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脱・日経平均

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日経平均がプラスならば「上昇」、マイナスならば「下落」と、株式市場全体をくくって解説します。それでいいのでしょうか?
下げたときによく使われる「利益確定売り」……売った人全員に電話でもかけたのでしょうか? ツッコミどころ満載です。

先週末、9月29日(金)は、日経平均が6円83銭安でした。
翌30日の日経には、「小反落、利益確定の売り」と書かれていました。

でも個別株を見ると、値下がり1,067銘柄に対して値上がりは847銘柄、約42%の個別銘柄が上昇していました。新安値3銘柄に対して、新高値は190銘柄。

低位株投資の対象として『研究部会報』に掲載している、FAIクラブの買い選定銘柄は現在33銘柄ありますが、そのうちの9銘柄が29日に新高値を取っています。

選定がスゴい、という話ではありません。
ざっくりですが、昨年後半からずっと、目立った伸びをみせる個別銘柄が数多くあるのです。「日経平均」の水準を見ているだけではわからない変化が、常に株式市場の“本当の内容”で、少なくとも現在までは、小型株を中心に上伸が続く市況だった、ということです。

まずは日経平均、続いて為替動向、そして株を十把ひとからげにして「買いか、売りか」という流れになり、結論が出るかと思うと「今後の〇〇次第」って、いつ聞いても同じなんですね。

日経平均先物を売買する投資家、あるいは指数連動型の投信を売買対象とする投資家は別として、個別銘柄を売り買いする人に関係のないデータで、経済紙の紙面や経済番組の時間を埋めるのが“お約束”ですが、不安心理を利用して煙に巻いているだけです。

「日経平均は〇〇だが……」といった表現をマネすると、思考も残念な方向に傾いてしまいますが、忙しい社会人、効率を求めるオトナだからこその錯覚、“あるある”の落とし穴なのです。

株の売買を実践しない(立場上できない)経済記者の文章なんて気にせず、自分だけの視点で値動きを観察してください。
望む結果に近づくために、不可欠な姿勢です。


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9月11日放送のフォローアップ(3)
林 知之

プロに学ぶトレード姿勢

裁量トレードがいいか、厳密なルールに従う機械的トレード(システム)がいいか──まさに、トレードにおける“永遠の課題”ですが、好みによる使い分け、哲学に応じた融合など、自分なりの答えを出すことは可能です。

9月11日の放送では、その場の気分で考えたり、短期的な結果論に陥らずに進むためのヒントを示し、いくつかの観点から掘り下げてみました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第116回 うねり取りの機械的判断を深く考える ~中源線と裁量、どっちがいいの?~

おしりの穴がムズムズする

9月放送の事前打ち合わせで、大橋ひろこさんが面白い話をしてくれました。
ある高名な実践家にインタビューした際に「どんな状況のとき、ポジションを切ってしまうのですか?」と質問したところ、「これはよくないというとき、おしりの穴がムズムズするんだよ」との返答だったそうです。

一瞬、笑ってしまうのですが、すごくよくわかります!

正しい裁量トレードは、ほぼ数式化できるくらいカチッとした基準で進めていくものです。ただ、実際に数式化しようとすると、強みである感性がどこかに飛んでいってしまうので、「これはオーケー」「これはダメ」といった感覚を残したまま行動するのです。

決して、あいまいな想像と思いつきではありません。

結果として、自分にとって「切るべき」場面で──その行動が結果的に当たるかどうかは別として──「よし、切ろう」と決断できるのです。

なんだか違和感を覚える、経験から“よくない状況”だと感じる、そう悪くないかもしれないが続けていても上手に対応できそうもない……こういったプレーヤーとしての“感じ方”を判断につなげ、迷わずに行動するということです。

着陸をやり直す基準

おしりの穴がムズムズ……同じようなことが、ほかの分野にも必ずあります。

私は飛行機の操縦資格を持っていますが(自家用)、学んできたオペレーションの中には、理屈にならない理屈のような教えもありました。「なんとなくイヤな感じがしたら、着陸をやり直せ」と、インストラクターから言われたことがあります。これについては反論もあるのかもしれませんが、「おしりの穴がムズムズ」で思い出し、トレードも同じだなあ、万が一を考えて危険を避ける判断は必要ではないか、と感じました。

