相場師インタビュー
“プロギャンブラー”のぶき 4/6

「トビラを開ける前に勝負を決めろ」

プロギャンブラーのぶき

プロギャンブラー

新井乃武喜(あらいのぶき)

文: 林 知之
林投資研究所『研究部会報』2013年11月号掲載


第3回からの続き……

4.10年続けるシゴト

 

──ギャンブルにおけるマネーマネジメント(資金管理)を、詳しく説明してください。

 「勝つためにやる」を実行するには、マネーマネジメントが欠かせません。ちょっとしたプラスの要素があれば1年間勝つのは簡単かもしれませんが、5年後はない、10年後は絶対にあり得ないでしょう。
 難しい計算は抜かして説明します。100円を賭けて勝ったら200円になる、負けたらゼロになる、という勝負で勝つ確率が51%ならば持ち金の2%ずつ賭けます。確率52%ならば4%ずつ賭けます。もちろん、50%以下の場合には賭けません。
 勝率のわずかな差を、どう利用するのかが重要です。いま言った状況に100万円の資金で臨んでも、1回に10万円賭けることはありません。100万円の資金に対して2万円とか4万円と、小出しに賭け続けるのです。プロが絶好調のときでも、こういった数字が限度なんですよ。勝率52%として、100回やれば48回は確実に負けるわけですから。
 100万円の資金で4万円ずつ100回賭け続け、48回負けて52回勝てば、勝ちと負けの差は4回ですから4万円×4回で16万円のプラスが生じている──勝つためのギャンブルというのは、こういう地味な作業が基本です。

──システムトレードにも、全く同じ考え方が用いられています。淡々と進めるだけなんですよね。

 はい、一喜一憂することはありません。プロだから勝つのが当たり前ですし、勝たなければいけません。ちょっと勝ったからといって、「わ~い」なんて喜んでいるようではダメです。勝った要因を考えながら、すぐに次の勝負に目を向けています。それに10万円勝ったときにほかのプロが20万円勝っていたとしたら、それは「10万円勝ち損ねた」「10万円のロス」ではないかと考えて原因を追及します。場を見切れていなかったのか、勝ちを喜んでしまったからか、というように。そして、自分のスタイルではもう少しいけたとか、もっと早い段階でやめるべきだった、などと熟考していきます。

──システムトレードで休みなく張り続けるのではなく、私が実践している裁量トレードでは小さな勝てる可能性を捨て、「これは取れる!」というところだけで仕掛けることを大切にします。

 ギャンブルでも、例えばポーカーのようなゲームならば同じです。僕は、「ガマン強さ」を意識していますよ。
 勝てるかどうかがわからないところでは、絶対に勝負しません。林さんの言う「捨てる」ですよね。わからないときにやってばかりいると、肝心の“勝ち時”が見えなくなってしまうんです。52%勝てるという状況をすべて捨ててしまうわけではありませんが、そこでチマチマと勝つことだけを考えずに、60%勝てるチャンスを見つけて勝負にいく気持ちは重要です。

──トレードもギャンブルも簡単に参加できるので、つい準備不足でスタートしてしまう人が多いと思います。株ならば、面白そうな銘柄を見つけたら買って、買ったあとで心配したり調べ始めたりするケースがよくあります。

 「見」(けん)という言葉があります。もともと何かのギャンブル用語だと思いますが、「場の流れを見る」という意味です。
 勝負に入る前に場の流れを読んで、どうすれば勝てるのかを考えるのです。カジノに行けば誰かが勝負していますから、そこに加わる前に彼らの勝負を、彼らよりも真剣に、全くまばたきもしないくらいの気持ちで細かい流れまで観察するのです。これが「見」です。
 トレードならば、チャートを見て戦略を考える作業ですかね。

──場を読む前に、自分のことを考えるのも重要です。自分の意思で休むことができるので、例えば体調が悪かったら、チャンスだと思っても手を出さないとか。

 ギャンブルで面白い例は、失恋したときですね。勝率80%を誇るようなスゴ腕のプロであっても、失恋したときには勝率20%の大カモになってしまうんです。そんなときに勝負したらいけないのですが、彼女がいなくなったからほかにやることがない、今まで勝っていた、だから勝負しにカジノに来たなんてことになれば、状況を知った人間たちがハイエナのように群がってつぶしにかかりますね。心配事はちゃんと片づけておかないと、絶対に勝てません。
 僕がベテランのプロによく言われたのは、睡眠のことです。「ノブ、ちゃんと寝てるか?」って。寝不足の状態で勝負なんてしたら、始める前に負けが決まっている状態です。そんなふうに自分で敗因をつくってしまうなんて、何が何でも避けなければならないことですからね。シゴトとしてのギャンブルなので、休むのも寝るのもシゴトの一部なんです。

──ギャンブルもトレードも、自分の意思で区切りをつけなければなりません。勝っても負けても、どこかで区切って休みますよね。トレードでは、意図的に休むことが大切だと私は考えていますが。

 ギャンブルでいうところの、勝負の“やめ時”ですね。僕の場合は、良い波が来たところでやめて、メシを食いに行ったりします。集中力を高めるために、勝負の前に食事を取りませんから。
 例えば10時間以上負けてて最後の30分で勝ったら、あるいは最初の30分でポンポンとうまくいったら、そこでいったん休んでしまうんです。

──「良い流れが来た。よし、ここから」とはならないのですか?

 そう考えるプロもいますが、僕は違います。感情的に「よし!」と思っても、それで実際の勝率が上がったとは限りません。過信した結果、次に負けて勝ち分を吐き出してしまったら勝つための行動ではありませんから、そんな流れになってしまうことを嫌ってリスタートします。
 プロが100人いたら、やめ時も100通りあるんです。ただし、それぞれのプロが事前に決めていますよね。その場の気分で決めるのではなく、確実に勝つための戦略として決めているんです。
 でも僕は、そのやめ時を常に考え直すことも必要だと思います。自分の手法や経験値などいろいろな要素がありますが、それを踏まえて「このやめ時で正しいのか?」と自分の選択を疑っていく姿勢です。プロギャンブラーとして15年間やっていますが、毎日行うべき大切な作業だと思っています。

──感情は重要なので、私はポジティブとネガティブの使い分けを考えます。最初に計画を立てる段階、具体的な戦略を考える段階、いざ実行する段階と時間的に分け、ポジティブとネガティブのどちらを強めるか、と整理しています。そのへんは、どうでしょう?

