2月9日放送のフォローアップ(2)
林 知之

資金管理って何?
~実はシンプルなバランス感覚~

マーケット・スクランブル、2月9日の放送は「値動きルールに基づく売買の実際と注意事項」というテーマでお送りしました。そのフォローアップ(2)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第54回 値動きルールに基づく売買の実際と注意事項 ~中源線の特長と現実の難しさを考える~

運用の業界いる人間の多くは、「資金管理が大切」「多くの人は資金管理をおろそかにしている」といいます。でも、ちょっと取っつきにくい、どこからスタートすればわからない、と感じる人が大半ではないかと思うのです。

難しいことを考えるときこそ、当たり前の日常生活を当てはめてみましょう。

トレードの資金には限界があるので、資金管理とは「バランスの良い配分」です。
月の小遣いが5万円なのに3万円以上も払うような店で飲んだら、一晩にしては使い過ぎです。年収が1,000万円あるのに家族4人で4畳半一間のアパートに住んだら、ちょっと節約し過ぎです。

このような、自然と身についたバランス感覚を当てはめてみるのが第一です。

トレード資金は、取引口座に固定しておくべきです。出したり入れたりせずに金額を固定しておけば、例えば「自分は500万円を運用している」と意識できます。そして、「現在、6割を使って買いポジションを取っている」といった具合に、現状を数字で認識できます。

そして、適切な稼働率を考えます。
値動きの荒い個別株のトレードで、信用取引枠いっぱいにトレードしたらやり過ぎ? 変動率の小さいドル/円のトレードで、レバレッジをかけなかったら抑え過ぎ? 地味な低位株を現物で買うだけなのに、資金の半分も使わないようではこわがり過ぎ?
こんなふうに想像しやすい範囲で考えるだけで、資金管理の土台が出来上がります。

実際には、事前に利益の可能性と損失の可能性を考えてポジションサイズを決めるなど、細かい計算があるのですが、大枠を把握するところがスタートですね。

誰でも、自分の収入、資産額、目指す利益などを基に、トレードに充てる金額を決めるでしょう。預金から手元の現金まで、すべてをトレード口座に入れてしまう人などいないはずです。手仕舞いが予定より遅くなっただけで、ガスや電気が止められたり、晩ごはんの材料を買えなくなってしまいますから。

最後に、常識的なバランス感覚につながる考え方をひとつ、ご紹介します。
「運用」とは何かということです。

利益を取るための「攻め」だけを想像してしまいがちですが、本来は「守り」です。
現金で持っていると、自然なインフレで目減りします。だから、金利を稼ごうと考えてみたり、モノに換えておこうという発想が生まれたりするのです。モノとは、株、不動産、貴金属、外貨、などですね。

こうして、現金の価値低下を抑える「守り」を固めたうえで、もう一歩積極的に行動しようというのがトレードです。逸脱すると、バクチと呼ばれる危険な行為となってしまうのです。
状況によっては攻めるのですが、難しい局面で「やらない」という選択肢も大切です。

中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

中源線研究会
 登録(無料)だけで、中源線シグナル配信(近日サービス開始)で一定の情報を閲覧できます。

2月9日放送のフォローアップ(1)
林 知之

順行か逆行か
~トレードに必要なのは「希望」ではなく「仮説」~

マーケット・スクランブル、2月9日の放送は「値動きルールに基づく売買の実際と注意事項」というテーマでお送りしました。そのフォローアップ(1)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第54回 値動きルールに基づく売買の実際と注意事項 ~中源線の特長と現実の難しさを考える~

株式市場では下げを警戒する向きも多いようですが、日経平均をはじめとする指数は強い動きといっていいでしょう。ただし、個別銘柄の動きがさえません。循環する動きがないのです。だから盛り上がりに欠け、それほど悪くないにもかかわらず不安心理が強まってしまうのではないでしょうか。

さて、「利益を得るためにリスクを取る」というトレードの原則を承知していても、逆に動いてしまう不安は常にあります。当然のことだと思います。

ですが、やるからには、「上がる」と信じて買うか、「下がる」と確信して売るか、どちらかを選択する必要があります。
でも、そこにこそ不安があるのです。本当にいいのかなぁ……と。

トータルで利益を得るためにリスクを取り、個々のトレードでは損をすることも辞さないのですから、見込み違いや小さな損失を受け入れるべきです。

だから、トレードの基となる予測は、とりあえずの想定であり、仮説であり、ポジションを閉じるタイミングを決めるための“基準”でしかないのです。
買ったあと「上がってくれ~」、売り建てしたあと「下げてくれないとタイヘン!」と個人の都合を前面に出すのではなく、自分の仮説が正しかったかどうかを第三者的に判断して次の一手を決める姿勢が正しいのです。

中源線は、常に買い線(陽線)か売り線(陰線)に色分けされます。
つまり、現在のトレンドを明確に想定するところから始まります。

日々の動きで変動する評価損益を見て一喜一憂するのではなく、買っているときなら、「上がれば順行」「下がれば逆行」と落ち着いて現実を受け入れる姿勢が生まれるだけで、トレードの質は全くちがったものになると思います。

中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

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相場師インタビュー
“プロギャンブラー”のぶき 6/6(最終回)

「トビラを開ける前に勝負を決めろ」

プロギャンブラーのぶき

プロギャンブラー

新井乃武喜(あらいのぶき)

文: 林 知之
林投資研究所『研究部会報』2013年11月号掲載


第5回からの続き……

6.決め手は「本気度」

 

──マーケットでは「売りだ」と確信する人と「買いだ」と確信する人がいて値段がつくので、売りと買いとどちらが正しいかという議論が成立しない部分があります。判定があるとしたら、その人の手法や好みによるものです。ギャンブルでは、どうなのでしょうか?