なんとなくイヤだ……そんな場面で決断を先送りすると、あまりいいことはありません。利が伸びる方向に動いたとしても、その後の行動がギクシャクしがちです。逆行した場合は、意地になってしまう傾向があります。能力が足りないのではなく、それが人間の自然な心理なのです。

中源線のように、弱くなったら「陰転。ドテン売り」、強張ったら「陽転、ドテン買い」と素早く判断して行動を取ることは、とても重要です。今までのポジションを切るだけ、つまりドテンせずにポジションなしのまま「待つ」ことも相場ですが、すでにあるポジションに違和感が芽生えたのに維持して「待つ」のは、明らかに間違いなのです。

裁量のシステム化

「裁量のトレードも、ほぼ数式化できる」と述べました。
では、システム化することで何が起きるか──。強みである感性がどこかに飛んでいく可能性、感覚と経験によって少しずつ修正していく機能が弱くなる、といったマイナス面が発生し得るのですが、システム化の利点もあるので十分に成立します。

いや、そもそも大部分のシステムは、生身の人間が考えたロジック(判断基準のアイデア)を数式化したものです。既存のシステムを検討する際、「これは儲かるかも!」などとコーフンせずに、数式に落とし込むプロセスで大失敗がなかったか、大元の発想にあった強みが消えてしまっていないか、といった観点でチェックするべきなのでしょう。販売されているシステムについて、そういった大切な情報が開示されていれば、の話ですが……。

中源線も、実践者の素直な感覚を数式に落とし込んだものです。
素晴らしいと感じるのは、「精度を上げようと躍起になった形跡がゼロ」だという部分です。この部分の評価は人によって異なるでしょうが、ロジックを完全に公開しているので、じっくりと考えてもらえる環境があります。

中源線のルールを理解して深く考えると、矛盾があるような、穴があるような……そんな気持ちになります。それだけ、ムリな数式化を避けてきたプロセスを確信できる出来栄えだと私は評価しています。

システムか裁量か……“白か黒か”で考えがちですが、根っこは全く同じ、細分化したときに「ここに、こんな効き目がある」「この部分に、こんな特性がある」などと丁寧に分析していくことが大切なのだと思います。

「これ、儲かりますか?」
「勝率は何%ですか?」

勝手にカネ儲けしてくれる“打ち出の小槌”など存在しません!
お任せ状態で利益だけほしいなんて気持ちが少しでもあると、悪い輩にだまされるのがオチです。

システムを裁量でコントロール

システムも裁量も同じ、と説明しましたが、便宜的に分けておかないと混乱するケースが多いと思います。

事前に決めた通りに売買するのがシステムです。

それに対して裁量は、事前にいろいろなことを決めておくとはいえ、判断基準に若干の幅をもたせたり、状況に応じて少しだけ変更の余地を残しておきます。

実際には、システムを動かしながら「ルール変更を検討する」こともありますね。「よし、この部分をこう変えてみよう」と確信したら、ポジションがないときに手を加え、変更を施したシステムを再び稼働させます。100%完全なものがない以上、こういった改良を加えるのが、ある意味、当然です。

では、ルール変更を検討している部分について、ポジションがある状態でルール無視の対応をしたら? 例えば、システムが「売り」と指示しているのに買いポジションを維持した場合、上がればいいのですが、どんどん下がったときに“次の一手”がないまま迷走してしまいます。

でも、「買いポジションを維持するが、〇〇円まで下げたら切る」と決めておいたら、どうでしょうか? システムではなくド裁量ですが、トレードの決断としては成立しています。

難しい話にしてしまいましたが、“白か黒か”だけで判断できない部分が多々あるということです。しかし、原則は以下に示す通りです。

  • 必ず事前に決めた通りに売買する(システムでも裁量でも)
  • 思いつきの行動は避ける
  • 新しいアイデアは、ポジションなしの状態で仕上げて次のトレードから実行する

軽率な行動は、その1回で大損する可能性が生まれるだけでなく、長く続けるトレード活動で試行錯誤するプロセスが、わからなくなってしまう危険性をはらんでいます。

人間の創造性こそが、勝つための要素です。
しかし、人間だからこその弱さも十分に認識しておくべきです。

ちょいと一杯のつもりだったのに、いつの間にやらハシゴ酒……その次もやらかします(笑)。

ステキな「自分流」構築法

実際の中源線チャートを見ながら、“裁量によるアレンジ”を考えてみましょう。

下に示す牧野フライスは、林投資研究所の中源線シグナル配信において、「ユニバース」(パフォーマンスが良好かつ安定している研究対象銘柄)に選定している銘柄の1つです。