 僕は現実の確率とリンクさせて、「勝率60%ならば60%ポジティブに」というようなイメージです。でも、ポジティブとネガティブの両面から見ていってトータルで考えていくのが、本当の勝ち方だと思いますね。

──負けているときに感情がネガティブになり過ぎるからやめる、という考え方はありますか?

 それは、ありませんね。負けているときは逆に集中できますので、続けることが多いのです。
 時間とか結果よりも、集中できているかどうかが大きなポイントかもしれません。

 

 新井氏は、「勝負の前にはメシを食わない」と言った。トーク番組に参加してくれた時も“大切な場”という意味で「勝負だ」と、夜7時半から9時過ぎまでの生放送にもかかわらず食事をしないで現場に来た。一匹狼だから自分を大切にするのは当然だとしても、周囲の人も大切にして丁寧に扱う。
ギャンブルとトレードの相違点として先ほど、「直接対決かどうか」という観点を示した。そして、トレードでは甘えてしまう部分があるかもしれないと述べた。その甘えかもしれないと感じたのは新井氏が説明した“やめ時”、トレードにおける「手仕舞い」に対する考え方だ。利食いでも損切りでも、手仕舞いのタイミングは自分で決める。そのタイミングによって損益が大きく変わるのだが、私たちトレーダーは、新井氏が「毎日行うべきだ」と強調するほど真剣にトレードと向き合っているのだろうかということだ。
また、人の扱い方という観点でも考えてみた。ギャンブラーというのは縁遠い存在だから、どうしてもドラマや映画の誇張された描かれ方から“冷酷非道”などといった極端なイメージを先行させてしまうが、少なくとも新井氏はとても人に優しい人物である。翻って、自分を含めたマーケット関連の人間を見ると、価格とカネしか見ていない人がいたり、多くの人にそんな要素があるような気もしてくる。
残念ながら現在の日本にはカジノがないが、新井氏のような人を師匠としてギャンブルを学ぶことができたら、トレーダーとしての強さが増すのではないかと感じてしまった。

第5回につづく>

このインタビューは2013年12月11日に林知之が行い、林投資研究所が発行する『研究部会報』2013年11月号に掲載したものです。


プロギャンブラーのぶき(新井乃武喜)
15年間カジノに勝ち続けたお金で、世界82カ国を旅し続ける。震災後、被災地のボランティアのために一時帰国したところ、「ギャンブルの勝ち方が金融トレードに通じる」と評判になり、投資関係者からのトーク依頼や執筆の依頼が激増、現在も日本にステイ中。

1月5日放送のフォローアップ(2)
林 知之

“ブラックボックス”を疑え!
~カラクリを知ることで未来が決まる~

マーケット・スクランブル、1月5日の放送は「中源線建玉法の特長」について説明しました。そのフォローアップ(2)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第52回 中源線建玉法の醍醐味~使いやすいシンプルなルール~

林投資研究所の「中源線研究会」では、中源線の判断によるシグナル配信をスタートする予定です。

最近はシステムトレード、つまりルールを数式化したトレードを行う人がとても多いようです。その中で、興味あるシステムの「シグナル配信」サービスを利用する人も増えているはずです。

でも、ちょっと待ってください!
シグナルの基となるシステムについて、ルール(ロジック)を理解しているのでしょうか?

システムの中身を知らずにシグナルだけを受け取るということは、「売り」「買い」と判断した理由がわからないまま、それを推測する情報も希薄なままで、大切な資金をマーケットに投じるということです。

どうしても「当たった」「外れた」と表面的な結果で評価するだけになり、将来のことをきちんと考えるのは難しいでしょう。

そしておそらく、負けが続いたとき、ほかに面白そうな(もっと儲かりそうな)シグナル配信を見つけたときに、それまで使っていたものを中止して乗り換えることになります。ところが、乗り換えたとたんに以前使っていたシグナルがピタッと当たり始めた……こんなことを繰り返していると、永遠にさまよい続ける“相場難民”になってしまいます。

番組では、料理を例に説明しました。

「ガスの調節つまみを左に動かした → 鍋の中の料理が焦げた」

調節つまみを左に動かすと火が強くなる、鍋の温度が上がる、焦げやすくなる……こういう因果関係は誰にでも理解できます。
でも中身がわからないシステム、つまり“ブラックボックス”状態で売り買いの判断だけを受け取っていると、「このつまみを動かすと、どうして焦げるんだろう?」「逆に動かすと、どうなるの?」と謎を抱えたままになってしまうのです。

中源線は、ルール(ロジック)を公開しています。
しかもシンプルなので、感覚とリンクさせて使うことが可能です。
利用する人の「実践力」「実行力」「有効な経験」になるものとして、「中源線研究」におけるシグナル配信を実施します。

中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

中源線研究会
 登録(無料)だけで、中源線シグナル配信(近日サービス開始)で一定の情報を閲覧できます。

相場師インタビュー
“プロギャンブラー”のぶき 3/6

「トビラを開ける前に勝負を決めろ」

プロギャンブラーのぶき

プロギャンブラー

新井乃武喜(あらいのぶき)

文: 林 知之
林投資研究所『研究部会報』2013年11月号掲載


第2回からの続き……

3.トビラを開ける前に勝負を決めろ

 

──トレードもギャンブルも、資金管理が重要だと思います。

 「マネーマネジメント」ですね。ものすごく重要です!
 1千万円の資金があってギャンブルの勉強に集中していたとはいえ、生活にもおカネがかかりますし、とにかく1千万円がなくなった時点でゲームオーバーですから、計画的な配分を考える必要がありました。でもこれって負けることが前提の計算ですから、もっとわかりやすく「勝つための計算」を考えてみましょう。
 現在の僕はプロとして必ず勝つギャンブラーですが、勝負して百戦百勝ということではありません。例えば100戦して52勝48敗とか、そういう現実の中で結果を出す必要があります。その勝ち負けのゆらぎが1日単位で生じたとして、例えばあるカジノで「1日やってトータルマイナスはあり得る」「でも3日やれば2日はプラスになる」といった計算ができます。そういうふうに時間軸を設定して計算し、プラスにする流れをつくっていきます。トレードでもありますよね?