 「売りか買いか」にピッタリとくるものをすぐに思いつきませんが、プレースタイルの違いはありますよね。例えばポーカーのプレースタイルで、タイトかルースか、という分け方があります。タイトは比較的強い手のときしか勝負しませんが、ルースはそういう絞り込みをしません。あるいは賭け金の出し方で、アグレッシブ(積極的)なのかパッシブ(消極的)なのか、という違いもあります。
 どちらが優れているとか、どちらが正解なのか、ではありません。どっちも正解なのです。要するに自分の好みで手法を決め、その手法でゲームを実行するだけです。
 僕は、「波を抑えるのがプロ」だと考えています。個々の勝ち負けによって、波が生まれます。タテ方向のブレですね。これを自分の想定内でコントロールするためにテクニックが必要なのですが、それを支えるのがメンタル的な本気度です。

──本気度とは、先ほどの「どうしたいのか」ということですか?

 そうです。ギャンブルやトレードで勝とうというのなら、本気で勝ちにいく気持ちが何よりも大切だと思うのです。1週間何も食べなかったら、食べ物が出てきたとたんにがっつきます。3日間水を飲まずにいたら、目の前に水が出てきた瞬間に飲み干します。こういった気持ちがあるかどうかだと思うのです。
 「絶対に勝つんだ!」と本気ならば、セオリーの勉強に取り組むことができます。セオリーを学んで結果が出れば、そこで自信がつきます。でも、自分を追い詰めることではありません。勝つために100の努力が必要だとして、10では意味がないとまでは言い切れません。たとえわずか1の努力でも、ゼロの状態とは全く違います。
 ちなみに僕が株で負けたときは、努力も本気度もありませんでした。簡単に儲かるのなら、誰だってやりますよね。もちろん割と簡単に儲かる場が生じることってありますけど、そこにはすぐに人が群がってきて勝ちにくい場になってしまいます。

──そういったメンタルも技術も、自分でつくっていくものだと思います。

 他人の手によって完成されたマニュアルでは、安心できません。そのまま使っても勝てるかもしれませんが、それが続くことはないでしょう。だから自分の手で、さらに上のマニュアルを作っていくしかない。トレードもギャンブルも、偏差値社会とは一線を画した世界ですから。

──ところで、のぶきさんにとって「自信」とは、自分を高めに評価することですか?

 いえ、先ほどのポジティブとネガティブの件と同じで、ニュートラルに考えます。努力によって高めていくことが前提ですしポジティブ思考も重要ですが、現在の自分の実力を正確に知ることが基本だと思っています。

 例えば「去年よりも勝っている」という状況は、実力が上がったのかもしれないけど、タテ方向のブレが一時的にプラスに傾いているだけかもしれない。実力が上がったのなら、それに応じた自信を持つべきです。でも実力が上がっていないのなら自信はそのまま、現在の自分を正しく評価したレベルに置いておくべきです。そして時間がたち、昨年と同じくらいの結果に収束して「やっぱり」となっても、それはそれでいいと思うんです。
 それとは別の部分に本気度があり、努力して、相手に勝とう、先月の自分に勝とう、去年の自分に勝とうというエネルギーが生まれたら、それはステキなことだと思います。

 インタビューのあと一緒に食事をしながら延長線のような談議をし、その中で「ギャンブルとは何か」という話題が出た。「ギャンブルは株に似ている」がインタビューのきっかけだったが、そうではなく「株のトレードがギャンブルに似ている」のではないかということになった。株を買って持つのはれっきとした経済行為だが、ある線を越えたら危なっかしい行動になってしまう。働きながらローンを組んで家を買うのはごくふつうの行為だが、代金の8割が30年のローンというのは、考えようによっては非常に危険な行為といえなくもない。
 以上の説明は、「ギャンブル=アブナイ行動」ということが前提である。だが新井氏はギャンブルを仕事と位置づけ、その通りの行動で結果を出している。いろいろな言葉遊びが可能だが、15年間ギャンブラーとして生きてきた彼は、ギャンブルに関しては極めて数学的に考え、情緒的な思考を持ち込まない。それに、ゲンをかつぐようなこともしないという。
 彼と証券業界の人間を比べてみると、証券界の人間のほうが泥くさいし、「金融」の2文字とはそぐわない不合理さが目立つような気がする。相場の世界にいる者は、もしかしたら人恋しさのために情緒的になり過ぎるのかもしれない。それに対して新しい理論でトレードに臨む人たちは、計算できない部分まで計算で片づけようと極端になっていることもありそうだ。
 新井氏のギャンブル哲学を基に、トレードや資産運用についての自分の答えを見直すことも面白いと思う。

<新井乃武喜氏のインタビュー、終わり>

このインタビューは2013年12月11日に林知之が行い、林投資研究所が発行する『研究部会報』2013年11月号に掲載したものです。


プロギャンブラーのぶき(新井乃武喜)
15年間カジノに勝ち続けたお金で、世界82カ国を旅し続ける。震災後、被災地のボランティアのために一時帰国したところ、「ギャンブルの勝ち方が金融トレードに通じる」と評判になり、投資関係者からのトーク依頼や執筆の依頼が激増、現在も日本にステイ中。

