九十九を捨てる覚悟
日々、目まぐるしく変動する株価。それにまつわる各種の情報……。
良い情報を求めても、なかなか出会うことができません。
観点が定まらない情報、怪しい情報サービスに誘う巧妙なウソ、悪意はないのに害となるダメ情報など玉石混交、上手に選別するのは難しいのです。
10月16日の放送では、「当てたい」と思う気持ちが情報の選別を狂わせるプロセスを確認し、ブレない行動を支えるシンプルな株価観察の実際を説明しました。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第118回 投資情報のウソ・ホント ~情報を選ぶ目を養おう~)

「暴騰的中!」情報のカラクリ
ストップ高を見事に予測!
倍化銘柄を10銘柄的中させた!
気になる表現の広告を目にすることもありますが、膨らませた期待通りの結果を得られるのでしょうか?
自慢の実績があれば、それを掲げるのは当然です。
とはいえ、しょせんは過去の実績……錯覚に陥ることなく、「どんな考え方に基づいているか」「自分にとって継続的に利用する価値があるか」など、本質的な部分を考えるべきです。
株式市場について、直近数年間の動きをざっくり捉えると……まずは、2013年から上昇基調、といえます。また、2016年夏以降、順調に買われていて、約1年で倍化した銘柄も多数ある状況です。
すると、一定数の有望銘柄を挙げているだけで、例えば「倍化銘柄」の数を誇る実績だって生まれます。ちまたの宣伝文句には、かなり怪しいものもあるということです。
また、「当たった」だけではダメで、実際に「取れる」値動きである必要があります。予測と対応(単純な「維持」も含めたポジション操作)の方法を、どのように設定しているかなど、現実の問題まで落ち着いて評価しなければならないのです。
「表面的な実績自慢はすべてウソ」ということではありませんが、プレーヤーとしては以下の2つを考えるべきです。
『将来的な再現性が、どれだけ期待できるか』
『さまざまな値動きに対して、どんな対応をする手法なのか』
実践家は、「なにを持ち出しても同じ」「どう取り組んだって、長期的な予測の的中率は同じ」と考えます。
根本的な考え方、予測法の基準、そしてポジションの取り方──これらが“バランスよくつながっているか”、そのあとで“自分の好みかどうか”を考えます。
ストレスなく儲けさせてくれる情報なんて、どこにも存在しません。

そこをなんとか、お願いします!
私たちの私生活や一般的な商取引では、交渉の余地があったり融通が利いたりすることもあります。でも、金融マーケットでは、その法則が通用しないのです。
私生活で「18時」と「午後8時」を混同しても、「あれっ、ちがうんじゃない?」「あっ、そうだね。えへへ」で問題なくおわります。しかし、ネット取引では、数量や売り買いの別を間違えたら、そのまま約定されてしまいます。
商取引ならば、「今回は少し安くしてもらえないかなあ」といった交渉が可能ですが、株の場合、「先週まで400円台で買えたのに、今は500円台前半かぁ……」と思っても交渉する相手がいません。
ふだんの感覚を持ち込みたくなるのですが、金融マーケット独特の「ジョーシキ」に“ダイヤルを合わせる”しかないのです。
価格の交渉が不可能なかわりに、銘柄や市場を自由に選べますし、「買うか買わないか」「買うタイミング」「数量」などは、すべて自分で自由に決めることができます。
「そこをなんとか、お願いします!」という浪花節など入る余地がなく、価格はマーケット次第なので、「自分の行動をどうコントロールするか」が課題です。
ちなみに、「指し値注文」という方法がありますが、指し値で数円幅を得するよりも、タイミングと数量のコントロールに神経を使ったほうが、比較にならないほどプラスの効果が期待できます。

やれるものなら、やってみろ!
今回も、中源線のチャートを見てみましょう。
中源線のルールによって、赤=買い線、黒=売り線と強弱判断が発生します。この部分で、いわゆる“当たり外れ”が生まれ、心情的には「当たってほしい」と願うので、見越すことなどできないと知りつつ、気持ちを傾けてしまいます。

この銘柄は、2016年11月から大きく上伸しました。中源線は、この上げをうまく捉えています。そして、2017年3月はじめが目先の天井でズルッと下げ、その過程で中源線が陰転、しかし2017年4月に目先の安値をつけるとグイッと切り返し、4月のおわりごろに中源線は陽転しました。
チャートには、「この陽転はいけるかな?」という、ひとつの感じ方を記しました。特に食いつく気がない人でも、真っ向から否定はしないと思います。
では実際、どうなったでしょう……。

この銘柄は、6135牧野フライです。
中央の紺色のタテ線が、1枚目のチャートのおわりです。
つまり、「この陽転は……」と期待させた上昇はダマシにおわり、次の陽転もダマシ、続く陰転も利益にならず……現在は、2017年9月に陽転して評価益が発生していますが、半年以上の保合は、キモチいい結果がないまま推移しています。
こういう過去の値動きを例に出し、「トレンドが発生したら順張りで乗るのが正解」「保合は逆張りで利益を狙う」なんて解説をする人もいるのですが、そんな器用なことができるのでしょうか。チカラを込めて反論します。
『やれるものなら、やってみろ!』

