、パフォーマンスが良好かつ安定している銘柄を研究対象として選定した「ユニバース」(2016年7月現在98銘柄、チャート表示もあり)のほか、東証一部、東証二部……と市場ごとに画面を切り替えることができます。
図は、「東証一部」を表示したあと、「すべての法示」で絞り込んだ状態です。
「法示」は売買シグナルのこと。だから、この画面は、陰陽転換を含めて“何らかの売買アクション”がある銘柄のみを表示させたものです。
銘柄ごとに、陰陽の別、売買アクションといった情報が並んでいます。
1つだけ取り上げて、詳しく説明します。
上の図は、4768大塚商会の「法示」と、約1年間の中源線チャートです。
この日、陰陽の転換が起こっています。
今まで陽線(買い線)だったものが、この日の大引で陰転、つまり買いから売りへと判断を変えたわけです。
当然、ポジションを動かします。
その具体的なアクションが、「4/3売り」という表示。
中源線は3分割なので、転換後に1/3建玉、その後の増し玉で2/3、3/3と増やします。図では「4/3売り」と、満玉の3/3よりも大きな値が示されていますが、これは、「3/3買い」だったものをすべて手仕舞い売り、と同時に「1/3新規売り」(カラ売り)という意味です。
「3/3売り手仕舞い」+「1/3新規売り」で、つごう『4/3売り』が実際の売買アクションです。
そして、その売買アクションのあと、「1/3売り」というポジションが残るということも、追加で表示しているのです。
さて今回も、個別銘柄の具体例を見ます。
下のチャートは6728アルバック。
放送では6月9日大引までのチャートを使いましたが、このフォローアップ原稿を書いている6月27日の前日、6月26日までのチャートで解説しましょう。
2016年の夏過ぎから上昇し、2倍になりました。
大きな上げ相場です。
この上げを、中源線はそこそこ上手に捉えていると感じます。
でも、2016年末までのゆるやかな上昇では、中途半端な上げ下げによってダマシの転換も散見されます。
2017年に入ってからは、そうした気迷い的な動きも減り、上昇を気持ちよく取っています。
そして放送の翌日、6月13日に6千円を割り込む動きによって陰転しました。
それまでの買いポジションをすべて利食い手仕舞い、と同時にドテン、カラ売りを仕掛けます。
陰転した時点では、まず1/3だけカラ売り。
その後、1/3ずつ分割で増し玉した結果、現在は3/3売りと満玉売りの状態です。
この先どうなるかは誰にもわかりませんが……
・確固たる判断基準で、しっかりと決断
・決断した通りに行動する
と、多くの人が実行できないことをアッサリやってのける流れが、中源線にはしっかりと用意されています。
これが、中源線という手法の大きな価値なのです。
これで、6月12日放送のフォローアップは終わりです。
次回の放送は7月10日、「利益を伸ばす」というテーマでお送りする予定です。
お楽しみに!

2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
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2017年2月新刊
入門の入門 中源線投資法
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)
書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。
たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
林投資研究所オリジナル(旧書名「株式売買記録と解説」)
長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
林投資研究所オリジナル
※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。
