2016年10月後半に陽転したのですが、翌11月はじめに陰転しました。
しかし、米大統領選のあとの上昇で素早く陽転し、大きな上げを取ることができました。

2017年3月、天井から少し下げた時点で陰転、このあと現在までのダラダラ下げをうまく捉えていますが、下げの途中で2回、ダマシの陽転が起こっています。

このダマシを避けることはできないか──。
実践者として、当然の発想ですね。

でも、「売ったまま」というのは、ルールに反する行動です。
陽転して「買いなさい」と言われているのに売りポジションを維持する……結果的には当たっていますが、その時点では知りようのない未来です。売りポジションを放置したまま大きく上伸したら、フリーズした状態で評価損が膨らんでいくことになります。おそろしい・・・

ひとつの例ですが、この陽転で「売りポジションは手仕舞う。しかし買わない」という対応はアリです。ポジションゼロの状態で、「再び陰転したら売り出動」と決めて状況を見守るという決断ですね。もちろん、陽転が正解で上伸した場合は、利益を取り損ないます。そういう「機会損失」を覚悟した裁量です。

これならば、「次の一手をなくして迷走する」ことはありません。
ただし、「ダマシかもしれない」と判断する基準は、明確にしておく必要があります。
とことん明確にすることができるなら、それもルールに加えるべきで……こうして、深い思考にのめり込むのが、トレードというシゴトなのです。

これで、9月11日放送のフォローアップは終了です。
次回放送は10月16日、ちまたにある投資関連情報を見極めようということで、次のようなタイトルを考えています。
「投資情報のウソ・ホント」
まだ決定ではありませんが……お楽しみに!


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9月11日放送のフォローアップ(2)
林 知之

裁量かシステムか?

裁量トレードがいいか、厳密なルールに従う機械的トレード(システム)がいいか──まさに、トレードにおける“永遠の課題”ですが、好みによる使い分け、哲学に応じた融合など、自分なりの答えを出すことは可能です。

9月11日の放送では、その場の気分で考えたり、短期的な結果論に陥らずに進むためのヒントを示し、いくつかの観点から掘り下げてみました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第116回 うねり取りの機械的判断を深く考える ~中源線と裁量、どっちがいいの?~

「当てる」ことではない!

相場は非情です。
買って上がればワクワクですが、買ったのに下がったらガッカリ……1回ごとの「損益」が、重くのしかかってきます。そのため、“予測が当たるかどうか”に神経質になるのです。しかし、そこには落とし穴があることを忘れてはいけません。

「予測を当てたい」と切望する多くの人が、どのような行動を取るか──。
予測情報を探すうちに、毎日それを見ないと落ち着かない“中毒”的な状態になり、思考力、判断力、決断力、行動力……これら、自分自身の能力を伸ばすきっかけを失ってしまいます。

「予測は当たらないんだ」と気づく……いや、実は気づいているのだから、ムリにあがくことなく開き直れば、とてもラクになります。そして、「では、どうするか」という極めて現実的かつ実践的なことに目が向くはずです。

中源線を検証すると、いわゆる勝率は平均で50%を切っています。
相性が悪い銘柄を除いても、どうしたって、取れる時期と取れない時期が生じますが、平均してプラスのパフォーマンスを期待できます。

3分割の売買と、“損切りするかねばるか”のポジション操作によって、かかわる時間をコントロールし、プロが考える「損小利大」を実現しようとする仕組みなのです。

人間の働きとミス

システムを組む、あるいは、システムとは呼べないものの一定の機械的判断を取り入れようとする狙いは、「予測の的中率を上げる」ことではありません。うまく当たったときに利を伸ばす(時間をかけてもいい)、曲がった(外れた)ときは損を小さく抑える(かつ、時間をかけたくない)、つまり「損小利大」を目指すのがゴールです。

利益を伸ばすイメージは大切です。
ちょっとダメなポジションを大切にする一方、ちょっといい感じのポジションを「今のうちに利益確定」とばかりサッと手仕舞いすると、えてして逆の結果となります。ちょっとダメなポジションをさっさと切り、ちょっといい感じのポジションを乗せるくらいのイメージのほうが、実用的なのです。

しかし、値の動きは一律ではありません。
積極的に行動するほど不要の損が重なる……そんな時期もあります。
でも、グッとガマンして持続することで面白いように利が伸びる時期もあります。いわゆる“攻め時”ってヤツですね。