じゃじゃ馬を乗りこなす?
利益が出ていない投資家ほど、難しいことをやろうとします。
やさしいやり方、確実性の高い手法に興味を示しません。

この銘柄は、範囲の左端、2016年2月は3,000円台の前半ですが、右端の2017円2月は18,000円超。チャートには「軽く3倍」と記しましたが、実は1年で「5倍」ものハデな上げ方をみせているのです。
だから、上げトレンドでは相当な利益が生まれています。
半面、バツ印をつけた箇所に限らず、多くのダマシがあります。
まあ、デッカく動くので、小さいダマシには目をつぶり、大きなトレンドを当てればいいじゃないか──こんな考え方をしてみましょう。
これだけ大きな上げのあと、チャートの右端で陰転しています。
「これから大きな下げか」と考えてしまうのですが……

価格だけでわかったかもしれませんが、銘柄は7717ブイ・テクノロジーです。
陰転のあとは……少しの間、保合が続き、そのあと22,000円を超える水準まで一気に駆け上りました。先行きなんて、本当にわからないものです。
で、「こんどこそ暴落か」と思いきや、何カ月も約2,000円幅の保合でトホホの連敗……。
じゃじゃ馬だけに、トレンドが発生したときは大きな利益を生みます。一方、中源線の弱点が丸出しになってしまう値運びも、非常に多いといえます。
ふつうにハデ好みならいいのですが、ムチャな一獲千金の発想はキケンなだけです。また、「大きな動きは乗る」「保合を見通して避ける」なんていう、“弱点だけを消そう”という考え方も通用しません。
前項と同じように「やれるものなら、やってみろ!」ということです。前述したようにトレードは、「買うか買わないか」「買うタイミング」「数量」などを自由に決めることができます。つまり、ちょっと考えただけでも数十、あるいは百に及ぶ方法が浮かび上がるのです。
その中で、「せめて、2つか3つの長所をあわせもつ方法をつくれないか」と思うのが人情ですが、それもムリ! 百あるうちの「一」を選び、残りの「九十九」を捨て去る覚悟がないと、すべて自由な状況で自分をコントロールしながら決断を継続することはできない──これがトレードの実際です。

プロの技を盗む方法
「おたくは、上がる銘柄を教えてくれるの?」
こんな電話がかかってくることもあり、返答に困ってしまいます。
タイムマシンは持っていません。少しでも未来がわかるのなら、世界中の市場がぶっ壊れるまでシコタマ儲けています。
平均的な投資家の興味は、「なにが上がるの?」「株式市場全体は、まだ上がるの?」といった事柄、つまり“予測を当てる”ことです。対するプロは、「そんなことできない」という前提で、やり方を工夫しています。
だから、プロ同士が「まだ高いかな?」なんて強弱判断に触れるときは、お互いの観測法やトレード哲学を理解したうえで、かるく俗っぽい会話をしているにすぎません。プロが主に興味をもつのは、「考え方とポジションのつくり方を、どう結びつけるか」ということです。
私が、林投資研究所の『研究部会報』に掲載し続けている「相場師インタビュー」は、そんなプロ同士の相場談義、耳を傾けて行間を読むことで、自らの手法を築くエネルギーになるものだと確信しています。
トレードという行為の一部分である「予測法」を聞きかじるよりも、誤解や錯覚を生じることなくプロの領域に近づく情報だと自負しています。
そのインタビューをまとめた単行本の第二弾が、間もなく発行されます。
『凄腕ディーラーの戦い方』~億を稼ぐトレーダーたちII~
この本は、すでに事前予約を受け付けています(林投資研究所にて送料無料、11月中旬に優先発送)。そして11月下旬にはAmazon、一般の書店に配本される予定です。

林 知之 著
発行:マイルストーンズ/発売:丸善出版
A5判256ページ/2,200円+税
詳しい目次、内容“チラ読み”、事前予約お申込はこちらをクリック!してください。
前作、『億を稼ぐトレーダーたち』~日本版マーケットの魔術師たちが語る成功の秘密~も、ロングランで売れています。発売いらい、業界内部では好評、一部の刹那的な投資家にはすこぶる不評……それだけ、トレードの本質に迫った内容なのだと自信をもっています(^^)

林投資研究所で詳しい目次、内容“チラ読み → こちら!
この本をAmazonでチェック → こちら!
これで、第118回放送のフォローアップは終了です。
次回の放送は11月6日(月)夜8時から生放送。今までにないアプローチで相場を考えてみたいと思いつつ、内容が定まっていませんが、いつも通りに気合いを入れてお送りします。
お楽しみに!

凄腕ティーラーの戦い方
~億を稼ぐトレーダーたち II~
人気の前作に続く、実践家の内面を知るインタビュー集。
勝つための秘密に迫る!
発行 マイルストーンズ/発売 丸善出版
書店よりも早く、予約受付中(送料無料、優先発送)。
2017年11月15日まで! →こちらをクリック!
中源線第一部(無料)
書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。
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※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。