11月06日放送のフォローアップ(2)
林 知之

ホンモノのテクニカル分析

為替相場の動向、要人の発言……多くの人が気にかける材料は、カタチのないファンダメンタル分析につながっています。

2017年11月6日の放送では、情報の落とし穴を確認するとともに、中源線の事例をもとにトレードの現実を考えました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第120回 トレードを決する情報とは? ~世間に流されてはいけない~

「変化点」に注目する

チャートを見るときの「狙い」は、なんでしょうか?
もちろん「儲けるため」ですが、私の問いは「チャートでなにを見つけようとするか」です。

おそらく、どんな分析方法でも“転換点”を見つけようとしているはずです。
トレードには「売り」「買い」の2つしかなく、その2つは方向が真逆なので、「上下どちらだろう」という問題が私たちの最大の関心事なのです。

その延長には、「上げ下げの転換点をどう見出すか」という課題があります。

しかし、「天底を当てよう」という姿勢にはムリがあります。最高値や最安値、そのタイミングを言い当てることはできません。そこで、「いわゆるトレンドの変化を見つけよう」とするのが実践での取り組みです。

例えば、下げトレンドのあと、とりあえず下げ止まったタイミングで最安値をつけたとしても、本格的な上げトレンドに移行せずに“ほぼ横ばい”ならば、「動意づいてグッと上げ始めるタイミングはどこだ?」と考えますよね。

その変化点に、ある程度の見当がつけば、うまくトレンドに乗って利益を出すことができます。あるいは、「変化し始めたぞ!」と動きを確認してから乗っても、2番手か3番手で迅速に参戦できます。

中源線は、まさに、この実践的な感覚をシンプルな数式に落とし込んだと説明できます。フォローアップ(1)で述べた「順張りでも逆張りでもない」という感覚なのです。

視点がおかしい

一般的な市況解説は、つねに「日経平均ありき」です。
株式市場には3,577銘柄が上場していて(2017年11月13日現在、全市場)、各銘柄がけっこうバラバラに動いています。だから、東証一部のわずか225銘柄の平均で“株式市場全体”を語るのはおかしいのですが、まずは日経平均をチェックするのが、業界と投資家の習慣のようになっています。

投資家が証券会社に電話をかけたときの会話は、上記の習慣によってパターン化されています。

まずは、日経平均を確認します。
次に、自分の持ち株の価格と前日比を聞きます。
あとは、その日や直近で話題となっている株式市場関連の情報を聞いておわり……。

知的に情報を処理しているような気がするだけで、「相場をやらせる側」のご都合でつくられた、ヘンな習慣通りに表面的な情報を聞いているのです。ポジションを持っている期間は意外と長いのに関連するニュースは日替わり……いろいろなチグハグがあって、将来を見据えて最善の一手を打つことには結びついていません。

では、プロはどう思考するのか──。
次項で解説します。

売る、買う、休む

自分だけのために自分自身の答えを出す──多くのプロトレーダーが考えているのはズバリ、この一点です。周囲の情報を排除し、自分自身の考えと行動をピタッと一致させようと努めています。

いくら考えても驚異的な的中率など望めない中で、「上がると思ったら買う」「下がると思ったらカラ売りする」「わからないときは休む」と考えるのが、実践的かつ実行可能なイメージです。

迷いながら新しい情報を聞いて、また考える……プロは、そんな難しい行動を嫌い、少ない情報で決断することを大切にしているのです。

そういった行動を可能にするのが、「常に対応する」という姿勢です。
買ってみた、でも上がりそうもない……このときに「上がってくれ~」と願うだけになるのが平均的な投資家で、プロは「じゃあ切ってしまって出直そう」と考えます。そして、迷わずに実行します。その迷いのない行動をスムーズにするために、ポジションサイズを調整して“経費としての損”を覚悟したり、見込み違いの損を抑えるべく分割のポジション操作を行ったりするのです。

そんなプロの行動指針を、シンプルな数式に落とし込んだのが「中源線建玉法」です。実際の中源線チャートを見てみましょう。

※赤い線が買い、黒い線が売りで、それぞれ3分割でポジションを増減させます。

「1」で黒い線にかわった、つまり陰転したところで、それまでの買いポジションは利食い手仕舞いしたのですが、陰転で仕掛けたカラ売りはヤラレです。しかも、「1」の売り値よりも約1割高いところでドテン買い直しを行っているのです(2)。