人人間の能力は想像以上に高いので、経験によって臨機応変な対応が可能となったり、上記のような変化を察知するなどのチカラを持っています。

ただし、強固な軸をもつ、ビシッとした行動を続けた経験がないと、判断の基準は生まれないでしょう。また、百戦錬磨の強者でも読み切れない場合が多々ありますし、気づかずにブレが生じていることもあります。

人間の能力に依存するトレードは、諸刃の剣ともいえますね。

機械の優秀さとダメな部分

数式を利用する「機械的判断」は、絶対にブレません。
西のほうからミサイルが飛んでこようが、太平洋の向こうの大統領がビックリ発言しようが、価格が動かない限り反応しません(各種のファンダメンタル要因も対象とするアルゴリズム取引のシステムだけは別です)。

「コワい」という感情もなければ、「今月あと一発儲けたい」なんて熱い心もありません。淡々と判断します。

そのかわり、人間のような繊細な対応はできません。
値運びの機微を捉えたり、場の“味”によって変則的な手を打つことなんて、できないのです。いや、させるべきではないのです。

さまざまに変化するマーケットの動きを“最大公約数的”に捉え、いつでもボチボチの結果が出る、というのがシステムの基本で、そこに損小利大のための工夫を盛り込む、というのが教科書的な説明でしょうか。

雨を予想してカサを多めに仕入れる、なんて芸当はできなくても、カサの仕入れを忘れるポカもありません。淡々とした行動が、機械的判断の根っことなるのです。

ちなみに人間は、天候を読みながらカサを多めに仕入れることができるのですが、雨が降らずカサが売れなかった、台風が強烈で誰も外に出ないからカサが売れなかった、カサばかり気にしてほかの商品がおろそかになった……こんなミスがあり得ますね。

確信ある自分流

さて、なにを持ち出しても一長一短、「これで完ぺき、もうなにも考えなくていい」なんて状況は絶対にありません。だから、どんな考え方を軸にするか、どこまで機械的判断を盛り込むか、好みで決めるしかないのです。

とことんシステマチックにトレードする人もいます。
ただし、感性どおりの“こだわり”を数式化するのが基本です。

そんな機械的売買を、部分的に利用する人もいます。

例えば、「仕掛けだけシステムがいい」という人は、次のように考えているかもしれません。

「エントリーでグズグズするのがイヤだから、機械的判断でサッと出動する。早期の損切りも、機械的判断による。でも、『乗れた』というときは、自分の感性を頼りに利を伸ばすよう努める」

逆に、「手仕舞いで迷うから、損切りも利食いも機械的に判断する」という人もいます。

機械的判断のもととなる「数式」は、そもそも生身の人間が考えているのですが、そのことは置いておくとして、「システムと裁量の“融合”」と呼べる取り組み方です。

良い悪いなんて、一概には言えません。
ずるい言葉ですが、好みの方向で知恵を積み重ね、「確信ある自分流」を構築するしかないのです。

相場本の正しい読み方

相場の本の選び方は、難しいと思います。
売れている本が良書、とは限りませんから。

いろいろ読んでみるしかない、ということですね。

私は、ひたすら真面目な路線で本を書いていますが、それが投資家すべてに有益だなんて言い切るのは傲慢というもの。「ストイックすぎる」と感じて、ちょっと勉強する気だった人がフラフラ系に傾くかもしれませんから。

だから、思いついたものから、多くの本を読んでみるべきだと思うのです。
ただし、自分なりの「ゴール」を考えておくことが大切です。

「この本を読むと、いま課題となっている〇〇が解決するかも」といった、自分なりの“狙い”ですね。狙いが定まっていれば、たとえ狙いが外れたとしても、たまたま書いてあった別の情報に影響されることもないでしょう。そして、次の本を見つけるための基準が向上します。

良書を見つけるのは難しいと述べましたが、絶対に避けてほしいことはあります。「これをやれば、明日から儲かる」的な発想です。
慌てて結果を求めると、どうなるか……実は、そんな浮ついた希望に、ちゃ~んと応えてくれる本があるんですよね。

フォローアップ(1)で、私が書いた、実践家のインタビュー集『億を稼ぐトレーダーたち』を紹介しました。そして、「業界内部の人にすこぶる好評」と述べました。

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逆に、一部の一般投資家からは酷評を受けたのです。
多くの実践家が登場するのに、「彼らの手の内がズバリ書かれていない」という点が、とても不満だったのでしょう。

私のインタビュー集だけでなく、ほかの人が著した同類の本を読む場合、あるいは、ほかの投資家との相場談義をするときでも、「すぐに使えるラクラクな方法」を求めないでください。

中源線でラクラク?

