・「公然の秘密」の暴露。エプスタイン・ファイル | 矢口新

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☆「公然の秘密」の暴露。エプスタイン・ファイル

米議会は11月18日、司法省とFBIが保有するエプスタイン事件に関わる全ての記録や文書、通信記録、捜査資料を公開するよう求める法案を承認した。法案はトランプ大統領が19日に署名して成立した。司法省は年内に公開する必要がある。

エプスタイン事件とは、少女買春などの罪で起訴され、獄中自殺したとされるジェフリー・エプスタインを巡る疑惑だ。同被告は全米各地の豪邸やカリブ海に所有する島に著名人や若い女性を招いてパーティーを開いていたことで知られていたが、うち多くの女性は騙されて連れてこられた未成年者だったことが明らかになっている。

以下に、ワイアード誌からの記事を部分引用する。


(引用ここから、URLまで)

ジェフリー・エプスタインが死ぬまでの数年間に、彼の悪名高き「ペドフィリアの島」を訪れた人々が持っていた200近い携帯端末は、所有者の自宅やオフィスを露呈するデータの痕跡を残していた。3月半ばに『WIRED』が突き止めたのは、防衛産業と結びつきがあり、問題のあることで知られる国際データブローカーがつくっていた島の訪問者データだ。そこからは、エプスタインが性犯罪者であることを問題視しない富豪や影響力のある人々が、何度も島を訪れていたことがわかる。

位置情報データブローカーのNear Intelligenceが集めたデータは、米領ヴァージン諸島にあるリトル・セント・ジェイムズ島にまつわるものだ。そのデータは、エプスタインが数限りない女性や少女たちをグルーミングし、暴行し、人身売買したと疑われている施設を訪れた客たちの住所を高精度で暴露している。

検察官によると、被害者のなかには14歳の少女も含まれていた。ヴァージン諸島の元検事総長は、富豪仲間からエプスタインの元に売り飛ばされた少女のなかには、12歳の子どももいたことを明かした。

参照:ジェフリー・エプスタインの悪名高き「ペドフィリアの島」、訪問者たちの位置データをブローカーが暴露


エプスタインは2005年、14歳の少女の家族から性的虐待を告発された。少女ら数十人への買春や売買春のあっせんなどの容疑で終身刑に問われる可能性もあったが、司法取引の結果、1件の買春のみを認める形で他の重い罪の容疑は不問とされた。

被害者らはその後も声を上げ続け、19年になって未成年を買春し性的虐待を加えたとしてエプスタインは連邦検察に再び起訴された。被害者は1000人にも及ぶとされる。

被害者やその家族たちは関連資料の全面公開を求めてきたが、今回の公開でも被害者を特定できるような情報や未成年に対する性的虐待を表す資料は公開義務付けの例外となっている。また、進行中の捜査を脅かす情報や国家安全保障や外交上の利益に関わる情報も公開義務付けの例外だ。


「証拠リスト」にはパソコンや写真、携帯電話のほか、リトル・セント・ジェイムズ島のボートの運航記録などが記載されている。こうした証拠が公開されれば、同島を訪問した人物やその行動などが明らかになる可能性が高いのだ。

「エプスタイン・ファイル」と呼ばれる事件の資料や記録は、これまでにも裁判や議会の調査、司法省の発表を通して、刑事、民事の裁判での被害者らの証言やエプスタインの連絡先リスト、飛行機の搭乗記録、電子メールなど、数万点以上が公になっている。

公開された資料には大統領経験者たちを含む多数の政財界の大物の他、誰もが知っているような著名人の名前が多く出ているが、現在までに違法行為への関与が立証された人物はいない。

チャールズ英国王の弟アンドルー王子については、被害女性の1人が10代のころにエプスタインを通じて知り合い、性的虐待を受けたと訴え、アンドルー氏は否定したまま民事訴訟で被害者と和解した。しかし、被害者は自殺した。また、同氏は19年に女王の叱責を受けて公務から退き、25年10月には、英王室は王子の称号を剥奪し、公邸から退去させると発表した。

また、これまでにも名前が出ていたローレンス・サマーズ米元財務長官は、先週、今回の公開を前にハーバード大学の教職を辞職し、オープンAIの社外取締役も辞任した。

つまり、1000人もの被害者がいる大事件で、これまでに法的処分を受けた関係者は、エプスタインと、共犯者として服役中のギレーヌ・マクスウェルだけなのだ。

また、エプスタインとの関係では著名人たちだけでなく、全米各地の豪邸やカリブ海に所有する島を維持し、催し物を運営するための巨額の資金を提供していたとして、複数の大手金融機関の名前も挙げられている。