1月5日放送のフォローアップ(4)
林 知之

大橋さんに叱られる!
~自分の都合でトレードするな~

マーケット・スクランブル、1月5日の放送は「中源線建玉法の特長」について説明しました。そのフォローアップ(4)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第52回 中源線建玉法の醍醐味 ~使いやすいシンプルなルール~

番組の中で不定期にお送りしているコーナー、「一刀両断 投資相談。大橋さん叱って~」の内容について、あらためて説明します。

まずは今回の相談者、T・Iさん(東京都、男性)の相談内容を確認してみましょう。

アベノミクスのおかげで2013年は、日経平均が50%上昇するなか、わたしの持ち株は2倍以上になった銘柄も多く、投資資金を2倍近くまで殖やすことに成功しました。

2014年、資金がちょうど2倍になったら一度仕切ろうと思っていたのですが、年初の急落に見舞われました。年の後半の上昇トレンドに乗って2倍になった銘柄を利食ってみたのですが結局、1年を通じて資金の倍化を達成することができませんでした。

黒田バズーカ第二弾のあとも、手持ち銘柄の伸びは思わしくなく、利食った銘柄ばかりが新値をとっているようです。

一度ポジションをマルにするか、手持ちの銘柄で辛抱強く待ち続けるか迷っています。

2013年の成績は、素晴らしいの一語に尽きます。リスクの取り方にもよりますが、かなり優秀な結果であることにかわりはありません。
でも今後のことを考えると、ツッコミどころがあります。

1つめは、「2倍」という数字、言い換えれば“自分だけの都合”にとらわれている点です。
「ほぼ2倍」になったので、キリよく「ちょうど2倍」にしたいという気持ちは、とてもよくわかります。それに、目標を持つことは重要です。でも、マーケットには存在しない個人の都合を前面に出し過ぎてはいけません。

2つめは、2014年の対応です。
日経平均の上昇率は10%程度、個別銘柄の動きはまちまちだったので、弱いもの(出遅れた銘柄)を残した人は報われなかったのではないでしょうか。でも、絵に描いたような全面高にならない限り、常にそうだと思います。弱い銘柄に計画外のナンピンを入れて数を増やし、順調な流れの銘柄を「下がらないうちに……」と手仕舞っていると、パフォーマンスを下げたうえに“手の内はダメ玉ばかり”となってしまうケースが多いはずです。

勉強を頑張り、真剣に値動きに対応するためには、自分自身の都合でガッツリと考えることが不可欠です。

でも具体的な行動については、マーケットの動きを素直に捉えて“流れについていく”姿勢が求められるのです。

大橋さんに叱られたい人は、ご相談をお寄せください。
「講師への質問」で私、林知之をご指定ください。
ちなみに私は、番組前の打ち合わせでいつも叱られています(^_^;)

中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

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相場師インタビュー
“プロギャンブラー”のぶき 5/6

「トビラを開ける前に勝負を決めろ」

プロギャンブラーのぶき

プロギャンブラー

新井乃武喜(あらいのぶき)

文: 林 知之
林投資研究所『研究部会報』2013年11月号掲載


第4回からの続き……

5.「どうしたいんだ」という自分の答え

 

──卒業旅行の時、「ゴール(目標)設定が必要だと考えた」とのことでした。でも日常では、あいまいになってしまうケースが多いと思います。

 トレードもギャンブルも“もろにカネ”のことなので、なんとなく「勝ちたい」みたいになりがちです。でも「たくさん勝つほうがいい」とか「あればあるほどいい」では、具体的な成功の映像になりません。ですから、まずは「どうしたいのか」という自分の望みを明確にすることだと思います。
 かなり派手な例ですが、「勝ち続けて100万円を3年で1億円にする」といった明確なゴールがないと始まりません。その成功している映像があれば具体的な方法、つまりプランが生まれます。100万円を1億円というのは、元手を100倍にするということです。同じ期間で100万円を200万円、つまり2倍にするのに対して50倍高いゴールなので、難易度は50の2乗で2,500倍になると僕は考えます。すると、それだけリスクの高いゴールを実現するためには、いったいどんなプランがあり得るのか、となるわけです。
 ただ「勝ちたい」「儲けたい」だと、最初から自分の答えがないわけですから、誰かが何かを教えようとしても物理的にムリだと思います。林さんのところにも「どれを買えばいいですか?」って人が来るのでしょうが、たぶん返事を工夫することになりますよね。

──まずは、「体感する」ことを提案します。マーケットの価格が時間の経過の中でどう動いていくのかを、チャートにして眺めてみるということです。

 おお、「見」(けん)ですね!

──それから、一定の準備をしたあとは実践です。実際に資金を動かしてみないとわからないことがたくさんあります。シミュレーションを繰り返しても、臨場感がゼロですから。

 同感です。僕も、「1円でもいいから賭けろ」と言います。おカネがかかっていないと、人間は真剣になりません。机の上で理論を考えて「勝った、負けた、ほほお」なんてやっていても、時間のムダでしかありません。
 いま住んでいる都内のシェアハウスで、「ダイエット部」というのを作ったんです。みんなで目標を決めてダイエットに励むのですが、負けたら10時間労働とか、住人が出し合っている運営費の負担が増えるとか、そういう罰則を設けています。勝ち負けに対して、本当に真剣になりますよね。

──でも実際には、“おカネ”をどの程度まで意識するのかが問題だと思います。真剣になることは必要ですが、決断の際に1万円札を思い浮かべていたら萎縮しちゃいますから。

