定点観測の意味 | 株式投資「虎の穴」

私はよく「メディアの解説に耳を貸すな」「テキトーなことを言ってるだけ」というコメントをします。

そのコメントそのものがテキトーじゃないか、ってツッコミもありそうですが、上がっても下がっても、あるいは動きがなくても、「背景には、こんな理由があるんです」と読者を納得させるのがメディアのシゴト。プレーヤーにとって雑音となるようなことまで、取って付けたように解説するしかないのです。

だから、「真剣に耳を傾けるべきではない」と言いたいのです。

こんな強材料がある、しかしこういった悪材料もある……
週足を見ると底堅いようだが、日足で見ると……

情報を増やせば増やすほど混乱します。


売るか売らないか、買うか買わないか──誰にも未来が読めない状況下、きちんと決断するためには、限定的な情報を常に同じように分析するのが唯一の方法です。

そのための実践的アプローチが定点観測です。

  • 同じ銘柄を
  • 同じ観点で
  • 継続して見ていく

ということです。

お遊び的に情報を集めていると、今回はこの銘柄、次はこの銘柄と食い散らかす行動になってしまいます。もちろん、判断基準もバラバラ。おふざけが好きな野球少年が、「次は消える魔球を投げる!」なんて言うのと同じです。

あなたも、継続して観察する銘柄を必ず用意してください。


例えば超短期の手法では、銘柄を目まぐるしく入れ替えて守備範囲はかなり広い、というのが当たり前だったりするかもしれませんが、それをブレることなく実行するためには、一定の個別銘柄群を常に見ていることが有効です。

会員の専業トレーダーが来訪した時のことです。

その人は、専業になって以降、生活など全般がストイックになったそうですが、「とにかくニュースを見なくなった」と言っていました。判断がブレるから、情報を集めていたらトレードそのものが成立しないのでしょう。

1時間ほど話すなか、「技術とはなにか」なんて話題にもなったのですが、スポーツのように肉体を使う要素はないので、「なにを、どう考えるか」ということに尽きます。私は、「いつも同じ基準で判断すること」「その判断をもとに淡々と行動する力」だと考えます。

つまり、内面の情報処理がスムーズかつ安定していることが、スポーツで同じ動きを再現することにあたるという捉え方です。少なくとも、情報を集めて推理ゲームを展開することではないはずです。
 

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