チャートのヨコ軸を見る「プロの目」 | 株式投資「虎の穴」

チャート観察では、ヨコ軸の「時間」を大切にします。
時間の経過を無視してチャートのタテ方向である「価格」だけに目を向けると、見えるものも見えなくなってしまいます。
もちろん、正しく見ていたとしても、例えば2020年の急落(コロナショック)とその後の戻りを当てるのは困難でしたが、一般投資家の平均的な視点(=おそらく誤り)に合わせた一般的な相場解説を気にしていると、より上のステージに行くのは困難でしょう。

「チャートでなにを見るか?」と問われたら、どう答えますか?
「そりゃあ、値動きでしょ」ということですが、理屈で考えると、下に示す3つがポイントです。



値動きを「図」にすることで、上げ下げの変化が一目瞭然。
私たちが注目する「トレンド」がクッキリと浮かび上がります。

図にしているため、トレンドの「勢い」もよくわかります。
同じ上昇でも「急激な上げ」と認識したり、「ゆるやかな上げから直近で勢いを増した」なんて微妙な判断も可能です。

また、集合形で観察することで、トレンドの変わり目を察知しようとします。
「安値で三角形が形成されつつある。そろそろ上放れか」「二番底をつけて上げの素地が出来上がった」というような見方です。これが、3つめの「形(型)」です。

インターネットでサッと値段をチェックする場合も、ゆっくりとチャートを眺める場合も、最も大切なのは自分のポジションです。したがって、「買い値」と「現在値」というように、チャートのタテ軸に偏るのが当然です。

そこで、「ヨコ軸(日柄)に目を向けるようにしよう」という戒めが生まれるのです。

チャートは2つの要素で成立します。
タテは「価格の変動」、ヨコは「時間の経過」(日柄)。
たった2つしかないのですから、どちらかを無視したら適切な観察になりません。
先ほど挙げた3つのポイント、「トレンド」「勢い」「形(型)」はすべて、タテヨコ両方の要素を同じように扱うことで見えてくるものです。

余裕のない投資家は、相場が急落してうろたえたかと思うと、数日から数週間で「〇月末が安値だった……乗り遅れたか」なんて、わりと短期間の変化に目を向け、かつ、タテ方向の価格ばかりを気にしてしまいますが、ヨコ軸を考え、「もう少し長い期間で、微妙なトレンドの変化を予測しよう」という姿勢を提案したいのです。

下に示す値動きのイメージは、大きな下げのあと、再び上昇に向かうまでの変化を表しています。



値動きパターンはさまざまですが、このように「下げの末期が最安値」となるケースは多いと思います。また、目を見張るようなV字型の切り返しよりも、地味な底練りを経てから次の本格上昇に向かうことが多いはずです。

「今は最後の“ゆるやか”な底練りの手前にある戻り高値かもしれない」とか、「もっと手前かもしれない」……こんな発想が基本だと思うのです。
(それを承知で、あえて「買いだ」と判断すると、独自の戦略として成立します)

―5月9日のブログにつづく―
 

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