 トップギャンブラーの言葉で、「おカネだと思ったら負ける」というのがあります。「ベンツ1台分負けた」なんて言葉を頭の中に浮かべてしまったら、残りのギャンブラー人生はずっと負け組だよって。
 ほかにも、「ギャンブルとしてではなく、ビジネスとしてやれ。そうでないなら、オレがつぶすぞ」なんていうのもありました。マインドセット、心の持ちようですね。

──トレードでもギャンブルでも、行動し始めたあとはおカネを意識したらバランスが悪くなるんでしょうね。

 僕も、ふだん使うおカネとギャンブルの際に賭けるおカネを、完全に分離して考えます。日常は1万円の買い物なんてあまりしませんし、ベガスにいるときも1カ月で8万円くらいしか使いません。でもギャンブルの場では、確率と自分の戦略に応じて100ドル(約1万円)単位のチップをポンッと出すことができます。ビジネスの場での“数字”の問題として処理できるわけです。

──ギャンブルの場合は目の前の相手との駆け引きもあるので、難しいように感じます。

 ポーカーで手がない、つまり手持ちの札に何の役(やく)もない、いわゆる“ブタ”の状態で勝ったことがあります。相手にワンペアでもあれば僕の負けなのですが、相手もブタだと読んで勝負に出たんです。
 ブタ同士だった場合、最も強いエースが手札にあるほうが勝つのですが、その時はエースを1枚持っていたんです。だから相手もブタならば勝てるという状況だったわけですが、まずは自分の手がブタなんですから根本的に分の悪い勝負ですよね。でも少し前に、その相手がハッタリをしようとしてやめた時があったんです。その流れから、「今あらためて、ハッタリをやりたいんだ」と読んだので、すでに場に出した賭け金をあきらめて勝負を降りるのではなく、相手の要求に応じて上乗せしたのです。
 観察によって確率的に勝てるという計算があり、それがうまく当たったということなのですが、そういうときにも数字で割り切って行動します。ビジネスですから。

──トレードも他人との競争ですが、ふだんの作業としては「買うか買わないか」みたいな選択の問題として片づけます。それが勘違いを生むところでもあり、トレードをシンプルにしている特徴でもあると思うのです。

 ギャンブルにも、そういうとらえ方というか、同じ要素があると思いますよ。先日、「インターネットのギャンブルに挑戦してほしい」というオファーがあったんです。インターネットを通じてポーカーをやるので、相手の顔が全く見えないわけです。同じとはいえないかもしれませんが、ふつうのポーカーよりはトレードに近いんじゃないでしょうか。
 その時も、いつも通りにゲームを進めました。「結局は自分との戦い」だと認識して、自分のやり方の中で“勝ち方”を見つけるしかないと思ったのです。
 常に、どういう流れでどう行動するのかとシンプルにまとめておかないといけません。でも、時間軸は外せません。どれくらいのヨコ幅(時間)でいくら勝つのかと時間軸で考えることで、自分の行動をコントロールできるようになるはずです。

──トレードでは事前に考えますし、ひとつのトレードが終わったら次のトレードまでじっくりと考えたりすることも重要です。でもそれは、いざというときに一瞬で適切な判断をしたいからです。

 僕も、わずか2分の勝負について、あとで3、4時間も考えることがあります。勝負の場ではポンッと行動してしまうしかないのですが、分析する時間は大切です。あのプレーは正しかったのか間違っていたのか、あのプロだったらどうしただろうと、いろいろな角度から考えるんです。

──ギャンブルもトレードも自分との戦い、なんてまとめ方は乱暴ですかね?

 そうでもないと思います。多くの人が口では「儲けたい」「勝ちたい」って言いますが、意外と努力していません。だから、他人に勝つのって割と楽なのかもしれないんです。
 それよりも、自分自身のことを考えて自分の答えを持つというイメージが重要ではないかと。僕はいつも、「先月の自分に勝つ」という考えを軸に行動するよう努めています。

──先月の自分に勝つ、ですか?

 そうです。例えば今、学生が集まるイベントの講演を頼まれる機会が月に1回くらいあるのですが、「今回は、前回を上回るトークをしないとダメだ」って考えます。ボランティアで来てほしいという申し出でも、全く同じように考えています。
 もちろんギャンブルでも何でもすべて、同じように考えていきます。

第6回(最終回)につづく>

このインタビューは2013年12月11日に林知之が行い、林投資研究所が発行する『研究部会報』2013年11月号に掲載したものです。


プロギャンブラーのぶき(新井乃武喜)
15年間カジノに勝ち続けたお金で、世界82カ国を旅し続ける。震災後、被災地のボランティアのために一時帰国したところ、「ギャンブルの勝ち方が金融トレードに通じる」と評判になり、投資関係者からのトーク依頼や執筆の依頼が激増、現在も日本にステイ中。

1月5日放送のフォローアップ(3)
林 知之

「中源線研究」とは
~「道具」を“使える”のが実践者~

マーケット・スクランブル、1月5日の放送は「中源線建玉法の特長」について説明しました。そのフォローアップ(3)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第52回 中源線建玉法の醍醐味~使いやすいシンプルなルール~

前回、フォローアップ(2)の終わりで次のように述べました。

利用する人の「実践力」「実行力」「有効な経験」になるものとして、「中源線研究」におけるシグナル配信を実施します。

「私たちの情報を買えば、カンタンに儲かります」「このロジック(数式)を使えば負けなしです」──こう言わんばかりの宣伝文句を目にすることもありますが、そんなものがあったら世界中のカネがたった1人のところに集まる、いや、そもそも金融マーケットが成立しないことになります。