結果的には「2」から「3」までの保合を経て、「4」「5」と大きく上伸したのですが、この上げ過程で買いポジションを維持し続ける、つまり“ねばり”をみせるのが現実では難しいのですが、「下落に転じる気配がない限り、買いポジションを持ち続ける」中源線は、ごくフツーにねばります。ちゃぶついたときに連敗もある半面、こうした大きなトレンドを逃しません。

売り手仕舞いしたあとに大きく上がる──相場“あるある”ですよね。
株数が少ない銘柄ほどよく上がる、なんてこともあります(^^)

そんなことが起こらないのが中源線ですが、ヤラレを覚悟して「2」のような場面でドテン買い出動する、「3」までもたついてもポジションを維持するから実現できることなのです。

こうした対応は、「当たる」「曲がる」といった観点で評価するものではありません。3分割の計画や事前に決めた対応方法が実用的だから、とことん納得できているから実行に移せるのです。

だから、予測はほぼ半分しか当たらないのにトータルで利益になる──これこそがプロの行動です。

次回のフォローアップ(3)では、投資家を惑わす情報が生まれるカラクリについて説明します。
お楽しみに!


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11人のプロトレーダーが口にするホンネ
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凄腕ディーラーの戦い方
億を稼ぐトレーダーたち II

林 知之 著
発行:マイルストーンズ/発売:丸善出版
A5判/256ページ/2,200円+税

  • 坂本慎太郎(Bコミ)──“ちがい”に目を向けるのが株式投資です
  • 田代岳(YEN蔵)──相場は対応力。でも数字を追うだけではない
  • 高橋良彰──不安の中、いつも通りに仕事をしました
  • 村田美夏(ウルフ村田)──トレードすることで人とつながりたい
  • 沼田武(アンディ)──予測を行動につなげる純真さを求めています
  • 田畑昇人──ヒット量産のやさしいトレードが理想です
  • 上島浩司──“災害=売り”ではない
  • 本河裕二──私は張りません。乗るだけです
  • 黒木弘明──平時に戻るのを待ちました
  • 盛田聖一(バルバロス)──行動には理由が必要なんです
  • 本間忠司──経済を知れば株式市場の動きが読めます
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習慣

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体重計に乗るとき、お腹にグッと力を入れてしまいます。
なぜだか、そーっと乗ります。

人間は、合理的かどうかなんて関係なく、行動のパターン、「習慣」をもっています。

新刊『凄腕ディーラーの戦い方』には、“東日本大震災後の乱高下でどう行動したか”をプロに詳しく聞いた【特別インタビュー】3・11とマーケットが3本収録されています。

そのうちの1本は、職業ディーラー上島浩司氏の話。
彼は地震の際、反射的に注文端末をたたいていました。
本文から、彼の言葉を引用します。

「まずは、スクリーンを手で押さえました。
机に据え付けたアームにスクリーンが固定されているのですが、ぶんぶん揺れてアームごと飛んでいきそうな勢いだったので、それを左手で押さえ、右手でマウスを操作しましたよ。
でもスクリーンが動くから、値段なんてよくわからない。
そんな状態でしたが、(後略)」(引用おわり)

彼は当時の状況を振り返り、次のように言いました。

「冷静に考えたら、とにかく逃げるべきですね。
でもね林さん、やっぱり同じように端末をたたき続けちゃう気がします。
悲しいかな、これがディーラーの本能ですよ」(引用おわり)

私たちの売買にも、いろいろな習慣があります。
その中には、
『考えている“理想”とかけ離れた行動』
も数多くあります。

・「安値でくら~い雰囲気のときに買おう」……でも二の足を踏む
・「あれっ」と違和感を覚えてもポジションを減らせない
・「飛びつくべき」と思ってもカラダが動かない

常に合理的に判断して的確な行動を取れるのがプロ?
いいえ、ちがいます!
そんな、ゴルゴ13のような人はいません(笑)

プロたちが、どうやって行動を整えるべく工夫しているか──。
新刊のインタビュー集に登場する11人の実践家が語る哲学に、ぜひ耳を傾けてみてください。

『凄腕ディーラーの戦い方』
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現在、私の新刊の事前予約を受け付けていますが、
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『凄腕ディーラーの戦い方』
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林 知之 著
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プロたちの冷静かつこだわりの対応も見逃せません。【特別インタビュー】3・11とマーケット×3本も必見です!

