指し値を使った注文テクニック(2) | 株式投資「虎の穴」

 

 

12/3(水)のブログ ↑ のつづきです。

逆指し値は、英語で「Stop Loss Order」(ストップ・ロス・オーダー)といい、アイデアはかなり昔からありました。ただ、自分でザラ場の値動きを見ているか、証券会社の担当者に「計らい」で依頼しておくしか方法がなかったのです。

ちなみに「計らい注文は」、日本の株式市場において、状況によって違法だったり合法だったり、黒に近いグレーだったり……そんな逆指し値も、現在のネット取引なら誰でも利用できます。

この逆指し値を、状況の応じて変化させていくテクニックを、「トレーリングストップ」と呼びます。下の図で説明しましょう。



買いポジションの銘柄について、「下がって○○円で売り(投げ)」という逆指し値を出しておきます(A)。

その株が期待どおりに上昇しました。
でも、売りません。さらなる上昇を予測して、ポジション持続です。
ただ、ガクンと下げたら「トレンド転換、無条件で降りる」ということで、逆指し値を現在の価格に近づけておきます(B)。

思惑どおり、さらに上昇しました。
ポジションを持続しながらも、同じように「下げトレンドに移った感じなら手仕舞いする」という意思を、逆指し値しておきます。Bの逆指し値を上げて、今の株価の少し下にしておきます(C)。

なかなか便利ですよね。
ただ、注意点があります。
指し値否定派が、ちょっとケチをつけたくなる部分、細かく考えたときの懸念事項です。

「指し値を動かしていく」という発想が、わるい指し値変更につながる可能性もあるということです。例えば、通常の指し値「○○円に下がったら買う」を出しておいたのに、実際に株価が下がってきて指し値に近づくと「もっと下げるかも……」と買い指し値を下げてしまう──「なんのために決断して指し値を出したのか」と疑問満載ですよね。

もうひとつ懸念があります。
決して「わるい指し値」でなくても、「トレーリングストップ」も含めて、価格(チャートのタテ軸)だけに目を向けてしまう、そんな感覚に傾くことです。

チャートで値動きを見るときは、タテ軸(価格)とヨコ軸(時間)の2つの要素しかありません。その2つの要素で、トレンド(上げ、下げ、横ばい)を判断し、「ゆるやかな上昇から急騰した」といったデリケートな変化を認識します。

この2つの要素のバランスが崩れる、という微妙な狂いが生じかねないということです。

でも、「無条件で手仕舞いするための逆指し値をする」「その逆指し値を現在値に近づけていく」というアイデアは、とても実践的です。実際に逆指し値を利用しない場合でも、指し値そのものを使わない場合でも、知識としてもっていて損はないでしょう。

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