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☆米の世界戦略
1月26日付けの私の「英語のメルマガ」で取り上げているが、トランプ政権はキューバの体制変更を年末までにも行うと画策していることが分かった。それでなくても落ち込んでいる同国経済に海上封鎖によって止めを刺す一方で、体制内部に内通者を探し、親米政権を設立しようとするものだ。
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米国によるこうした工作はトランプ政権に始まったものではない。転覆工作が出来なかったイラクのフセイン政権は米国の攻撃により消滅した。アフガニスタンでは擁立したカルザイ政権の支持が得られず、タリバン政権に敗北して引き上げた。また、イスラエルのネタニヤフ政権は米国の支援なしには存在しないという見方も可能だし、ウクライナのゼレンスキー政権は2014年の親米勢力による武装クーデターから始まっている。
そうして見れば、ベネズエラのマドゥロ氏拘束後、ロドリゲス氏体制への移行が余りにも速やかだったことは、事前の根回しがあった可能性すら否定できない。
そのベネズエラ攻撃に先んじては、航空母艦ジェラルドRフォードと数隻の駆逐艦をカリブ海地域に移動させたが、今度は航空母艦エーブラハム・リンカーンや数隻の駆逐艦を中東に向けて移動させている。トランプ政権は、イラン周辺の海域を念頭に「万が一に備え、多くの艦艇を向かわせている」とした。
一方、国内各地で反体制デモが頻発しているイランでは、当局がデモ関係の死者が3117人に達したと発表した。うち、治安要員約500人とされているので、デモ隊の方もそれなりに武装しているようだ。最高指導者ハメネイ師は「米国が扇動している」と非難したが、過去の例や、キューバでの画策を鑑みれば、その可能性は大だと言えるだろう。いずれにせよ、イランも次の体制変更標的の1つであることは疑いがない。
トランプ政権とこれまでの政権との違いは、世界のため、民主主義、自由主義のためなどという大義名分を捨てたことだ。これを識者らは大変な時代となったとして危機感を煽っているが、私はそうは見ていない。日本などにとっては、大義名分に逆らうことよりも、MAGAに対することの方が、対応策があるからだ。有無を言わせぬ大義名分よりは、損得勘定の方が取引できる余地があるのだ。
例えば、グリーンランドでは、トランプ政権が「名を捨て、実を取る」取り決めを行った。アラスカ州より大きなグリーンランドを取得できれば、トランプ氏の名前は米国史に刻まれることになっただろうが、その引き換えにNATO解体では、実益が伴うとは言い難い。
NATOの予算は、米国が全予算の約3分の2を負担しており、2位のドイツ、3位の英国などは米国の1割以下しか負担していない。欧州諸国にとってNATOは重要だが、米国にとっても、ソ連崩壊後に加盟国をせっかく倍増させた、自国が主導できる組織を解体することがMAGAに繋がるとは言い難いのだ。
ロシアと向き合う欧州諸国にとってもNATOは維持したい、またデンマーク領グリーンランドの領有権を大国には渡したくないので、米国にグリーンランドへの「トータルアクセス」を確約することで、関税などの制裁を逃れることができた。
米国にとっても、欧州諸国を敵にまわしてはグリーンランドを維持することさえ困難になる。領有権は得られなくても、「何にでも自由に使っていい」のなら、また、NATOを使って守れるのなら、その方が利益となると言えるのだ。
確かにトランプ氏は非道だ。マドゥロ氏拘束は非難に値する。しかし、こうした暴挙でしか排斥できないことは、マドゥロ氏がそれなりの支持を集めていたことも示唆している。そんなマドゥロ氏を制裁するとの名目で、長年にわたりベネズエラを制裁し、同国民を苛め抜いてきたこれまでの政権も同様に非難に値するのだ。同じことは、対キューバにも、対イランにも言える。
つまり、トランプ政権は、これまで米国がひた隠しにしてきた「帝国主義的」な体質を、あからさまにしただけなのだ。そして、それは米国に限らず、中国もロシアもウクライナも、欧州諸国も日本も、ベネズエラやキューバ、イランなども、本質的には同じなのだ。それが「力による平和」の現実で、非武装中立などという国がないように、それが国防の現実だと言えるのだ。
トランプ登場でも、本質は何も変わっていない。建前がなくなり、覆いが取れたことで、より露骨に、分かりやすくなっただけなのではないか。
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