強烈な下げに対して買い向かうか待つか……このちがいを、別の観点で表現することができます。「対立」か「順応」か、という分け方です。
ほかのマーケット参加者のことまで考えず、シンプルに、自分自身と株価の2要素だけに目を向けます。
相手(株価)と戦う姿勢で対立するか、順応して仲よくするか、ということです。
林投資研究所オリジナルの相場観測システム「中源線」は後者、「順応」する姿勢でポジションを操作します。
下げているうちはカラ売りを放置し、逆行(上げ)の動きをみて株価についていこうとドテン買います。悲壮感が生じるような戦いのイメージをもたず、ラクに、長続きするプロの取り組み方を目指すのです。
先週金曜日のブログ(「落ちてくるナイフ」)で紹介した格言は、ある意味、真理なのですが、生身の人間であるがゆえに生じる偏りに、無理やり抗おうとする「対立」だといえます。
中源線では必ず一歩遅れになりますし、ときには二歩遅れなのですが、とんでもなく遅れたために「逆行のポジションを放置して損失が膨らむ」というヤバい状況には陥りません。
中源線から離れて、一般的な「逆張り」を考えてみます。
最初の項で示した観点、「ここまで売られたから買っていい」とか「3カ月間きれいに下げたから買い場ではないか」といった観察を軸に、なるべく安く仕込もうと努めます。
もちろん、最終的には「上げの動きに乗ること」を第一とします。
だから、ムリに狙うことなくトレンドの転換という“未来の変化”に目を向けます。
ただ、平均値を有利にするために、少し早めに買おうと頑張るのです。
止まっている電車が「まもなく動き出すだろう」と予測して、慎重さを残しながら行動をスタートするのです。
決して、「落ちてくるナイフをつかむ」といった対立姿勢ではありません。
こうやって整理すると、「中源線を軸に裁量を入れる」売買が明確になります。
中源線が一歩遅れなので、そのズレを少なくしたい……こう考えながらも、ゼッタイにムリをせず、勇み足にならないよう慎重に、自分自身の相場観をそっと盛り込む行為、それが適切な“裁量”なのです。
「中源線が陰線のうちにドテン買ったらダメですか?」
こんな質問をもらうこともあります。答えは、もちろんノーです!
しかし、そんな行動を強制的に禁止する、不自然なかたちでガマンするのではなく、自然な感覚によって「それはないよな」と納得することが不可欠なので、こうして理屈を整理しているのです。
中源線は、一歩遅れをいとわない順応。
感覚を駆使した逆張りは、単純な順応に、少しの工夫と努力を追加した姿勢。
これらに対して「陰線のうちに買う」のは、自分の一部分と位置づけられる中源線と対立してしまう姿勢なのです。