■本書に登場するインタビューイたち

  • 坂本慎太郎(Bコミ)──“ちがい”に目を向けるのが株式投資です
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  • 高橋良彰──不安の中、いつも通りに仕事をしました
  • 村田美夏(ウルフ村田)──トレードすることで人とつながりたい
  • 沼田武(アンディ)──予測を行動につなげる純真さを求めています
  • 田畑昇人──ヒット量産のやさしいトレードが理想です
  • 上島浩司──“災害=売り”ではない
  • 本河裕二──私は張りません。乗るだけです
  • 黒木弘明──平時に戻るのを待ちました
  • 盛田聖一(バルバロス)──行動には理由が必要なんです
  • 本間忠司──経済を知れば株式市場の動きが読めます

11月06日放送のフォローアップ(1)
林 知之

知っておくべき投資家の“うっかり”

為替相場の動向、要人の発言……多くの人が気にかける材料は、カタチのないファンダメンタル分析につながっています。

2017年11月6日の放送では、情報の落とし穴を確認するとともに、中源線の事例をもとにトレードの現実を考えました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第120回 トレードを決する情報とは? ~世間に流されてはいけない~

選挙を境に変化したのか

先日の衆議院議員選挙は、株式市場にとっても無視できないイベント……私は「すべてが価格に織り込まれる」という考え方をもとに材料等の評価をしないのですが、多くの人にとって気になるイベントだったと思います。

でも、「選挙がある」「その前後で株価の流れは?」と単純化したとき、カタチのないファンダメンタル分析に陥るのではないか、しっかりとした軸がない状態でいるからメディアが流す“注目情報”に振り回される部分も生まれる、と考えるべきです。

実際、選挙の結果がどうであれ、上か下かは別として、選挙後に少しは流れが変わるだろうとの認識が広く一般的だったようですが、何も変わらずに株価指数は上値を追っています(この原稿は放送の翌日、11月7日に書いています)。

ほぼ1年前、2016年11月の米大統領選の際は、選挙結果の予測もハズレ、その後の値動きも大ハズレ……そもそも、株価を動かす要因が「選挙だけ」みたいになるのがおかしいのです。

ファンダメンタル分析を否定するつもりはありません。
でも、「人気」という要素を多く含んでいる株価の動向について、ファンダメンタル分析に絞ってアプローチするというのは、一筋縄ではいかない作業です。

決算の数字が良かった、あらためて買われた、その流れが続く──最近はこんな傾向もあるようですが、いつまで続くかわからない“法則”で、平時に戻れば「子どもだましの材料」に成り下がってしまっているかもしれません。

宣伝を兼ねて、私の新刊『凄腕ディーラーの戦い方』(プロのインタビュー集)に登場する証券ディーラー本間忠司氏の言葉を紹介します。

例えば、ある会社について、「M&Aに関して3時から記者会見」というニュースが流れたとします。ふつうは「何だろう?」だけですが、知識が豊富ならば、「子会社の製薬会社が対象で、それを買うのが〇〇社かもしれない」といった推理を働かせることが可能です。
(中略)
材料やニュースは瞬時に株価に織り込まれるといわれますが、その瞬時にポジションを取れば、1番手になる、ゼロ番手になることも可能なんです。私が、実際にやっていますから。
(引用おわり)

11人の実践家が登場するのですが、ひとりずつ人物の説明を加えています。本間氏は、「機能する〝材料張り〟で利益を出す証券ディーラー」です。また、彼の言葉を拾った章のタイトルは「経済を知れば株式市場の動きが読めます」

ケタ外れの知識と経験、最新のニュースを見てサッと行動できる特殊な環境、迷わず動く瞬発力、等々……多くの要素がそろうことで、限定的に機能するファンダメンタル投資を実行しています。また、売買行動の土台となっているのは、新人ディーラー時代に教えられた、「仕掛けて手仕舞う」というイヤになるほど単純な訓練なのです。

ここまでのことをやらない限りファンダメンタル分析なんて機能しない──そう言い切るつもりもありませんが、その場限りの評論的な情報で「売りか買いか!」なんて考えることだけは、絶対に避けるべきなのです。


凄腕ディーラーの戦い方
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林 知之 著
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使ってはいけない表現がある

前項で、「その場限りの評論的な情報」と述べました。
マーケットに関する情報については、本当に無責任だと腹が立つことばかりです。

しかし、根底には構造上の問題があります。
「今日の値動きを解説してほしい」という投資家の需要にメディアが応える結果、取って付けたような後講釈、特別な意見を含まない言葉の羅列が多くなるのです。

投資セミナーで、講師が「銘柄情報じゃないんですよ」という話をしても、参加した投資家の多くは次のように言います。

「よくわかりました! で、ちなみになんですが、先生が注目している銘柄は?」

気持ちはわかりますが、少し勉強してみませんか、と言いたいのです。
だって、そんな安易な姿勢の人が多いということは、少し勉強するだけで優位に立つことができるのですから。

