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☆分かり合えば仲良くなれる? グローバル化は万人の利益?
米政府が留学生の締め出しに動いている。第二次トランプ政権は就任後の2月に連邦政府が予算を拠出するフルブライト奨学金やギルマン奨学金などへの助成を停止したことに続き、今度はハーバード大学から留学生を締め出す模様だ。
先週、トランプ政権はハーバード大学の外国人学生を入学させる資格を剥奪すると述べた。また、在校留学生らが他校へ転校しないと法的在留資格を失うと迫る一方で、この法律の厳格な施行を他校にも拡大するとも警告した。米連邦裁判所が同剥奪の差し止めを命じたことで、法律の施行は猶予されているが、トランプ政権のグローバル化への逆襲は各方面で進みそうだ。
ロイターによれば、2024年秋からの年度にハーバード大学で学んでいる留学生は6751人で全学生の25%以上を占め大学の大きな収入源になっている。うち中国国籍が20%、次いでカナダが11%、インドが9%と、この3カ国で留学生全体の4割を占めている。
トランプ政権がハーバード大学の学生・交流訪問者プログラムの認定を取り消すよう命じた理由として、国土安全保障省のクリスティ・ノーム長官は、ハーバード大学が「暴力、反ユダヤ主義を育成し、中国共産党と連携している」からだと非難した。
しかし、コロンビア大学への助成も、同大学がリベラル偏向だとして中止したように、この理由はハーバード大学に限らず、留学生を受け入れている他の多くの大学にも共通していることなので、ハーバード在校留学生らが他校へ転校しても、その大学でも受け入れ資格が剥奪されると、法的在留資格を失うことになる。つまり、留学生らは帰国を余儀なくされる。これは、トランプ政権によるグローバル化への挑戦の一環でもあるのだ。
フルブライト奨学金は、「国際的な相互理解を通じて平和を促進する」という理想のもとに創設された。グローバル化もまた、同じような理想のもとで、万人の利益に繋がるものとされてきた。
私自身も留学経験者だ。私は奨学金を受けていないが、当時のオーストラリアの大学はそもそも無料だった。そのため、親からの仕送りと、メルボルンにあった日本人補習校のアルバイト教員の報酬とで何とか過ごせた。
当時は欧州の大学進学率が低く、学問的には英国の影響下にあったオーストラリアの大学進学率は5%内外で、10数校の州立大学と、新設の国立大学が1校あるのみだった。それらの全てが、私がいた時代には完全無料だったのだ。当時、オーストラリアに私立大学はなかった。
確認のためにGeminiに聞くと、オーストラリアは「1974年から1989年まで:高等教育無料化時代」だとある。実際、私が支払ったのは年間140豪ドルほどのユニオンフィー(大学生協の会費のようなもの)だけだった。
また、現在のオーストラリアの主な私立大学は、ボンド大学(Bond University)1989年設立、ノートルダムオーストラリア大学(University of Notre Dame Australia)1989年設立、トレンス大学オーストラリア(Torrens University Australia)2012年設立だとあるので、1989年が転機であったことが分かる。
メルボルン大学への留学が私の人生に与えた影響は大きい。大学関係者の方々や学友たち、留学生仲間はもとより、旅先で知り合った人たちともいくつものいい思い出がある。また、帰国後に英系の外為インターバンク・ブローカーに入社したことが、その後の相場人生に繋がったことを鑑みれば、オーストラリア政府やメルボルン大学の関係者の方々には感謝あるのみだ。
そのこともあり、またニューヨークやロンドンで勤めたこともあり、私も国際的な相互理解が平和を促進する、グローバル化は万人の利益に繋がるとの「常識」を受け入れてきた1人だが、コロナ、ウクライナ戦争、ガザ虐殺、トランプ氏の復権などを目の当たりにして、疑問を感じ始めている。
グローバル化を通じて相互理解が深まったはずの世界で地政学リスクが高まり続けている。それだけではない。もともと相互理解が深いはずの内戦や内戦に準じるウクライナ戦争のようなものも各地で行われている。また歴史を振り返れば、最も多くの紛争や戦争は国内や隣国間で行われてきており、家族間での争いも稀ではないことを鑑みれば、相互理解と平和との関係は思っているほど強いものではないのかも知れない。
また、グローバル化が万人の利益に繋がるのなら、日本の地方の生活がどんどん貧しくなっていくのは何故なのか? トランプ支持のプアホワイトたちは、豊かになった米国から落ちこぼれたと嘆いているが、日本の地方は貧しくなった国の中で落ちこぼれていったのだ。のんびりと生きていた昔の人たちよりも働いているのに、日毎に暮らしにくくなって行くのだ。
豊かな頃の日本は海外に出かけて行ったのに、貧しくなった日本は豊かな海外のインバウンドを待っている。
地方に大資本が入ってきて、小資本の仕事を奪う。仕事がなくなって購買力が低下すると、大資本は引き上げていく。購買力の低下した地方は、購買力のあるインバウンドに期待することになる。経済面におけるグローバル化の本質はこれで、その頂点にいるのが中国政府と米国の大手ハイテク企業なのだ。
グローバル化は障壁のないバトルロワイアルなので、大資本が圧倒的に有利になる。そこに消費税や社会保険料の引き上げと、大資本、富豪有利の税制を組合せれば、貧富格差はどこまでも拡大する。そんな格差社会では、分かり合っても仲良くなれないかも知れないのだ。
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