個別企業の材料でも、その時々で反応が異なります。円高と円安、どちらが好材料かというと、時代でプラスマイナスが逆です。ファイナンス(資金調達)の発表で値上がりしたのは80年代、最近までは驚くほど売られるケースばかりでした。

数式で値動きを分析して将来を予測する場合も、同じです。ある小さな法則が見つかっても、しばらくすると機能しなくなるでしょう。同じことを多くの人が発見した段階で、それは儲かる法則ではなくなるのです。

うまく当ててやろうとばかり、あまりに細かく考えてしまうと、「先月まで通用した法則」で今月も来月も勝負することになりかねません。

“ユルい”ところもあるけど、ぼちぼち効く、長期間ゆる~く機能する、といったシンプルなロジックを基に、ポジション操作や資金管理でバランスを取って結果を出していくのが現実です。これが、最も実用的かつ実践的な考え方なのです。

中源線も当然、こんな考え方で構築されています。
どこかもの足りないようだけど必要十分で、ブラックボックス化せず常に自分の感覚とつながっている。だからファンが多いのです。

とはいえ、「あと1つ何かを足したい」と考えるのが人情。そんな余分なことをしない場合でも、合う銘柄と合わない銘柄、機能する相場つきと機能しない状況、等々、悩ましいことばかりです。

そこで、中源線をどう認識するか、中源線のどの部分を生かすか、といった議論になってくるわけです。

中源線に限らず、裁量でもトレードシステムでも、百発百中の“打ち出の小槌”なんてあり得ません。統計や数式に強く依存するのではなく、実践者として自立した姿勢を持ち、数式を道具として使いこなすことが求められます。

みなさん、ぜひ中源線研究会に参加してください。プレーヤー同士でアイデアを共有しながら実践的な研究を行い、実行力を高めていきましょう。

中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

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相場師インタビュー
“プロギャンブラー”のぶき 4/6

「トビラを開ける前に勝負を決めろ」

プロギャンブラーのぶき

プロギャンブラー

新井乃武喜(あらいのぶき)

文: 林 知之
林投資研究所『研究部会報』2013年11月号掲載


第3回からの続き……

4.10年続けるシゴト

 

──ギャンブルにおけるマネーマネジメント(資金管理)を、詳しく説明してください。

 「勝つためにやる」を実行するには、マネーマネジメントが欠かせません。ちょっとしたプラスの要素があれば1年間勝つのは簡単かもしれませんが、5年後はない、10年後は絶対にあり得ないでしょう。
 難しい計算は抜かして説明します。100円を賭けて勝ったら200円になる、負けたらゼロになる、という勝負で勝つ確率が51%ならば持ち金の2%ずつ賭けます。確率52%ならば4%ずつ賭けます。もちろん、50%以下の場合には賭けません。
 勝率のわずかな差を、どう利用するのかが重要です。いま言った状況に100万円の資金で臨んでも、1回に10万円賭けることはありません。100万円の資金に対して2万円とか4万円と、小出しに賭け続けるのです。プロが絶好調のときでも、こういった数字が限度なんですよ。勝率52%として、100回やれば48回は確実に負けるわけですから。
 100万円の資金で4万円ずつ100回賭け続け、48回負けて52回勝てば、勝ちと負けの差は4回ですから4万円×4回で16万円のプラスが生じている──勝つためのギャンブルというのは、こういう地味な作業が基本です。

──システムトレードにも、全く同じ考え方が用いられています。淡々と進めるだけなんですよね。

 はい、一喜一憂することはありません。プロだから勝つのが当たり前ですし、勝たなければいけません。ちょっと勝ったからといって、「わ~い」なんて喜んでいるようではダメです。勝った要因を考えながら、すぐに次の勝負に目を向けています。それに10万円勝ったときにほかのプロが20万円勝っていたとしたら、それは「10万円勝ち損ねた」「10万円のロス」ではないかと考えて原因を追及します。場を見切れていなかったのか、勝ちを喜んでしまったからか、というように。そして、自分のスタイルではもう少しいけたとか、もっと早い段階でやめるべきだった、などと熟考していきます。

──システムトレードで休みなく張り続けるのではなく、私が実践している裁量トレードでは小さな勝てる可能性を捨て、「これは取れる!」というところだけで仕掛けることを大切にします。

 ギャンブルでも、例えばポーカーのようなゲームならば同じです。僕は、「ガマン強さ」を意識していますよ。
 勝てるかどうかがわからないところでは、絶対に勝負しません。林さんの言う「捨てる」ですよね。わからないときにやってばかりいると、肝心の“勝ち時”が見えなくなってしまうんです。52%勝てるという状況をすべて捨ててしまうわけではありませんが、そこでチマチマと勝つことだけを考えずに、60%勝てるチャンスを見つけて勝負にいく気持ちは重要です。

──トレードもギャンブルも簡単に参加できるので、つい準備不足でスタートしてしまう人が多いと思います。株ならば、面白そうな銘柄を見つけたら買って、買ったあとで心配したり調べ始めたりするケースがよくあります。

 「見」(けん)という言葉があります。もともと何かのギャンブル用語だと思いますが、「場の流れを見る」という意味です。
 勝負に入る前に場の流れを読んで、どうすれば勝てるのかを考えるのです。カジノに行けば誰かが勝負していますから、そこに加わる前に彼らの勝負を、彼らよりも真剣に、全くまばたきもしないくらいの気持ちで細かい流れまで観察するのです。これが「見」です。
 トレードならば、チャートを見て戦略を考える作業ですかね。