この項の見出しにした「使ってはいけない表現」というのは、安易な姿勢の投資家に迎合した、経済紙の市況解説でよく見受けられます。

多くの人が気にかけている状況、例えば北朝鮮、例えば米国の経済政策などを取り上げた場合でも、ほぼ全員が納得する“無難な”解説をします。きつく言えば、特別な価値をもたない情報です。そして最後に、「今後の動向に注視すべき」などと当たり前のコメントで締めくくります。

株式市場全体の動向について、ちょっと掘り下げないと見えない面白い材料が紹介されていることもあります。しかし、「で、買いなの? 売りなの?」と思いながら読んでいる読者に対して、どっちつかずの言葉で終わっります。
「これによって一段高の可能性がある。一方、○○で資金の動きが鈍れば、織り込み済みで下落トレンドに向かうとの懸念を示す向きもある」

アカデミックな解説のようで、どっちつかず、要するに何も書いていないわけです。

もう少し、ツッコミを入れてみます。

そもそも、投資関連情報には、「商業的強気」というバイアス(偏り)があります。これも、構造的な問題です。

相場なので、上がることもあれば下がることもあります。いわば、常に上げたり下げたりの繰り返しです。でも上げ相場は、市場に資金が流入する、明るい状態です。四季でいえば春から夏にかけて生き物すべての活動が活発になるときです。

加えて、多くの投資家は買いから入り、常に、現物なり信用取引の建玉なりで“買いポジション”を持っているのです。

当然、業者を含む市場関係者にも投資家にも、上げ相場が「良い相場」(だから素直に望むべきだ)という認識があり、自民党政権安泰の株高に期待しています。「とりあえず強気を言えばいい」という感覚に結びつくのです。

これが「商業的強気」です。

すると、投資家に直接のアドバイスをしているわけでもない市況解説に、「上がるのが期待だよね」「下がったら申し訳ない」なんてニュアンスが入り込むのです。

実際に相場が下がると、「利益確定売りで反落」なんて言葉が使われたりします。「売り注文を出した人を対象にアンケートでもとったのか?」と突っ込みたくなるのですが、「あなた以外の人も儲かっています。で、少し売りが増えたんですよ。ガマンしてね」とでも言いたいのでしょう。

「機関投資家の持ち高調整」なんて解説もあります。機関投資家は、それほど機敏に持ち高を増減させないんですけどね。

うっかり受け身の姿勢になると、商業的な偏りのある情報に影響されてしまいます。気をつけなければいけません。

順張りと逆張り

相場はズバリ、カネの問題です。数字で説明できます。
でも、相場用語の多くは、意外と概念的、情緒的です。

株価水準について「このあたりが心地いいようだ」と表現したり、安値圏で変化がある状況について「上がりたがっている」と説明したりしますよね。

よく使われる「順張り」「逆張り」だって、カチッとした定義はありません。
図を示して、実践者の感覚を入れた解説をしてみましょう。

図は、株価が下がって底を打ち、下値を切り上げながら底練りをみせたあと上伸する様子を表しています。

「逆張り」というと、AからBに向かって買い下がることをイメージするかもしれませんが、そんな絵に描いたようなことができるなら、Bでドカンと買って大儲けできます。「買い下がらなければ」とばかり早めにAで買ってしまえば、最安値のBで投げてそれきりになるかもしれません。

状況にもよりますが、「一定の整理の期間が必要」と考え、「底練りの末期にあたるDで買うとスッと上げに乗れる」との認識があれば、慌てて値ごろで買うことは避けられます。

最安値はBですが、ここでまとめ買いなんてムリです。
CからDにかけて仕込めば、安値圏でコツコツ買う立派な逆張りではないでしょうか。

あるいは、Dを過ぎて「動き始めたから乗ろう!」と思い、EやFで買えば、「上げ始めを確認しての逆張り」です。Gで乗せても、ポジションの入れ方としては逆張りです。

なんでも取れる方法なんてあるか!