──主にシステムトレードで使われるのですが、「ドローダウン」という概念があります。トレード資金の落ち込み幅、という意味ですね。例えば、「この手法で売買を続ければ最終的にはプラスになるけど、一時的に20%のマイナスはあり得る」というように計算するわけです。

 全く同じですね。僕は、「タテ幅」と「ヨコ幅」の2つの軸で考えます。まず一定の時間、1日でも1週間でもいいのですが、その時間内にどれくらい資金的なブレがあるのかを考えます。例えば100万円の資金が1日で最大120万円になるというのがプラスのブレならば、負けが続いたときに最悪20%減の80万円になるというのがマイナスのブレです。これがタテ幅です。
 これに対してヨコ幅とは、どれくらいの時間でプラスに収束するのかを考えることです。プロなので勝たなければいけないのですが、最初に負けが続くこともあるので、最長でどれくらいの時間賭け続ければプラスになるのかを把握しておきます。
 タテ幅でマイナス30%まであり得る状況ならば、100万円が70万円になっても「30万円負けてしまった」と考える必要などありません。最終的にプラスに収束する過程での、単なる通過点ですよね。

──トレードでも、その計算を信じて継続するために、資金管理を考えます。一時的とはいえ大きく負けがこんだら物理的に続けられなくなりますし、気持ちを維持できる範囲に負けをとどめるということも重要です。

 マイナス30%が最大のブレならば、100万円が70万円になったときに心が折れずに「あとは上がっていく」と考えられるかどうかですね。この点は、トレードよりもギャンブルのほうが数学的に考えられるような気がします。
 白状しますけど、25歳で1千万円ためた時にちょっとだけ株をやったことがあるんです。そして、ちゃんと損しました(笑)。「普通預金に入れておくより……」みたいな中途半端な気持ちでやっただけなので、負けるべくして負けたんですね。本気で勉強していないから、自分自身で出した答えなんてなかったわけです。自分の答えがないと「今が買い時」みたいな情報を見つけて、それに委ねてしまう──。その当時の僕のように「どれを買えばいいの?」って姿勢の人がたくさんいるのでしょうが、もっと真剣に勉強しなければ勝てませんよね。僕は株の失敗から学んだことを、ギャンブルの勉強法に持ち込みました。

──どうしたって、勝ったり負けたりですからね。でも方法を誤ると、「負けたり負けたり」になります。

 これってトレードとギャンブルで異なる点なのかもしれませんが、ギャンブルは「勝つか負けるか」ではなく「勝つか勝つか」と「負けるか負けるか」の2つだと考えています。
 個々の勝負は勝ったり負けたりといっても一定の時間、つまり一定のヨコ幅でプラスになるのが勝つ人で、100万円が200万円、200万円が400万円……と増えていきます。でも負ける人は、100万円を半分の50万円にしてしまう。タテ幅のある程度のブレは許容範囲といっても、半分にしてしまったらダメです。次は、その50万円が25万円になります。

──のぶきさんは、「“勝つため”にやるという気持ちが大切」と言っていましたよね。

 そうです。これはトレードでも同じだと思いますが、カジノに行って席についたときではなく、「トビラを開ける前に勝負を決める」という考え方をします。
 最終的なプラスの結果を計算して開始するのですから、始まる前に勝っていなくてはなりません。それが、「勝つためにやるんだ」という設定です。「勝つかもしれない」ではお話になりませんし、「勝ちたいなあ」とか「勝てたらいいなあ」も結果に対する作用はゼロですね。精神論ではなく技術的な設定として必要なことで、勝負の最中の決断だけでなく、次の勉強につなげたりモチベーションを維持するためにも不可欠なことではないかと思います。

 話しているうちにギャンブルとトレードの共通点がどんどんと見つかるのだが、トレードはギャンブルのように限定的な数人との直接対決ではないから、そうした構造で甘えられる部分に自分が甘え過ぎているような気もしてきた。
 トレードでは「買うか買わないか」「AとBのどちらを買うか」といった“選択の問題”で片づけてしまいがちだが、マーケットはれっきとした競争の場である。ギャンブルの厳しさをどの程度、どんなふうにトレードに持ち込むのが適切なのかはわからないが、新井氏の言葉を受け入れて考えてみることも必要ではないかと感じたのである。
 このあとは「シゴトとしてのカネ儲け」という観点で話を聞きながら、ギャンブルとトレードの共通項を探し続けた。

第4回につづく>

このインタビューは2013年12月11日に林知之が行い、林投資研究所が発行する『研究部会報』2013年11月号に掲載したものです。


プロギャンブラーのぶき(新井乃武喜)
15年間カジノに勝ち続けたお金で、世界82カ国を旅し続ける。震災後、被災地のボランティアのために一時帰国したところ、「ギャンブルの勝ち方が金融トレードに通じる」と評判になり、投資関係者からのトーク依頼や執筆の依頼が激増、現在も日本にステイ中。

1月5日放送のフォローアップ(1)
林 知之

トレードルールの効果
~「悩み」を「迷い」にしない~

マーケット・スクランブル、1月5日の放送は「中源線建玉法の特長」について説明しました。そのフォローアップ(1)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第52回 中源線建玉法の醍醐味~使いやすいシンプルなルール~

トレードでは、決断が大切です。
しかし、常に不安を抱えながら進む、つまり決断が“弱い”人も少なくないでしょう。

実は百戦錬磨のプロでも、不安を覚える心理は同じようなものです。

しかしプロは、不安を増幅させて「動けなくなる」「あり得ない手を打ってしまう」といったミスが極めて少ないのです。トレードのルール、つまり行動の指針をしっかりと決めて臨んでいるからです。

「オレだって決めてるよ!」「あたしだって考えているわ」という声もあるでしょう。でも多くの人の場合、ルールに一貫性がなかったり、土台となる“思想”的な部分がいまひとつ不明確だったりします。それにプロでも、経験やマーケットの変化によってルールを変化させる過程で、混乱を来すケースがあるのです。

売りと買いを決めるだけなのに、実はとても難しい部分なのです。

それならば、まずは既成のトレード手法をそのまま受け入れ、その経験を基に“自分流”を構築するという方法が、実は近道だったりするわけです。

番組で紹介した中源線建玉法は、ルールがシンプルで誰にでも理解しやすいのが最大の特長です。それに、単なる予測法ではなく、3分割の売買シグナルが出る“建玉法”なのです。つまり、「ひとつの具体的な方法論として完成されている」ということです。

下に示すような流れでトレード全体を構築しないと、どこかで緩んで根底からおかしくなってしまうものですが、中源線はこれらの要素がバランス良くつながっている優れた手法のひとつといえるのです。

  1. マーケットに対する姿勢→トレードのスタイル

    (土台となる“思想”を固める)

  2. 具体的なトレード方法を考える

    (ポジション保有期間、値幅、勝率、等々)

  3. 適した銘柄の選定

    (トレードは銘柄の当てっこではない!)

