くっきりはっきり上げ相場でなくても毎日、大きく上がる銘柄があります。
1週間、1カ月くらいの期間で見ると、「おおっ、こんなに上がっているよ」と目を引く銘柄がけっこうあります。
上場銘柄数が4千近くもあるので、当然のことです。
それなりに考えて、「よし、これだな」と厳選して買ったつもりが、自分の銘柄は動きがないまま、ほかの銘柄が上がる……これも、実は当たり前のことなのです。
当てようとしているのに、ちゃんと考えているのに──こう思うから、なんだか自分だけが間違ったことをしている気分になります。
これは、錯覚なのです。
そして、突然にグイッと上昇した銘柄を見て、「ああっ、目をつけていたのに……」と感じることもあります。
悔しい、なぜ買わなかったのか、なんて思うのですが、これも錯覚です。
ジャンケンでグーを出して、相手がパーで負けて、「いや、チョキかなぁと思ったんだ」というのと同じです。
サクサクッと多くの銘柄をチェックしている段階で目にしていた、あるいは、見てもいなかったけど知っている銘柄、といったことから、「目をつけていた」と感じてしまうだけのケースばかりではないでしょうか。
私は、低位株投資の「FAI投資法」において、銘柄選定のルールをカチッと決め、ブレがないように注意して分析しています。
低位株投資なので、「お宝銘柄を見つけよう」というノリです。
でも、ブレないように注意するということは、微妙な状況の銘柄は選ばない、ということです。「厳選する」イメージがないと、やたらと多くの銘柄をリストに並べるだけでおわってしまい、ちゃんとした銘柄選定が成立しません。
すると、「まだまだだと思っていたら、上がっちゃったよ」というケース、結果論では「逃した」といえる状況がたくさん生まれます。
こうして、一瞬は「あっ、逃した」と思ってしまうことをいとわず、嫌がらず、当然のこととして受け入れながら、こだわって厳選しつづける姿勢が、なによりも重要です。
少しでもゆるむと、やたらと手を出すダボハゼ投資家、ポジポジ病の世界に足を踏み入れます。資金はいつも余裕がなく、よく見ると口座は、なんとなく「ゴミの山」みたいな感じです。
計画どおり、ゆとりを残し、ブレずに売買すると、毎日、毎月、逃しまくるのです。
みんなで競争しているので、自分だけピシピシと期待どおりの結果を出すなんてムリです。神様じゃあないのですから。
ゆるりと、でもブレずに進みましょう。