9月5日のブログ ↑ では、「出遅れか、強い銘柄か」という観点を示しました。
実に俗っぽく、私が否定する“銘柄至上主義”の権化みたいな表現ですが、「日経平均から考えるのではなく、あくまで個別銘柄の動きでマーケット全体を見る」という意味では、きちんとした実践的アプローチです。
選択肢が常に「出遅れ」と「強い銘柄」の2つしかない、そんなことではありません。
そもそも「わからないから手を出さない」という選択肢があります。
インタビュー集『億トレIII』にインタビューを収録した新井乃武喜氏(プロギャンブラーのぶき)に教わったのですが、ポーカーなどで席に着きながら参加しないことを「見」(けん)というそうです。
だから、ブログで示したのはひとつの見方、ひとつのヒントだと思ってください。
こういうことを述べると多くの投資家は、「わかんね~よ」と興味をなくすのですが、このブログを読んでいるみなさんには、「で、その先は?」と考えてほしいのです。
どうしても直近の損益に目を奪われますが、「近未来」を考えるよう少し意識するだけで、確実に盲点が減ります。正しい機敏さは、流行に左右されることとは全く異なる姿勢です。
「出遅れ狙いが手堅い」という観念は正しいのか──こんな発想ももってほしいのです。
「動かない銘柄を持つのはリスクである」
こういった考えにも耳を傾け、証券会社やメディアのご都合主義と対立することなく、ひたすら実践的な独自の路線を歩むのが理想です。
さて、読みや見通しは当たったり外れたり……「うまいはずだ」と踏んで入店したラーメン屋が期待外れでも、ドンブリをひっくり返して暴れたりしません。それと同じように、とりあえずの結果をサラッと受け入れ、「次は」と冷静に考えるのが実践のあり方です。
いまさらって話ですが、当たり前のものになっている中源線の3分割に、大きな意味があることを再認識してほしいと考えます。
中源線の基本は、「銘柄固定」です。
私は、4~5銘柄を一緒に売買する“バスケット運用”を推奨していますが、「今はこのあたり」と当たりをつけて銘柄を選ぶ、1カ月か2カ月したら再び対象銘柄をさがす……こういった姿勢ではありません。
でも、「有利・不利」を考えて裁量を入れるのも現実でしょう。
手がけている銘柄について「今は不利」と読んだら、ポジション持たない「見」(けん)を決め込むとか……。
こういった取り組みについても、「出遅れか、強い銘柄か」と同じように「銘柄固定か選別か」なんて二者択一にせず、「銘柄固定が原則」「選別の姿勢をどこまで盛り込むか、その具体的な方策は?」と考えれば、とても現実的、実践的、実用的です。
銘柄を固定することによって、多くの投資家が陥る「どの銘柄を買うか」症候群から離れた位置に立っていることができます。それだけで、大きなアドバンテージを得ています。ここを軸にしよう、という提案です。
もちろん、最終的には遠く離れ、100%銘柄選別という答えだって“あり”ですが、銘柄固定を出発点にすることで、そういった思いきった方針転換も、確信をもって実行できるはずです。