  4. 道具(チャート等)の選定

    (必要最低限、しかし武器となるしっかりとしたもの)

  5. シミュレーション

    (手法を何度も再確認して実用的な戦略に落とし込む)

  6. テストトレード

    (いきなり大きなポジションを取らない)

中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

中源線研究会
 登録(無料)だけで、中源線シグナル配信(近日サービス開始)で一定の情報を閲覧できます。

相場師インタビュー
“プロギャンブラー”のぶき 2/6

「トビラを開ける前に勝負を決めろ」

プロギャンブラーのぶき

プロギャンブラー

新井乃武喜(あらいのぶき)

文: 林 知之
林投資研究所『研究部会報』2013年11月号掲載


第1回からの続き……

2.正しい勉強を経て自分のものをつくり出す

──もともとギャンブルが好きではなかったのですから、完全にゼロからの出発だったわけですよね?

 そうです。でも学生時代にラスベガスに行って、カジノで遊んだ経験はありました。

──ギャンブルに興味はなかったのに?

 卒業旅行だったのですが、仲間と相談しながら僕は「ただ行って帰ってくるだけで、何のゴール(目標)設定もない旅はつまらない」って主張したんです。で、最もわかりやすいということで、ラスベガスのカジノに行くと決まったわけです。ギャンブルそのものでなく、ギャンブルという明確な目標物のあるカジノという場所が重要だったんですね。真剣にルールを勉強し、真剣に臨みましたよ。

──軍資金はどれくらい用意したのですか?

 旅費とは別に、カジノ用に80万円用意しました。バイトを頑張って貯金していたとはいえ、それなりの金額でしたが、ゼロになってもいいと考えました。勝ち負けよりも、「ラスベガスを感じるために行くんだ」って気持ちでしたから。

──成績はどうだったのですか?

 1日の睡眠が平均3時間という状態で、ずっとカジノにいました。そして、トータルで20万円勝ちました。
 でも勝ったことなんてどうでもよく、ベガスという街に魅力を感じたんです。そうそう、僕がずっと勝負し続けていたら、そのカジノのエライ人っぽいオッチャンが名刺をくれたんです。そのころは英語なんてさっぱりでしたら、何を言っているのか全くわからなかったんですが、その名刺1枚で未知の体験をしたのです。
 いったんそのカジノをチェックアウトする際に「ディスカウントしてくれるかも」と期待して名刺を見せたら、それまでは日本人の学生に対して“上から目線”だった従業員の態度がガラッと変わり、「失礼いたしました。少々お待ちいただけますか」みたいな感じで、急いで電話をかけるんです。そうしたら名刺のオッチャンが出てきて、またベラベラッとしゃべるんですが、再び何を言っているのかわからない。仲間で英語が少しできるヤツの説明だと、「よく来てくださいました。今回のホテル代はいりません。また、いつでもおいでください。同じように待遇します」ってことでした。
 実はオッチャン、そのカジノのトップの人だったんです。

──金持ちが派手に遊んでいたわけでもないのに、どうしてホテル代を無料にしてくれたり名刺を渡して「いつでもどうぞ」なんて言うのでしょうか?

 たぶん、若い僕が夢中になってテーブルに張りついている姿を見たからでしょう。カジノには大勢の人が集まりますが、その人たちの負け分がカジノの利益です。でも、そうやってカジノが勝つためには、客が長く滞在して何百回、何千回と賭けてくれなくちゃいけない。それには、まず自分のカジノに来てもらう必要がある、というわけです。
 そのカジノが気に入る、長く滞在してたくさん賭ける、賭ける回数が多ければ確実に負ける──。こうやってカモをつくるという、わかりやすいビジネスなんですね。
 実はその滞在期間の後半、泊まるところがなくて困ったんです。ベガスという街に人を呼ぶ目的で幕張メッセみたいな施設があって大企業が大人数の会議を開いたりするのですが、ちょうど会議がまとめて開催される時期に当たってしまったんです。だから最後の頼みの綱で、名刺をくれたカジノのトップの人に電話したら、「どうぞお越しください」って。あらためて訪れようとしたそのカジノに部屋がないって断られた数分後なのにOKをくれるし、それじゃあというので行ってみたら部屋も選べるしで、驚いてしまいました。

──その経験が、ギャンブラーへの道につながったのでしょうか?

 そうですね。その時の気分の良さは脳裏にしっかりと焼きついていました。
 やりたいことが見つからない中でなんとなく卒業旅行の体験を思い出し、「これなら本気になれるかもしれない」という気づきが感情的に背中を押してくれたのかもしれません。あとでわかりましたが、トップの人が名刺をくれるなんて、なかなかないことなんです。偶然、ほかの人たちがすごくなかったということもあったでしょうね。まあ、あくまでも僕がカモという目線ですが。
実際、例えばポーカーならば、90%の人が負けます。残りの10%の人が勝ち組ですが、わずかに1円勝っただけの人も含めた数字です。結局、プロとして勝っている人は全体の1%だけなんです。ちなみにブラックジャックは、勝つ人の割合はもっと少なくなります。
 真のプロギャンプラーとは、スペシャリストのさらに上の存在ではないかと私は考えています。

──その1%に入ろうというチャレンジだったわけですね。まず何をしましたか?

