「当てる」ことを放棄してみよう!
日々、目まぐるしく変動する株価。それにまつわる各種の情報……。
良い情報を求めても、なかなか出会うことができません。
観点が定まらない情報、怪しい情報サービスに誘う巧妙なウソ、悪意はないのに害となるダメ情報など玉石混交、上手に選別するのは難しいのです。
10月16日の放送では、「当てたい」と思う気持ちが情報の選別を狂わせるプロセスを確認し、ブレない行動を支えるシンプルな株価観察の実際を説明しました。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第118回 投資情報のウソ・ホント ~情報を選ぶ目を養おう~)

勝率50%理論
中源線の勝率を計算してみると、平均して50%を少し割り込みます。
相性の悪い銘柄もありますし、「機能する」と言いきれる銘柄でも連敗する場面があるということです。結局、どんな予測法を使っても、おおよそ50%の勝率におさまるのが、トレードの事実、金融マーケットの真実なのです。
ただ、使う側の人間に「期待」があるので、「もっと当たるものがある」という錯覚が生じます。その錯覚によって情報を見誤ったり、タチの悪い勧誘に引っかかったりするわけです。
慎重に検討して「そこそこ機能する」と踏んで、いざトレード!
すると、まさかの連敗・・・
こんなケースでは、「このやり方、実際の勝率は10%くらいじゃないの?」なんて思いが脳裏をよぎるのですが、そんなことはゼッタイにありません!
もし、本当に勝率10%ならば、常に真逆をやる、つまり「売り」「買い」を逆にするだけで『勝率90%』という驚異の結果を得られます。
「おおよそ50%の勝率におさまる」と述べましたが、出動の機会をグッと絞り込むことで勝率を上げる道はあります。
利益のチャンスを逃す“機会損失”を覚悟で、ポジションを取らずに見送る場面を増やす、という選択です。
これは、とても正しい考え方で、特に裁量でトレードする場合は、休みの期間をつくることで脳内をリセットする効果もあるので非常に有効です。
出動の頻度を高くした場合は、どうでしょうか?
ムリに勝率を高めようとすると、「勝率は高いが利幅が限定的」という悲劇に近づきます。勝率のために小幅利食いを優先することになり、避けようのない損失をカバーできなくなるのです。
結論として、多くのシステムトレーダーが「勝率50%」を目安にロジックを詰め、見込み違いの損を抑えつつ、当たったときにねばって利を伸ばすよう努めています。
裁量でもシステムでも「損小利大」の原則は同じ──「当てる」ことを求めるのではなく、当たったときの対応、曲がった(外れた)ときの対処を考えます。
突き詰めると、「当てることを放棄する」という極端な表現にたどり着きます。

プロは感情をもたない?
感情の振れが激しいのは問題ですが、感情を揺さぶるものに人間は魅力を感じます。
例えば遊園地には、日常にない激しさを感じるジェットコースターや、恐怖を楽しむお化け屋敷があります。映画やドラマ、あるいは、小説でもマンガでも、ストーリー進行に適度な“山”があるからワクワクするのです。
恋愛マニュアルには、「相手の感情の振れ幅を大きくしろ」なんて書いてあります。相手が自分に対して何を感じるか──よろこびあり、不安ありの状況をつくってやると、相手は自分のことを考える時間が多くなる、これすなわち恋する感情だそうです。
本題に戻り、トレードにおける感情を考えます。
例えば買いポジションを持っているとき、上がればうれしいし、下がればおもしろくない……当然の感情ですが、その感情が大きい場合、つまり「有頂天」と「落胆」が交互にくるようでは落ち着いた行動を取れません。
「上がったよ! 来週あたり、別荘でも物色するか」とか、「あ~下がりそうだ……世の中、いいことなんてないよ」などと、プラスの方向でもマイナスの方向でも、感情を膨らませるべきではないのです。
だから、トレードにおける感情の振れ幅は、小さいほどいいのです。
遊園地や映画鑑賞のように「感情の振れを楽しむ」ものではなく、冷静さが要求される“カネ儲けのシゴト”ですから。

