「5月14日のブログ」↑ のつづきです。
「これは大チャンス!」とばかりにトレードサイズを大きくした結果、大きな損を被ることがあります。気合いが入っているだけに、「あれれっ」と感じても引くに引けなくなることが原因だったりします。
でも、「ここぞ!」という感覚そのものは大切です。
トレードシステムに頼ることで、「ブレやすい人間の感覚を売買に入れない」よう努める投資家もいます。
システムなら数式を見直すことで冷静に考えることができる一方、自分自身で自分の感覚や記憶を振り返るのが困難、と考えるからです。
その考え方は否定できませんが、私は、「実践者の意思」を大切にするべきだと思います。ひたすら数式で考えるということは、どこかで自分自身の存在を否定しなければならず、精神的につらいのです。
さらに、デリケートな変化に対応する姿勢が、薄くなりすぎる懸念もあります。
どちらの考え方を取るかはプレーヤー次第ですが、シンプルな数式を用いる中源線では、自分自身が積極的に参加することを、迷わずに「肯定」してもいいと思うのです。
『新版 中源線建玉法』にも、「自分を殺すことはつらい」と論じられています。
そして、中源線に慣れたあとという前提ですが、「ここぞ!」という場面でポジションを通常よりも多くする裁量が紹介されています。
もちろん、「ここぞ!」なんてハデな表現は使わず、「中源線と自分の相場観が合致したときに枚数を多くするやり方」と説明しています。
ほかにも、中源線を軸に、適切に自身の相場観をポジションに反映させる方法が解説されています。
書籍の「第4部 実践と実験」の第一篇を、あらためて読んでみてください。
『研究部会報』の連載「中源線実践リポート」でも、こういったデリケートな部分については繰り返し述べています。
「攻める」裁量に触れましたが、基本は「引く」裁量です。
「引く」「控える」ことが具体的な選択肢になっているからこそ、適切かつコントロール可能な「攻め」が実現すると考えるべきです。
「どこで攻めるか」という考え方だけでは、つい“絵に描いたような結果”だけを想像して攻めすぎてしまうからです。
メリハリをつける……これが、個人投資家の武器です。
個人投資家が扱う資金規模だと、とても小回りがききます。
そこそこの大きさのポジションだって、一気にゼロにすることが可能です。
(ファンドマネージャーには与えられていない、個人投資家の“武器”です!)
多くの投資家が、ひたすら膨らませて「ヤバい」と感じながら先送りしたりします。
せっかくの自由をマイナスの方向に使っているのですが、それこそ人間の弱さに起因する行動なので、逆に「引く」方向に偏らせる場面を想像することで、バランスのよいメリハリが実現するといえます。
「引く」という選択肢は、ポジション操作を行う最終段階の話です。「これを今日買いたいが、やめておく」とか、「迷うから持ち株を減らしておこう」といった判断です。
でも、もっと根本的な部分で「引く」、つまり相場をしばらく休むとか、たまには「相場をやめる」くらいの想像をしてほしいのです。
相場をやめる・・・これくらい極端なレベルで「引く」ことを考えてみると、自分が「なぜ相場を張っているのか」「なにが楽しいのか」「なにがゴール(到達目標)なのか」といった重要な事柄を、あらためて考えるようになると思います。
「なぜ中源線なのか」といった観点も浮かび上がり、「中源線の優れた点はなんだろう」と考える機会だって生まれます。
惰性、たんなる習慣になっている部分を捨てると、今までにない感覚で相場を考える機会が生まれるのではないでしょうか。
※研究部会報の発行は林投資研究所の助言サービスで、クーリングオフの対象です。利用に際しては市場の変動リスクが生じます。ご契約にあたっては、金融商品取引法第37条の3の規定によりお渡しする「契約締結前書面」の説明をよくお読みください。