中源線は、強弱の判断と3分割の売買が、細かくルール化されています。
現実では、その中源線の「具体的な使い方」を考えるのですが、まずは規定どおりに売買した結果を見て、強みと弱点を見極めることが第一です。

今回も、林投資研究所のサービス「中源線シグナル配信」で、“高パフォーマンスかつ安定”の研究対象銘柄「ユニバース」から抜粋した銘柄で、中源線の特徴(強みと弱点)をチェックしてみましょう。

赤い線が陽線(買い線)、黒い線が陰線(売り線)で、それぞれ3分割の売買を実行します。

有沢製作所は、2016年の9月から大きく伸び、約2倍に化けています。
中源線はずっと買い線のままなので、こうしてチャートを見れば「大当たり」というところですが、そんな表面的な見方には意味がありません。

2016年11月、米大統領選の際にガクンと下げても陰転しなかった……まあ、たまたまですね。

2017年4月にズルズルと下げた場面でも陰転しなかった……結果論では「当たり」でも、現実に買いポジションを抱えた状態で「中源線が陽線のままだから……」と安心していられただろうか──こんなことを考えてみたいのです。

ちなみに、こういう場面について、完全な後講釈で「はい、押し目買いの絶好のチャンスでした」なんて解説を見ることもありますが、どうかと思います。

東邦チタニウムのチャートの前半に、「機敏にドテン」と記した場面が2つあります。どちらも、下落して陰転、その後の切り返しで再び陽転、という結果です。

最終的には陽転して上げに乗ったので、現実の相場の世界では「正解だった」と評していいと思うのですが、「ダマシの陰転があった」とネガティブな評価をしたくなります。あとから見ているからです。

ちなみに、後半に出現したダマシの連続は、ちゃぶついた動きだから仕方がない、中源線の弱みがモロに出る値運び、というところですが、実際にポジションを取っていると、気分が悪いのは当然です。感情的には、受け入れにくい結果です。

そこで、「裁量の判断で避けられないか」と考えるのですが、実際にはなかなか“イバラの道”でしょうね。

次回のフォローアップ(3)では、「システムと裁量」という切り口で、現実を見据えたプロの思考に迫ります。
お楽しみに!


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9月11日放送のフォローアップ(1)
林 知之

悩みと迷いの解決方法

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(第116回 うねり取りの機械的判断を深く考える ~中源線と裁量、どっちがいいの?~

トレードの悩みと迷い

トレードの悩みは尽きません。
「うぅ~ん、どうしようかな」という悩みは、経験を積むほどに増えていきます。

でも、いざ売り買いを決める際の「どうしようかな」は、ゼロにするべき「迷い」です。行動がギクシャクします。
実践者としては、「悩み」と「迷い」を区別して考えるべきです。

でも、今回はテーマそのものが難しいので、「どうしようかな」と考えること一切合切について“前進の突破口を見つける”ために話を進めていきます。

仕掛けと手仕舞いの比重

「どうしようかな」と考えること……いくらでもありますよね。
たくさんのことを考えているうちに、「要するに儲かるかどうか」ということになり、深い考察を試みたのに不発、というオチになったりします。
ちょっと思いついたことを、ひとつずつ、でいいと思います。

例えば、「仕掛け」と「手仕舞い」の比重について考えてみましょう。

仕掛けと手仕舞い、どちらをより重視するか、どちらに多くの手間をかけるか、といったスタイルの問題です。「技法の比重」のみならず、「気配り」「研究」「改良」といったトレードのシゴトすべてについて、偏りが生じるのが当然です。

番組でも話した通り、例えば「3:7」とか「7:3」といった比重が考えられますが、実は多くの人が、「どちらも大切」「自分は10:10で総量が20」くらいのイメージで臨んでいるのではないでしょうか。

ほかの市場参加者が合計で10しか考えていないのに、自分は全部で20のことを考えている、だから勝てる!──意気込みは評価できますが、ちょっとムリがあるというか、認識が甘いというか……もっと控えめに考えてみるほうが安全でしょう。ほかの市場参加者と自分を比べたとき、「条件は全く同じ」という前提が重要です。

  • いくつもの観点から冷静に考えている。だから、考える総量が常に「10」あり、平均的な投資家は「10」に満たないから優位だ。
  • たまには、総量が「11」や「12」に及ぶこともある。素晴らしい!