──場を読む前に、自分のことを考えるのも重要です。自分の意思で休むことができるので、例えば体調が悪かったら、チャンスだと思っても手を出さないとか。

 ギャンブルで面白い例は、失恋したときですね。勝率80%を誇るようなスゴ腕のプロであっても、失恋したときには勝率20%の大カモになってしまうんです。そんなときに勝負したらいけないのですが、彼女がいなくなったからほかにやることがない、今まで勝っていた、だから勝負しにカジノに来たなんてことになれば、状況を知った人間たちがハイエナのように群がってつぶしにかかりますね。心配事はちゃんと片づけておかないと、絶対に勝てません。
 僕がベテランのプロによく言われたのは、睡眠のことです。「ノブ、ちゃんと寝てるか?」って。寝不足の状態で勝負なんてしたら、始める前に負けが決まっている状態です。そんなふうに自分で敗因をつくってしまうなんて、何が何でも避けなければならないことですからね。シゴトとしてのギャンブルなので、休むのも寝るのもシゴトの一部なんです。

──ギャンブルもトレードも、自分の意思で区切りをつけなければなりません。勝っても負けても、どこかで区切って休みますよね。トレードでは、意図的に休むことが大切だと私は考えていますが。

 ギャンブルでいうところの、勝負の“やめ時”ですね。僕の場合は、良い波が来たところでやめて、メシを食いに行ったりします。集中力を高めるために、勝負の前に食事を取りませんから。
 例えば10時間以上負けてて最後の30分で勝ったら、あるいは最初の30分でポンポンとうまくいったら、そこでいったん休んでしまうんです。

──「良い流れが来た。よし、ここから」とはならないのですか?

 そう考えるプロもいますが、僕は違います。感情的に「よし!」と思っても、それで実際の勝率が上がったとは限りません。過信した結果、次に負けて勝ち分を吐き出してしまったら勝つための行動ではありませんから、そんな流れになってしまうことを嫌ってリスタートします。
 プロが100人いたら、やめ時も100通りあるんです。ただし、それぞれのプロが事前に決めていますよね。その場の気分で決めるのではなく、確実に勝つための戦略として決めているんです。
 でも僕は、そのやめ時を常に考え直すことも必要だと思います。自分の手法や経験値などいろいろな要素がありますが、それを踏まえて「このやめ時で正しいのか?」と自分の選択を疑っていく姿勢です。プロギャンブラーとして15年間やっていますが、毎日行うべき大切な作業だと思っています。

──感情は重要なので、私はポジティブとネガティブの使い分けを考えます。最初に計画を立てる段階、具体的な戦略を考える段階、いざ実行する段階と時間的に分け、ポジティブとネガティブのどちらを強めるか、と整理しています。そのへんは、どうでしょう?

 僕は現実の確率とリンクさせて、「勝率60%ならば60%ポジティブに」というようなイメージです。でも、ポジティブとネガティブの両面から見ていってトータルで考えていくのが、本当の勝ち方だと思いますね。

──負けているときに感情がネガティブになり過ぎるからやめる、という考え方はありますか?

 それは、ありませんね。負けているときは逆に集中できますので、続けることが多いのです。
 時間とか結果よりも、集中できているかどうかが大きなポイントかもしれません。

 

 新井氏は、「勝負の前にはメシを食わない」と言った。トーク番組に参加してくれた時も“大切な場”という意味で「勝負だ」と、夜7時半から9時過ぎまでの生放送にもかかわらず食事をしないで現場に来た。一匹狼だから自分を大切にするのは当然だとしても、周囲の人も大切にして丁寧に扱う。
ギャンブルとトレードの相違点として先ほど、「直接対決かどうか」という観点を示した。そして、トレードでは甘えてしまう部分があるかもしれないと述べた。その甘えかもしれないと感じたのは新井氏が説明した“やめ時”、トレードにおける「手仕舞い」に対する考え方だ。利食いでも損切りでも、手仕舞いのタイミングは自分で決める。そのタイミングによって損益が大きく変わるのだが、私たちトレーダーは、新井氏が「毎日行うべきだ」と強調するほど真剣にトレードと向き合っているのだろうかということだ。
また、人の扱い方という観点でも考えてみた。ギャンブラーというのは縁遠い存在だから、どうしてもドラマや映画の誇張された描かれ方から“冷酷非道”などといった極端なイメージを先行させてしまうが、少なくとも新井氏はとても人に優しい人物である。翻って、自分を含めたマーケット関連の人間を見ると、価格とカネしか見ていない人がいたり、多くの人にそんな要素があるような気もしてくる。
残念ながら現在の日本にはカジノがないが、新井氏のような人を師匠としてギャンブルを学ぶことができたら、トレーダーとしての強さが増すのではないかと感じてしまった。

第5回につづく>

このインタビューは2013年12月11日に林知之が行い、林投資研究所が発行する『研究部会報』2013年11月号に掲載したものです。


プロギャンブラーのぶき(新井乃武喜)
15年間カジノに勝ち続けたお金で、世界82カ国を旅し続ける。震災後、被災地のボランティアのために一時帰国したところ、「ギャンブルの勝ち方が金融トレードに通じる」と評判になり、投資関係者からのトーク依頼や執筆の依頼が激増、現在も日本にステイ中。

1月5日放送のフォローアップ(2)
林 知之

“ブラックボックス”を疑え!
~カラクリを知ることで未来が決まる~

マーケット・スクランブル、1月5日の放送は「中源線建玉法の特長」について説明しました。そのフォローアップ(2)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第52回 中源線建玉法の醍醐味~使いやすいシンプルなルール~

林投資研究所の「中源線研究会」では、中源線の判断によるシグナル配信をスタートする予定です。

最近はシステムトレード、つまりルールを数式化したトレードを行う人がとても多いようです。その中で、興味あるシステムの「シグナル配信」サービスを利用する人も増えているはずです。

でも、ちょっと待ってください!
シグナルの基となるシステムについて、ルール(ロジック)を理解しているのでしょうか?

