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☆終わらせた7つの戦争と、拡大させる2つの戦争
2025年9月23日の国連総会で、トランプ米大統領は演説で、「終結させるのは不可能といわれた7つの戦争を私が終わらせた」と語り、それはノーベル平和賞に値すると述べた。
それに対し、マクロン仏大統領は「ノーベル平和賞が欲しいのなら、ガザ戦争を終わらせろ」と、フランスのメディアで述べた。
ところで、皆さんは、トランプ大統領が終わらせたとする7つの戦争うち、いくつを特定できるだろうか? 恥ずかしながら私はほとんど特定できなかったので、AIの助けを借りた。
AIは、いつものように高速でウェブ上を検索し、以下の7つを特定してくれた。
(以下がAIの答え)
トランプの主張における「7つの戦争」の候補。トランプやその側近がしばしば挙げている、またファクトチェックで言及されている7つの紛争は、以下の通りです。
1、イスラエル vs イラン:2025年6月、イスラエルがイランの核施設や軍事拠点を空爆 → 両国間で交戦状態に。トランプはこの短期紛争(“12日戦争”と呼ばれることもある)を和平・停戦に導いたと主張。停戦合意は成立したが、紛争が恒久的に解決されたかは疑問。再度の緊張の火種が残っているとの見方もある。
2、ルワンダ vs コンゴ民主共和国(DRC):東コンゴ地域で、コンゴ東部の武装勢力(M23など)とルワンダとの関係が焦点となる長年の紛争。トランプは、和平あるいは交渉の仲介を行ったとされるプロセスを指す。その和平合意後も地域では多数の武力衝突が継続しており、「戦争が終わった」と断言できる状況には至っていないという批判が強い。
3、アルメニア vs アゼルバイジャン:ナゴルノ=カラバフをめぐる紛争。トランプ政権下で両国リーダーを米国に招いて共同声明を出したことをもち出す見方がある。その合意は宣言的なものにとどまり、紛争の根幹である領域問題の解決には至っていない、履行や持続性が不透明と評価する立場もある。
4、タイ vs カンボジア:国境での小規模衝突や緊張。トランプは経済的圧力(関税など)を使い、停戦交渉を促したと主張する報道あり。地元報道では停戦違反や国境小衝突の継続が指摘されており、「戦争」と呼べるような大規模戦闘だったか疑問視される。
5、インド vs パキスタン:特にカシミールをめぐる緊張やクロスボーダー攻撃。トランプは、2025年5月の停戦合意に米国が関与したと主張。インド側は、停戦は自国内の交渉・外交努力によるものであり、米国の関与を軽視する姿勢を見せており、トランプの介入の実効性を疑問視する見解もある。
6、エジプト vs エチオピア:ナイル川上流のダム問題(グランド・エチオピア・ルネッサンス・ダム:GERD)をめぐる水資源紛争。トランプはこの水利紛争を「戦争」と見なし、調停したという文脈で挙げている可能性がある 実際には武力衝突には至っておらず、外交的・技術的交渉段階が主であるため「戦争終結」の主張は過大との見方がある。
7、セルビア vs コソボ:コソボ自治・独立をめぐる長年の対立。トランプは、再び戦争に至る可能性を阻止したと主張することがある。セルビア側は「戦争になる計画などなかった」と反論しており、実際には大規模武力行使には至っていなかったという視点がある。
つまり、トランプ側が示している「7つの戦争」は、古典的な全面戦争というよりは「長期紛争・緊張関係・断続的衝突」の中で、停戦や交渉・宣言的な合意を導いたという側面を拡張して「終結させた」と表現しているものと解釈できます。
(AI、ここまで)
私が恥じる必要はなかった。さすが、米国の大統領だ。これらのほぼ常態化している地域紛争さえ、親身にとらえて戦争と感じ、調停したと述べている。とはいえ、仮にトランプ氏の主張が正しいとしても、当人が望んでいるようなノーベル平和賞に値するものだろうか?