 当然、勉強です。僕は「ギャンブルは数学だ」と最初から考えていたので、ベガスに行ってギャンブルの教科書を買って読みました。まずは基本の公式を理解しないと、絶対に勝てないと思ったからです。
 それに、モチベーション(動機づけ)を維持するためにも実践力をつけるためにも、机の上の勉強に偏ったらダメですよね。だから、ドアを開ければカジノがあるという環境が必要だと思ったんです。
 それから、単独でベガスにいれば集中できます。日本で勉強してたって、女の子から電話が来たらすぐに遊びに行っちゃいますよ。林さんだって、すぐに行っちゃいますよね?

──いや、同意を求められても困りますね(笑)。

 あはは。とにかくベガスに行き、そのころ読んだ本の1冊に「3カ月で勝てるようになる」って書いてあったので、観光ビザで滞在できる3カ月間、頑張って勉強しながら実践してみました。そして3カ月後にわかったのは、「3カ月ではムリだ」ということでした(笑)。
 あと本を読みながらわかったのは、1冊の本、1人の視点だけでは弱い、ということです。その著者が間違っていたらすべて終わりというリスクもありますが、ものすごく重要なことまでは書いても本当のトップスキルみたいな部分は本に書かない、書けないものだと思うのです。だから例えばAという専門書とBという専門書があったら、その2冊を読んで「A+B」という自分のノウハウをつくり出す必要があるということです。もしA、B、Cと3冊あれば、2冊の組合せは「A+B」「B+C」「A+C」の3通りあります。こういったプロセスで、自分で使う自分だけのものを見つける必要があるはずです。
 例えばブラックジャックに限ったとしても、多くの視点からアプローチしてはじめて、そのブラックジャックというカードゲームでの勝ち方が見えてくると考えています。
 ちなみに、単なる自己流では絶対に勝てません。自己流っぽくやってきた人でもきちんと勝っているのなら、周囲の人から教わったことを蓄積するなど多くの視点を確認したうえで自分のものをつくり出す作業を積み上げてきたはずです。

──最初の3カ月が終わったあとは?

 いったん帰国して、すぐにベガスに戻りました。そして日本とアメリカを行ったり来たりしながら、ベガスにいる間は「モチベーション×集中」ということで1日14時間、365日やっていたのですが、なかなか勝ち方がわからない状態が続きました。
 そして1年半が過ぎ、「1年半では勝てない」ってことがわかりました。

──またですか?(笑) 最終的に勝てるようになったのは?

 実践を始めて2年後でしたね。いや実は、1年半が過ぎたところで限界に達して、「頭がおかしくなる3歩手前だ」って感じたんですよ。さすがに1歩手前まで近づいてはいないけど、5歩手前といえるほどの余裕はありませんでした。
 そこで日本に帰り、彼女ができたら一緒に見ようと考えていた映画を片っ端から借りてきて、ずっと独りで見ていました。そんな引きこもり生活を何カ月も送ったところで、ふと思いついたんです。「1年半も勉強してそれなりのスキルを身につけたはずなのに、なぜなんだ?」と考え、常識だと信じていたことの逆をやってみよう、ベガスのギャンブラーたちが「勝てない」と言っているカジノで試してみようって。自己防衛のためにとりあえず逃避していましたが、あきらめる気なんて毛頭なくモチベーションだけは維持していましたから。
 僕はニューオーリンズ近郊のビクロシーという町にある、ベガスのギャンブラーたちが敬遠するカジノに挑みました。ブラックジャックです。最初は勝てなかったのですが、改良点を見つけて修正したところで勝てるようになり、「おまえは勝っちゃうから出入り禁止だ」って追い出されるレベルにまで到達しました。やっとプロデビューできたわけです。
 「あのカジノでは勝てない」と言っていた連中だってプロなんですが、それぞれの狭い常識でしか考えていなかったわけです。それを真に受けずに自分で考えたから、勝ち方がわかったのでしょう。視野の狭い自己流はダメですが、林さんが言っている「自分流」が出来上がったんじゃないでしょうか。

第3回につづく>

このインタビューは2013年12月11日に林知之が行い、林投資研究所が発行する『研究部会報』2013年11月号に掲載したものです。


プロギャンブラーのぶき(新井乃武喜)
15年間カジノに勝ち続けたお金で、世界82カ国を旅し続ける。震災後、被災地のボランティアのために一時帰国したところ、「ギャンブルの勝ち方が金融トレードに通じる」と評判になり、投資関係者からのトーク依頼や執筆の依頼が激増、現在も日本にステイ中。

相場師インタビュー
“プロギャンブラー”のぶき 1/6

「トビラを開ける前に勝負を決めろ」

プロギャンブラーのぶき

プロギャンブラー

新井乃武喜(あらいのぶき)

文: 林 知之
林投資研究所『研究部会報』2013年11月号掲載


 

 今回インタビューしたのは、トレーダーではなくプロのギャンブラーだ。別に、私の頭がおかしくなってしまったわけではない。10年以上もカジノを渡り歩いてきた新井乃武喜氏が明瞭な言葉で説明してくれる“勝つための考え方”が実にわかりやすく、そのままトレードの世界にも当てはまると強く感じたからである。
 インターネット放送「マーケット・スクランブル」で行っている2時間弱のトーク番組「増刊号」に特別ゲストとして参加したのが新井氏、通称「プロギャンブラーのぶき」で、私を含めたマーケット関係者が異口同音に、彼のギャンブル哲学がそのままトレードに使えると盛り上がった。終了後の食事会でさらに彼と議論し、そのあとでインタビューを願い出たというのが経緯である。
 インタビューは2013年10月3日、林投資研究所のオフィスで行った。

 

1.運だけに左右される状況はイヤだった

 

──まず気になるのは、ギャンブラーになった経緯です。

 学生時代は最初、多くの人と同じようにサラリーマンになろうと考えていました。でも浪人して大学に入った僕よりも先に大企業に就職した元同級生たちが、組織の中で苦しんでいるのを見たんです。何が正しいのかを判定するのは難しいのですが、やりたくない仕事を命じられた結果、学生時代に輝いていた者がうつのような状態になったりしていました。そこで「仕事って、そういうものなの?」と、自ら積極的に考えてみたんですよ。
 そして漠然とですが、自分で何かをやろうと決めたんです。もともと「就職したら、その会社の社長になるんだ」なんて考えていましたが、「企業に入って働く」という視点から、広く見渡して自分で見つけたものを仕事にしようという発想に変わったのです。