これくらいで、いいのではないでしょうか。

「仕掛け」と「手仕舞い」の比重、この件に話を戻します。
例えば、試し玉を活用しながら、「底値買い」を理想に近づけるべく神経を使っている、とします。バランス的に、手仕舞いはあっさりしたものに傾くのが必然でしょう。

手仕舞いが雑、ということではありません。
あくまでも、「特に力を入れるのはどこか」という問題です。

ご自身の哲学、銘柄や手法によるちがいを、たまには立ち止まって考えてみてください。

ついてる仙人のトレード法

先日、225先物トレーダー、ついてる仙人氏にインタビューしました。
マーケット・スクランブルのWEBサイトにも、彼のブログが掲載されていますよね。

彼は、仕掛けのタイミングを慎重に選ぶものの、分割せずに、予定数量を一括で建てます。そのかわり、丁寧かつ計画的な手仕舞いを実行し、「乗れた」と判断したときも「見込み違いだ」と感じたときも、1回目と2回目の手仕舞いはけっこう早いタイミングで行うそうです。

それに対して私は、仕掛けのタイミングを慎重に考えるのは同じでも、さらに、分割を基本として少しずつ増やしていく方法でトレードしています。

「仕掛けは入り口だから、“石橋をたたいて渡る”イメージ」
「手仕舞いは、深くかかわっている玉からの撤退だから時間をかけない」
このように教わったからです。

彼と私は、ある意味、真逆ですね。
でも、どちらが正しいか、どちらが有利か、という議論はできません。
それぞれに一長一短があり、全体のバランスや考え方との整合性がポイントだ、と捉えてください。

ついてる仙人氏のインタビューは、林投資研究所の『研究部会報』2017年9月号の「相場師インタビュー」に掲載します。9月12日に印刷所へ入稿して印刷中、発送は9月26日です。お楽しみに!

この「相場師インタビュー」は、多くの実践者の協力で、個人投資家にプロの思考を伝えるべく継続して行っている企画です。

そして、インタビューをまとめた単行本『億を稼ぐトレーダーたち』は、業界内部の人にすこぶる好評で、書店でも多くの人に買っていただきました。
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決断の主体は?

裁量かシステムか──。
この問題を考えるとき、とても大切な観点があります。

機械的判断を絶対とするシステムといっても、数式を積み重ねる作業も、そもそもの「こうすれば儲かるだろう」というアイデアも、生身の人間の手によるものです。

特殊な分析ツールで「儲かる数式が見つかればいい」というアプローチをする人もいますが、よほどの頭脳と能力がない限り、大混乱が懸念されます。

それに、システムを動かしてトレードをスタートさせるのも人間ならば、「中止だ」と判断して行動するのも人間です。金額を設定するのも人間です。

ちょっと深い話になりますが、システムといっても“すべてが裁量じゃないか”という議論は、十分に成立するのではないかと思うのです。そもそも、「トレードをやろう」という決断が、ド裁量なのです。

実例で考えよう

さて、番組で継続的に紹介している「中源線建玉法」は、実践者の生身の感覚を、実にシンプルな数式に落とし込んだもので、説明を聞けば多くの人が理解、納得できるロジック(判断ルール)を持ち合わせています。

「概要について知りたい」というかたは、私が最近書いた単行本、『入門の入門 中源線投資法』を読んでください。中源線の基本的なルールを公開すると同時に、トレードについての実践的な意見もたっぷりと盛り込んであります。

その、中源線による売買結果を、実際のチャートで確認してみましょう。
林投資研究所のサービス「中源線シグナル配信」で、“高パフォーマンスかつ安定”の研究対象銘柄「ユニバース」から抜粋した銘柄です。

その前に、中源線のことをカンタンにお伝えしておきましょう。

中源線は、予測の反対方向の「逆行」する動きに注目します。

上昇を予測して買っているときは、逆行の下げに注意します。
下げのパターンによって陰転と判断すれば、ドテン売りにまわります。

下落を予測して売っている(カラ売り)ときは、逆行の上げに注意し、一定の条件がそろえばドテン買いにまわるのです。

日々の終値を結ぶ線は、赤と黒の2色に分かれていて、赤が陽線(買い線)、黒が陰線(売り線)です。

2502アサヒグループHDのチャートを見て、私は4つのポイントに注目しました。

1.とりあえずウリ
2016年11月、米大統領選の際のドタバタでは、たまたま条件がそろわずに陽線(買い線)のままでした。でも、選挙のあとも動意づくことなく弱含みの動きをみせ、12月に陰転しています。