一方で、同氏が選挙公約で終わらせるとしていたウクライナとガザの2つの戦争は、逆に拡大させている。ウクライナではロシアに対して失った全領土は取り返すことができるとし、戦争継続を促した。それでもウクライナ戦争は実質的に両国間のスラブ内戦の域を超えるものではないが、ガザ戦争はウエストバンク、レバノン、シリア、イエメン、そしてイランと、米国の支援なしには到底考えられないところまで拡大している。
トランプ氏は国連での同演説で、「7つの戦争を(同氏抜きでは)終わらせられない国連は機能していない」と述べたが、別の意味で、国連は実際に機能していない。
国連安全保障理事会は18日、パレスチナ自治区ガザにおける無条件かつ恒久的な即時停戦を求める決議案を採決した。イスラエルが中心都市ガザ市への地上侵攻に踏み切る中、国際社会として人道危機に立ち向かうメッセージの発信を狙った。理事国15カ国のうち14カ国が賛成したが、米国の拒否権行使で否決された。
非常任理事国10カ国が共同で決議案を提出した。第2次トランプ米政権が発足してから、米国がガザ戦闘を巡り拒否権を行使するのは2回目になる。
人道危機だとされるのは、ガザで行われているのはジェノサイド(集団虐殺)だと、9月16日に国連調査団が認定したからだ。また、それに先だつ7月28日に、イスラエルの人権団体ベツェレムとイスラエル人権医師団が同政府の行為をジェノサイドだとの報告書を発表した。イスラエル人がジェノサイドという言葉を使ったのは、非常に重い意味を持つ。
ジェノサイド(genocide)という言葉は、1944年より前には存在していない非常に特定的な言葉で、あるグループの存在を抹消することを目的として行われる暴力的な犯罪行為を意味する。
参照:ジェノサイドとは
1944年、ポーランド系ユダヤ人の弁護士であるラファエル・レムキン(1900~1959)は、ヨーロッパ在住ユダヤ人の抹殺を含む、ナチスの組織的殺戮政策を記録しようと努めました。
彼は、人種や部族を意味するギリシャ語の「geno-」と、殺人を意味するラテン語の「-cide」を組み合わせて「genocide」という言葉を創りました。この新しい言葉を提案するにあたり、レムキンは「集団そのものの絶滅を目的とした、国民的集団の生命に不可欠な基盤を破壊するためのさまざまな行動の組織的な計画」を考えていました。
その翌年、ドイツのニュルンベルクで行われた国際軍事裁判において、ナチス幹部は「人道に対する罪」で告発されました。「ジェノサイド」という言葉は起訴状に含まれていますが、説明的なものであり、法律用語ではありませんでした。
1948年12月9日、ホロコーストの余韻がまだ冷めない中、レムキン自身のたゆまぬ努力もあって、国際連合はジェノサイド犯罪の防止と処罰に関する条約を採択しました。
この条約により「ジェノサイド」は国際犯罪と定められ、締約国は「防止と処罰を行う義務」を負うことになりました。 これによると、「ジェノサイド」とは、国民的、民族的、人種的、または宗教的な集団の全体もしくは一部を破壊する意図をもって取られる次のような行動と定義されています。
(a) 集団の構成員を殺害すること
(b) 集団の構成員に重大な肉体的または精神的な危害を加えること
(c) 全体または一部の肉体的な破壊をもたらすような危害を集団の生活条件に故意に与えること
(d) 集団内での出生を妨げることを意図とした措置を講ずること
(e) 集団の子供を別の集団に強制的に移送すること
集団を標的とした暴力的行為は、歴史を通じて、そして条約が発効してからも繰り返されていますが、この言葉の法律的および国際的な進展は、2つの明確な歴史上の期間に集中しています。
1つはこの言葉が創り出されてから国際法として認められるまでの期間(1944年~1948年)で、もう1つは国際刑事裁判所の設立によるその発効からジェノサイド犯罪の起訴までの期間(1991年~1998年)です。
ジェノサイドの防止という、条約のもう1つの大きな義務は、国家や個人が今後も直面し続ける課題として今も残っています。
(ジェノサイドの説明ここまで)
ガザは天井のない牢獄と呼ばれ、230万人を超える人々がフェンスで囲まれた狭い地域に閉じ込められていた。長方形に近い地域の長い1面は地中海、短い1面はエジプトに面し、残る長い1面と短い1面がイスラエルとの国境だ。
