上げ相場の最中に「暴落説」がささやかれる理由 | 株式投資「虎の穴」

私は、現在の日本の株式市場について、暴落を警戒する必要は全くないと考えています。
上げ下げがあるのが相場なので、そもそも下げを極端に怖がる必要はありません。

個人投資家は売買に特別な制約を受けないので、持ち株を減らす(キャッシュポジションを高める)ことで下げによる被害を軽減できます。手持ち株をゼロにしてもいいし、下げで利益が出るカラ売りを積極的に仕掛ける選択肢だってあるのです。

では、下げ相場を悲観するだけでなく、上げ相場の最中に決まって暴落説がささやかれる理由は? 少しひねくれた観点を紹介します。

ウケのいい相場情報をつくるには、最も厚い層を狙うのが正解です。

平均ではなく分布が厚い層、すなわち、常にヤラレ玉を抱えていて「上がってくれ~」と願っている投資家層です。

だから、下げた日には「先物売り」とか「利食い売りで反落」といった決まり文句で、まるで「下がってゴメンね」と言わんばかりの表現を使います。

株価を支える約束でもしていたかのように……。

 

下げの解説では、「機関投資家の持ち高調整」なんて表現も決まり文句のひとつですが、機関投資家はそれほど機敏に持ち高を調整したりしません。

上げ相場は、買い方がつくります。

上昇の見込みを立てて参加者が増えることで株価が上がり、それを見て次の参加者が集まる──こういう図式です。

 

では、下げ相場は売り方(下げを見込んでカラ売りを仕掛ける向き)がつくるのかというと、そうではなく、買い方が増加するペースが落ちることで上がらなくなり、ちょっとしたきっかけで下げはじめます。そして、それを見た買い方の投げが、下げを加速させるのです。

いくら経験があっても、感情をもつ人間である以上、心が熱くなってしまうものです。昨今は、心理学的な考察によるプロスペクト理論なども知識として身近ですが、理屈を知ったからといって、行動スタイルを理想に近づけることは難しいものです。

この問題は、相場の永遠のテーマです。
だからこそ、ちまたの情報に安易に飛びつかないことが大切です。

かるいノリで正解さがしをしないよう、常に気をつけたいのです。

私が相当な“当たり屋”だったとしても、ずっと相場を当てつづけることは不可能です。だから、とりあえず当たっているといっても、「では、オレも買おうか」と反応してはいけません。

今回、暴落説を否定することで伝えたかったのは、無責任な情報が多い現実と、自らの意思をもって売買することの大切さです。

私の強気論に確信をもって同調するなら問題ありませんが、安易に飛びつかないことです。上か下か、買いか売りか……二択を当てるのが相場ではありません。「わからないからポジションを取らない」というのも、とても重要な選択肢だと認識してください。

「決めかねるけど、どちらかというと買い目線」くらいの感覚で、試し玉だけを維持する、なんて取り組み方もあります。

ちなみに、当ブログでも紹介している「中源線建玉法」は、トレンドを機械的に判断して3分割の売買まで示してくれますが、きわめてシンプルなルールは、利用者のアレンジを可能にしています。いえ、可能どころか、率先して「自分の道具として使う」ことを促しています。

観点や基準が定まらない銘柄情報を疑い、経済記者が示す観点に左右されることもなく、感じるままに売買する、自分が思っているとおりにポジションを動かすのが相場です。そのための基本形はなにか──そんな考察をしてみてください。
 

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