システムの中身を知らずにシグナルだけを受け取るということは、「売り」「買い」と判断した理由がわからないまま、それを推測する情報も希薄なままで、大切な資金をマーケットに投じるということです。

どうしても「当たった」「外れた」と表面的な結果で評価するだけになり、将来のことをきちんと考えるのは難しいでしょう。

そしておそらく、負けが続いたとき、ほかに面白そうな(もっと儲かりそうな)シグナル配信を見つけたときに、それまで使っていたものを中止して乗り換えることになります。ところが、乗り換えたとたんに以前使っていたシグナルがピタッと当たり始めた……こんなことを繰り返していると、永遠にさまよい続ける“相場難民”になってしまいます。

番組では、料理を例に説明しました。

「ガスの調節つまみを左に動かした → 鍋の中の料理が焦げた」

調節つまみを左に動かすと火が強くなる、鍋の温度が上がる、焦げやすくなる……こういう因果関係は誰にでも理解できます。
でも中身がわからないシステム、つまり“ブラックボックス”状態で売り買いの判断だけを受け取っていると、「このつまみを動かすと、どうして焦げるんだろう?」「逆に動かすと、どうなるの?」と謎を抱えたままになってしまうのです。

中源線は、ルール(ロジック)を公開しています。
しかもシンプルなので、感覚とリンクさせて使うことが可能です。
利用する人の「実践力」「実行力」「有効な経験」になるものとして、「中源線研究」におけるシグナル配信を実施します。

中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

中源線研究会
 登録(無料)だけで、中源線シグナル配信(近日サービス開始)で一定の情報を閲覧できます。

相場師インタビュー
“プロギャンブラー”のぶき 3/6

「トビラを開ける前に勝負を決めろ」

プロギャンブラーのぶき

プロギャンブラー

新井乃武喜(あらいのぶき)

文: 林 知之
林投資研究所『研究部会報』2013年11月号掲載


第2回からの続き……

3.トビラを開ける前に勝負を決めろ

 

──トレードもギャンブルも、資金管理が重要だと思います。

 「マネーマネジメント」ですね。ものすごく重要です!
 1千万円の資金があってギャンブルの勉強に集中していたとはいえ、生活にもおカネがかかりますし、とにかく1千万円がなくなった時点でゲームオーバーですから、計画的な配分を考える必要がありました。でもこれって負けることが前提の計算ですから、もっとわかりやすく「勝つための計算」を考えてみましょう。
 現在の僕はプロとして必ず勝つギャンブラーですが、勝負して百戦百勝ということではありません。例えば100戦して52勝48敗とか、そういう現実の中で結果を出す必要があります。その勝ち負けのゆらぎが1日単位で生じたとして、例えばあるカジノで「1日やってトータルマイナスはあり得る」「でも3日やれば2日はプラスになる」といった計算ができます。そういうふうに時間軸を設定して計算し、プラスにする流れをつくっていきます。トレードでもありますよね?

──主にシステムトレードで使われるのですが、「ドローダウン」という概念があります。トレード資金の落ち込み幅、という意味ですね。例えば、「この手法で売買を続ければ最終的にはプラスになるけど、一時的に20%のマイナスはあり得る」というように計算するわけです。

 全く同じですね。僕は、「タテ幅」と「ヨコ幅」の2つの軸で考えます。まず一定の時間、1日でも1週間でもいいのですが、その時間内にどれくらい資金的なブレがあるのかを考えます。例えば100万円の資金が1日で最大120万円になるというのがプラスのブレならば、負けが続いたときに最悪20%減の80万円になるというのがマイナスのブレです。これがタテ幅です。
 これに対してヨコ幅とは、どれくらいの時間でプラスに収束するのかを考えることです。プロなので勝たなければいけないのですが、最初に負けが続くこともあるので、最長でどれくらいの時間賭け続ければプラスになるのかを把握しておきます。
 タテ幅でマイナス30%まであり得る状況ならば、100万円が70万円になっても「30万円負けてしまった」と考える必要などありません。最終的にプラスに収束する過程での、単なる通過点ですよね。

──トレードでも、その計算を信じて継続するために、資金管理を考えます。一時的とはいえ大きく負けがこんだら物理的に続けられなくなりますし、気持ちを維持できる範囲に負けをとどめるということも重要です。

 マイナス30%が最大のブレならば、100万円が70万円になったときに心が折れずに「あとは上がっていく」と考えられるかどうかですね。この点は、トレードよりもギャンブルのほうが数学的に考えられるような気がします。
 白状しますけど、25歳で1千万円ためた時にちょっとだけ株をやったことがあるんです。そして、ちゃんと損しました(笑)。「普通預金に入れておくより……」みたいな中途半端な気持ちでやっただけなので、負けるべくして負けたんですね。本気で勉強していないから、自分自身で出した答えなんてなかったわけです。自分の答えがないと「今が買い時」みたいな情報を見つけて、それに委ねてしまう──。その当時の僕のように「どれを買えばいいの?」って姿勢の人がたくさんいるのでしょうが、もっと真剣に勉強しなければ勝てませんよね。僕は株の失敗から学んだことを、ギャンブルの勉強法に持ち込みました。