──大企業を嫌ってギャンブラー……なんて聞くと、他人とうまくつき合えない人のようです。私が持っているのぶきさんのイメージとは、かなりのギャップがあります。

 いや、人づきあいは上手だと思っています。中学・高校が全寮制でした。大勢の人間が24時間一緒にいるのですから、ひとつのコミュニティじゃないですか。でも全員が仲良くなるわけじゃない。ふつうは、同級生に好かれたら先生や先輩からは認められないとか、先生に好かれるようなヤツは同級生から嫌われるとか、そういうものですよね。でも僕は、先輩からも同級生からも、そして先生からも好かれる存在だったと自負しています。

──それなら、どんな会社でもうまく立ち回る自信を持っていたのでは? あるいは中小企業なんて、ピッタリかもしれません。

 そうなんですけど、例えば優秀だったからといって上司が大切にしてくれるとは限らず、逆につぶされるかもしれないとか、個人の努力だけではどうにもならないことが多いと考えました。組織の論理による転勤とか出向もありますよね。つまり、そういう“運に左右される”部分を避けたんです。
 何をしたって運という要素はありますし大企業で働く人たちを否定するつもりもありませんが、運という要素ができるだけ少ない世界を選びたかったんです。自分の失敗を繰り返さないことは当然ですが、知り得た他人の失敗についても同じ轍を踏んではいけないと。
 中小企業ならばわかりやすい部分が多くてステキな場所かもしれませんが、その時は“就職するかしないか”と単純に切り分けてしまい、企業でバリバリと働く自分しかイメージしていなかった状態から一気に解放されて「自分で何かをやるんだ!」って方向になったんです。そして、独立のために資金をため始めました。
 学生時代には親から「生活費は自分で稼げ」と言われていたのでバイトには熱心でしたし、バイトでも正社員でも仕事は仕事と考えて真剣に取り組みながら貯金もしていました。NHKの受信料集金のバイトでは成績が良く、正社員にならないかと好条件で誘ってもらったのですが検討もしませんでした。そのバイトは卒業後も続けていましたが、「独立」を考えながらの貯金に集中していましたよ。

──独立の具体的なプランがない状態で、貯金の目標額は?

 周囲のオトナから「カネはあればあるほどいい」って言われて当初は素直にそう思っていたのですが、「カネをためるためだけに働くの?」「きりがないよね」って気づいたんです。
 これまたオトナから教わったことですが、1千万円=1本という数え方で「とりあえず1本」みたいな考え方が頭の中にあり、25歳で蓄えが1千万円に達したところでバイトを完全に辞めて将来についてのプランを本格的に考えたのです。

──でも一般的な起業ではなく、ギャンブラーになった。

 まずは、数年かけて書きためた「やりたいことリスト」を吟味しました。例えばパン屋とか。

──それは、自分でパンを焼いて販売する店ですか?

 そうです。でもパン屋を真剣に考えていた時、「軌道に乗るまでの時間」をポイントに考え直してみたんです。
 独立してビジネスを始めたら3年から5年は休めない、それならば3年から5年休まなくてもいい、つまり休みたいと思わないで働ける仕事を選ぼうと思ったわけです。日本のパン屋が好きなので5年後でも10年後でも飽きずに食べられると感じていましたが、それって単なる客側の視点じゃないですか。自分が焼くことを考えたら、1年ももたないかもしれないなって(笑)。
 相も変わらず漠然とした状態でしたが、考えていく基準が明確になりました。そこでリストにある100個くらいのアイデアを見直したんです。そうしたら……なんと、3年から5年続けられそうなものがひとつもなかったんですよ。

──ギャンブラーから遠ざかったようです……。

 いや、いよいよです(笑)。
 卒業旅行でラスベガスに寄った時になんとなく買った『Playing Blackjack as a Business』という本が部屋にあったのですが、将来について考えていた時、その表紙がふと目に入ってきたんです。「ビジネスとしてカードゲームの“ブラックジャック”をやる」って意味ですよね。そして、ラスベガスで地元の人に言われた言葉を思い出したんです。スマート、つまり頭が良ければギャンブルで食っていけるよって。
 やっと1千万円ためただけの男がいきなりギャンブルなんてあり得ないと頭では考えたのですが、部屋の隅に置いてあったその本のタイトルが光り輝いていたんです。実は読んでいなかったのに(笑)。もともとギャンブルなんて好きではなかったのに、職業として考えているうちに別の観点が見えてきました。そして、どうしても気になってギャンブラーという将来の姿を想像し、「これなら真剣になれる」「5年間頑張れる」という気持ちになったのです。

──なるほど。でも、周囲の人が驚いたのでは?

 当然のごとく、周りの全員から大反対されましたよ。わずか1千万円の貯金といっても、それを25歳で達成した僕をみんなが認めてくれましたし、これから何をやるんだろうって期待して見てくれていたんですから。僕だって自分自身に期待していましたからね。
 感じるものがあったとはいえ、ギャンブルなんて世間的には完全に非常識な選択です。説明したって誰も理解してくれません。でも僕は、こう言ったんです。「やっと本気になれるものを見つけたんだ。常識外だからやめましたなんて結論を出したら、オレ自身がクソなんだよ!」って。
 その1千万円は自分で稼いだおカネだから「自由に使えるんだ」と再確認しましたし、ちょうど彼女と別れたあとだったので「あっ、1人で自由に行動できるんだ」という気持ちもありました。

 

 「刹那的で無計画な若者だった」という印象を受けるかもしれない。だが読み進めてもらえばわかるように、新井氏のものごとに対する真剣さや、準備を怠らない姿勢は実に素晴らしいものだ。最大の長所は、常にゴール(目標)を定めて行動するところだと私は思う。「どこに向かっているのだろう」「何をすれば達成なのか」という視点を大切にしているのである。
 初めて顔を合わせたのは、前述したように、トレードに関するトーク番組だったが、彼は事前に関係者のことを調べてから現場に来ていた。そこに集まる人たちの情報を集め、出演する人間については過去の放送をUstream(動画配信のインターネットサイト)で見て、顔と名前だけでなく立場や考え方まで確認していたのである。放送は林投資研究所のセミナールームから行ったのだが、私が外出先から戻った時にはすでに新井氏も来ていて、初対面にもかかわらず部屋に入った私の顔を見るなり「林さんですよね」と名刺を差し出してきた。
 終了後の食事会でも酒を口にせず、真剣なまなざしで私たちの話を聞きながら議論に参加してきた。飲まない理由を尋ねると彼は、「いや、初めて会う人ばかりだし自分の知らない分野なので、ある意味、“勝負”なんですよ」という答えが返ってきたのだ。この時に私は、「チャラチャラとした気持ちでギャンブルをやって、たまたま勝ってきただけの人ではない」「番組中に感じていた通りだ」と確信した。
 さてギャンブラーになった経緯が明らかになったところで、ギャンブラーとして勝てるようになるまでの勉強について話を聞いた。