このことは、エプスタインはそうした政財界のエリート・富豪・権力者グループ、いわゆるエスタブリッシュメントたちに雇われ、「裏仕事」を行っていたエージェントに過ぎないとの見方も可能なのだ。


一方で、トランプ支持層を結束させてきたのが、そうしたエスタブリッシュメントたちは「自分たちを見捨ててきた」という怒りの感情だ。そこで「エプスタイン問題」は反エリートの象徴となり、全面的な情報開示を求めるうねりとなった。

トランプ氏自身は典型的なエスタブリッシュメントだが、それでも24年の大統領選では、自分は異端児で、勝利すればエプスタイン事件の情報を公開すると約束した。

しかし当選後の25年7月には、司法省とFBIがエプスタインの共犯者は確認できないとした。また、死亡した夜の拘置所内の十数時間にわたる監視カメラ映像を公開して、同被告以外の出入りがなかったことを証明し、同被告の獄死は自殺だったと再度、断定した。また、被害者保護の観点などから、これ以上の情報公開は適切でないとした。

トランプ支持者の期待は失望に変わり、騙され利用されていたとの反発を生み、支持者の一人、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員はトランプ氏への不満をあらわにした。トランプ氏はグリーン氏を「裏切り者」と排除しつつも、支持者の反発を踏まえて情報公開に踏み切ったのだ。

このトランプ氏の判断は、米政界、あるいは世界のエスタブリッシュメントにとって自爆テロにもなり得る。情報公開すれば、トランプ氏がエプスタイン関連批判の矢面に立っている現状から、関係した民主党の大物はもとより、世界のエスタブリッシュメントに批判の矛先が向かう可能性があるからだ。同氏は元からの悪というイメージのままだが、これまで聖人君主を装っていた輩には大きな痛手となる。

ウォールストリート・ジャーナルが公開したメールのキャッシュには、トランプ氏の名前が最も早くから、最も多く、最も頻繁に出てきているが、クリントン元大統領らと並んでサマーズ氏の名前も出ている。これが同氏を追い詰め、この時期に公職からの辞任となった可能性が高い。

参照:The Epstein Email Cache: 2,300 Messages, Many of Which Mention Trump 


エプスタインが提供していたのは、故ヒュー・ヘフナー氏のプレーボーイ・マンションのようなハーレムだと見ていていい。違うところは、個人的な趣味だけでなく、顧客の要望に応じて、美女やモデルだけでなく、子供に近い少女まで、当人らの意思に反して提供していたことだ。昔の権力者ならば好き勝手に出来たかも知れないが、今は法律がある。人目がある。信用がある。安全性や後腐れもある。

上記ワイアードの記事では、エプスタインが性犯罪者であることを「問題視しない」人々とあるが、エプスタインは権力者たちのそうした欲望の「汚れ仕事」を引き受けたからこそ、数百人とも言われる大物たちと親交を深めることができたのだとも言える。

王族や大統領、著名なビリオネア、学者や教授たち御用達の「秘密クラブ」となれば、エプスタインからの誘いを名誉に感じる著名人たちもいたことだろう。また、権力者たちの仲間入りすることで、治外法権的な「お遊び」ができるとの認識もあっただろう。

しかし、1000人もの弱者の人権を踏みにじり、心身に傷を負わせていて、特権的な「秘密クラブ」などあり得ない。公然の秘密は、もとより秘密ではない。

また、それはトランプ支持者たちが最も憎んできた世界なのだ。

ウォールストリート・ジャーナルが公開したメールのキャッシュは、エプスタインが最初の起訴、司法取引をした後のものだ。知らなかったでは済まされない。ここにきてサマーズ氏が公職から退いたことが示唆しているのは、年末にかけて公開される「証拠リスト」を、今更ながらに怯えている著名人たちが数多くいるだろうということだ。世界は被害者にとってはもとより、加害者にとっても恐ろしいものではないか。


大き過ぎて潰せないとは、リーマンショック後などのように、影響の大きさを考慮し、政府当局が大量の資金供給を行うことでメガバンクなどが潰れないようにすることだ。そのつけは公的債務の拡大(将来の増税)や、ハイパーインフレの形で国民が支払うのだが、当面の危機は乗り切れる。

AIブームでは、オープンAIがあまりにも巨額の資金を巻き込んだことで、大き過ぎて潰せない存在になったのではないかと言われている。

エプスタイン事件はどうか? 巻き込んだものが大き過ぎるために、進行中の捜査を脅かす情報や国家安全保障や外交上の利益に関わる情報も公開義務付けの例外だ。最終的なつけは国民に支払わせる。それがエスタブリッシュメントの危機管理なのだが、反エリートをポピュリズムと見下げることがより難しくはなるだろう。

 

 

 

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