情報整理と自己評価 | 株式投資「虎の穴」

毎日ゲットする情報の多くは、各種のメディアが発信したものです。
偏りのある情報なので、注意が必要です。
でも、いくら注意しても、脳内に流れ込んできます。そして蓄積されます。

たとえば円安が加速する場面では、ひたすら「円安によって起こるマイナス面」ばかり取り上げられるので、なんとなく「たいへんだ、たいへんだ」と不安になる人も多いでしょう。でも、円安によって、海外から訪れる観光客の消費、いわゆるインバウンド消費が増えるとか、輸出産業が潤うといったプラスの面を挙げることもできるのです。

こうした情報整理は大切ですが、いわゆる情報の軸は、私たちの脳内にあります。ちょっとした情報を入手して、それに対する感想とか評価を、無意識につけ加えます。

情報は、単に蓄積されるのではなく、与えられた価値判断に自らの価値判断を追加することで偏り、次の行動の指針に大きな影響を与えます。
自分の売買経緯や現在のポジションについても、常に無意識に評価し、その自己評価を脳内に蓄積しています。ここは、大きなポイントです。

自分では客観的に分析、評価しているつもりですが、頭のなかで考えているだけだと、不合理な感情にかなり左右されます。

例えば損切り
みんなで競争しているので、見込み違いなんてあたりまえです。
それなのに、自分だけバカなミスをした気分になり、「損切り=ミスの確定」という不要な発想で損切りのタイミングを先送りしたりします。

不要なダメ出しで、本当の意味のミス(適切な損切りをせずに損金を大きくする)をしてしまうのが人間です。でも、過大評価もあり得ます。

見込み違いがあたりまえなら、大幅利食いというナイスな結果にも、運・不運の要素がたっぷりあるはずです。それなのに、「100%自分の腕前」のように錯覚し、その後のトレードでムチャをする、なんてこともあります。当然、どこかで大ケガを負うのです。

自分に対してはネガティブな評価をしないよう注意してバランスが取れると思いますが、「自分が相場を動かした」というような錯覚、「値動きが見える」なんて慢心に注意し、チャートや自分の売買記録を見て、可能なかぎり客観視しようとする姿勢は不可欠です。

個人投資家は、とことん自由です。なにをやっても許されます。


前述したのは、自由すぎるゆえの混乱ですが、例えば難しい相場で取れなかったことについて、自分に対して安易なダメ出しをせず、寛容になることだって重要です。

私たち個人投資家は、組織に属するプロとはちがいます。
損を出したら全額を自分で負担するのですが、「今年は取れなかった。来年は取るぞ!」と考えたって問題はないのです。1カ月、四半期、1年といった区切りで第三者から評価されることなどないのですから。

私は、常に上向きの力を加えてポジティブな気持ちを維持することが欠かせないと思っています。個人投資家ですから、感情や感覚を上手に活用すべきです。
やり方、手がける銘柄の範囲などについて、ある程度まで整えることが前提ですが、私は「ワクワク感」を頼りに判断するケースがかなりあります。

チャートを見ながらワクワクしたらポジションを取るかわりに、ワクワク感がいまひとつだったら自分にブレーキをかけます。「儲かるかも」と思いながらも、ワクワク感満載でなかったら手を出さない──これがマイルールです。
ポジションを取ったあとワクワク感が薄れたら、とにかく手仕舞いすることを検討します。

プロ投資家と比較して個人投資家は、情報、売買環境など多くの点で不利といわれますが、プロにはない武器もあるのです。
情報をうまく整理すれば、その武器を生かすことができます。

売買活動の全般で、明るく前向きに考えましょう。
そうすれば、見込み違いのダメ玉だって、不要に重たい気分にならず適切なタイミングでサラッと損切りできるでしょう。損益に関係なく、買いポジションの売り手仕舞いは、次につながる現金化、次のチャンスをものにするための準備です。
 

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