第2回につづく>

このインタビューは2013年12月11日に林知之が行い、林投資研究所が発行する『研究部会報』2013年11月号に掲載したものです。


プロギャンブラーのぶき(新井乃武喜)
15年間カジノに勝ち続けたお金で、世界82カ国を旅し続ける。震災後、被災地のボランティアのために一時帰国したところ、「ギャンブルの勝ち方が金融トレードに通じる」と評判になり、投資関係者からのトーク依頼や執筆の依頼が激増、現在も日本にステイ中。

12月8日放送のフォローアップ(4)
林 知之

シグナル配信の趣旨と使い方

マーケット・スクランブル、昨年12月8日の放送は「トレンドにつくために」というテーマでお送りしました。
そのフォローアップ(4)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第50回 トレンドにつくために~個別銘柄の動きを分析する基準1~

番組で紹介した「中源線のシグナル配信」について、特徴を整理して説明します。

個別銘柄および株価指数(日経平均およびTOPIX)について、中源線によるシグナル、つまり「陰陽の別」と「3分割の売買」を示します。

ロジック(売買ルール)が公開されていないシステムでシグナルだけを見る、つまり“最終的な答え”を受け取るだけだと、単に「当たった。外れた」を評価して一喜一憂する、良くない流れに陥ってしまいます。

でも中源線は、ロジックをすべて公開しています。

だから、当たり外れという目先の結果を見ながらも、その理由を探ることによって、将来につながる実践的な事柄を考えていくことができます。
「キザミ」と呼ぶ、唯一といえるパラメータを変化させることで結果がどうなるのか、どんな銘柄に合うか(そして、その理由は)、どんな動きでよく機能するか(なぜなのか)、というように具体的かつ実用的な研究に結びつくのです。

これこそが「中源線研究会」のテーマです。
そしてシグナル配信は、中源線研究の“目玉”ともいえる取り組みなのです。

中源線研究会に登録(無料)するだけでも、一定のシグナル情報を閲覧できるようにする予定です。
2015年1月中にはスタートさせたいと考えていますので、興味のあるかたは、ぜひ登録してください。

シグナル配信画面20141215

中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

中源線研究会
 登録(無料)だけで、中源線シグナル配信(近日サービス開始)で一定の情報を閲覧できます。

12月8日放送のフォローアップ(3)
林 知之

中源線の実例 日経平均

マーケット・スクランブル、12月8日の放送は「トレンドにつくために」というテーマでお送りしました。
そのフォローアップ(3)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第50回 トレンドにつくために~個別銘柄の動きを分析する基準1~

今回は、日経平均の中源線チャートを見てみます。
期間は、2014年6月2日~12月25日です。

中源線個別銘柄

うまく合っていることがわかりますね。

10月1日まで陽線(5月26日に陽転した)
10月2日陰転
10月31日陽転し、その後は陽線のまま現在に至る

「相場についていく」というのが中源線の基本的な思想で、いわゆるトレンドフォローのシステムです。したがって、転換は少し遅れる傾向があります。しかし、感覚的にはとても納得のいく部分ですし、それゆえ「使いやすい」という評価が多いようです。

ちなみに5月以降の上昇局面において、番組で紹介した旭化成(3407)は5月13日、三菱重工(7011)は5月9日に陽転しています。日経平均よりも先行して上昇し始め、それに伴って中源線も陽転していたわけです。

中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

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 登録(無料)だけで、中源線シグナル配信(近日サービス開始)で一定の情報を閲覧できます。

ウルフ村田こと村田美夏
特別インタビュー 5/5

「トレードすることで人とつながりたい」

村田美夏行動派の独立トレーダー
村田美夏

文: 林 知之
林投資研究所『研究部会報』2014年1月号掲載


第4回からのつづき……

3.トレードを続ける理由

──ところで美夏さんは、エンジェル投資だけでなく寄付の活動もしていませんでしたか?

 はい。エンジェル投資や、それに付随する各種の支援などと同じ感覚で行っています。例えば私が所属しているNGO「BPW」では、国連で行われる会議に若い人を連れていくという仕事があるのですが、優秀な若い人が余裕で休みを取って航空券や宿泊代も負担できるとは限りません。むしろ逆です。しかし全額を誰かが負担してしまったら「自立心が育たない」というような論理もあるので、人選を行うかたわら費用の一部分を私が負担しています。
 あとは、農業のビジネスプランコンテストを援助したり、出身校を含めた数校の学生たちを対象に、彼らが自発的に行う活動を助けたりもしています。

──BPWとの出会いって何だったのですか?

 APEC(注)が2010年に日本で開催した会議に、経産省の人の紹介で私も参加していたのですが、そこに参加していたBPWの人たちと出会ったのがきっかけでした。

(注)APEC、エイペック
 アジア太平洋経済協力、Asia-Pacific Economic Cooperation。太平洋を取り囲む21の国と地域の経済協力を実現する枠組み。

──行動範囲が広いと、いろいろなことがありますね。ちなみに美夏さんが代表を務める「サクセスワイズ」という会社が、個人的な援助活動の基盤となっているのでしょうか?