アイアンドームと称される防空システムを持つイスラエルの国境警備は世界一強固だと言われ、許可のない通行は不可能、だからこその天井のない牢獄だった。
ところが、2023年10月7日、ガザで事実上の政府機能を努めていたハマスがブルドーザーやハングライダーなどという軽装備で越境、1000人を超えるイスラエル人を拉致してガザに連れ去った。その間、イスラエル軍の抵抗はほとんどなく、非番の軍人も多く拉致された。
どうしてハマスがそのような「奇跡」を行えたのか。また、どうして1週間ほど前からニューヨーク市場のイスラエル投資ETFに異常な規模の空売りが行われていたのか、そうした疑問は以前にも書いたので割愛する。
参照:中東情勢と世界の混乱(2023-10-16 05:41:31)
また、その2、3カ月前には、それまで政府の暴走を防ぐために持っていた最高裁の権限が、ネタニヤフ政権によってはく奪されていたことも、その時点で英語のメルマガで取り上げた。
参照:7月29日までの週(2023-07-29 07:44:58)
ネタニヤフ首相は即座に非常事態の戦時内閣を組閣、ガザ侵攻に反対する軍幹部なども解任、それまで免除されていた原理主義ユダヤ教徒の徴兵などにも踏み切りながら、戦火の拡大を続けている。
イスラエルは国連などが主導するガザへの食料支援団をも攻撃、飢餓状態となった地域の攻撃の手も緩めていない。殺害されたジャーナリストたちも数百人にも及んでいる。
そうしたネタニヤフ政権の蛮行に対して、イスラエル国内からジェノサイド指摘が起きたことに国連が呼応、英仏を含む150カ国以上がパレスチナ国家を承認することで虐殺を止めさせようとしている。
一方、それを拒否権行使で妨害、積極的にイスラエルに武器支援を続けているのが米国なのだ。
関連:米国の後ろ盾で、強硬姿勢のネタニヤフがパレスチナ国家承認国への報復を誓う。
With US backing, defiant Netanyahu vows response to countries recognizing Palestinian state
日本の石破首相は米国に従って承認を見送ることで、世界の少数派の道を選んだ。また、「承認はするかしないかではなく、いつするかの問題だ」として、後任首相に判断を委ねている。関税交渉では、80兆円を超えるSPAC型米投資支援を政権の判断で決めたことに続き、後任にとっては後始末の難題がまた増えた。
もっとも、パレスチナ国家の承認は新たな難題を生む。ガザ侵攻前の事実上の行政組織はハマスで、だからこそ、イスラエルのハマス攻撃は病院や学校、民間施設のすべてに及んでいる。とはいえ、いまだに人質を拉致しているハマスをパレスチナ国家の代表と認めるのは困難だ。
イスラエルはハマスに代わるガザの武装集団を支援しているが、それらは愚連隊に等しい。国家を代表するどころか、反国家集団だとも言えるのだ。
ジェノサイドの言葉を生ませた国、ドイツでは右派の台頭で、学校はナチスをどう教えるかで苦慮しているという。ドイツも日本同様、パレスチナ国家承認を見送った国の1つだ。イタリアもそうで、旧枢軸国は3カ国ともイスラエルによるジェノサイドを容認、あるいは見て見ぬふり、あるいは、イスラエルを責める資格がないとでも思っているのだろうか?
誤解を生むかも知れないが、私は以前から腑に落ちないと思っているのが「過ちは繰り返しません」という表現だ。繰り返させませんではなく、繰り返しませんというのは、原爆投下の過ちは自分にあるという意味になる。これはジェノサイドは、被害者側に非があるという意味にもなる。そうなのだろか? だから、日本やドイツはパレスチナ国家を承認しないのだろうか?
ホロコーストについては、多くの映画を観た。その中に、アウシュビッツのすぐ近くに住むナチス党員の家族を描いたものがあった。アウシュビッツの中ではジェノサイドが行われていた。そこに通勤しているナチス党員が、平和な家庭では優しい父親を努めている。どちらも、忠実にその役に成り切っている。
アウシュビッツとガザの違いは、すぐ傍に住むナチス党員の家族でさえ、施設内でのジェノサイドを知らなかったことだ。一方、ガザでのジェノサイドは公開されている。その意味では、人類の倫理観は大きく退化している。我々はもっと大きな過ちを繰り返しているのだ。
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