2.買い直し
陰線のまま少し上昇……残念な流れですが、1月後半に陽転しました。ここでドテン、買いにまわり、その後の上げ波動に乗っかりました。

3.ダマシ
でも、2017年4月に中段でいったん陰転しています。
買いポジションを利食い手仕舞いし、下げにそなえてドテン売りにまわったのですが、3分割の1回分のカラ売りにとどまり、次の陽転で再び買いポジションに戻ります。

4.裁量では投げ?
4つめのポイント、青い丸印の部分を解説します。
2つの陰転ポイント、「とりあえずウリ」や「ダマシ」と同じようにイヤな下げ方をみせているのに、中源線は陽線のままでした。その後、直近で上伸しているので、結果的には正解だったわけです。

でも、「中源線が優秀だった」なんて後講釈は、ハレンチな宣伝文句でしかありません(世の中、その手の情報が多いのが現実ですが……)。裁量ならば、ドテン売りにまわらないまでも、いったんは売り手仕舞いする場面だと感じます。だから、「たまたま中源線の条件がそろわなかった」と解釈するのが正しいでしょう。

中源線のロジックが想定しているのは、6月に下げる途中で陰転、7月前半の切り返しで再び陽転、というところです。機械的判断の場合、ブレずに答えが出る半面、人間の感覚では納得しにくい判断も起こり得るのです。

最後に、今回のタイトル「悩みと迷いの解決方法」をズバリ示します。

利益になったか損になったか……切実な問題ではありますが、その問題から離れてトレードの「質」を考えることです。

「トレードの良い悪いは損益とは別」との前提で、自分なりの仮説をしっかりと立ててトレードに臨み、将来のために合理的な分析を行う──このように整理することで、少なくとも「迷い」はゼロに近づくはずです。

次回のフォローアップ(2)では、番組タイトルにも掲げたテーマ、「裁量かシステムか」を考えてみます。
お楽しみに!


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不倫疑惑の政治家に「一線を越えたんですか?」。「はい、週に3回で~す」なんて答えはあり得ません……それでも質問しなければいけないのでしょうか?

「○○株は、まだ上がりますか?」といった質問が時々あります。
強弱を「診断」してほしいということですが、不可能です。

ある特定の基準で「判断」することはできますが、結果は五分と五分……どんな結果であろうと、実践者として“次の一手”を打つ前提で、ズバッと判断・行動するだけです。

そもそも、真剣に「買いだ」という人と、確信をもって「売りだ」という人が半分ずついるから、市場で値段がついているのです。

良いトレードをしたい──。
つい、1回ごとの損益を気にしてしまいますが、神様ではありませんから、必死に予測しても当たったり外れたり……。

先日、「相場師インタビュー」に応じてくれた225先物トレーダー、“ついてる仙人”氏は、次のように言っていました。

「正しいトレード」と「間違ったトレード」、「利益になるトレード」と「損になるトレード」、これら4つの区別が重要だと思う。

このインタビューは、9月26日発行の『研究部会報』9月号に掲載します。

例えば、「この値運びは買いだ」と判断したら、「でも、利益になるかなぁ」などと考えずに出動するのが正解、「正しいトレード」です。
「正しいトレード」を実行した結果、見込み違いで損になったとしても、さかのぼって「間違ったトレードだった」とはならないのです。

「買いだ」と判断したのに、「損になったらイヤだ」という恐怖心で出動しなかった、そうしたら下がった……「正解でしたよ」というのは誤り。
買いだと判断したのなら、出動して損切りという結果こそが正解です。

自分で決めたことは、実行するのが当然です。
次に同じパターンが出現した際、どう行動すればいいのかわからなくなります。

「当たり外れは仕方がない」という前提で立てた戦略なのに、最後の最後に自分自身で“当たり外れ”を当てようとするなんて……。

「判断基準が適切ではない」というのなら、ポジションもなく出動を検討する雰囲気もないときに、戦略を見直すのが正しい対応です。

いま気づきました。
「一線を越えたか」と、とりあえず質問するのが、正しいシゴトなんですね。


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