 そうです。最初は個人でやっていたのですが、信用を築いたり活動をスムーズにするためには法人のほうがいいというアドバイスを知人からいただいたので、富士通に協力してもらって平成22年(2010年)2月2日に会社を設立しました。私はいまだに文章を書けないので(笑)、マニュアル的なものを富士通の人に作成してもらったりしています。大きな会社が認めてくれたうえに支援してくれるので、活動の方向も明確になるなど、ものすごく助かっています。

──そういう話をあらためて聞くと、美夏さん自身はさっぱりとしているのに、一方でガツガツとトレードする部分があることを納得できます。

 そういってもらえると、うれしいですね。
 専業トレーダーなので株で利益を上げないと生きていけないのですが、なんだか自分のことだけを考えていると落ち着かなくて……。きれい事に聞こえてしまうかもしれませんが、「トレードで生活費を稼いでいます」っていうのもなんだか気持ち悪いんですよね。トレードで勝って、「これで今夜、何人かと食事を楽しめる」みたいなのが心地いいというか……うまく表現できませんけど。

──でも、周囲から頼られ過ぎることもあるのでは?

 多少はあると思います。だから、「村田さん少し援助して」みたいなことを一方的に言われると、気持ちがなえることもあります。非常に微妙なところなのですが、同じことをするにしても、それが義務になってしまうと重たいものになり、余分な足かせがなければ楽しい目標になります。
 だから逆に「自分のために」っていう気持ちが強いと、どこかで必死になり過ぎてしまうんです。勝ったら人を助けることもできるという気持ちのほうが、良い結果にもつながるようです。

──個人で行うことなので、それこそブレが生じたりしますよね?

 その通りです。でも私の原動力みたいな部分なので、システマティックに組み立てるのが難しいというか……。しかしBPWという組織があって経験豊かな人がいたり、サクセスワイズを富士通の人が援助してくれながらチェックしてくれたりと、筋の通った活動を維持する仕組みは出来上がっていると思います。
 単純に個人で行っていたころと比べて、“レイヤー(階層)が上がった”という言葉で私は評価しています。社会的に一段上になり、より効率的、より機動的になったと感じているので、それはうれしい限りです。
 こういった社会貢献的な活動も、ガツガツと利益を取りにいくデイトレードも、一定のカタチがあったほうが安定するというか、安心して直感的な行動を取れるという共通点があると感じます。ですからトレードについても、過去の経験を振り返りながらレイヤーを上げていく努力をしていきたいと考えています。

 トレーダーというのは、しがらみがないかわりに孤独だ。だから継続していくためには内向し過ぎないように注意する必要があり、人それぞれで工夫を凝らしている。だが例えば、「相場でメシを食っています」と公言することに抵抗があるという理由でトレード活動を会社組織にしている、つまり公的な書類などに「会社役員」と書くだけ、という人も多いようだ。独りで相場を張るくらいだから不器用で、友だち関係をうまく築けない人も少なくない。
 そんな中で村田氏は、特別に器用とはいえないものの持ち前の行動力で周囲の人とつながりを保ち、孤立することなく社会人としての地位を不動のものにしている。彼女にとって、そういう立場を違和感なしにつくる手段が社会貢献であり、エンジェル投資や付随する人助けのようだ。
 人は、目標なしでは継続的に行動できない。「資金を1億円にする」というのも目標だが、「なぜ1億円なのか」「その1億円で何をするのか」という“達成した状態”をリアルに想像できないと、苦労しながらトレードを続けていくエネルギーなど生まれない。村田氏は自身の目標が「人とのつながり」と明確だし、単なるモノではないから相乗効果を生むという点で魅力的だと思う。
 インタビューの途中までは本当に照れながら自分のことを語っていたのだが、後半はとても自然な表情で次のように話した。

 「個人個人が、それぞれ持ち前の能力を発揮して助け合うのが社会です。私の場合はたまたま、金融というかトレードが自分の役割みたいなものなのだと思っています」

 これからも長くつき合っていきたいと感じる、実に“男前”の女性トレーダーである。

─村田美夏氏のインタビュー、終わり─ 

このインタビューは2013年12月11日に林知之が行い、林投資研究所が発行する『研究部会報』2014年1月号に掲載したものです。


村田美夏(むらた みか)
東京大学経済学部を卒業後、銀行に勤務。その後は独立トレーダーとして活躍。トレードの利益は、エンジェル投資などを通じて社会貢献に充てている。現在は(株)サクセスワイズ代表取締役社長として、社会貢献事業を本格的に進めている。

【村田美夏 関連リンク】

12月8日放送のフォローアップ(2)
林 知之

“基準を持つ”と迷わない

マーケット・スクランブル、12月8日の放送は「トレンドにつくために」というテーマでお送りしました。
そのフォローアップ(2)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第50回 トレンドにつくために~個別銘柄の動きを分析する基準1~

実際に、中源線のチャートを見てみましょう。
番組でも紹介した、旭化成(3407)と三菱重工(7011)の中源線を見ながら解説を加えます。

中源線は、終値を線で結んだシンプルな折れ線チャートです。
そして、中源線のルールに従って「陽線」(赤)と「陰線」(黒)に色分けします。
陽線(赤)のときは、上がるという想定で買いポジションを取ります。
陰線(黒)では、下がるという想定で売りポジションを取るわけです。

中源線(旭化成)

旭化成(3407)は10月以降の上げが陽線で、おおむね良い感じです。
8月の陰転と9月末の陰転が、小さなダマシでした。
細かいことをいえば、10月の急落でいったん陰転し、10月下旬に再び陽転していたほうが“納得のいく”シグナルだったということですね。

中源線(重工)

三菱重工(7011)も当然、中源線に従って陰陽が明示されているのですが、10月後半以降は、値動きと中源線がうまく合わない状況だということがわかります。
10月はじめの陰転はいい感じですが、10月後半の上げでもなかなか陽転せず、かなり戻ったところでの陽転が結果的にはダマシとなり、次の陰転もダマシでした。

このように、状況によってはダマシが続くのですが、ダマシがなく、あらゆる場面で機能するシステム(数式的な判断)は存在しません。それなのに、「ダマシを減らして万能にしよう」というムリなアプローチをした結果、根本の思想が崩れて狙いが不明確なものが出来上がり、しかも次のシグナルを想像することが困難なシステムになってしまうのが、よくある失敗ではないでしょうか。

中源線のロジック(ルール)は、極めてシンプルです。
「常に人間の感覚とリンクしている」といっていいでしょう。
取りやすい状況と取りにくい状況の区別がわかりやすいため、実際に資金を投じてポジションを取るうえで安心感がある、結果として非常に実用的だと説明できます。

次回のフォローアップ(3)では、直近の日経平均について、中源線のチャートをご覧に入れます。

中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

中源線研究会
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