──どうしたって、勝ったり負けたりですからね。でも方法を誤ると、「負けたり負けたり」になります。

 これってトレードとギャンブルで異なる点なのかもしれませんが、ギャンブルは「勝つか負けるか」ではなく「勝つか勝つか」と「負けるか負けるか」の2つだと考えています。
 個々の勝負は勝ったり負けたりといっても一定の時間、つまり一定のヨコ幅でプラスになるのが勝つ人で、100万円が200万円、200万円が400万円……と増えていきます。でも負ける人は、100万円を半分の50万円にしてしまう。タテ幅のある程度のブレは許容範囲といっても、半分にしてしまったらダメです。次は、その50万円が25万円になります。

──のぶきさんは、「“勝つため”にやるという気持ちが大切」と言っていましたよね。

 そうです。これはトレードでも同じだと思いますが、カジノに行って席についたときではなく、「トビラを開ける前に勝負を決める」という考え方をします。
 最終的なプラスの結果を計算して開始するのですから、始まる前に勝っていなくてはなりません。それが、「勝つためにやるんだ」という設定です。「勝つかもしれない」ではお話になりませんし、「勝ちたいなあ」とか「勝てたらいいなあ」も結果に対する作用はゼロですね。精神論ではなく技術的な設定として必要なことで、勝負の最中の決断だけでなく、次の勉強につなげたりモチベーションを維持するためにも不可欠なことではないかと思います。

 話しているうちにギャンブルとトレードの共通点がどんどんと見つかるのだが、トレードはギャンブルのように限定的な数人との直接対決ではないから、そうした構造で甘えられる部分に自分が甘え過ぎているような気もしてきた。
 トレードでは「買うか買わないか」「AとBのどちらを買うか」といった“選択の問題”で片づけてしまいがちだが、マーケットはれっきとした競争の場である。ギャンブルの厳しさをどの程度、どんなふうにトレードに持ち込むのが適切なのかはわからないが、新井氏の言葉を受け入れて考えてみることも必要ではないかと感じたのである。
 このあとは「シゴトとしてのカネ儲け」という観点で話を聞きながら、ギャンブルとトレードの共通項を探し続けた。

第4回につづく>

このインタビューは2013年12月11日に林知之が行い、林投資研究所が発行する『研究部会報』2013年11月号に掲載したものです。


プロギャンブラーのぶき(新井乃武喜)
15年間カジノに勝ち続けたお金で、世界82カ国を旅し続ける。震災後、被災地のボランティアのために一時帰国したところ、「ギャンブルの勝ち方が金融トレードに通じる」と評判になり、投資関係者からのトーク依頼や執筆の依頼が激増、現在も日本にステイ中。

1月5日放送のフォローアップ(1)
林 知之

トレードルールの効果
~「悩み」を「迷い」にしない~

マーケット・スクランブル、1月5日の放送は「中源線建玉法の特長」について説明しました。そのフォローアップ(1)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第52回 中源線建玉法の醍醐味~使いやすいシンプルなルール~

トレードでは、決断が大切です。
しかし、常に不安を抱えながら進む、つまり決断が“弱い”人も少なくないでしょう。

実は百戦錬磨のプロでも、不安を覚える心理は同じようなものです。

しかしプロは、不安を増幅させて「動けなくなる」「あり得ない手を打ってしまう」といったミスが極めて少ないのです。トレードのルール、つまり行動の指針をしっかりと決めて臨んでいるからです。

「オレだって決めてるよ!」「あたしだって考えているわ」という声もあるでしょう。でも多くの人の場合、ルールに一貫性がなかったり、土台となる“思想”的な部分がいまひとつ不明確だったりします。それにプロでも、経験やマーケットの変化によってルールを変化させる過程で、混乱を来すケースがあるのです。

売りと買いを決めるだけなのに、実はとても難しい部分なのです。

それならば、まずは既成のトレード手法をそのまま受け入れ、その経験を基に“自分流”を構築するという方法が、実は近道だったりするわけです。

番組で紹介した中源線建玉法は、ルールがシンプルで誰にでも理解しやすいのが最大の特長です。それに、単なる予測法ではなく、3分割の売買シグナルが出る“建玉法”なのです。つまり、「ひとつの具体的な方法論として完成されている」ということです。

下に示すような流れでトレード全体を構築しないと、どこかで緩んで根底からおかしくなってしまうものですが、中源線はこれらの要素がバランス良くつながっている優れた手法のひとつといえるのです。

  1. マーケットに対する姿勢→トレードのスタイル

    (土台となる“思想”を固める)

  2. 具体的なトレード方法を考える

    (ポジション保有期間、値幅、勝率、等々)

  3. 適した銘柄の選定

    (トレードは銘柄の当てっこではない!)

  4. 道具(チャート等)の選定

    (必要最低限、しかし武器となるしっかりとしたもの)

  5. シミュレーション

    (手法を何度も再確認して実用的な戦略に落とし込む)

  6. テストトレード

    (いきなり大きなポジションを取らない)

中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

中源線研究会
 登録(無料)だけで、中源線シグナル配信(近日サービス開始)で一定の情報を閲覧できます。