平坦な評価がいい

上の図は、中源線の基本的なロジック(判断基準)を示しています。
「買っている」状態なので、利益になる上げの動きを「順行」と呼び、下げを「逆行」と認識します。
不思議なもので、こうして名前をつけただけで、順行=うれしい、逆行=イヤだ、という感情が少し薄くなります。そして、プレーヤーにとって重要な“次の一手を考える”シゴトに気持ちが向くのです。
「上がると思ったのに下げた・・・もう、見ないでおこう」
こんな態度は、生まれにくいということです。
中源線は、情報を価格だけに絞ったうえ、さらに、「終値だけ」に絞り込みます。
シンプルに株価の“流れ”を読み、“次の一手”を判断しようとするわけです。
こうしたパターン分析で、「逆行と逆行の組み合わせ」が陰陽の転換、つまり強弱判断の切り替えにつながります。
上がった相場が「下げそう」な流れならば、買いポジションをゼロにしてドテン売りにまわります。ただし、常に3分割の1単位ずつが原則で、丁寧に、少しずつ操作することに徹するのです。
さて、「感情をもたない」のが理想ですが、そんな人間はいません。
いや、まれにですが、トレードにおいて一切の感情を排除できる人がいますが、平均的な人が目指す姿ではありません。
買っていて上がったら「よしよし」、下がったら「そうか……」と感じればいいのです。ただし、「下げが続きそうなら、損益にかかわらず切る」と、的確な“次の一手”を打てることが前提です。
どうでしょうか、少しは「当てることを放棄する」気になりましたか?

勝ちの評価と負けの評価
私たち投資家が過去のチャートを見ると、「それが未来に起きたら」と想像します。実際に売り買いしていないのに、よろこびや落胆の感情が発生します。
一種の“バーチャルリアリティ”ですね。
これから中源線のチャートを3銘柄、解説付きで紹介しますが、「当てることを放棄する」「当たることを期待しない」意識で眺めてみてください。
※赤が買い線、黒が売り線で、どちらも3分割のポジション操作を行います。
東京個別指導学院。チャート前半の上げは、きれいに取れています。
約1,000円幅の上昇で、途中にダマシの陰転があるものの、そんなものがまったく気にもならないほどの値幅取りが実現したわけです。
「よし、こんどは大幅な下げを取れるか!」と期待は膨らみますが、直近の下げは取れているものの、チャートの後半はおおむね、残念な展開が続いています。特に、下げたあとの陽転が2回ともダマシになったあたりでは、大きな上げを取った素晴らしい結果と比較して「ちぇっ、なんだよ」と思ってしまうでしょう。
そんな感情が、誤った考え方を生みます。
「きれいに当たるときだけトレードできないか」
「うまく銘柄を入れ替えていけばいいのか?」
「せめて、転換ごとに上手に評価して、出動の可否を考えるか」
これが、「当てよう」とする思考です。キケンです。
「当てること」を放棄して、3分割のポジション操作で結果を出そうとするのが中源線です。「損小利大」の原則を守った、適切な手法です。
その中源線を利用しながら、個々の転換の勝敗を「当てよう」なんて・・・とりあえず3分割の1単位だけ出動したあと裁量で切ってしまう、といった使い方はあり得るものの、いきなり当てようというのはムリです。
ムリな思考を大切にすると、次第に“相場難民”化します。
ヤバい情報商材などに引っかかるかもしれません。
ちなみに、バツ印をつけたダマシはすべて、3分割のルールのおかげで、損を最小限に抑えています。このように、グズグズと苦労しながらも大きな損を出さず、取れるところで取ってつじつまを合わせるのが、トレードの本当の姿でしょう。感情の振れ幅を小さくすべき理由が、ここにあります。
プリマハムは、1年を超える長期間の上げを、ダマシの発生ゼロできれいに取りました。レアな事例です。
つい、「こういう銘柄を探そう!」なんて思うのですが、それができるなら苦労はありません。そんな考え方の投資家は、この上げの初期で乗って中源線を見ていたとしても、「上げがのろい。ほかにいい銘柄はないか」とソワソワし始めるでしょう。
ちなみに、直近の高値圏では、陰転、陽転して高値更新、そのあと再び陰転と、気迷い状態が続いています。ストレスなしで大きく取れた場面も現実なら、現在の状況も現実です。
有沢製作所は、ひたすら買い線が続いていますが、単なる過去チャートですから、落ち着いて眺めなければなりません。
中央にある青い丸の部分を見て、なにを感じるか──。
1カ月ちょっとの期間で約100円幅の下げ……「うん、中源線が買い線のままだから安心」と片づくのでしょうか。
結果を見て「はい、当たってます!」と終わるのではなく、こういった株価推移の情報をどう捉えるか、どう分析するか、どうやって“後悔しない一手”に結びつけるのかを考えなければなりません。
フォローアップ(1)で、雑多な情報を整理する方法を説明しましたが、適切に絞り込んだ情報に“自らの評価”を加えることで、再び未整理かつ大量な情報が生まれます。
最もアブナイ投資情報は、自分の頭の中にあるのだと考えてください。

次回のフォローアップ(3)では、自律調整しながら前進するプロの思考に近づく方法、プロに並ぶためのマインドセットを紹介します。
お楽しみに!
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