番組の中でガツンと言ったつもりですが、あらためて、9983ファーストリテイリングのチャートを示しながら中源線による売買の“勝ち負け”を示し、ちまたにあるズルい宣伝文句のカラクリを考えてみます。

※赤い線が買い線(陽線)、黒い線が売り線(陰線)で、それぞれ3分割のポジション操作を行います。

2016年1月からの1年間は、約3カ月で区切ると、「勝ち」「負け」「勝ち」「勝ち」「勝ち(評価益)」という状況です。これだけ勝ちが多ければ、「今後も同じ展開を期待したらダメだよね」と思えるほど見事な成績です。

しかし、さらに「2」の負けている部分を隠すように、「3」「4」「5」だけを見せれば、「勝ちまくっているでしょ?」なんて宣伝文句が成立します。
投資関連情報“あるある”ですよ。

中源線は、上向きの動きで陽転、下向きの動きで陰転を判断するので、一般的には「順張り」と認識されます。したがって、「2」のような中途半端な往来に弱いのです。

でも、実践者には「順張りでも逆張りでもない」という感覚があります。
そんな言葉で分類することに意味はない、というイメージなのです。

変化を見て「トレンドが生まれそうだ」となったら乗る──それだけなのです。

「4」の上げ波動の途中、ガクンと下げて1本だけ黒い線になっている部分があります。米大統領選の結果を受けて1日だけ売られた日です。翌日の上げで、すぐに再陽転したので利益になっていますが、天井とか底とか関係なく、いわゆる「変化点」を見出そうとするのです。

詳しくは来週、フォローアップ(2)で説明します。

同じくファーストリテイリング、直近1年間の中源線チャートです。
ブルーのタテ線が、最初に示したチャートの右端です。

けっこう心地よく取れる動きが続いたあと、「1」から「2」にかけて半年近くも、ただイライラするだけの展開です。でも、こんな結果になることもあります。これが現実です。

このチャートを見せながら、ズルい業者は次のように言います。

「トレンドは、ねばることで利を伸ばします。どっちつかずの往来は、こまめに逆張りで利益を取りましょう」

そんなふうにコロコロと戦略を変化させられますか? ムリです!
そもそも、どうやって「どっちつかずの往来が発生する」と判断するのでしょうか?
無責任ですよね。

次回のフォローアップ(2)では、先ほど予告した通り、「変化点に注目」する実践家の視点を紹介します。題して「ホンモノのテクニカル分析」。
お楽しみに!


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相場が荒れたときの対応

私は、自分で書いた本を読みながら「これ面白いな」なんて、チェックしようと思った部分にとどまらず読み続けることがあります(笑)。
自分で書いたことなので自分の好みと一致する──これが、面白いと感じる理由だと思っていますが、どこかヘンなのかもしれません……。

先日から読んでいるのは、新刊『凄腕ディーラーの戦い方』です。
この場合は、「自分の文章が面白い」というヘンタイ的なノリではなく、登場するインタビューイたちの発言が面白いのですが……。

第一作『億を稼ぐトレーダーたち』に続いて、尊敬できる実践家たちが遠慮なく語っているので、彼らの内面をのぞき見ることができます。

そんな意味で、ぜひ読んでほしいとオススメしているのですが、今回の本には「3・11後の乱高下でなにをしたか」というテーマの特別インタビューが3本収録されています。

原発だけでなく、えもいわれぬ不安感が漂う中、「こんなところでカネ儲けに精を出していていいのか」と自問しながら値を追っていたディーラーが大勢いました。

一方、「荒れ場には手を出さない」とダンマリを決め込んだプロもいました。

どちらが正解か──どちらも正解です!

例えば現在の株式市場を、どう感じるか。
「動きがある=儲けのチャンス」というのは、いかにも安易です。
いつ、どんな手を打っても、結果は当たったり曲がったり……。

自分のモノサシで「いける」と思えば出動が正解、「違和感がある」と思えば手を引くのが正解です。

迷ったら手仕舞い、迷ったら建てないがトレードの基本ですが、「迷うかどうか」の基準が人によって異なるのです。
その人にとって「取れる」と思える状況かどうか、それだけです。

株式市場の現状について、いま一度考えてみます。

「過熱しているか否か」という議論があるのですが、そんな評価など本当はどうでもいいのです。

「暴落はありますか?」「ないと思います」なんて、聞く側も答える側も無責任な強弱論争に毒されてはいけません。

 

経験豊富なプロたちが、リラックスした状態で語る本音、何気なく口にする心の奥底に耳を傾けてみてください。11月15日まで、事前予約(送料無料&優先発送)を受付中です。

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幻冬舎の連載、第4回を公開

プロの分析思考に学ぶ―「うねり取り」株式投資の実践法

【第4回】トレードの質が大きく変わる「手仕舞い」の重要性

 

※この連載は、私の著書『うねり取り株式投資法 基本と実践』(2017年新刊、マイルストーンズ)から一部を抜粋したものです。

【プロの視点】
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