いわゆる“成功”の再現性を考える
底値をズバリと当てる、天井をビシッと言い当てる……誰もがあこがれる理想の結果ですが、実はプレーヤーが目指すべきことではありません!
トレードの本質は、一歩遅れてもいいからトレンドの変化を検知し、サッと行動に移すことです。
2017年12月4日の放送では、値動きの「変化点」をキーワードに、トレードの核心に迫りました。難しいワザではなく、シンプルな判断と素早い行動によってプロのトレードを実現できるのです。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第122回 中源線で実現する究極のうねり取り ~変化点に機敏に対応するトレード~)

“真の理想”を求めよう
一般的な投資家に「あなたのゴールは?」と質問すると、「稼げるだけ稼げたい」なんて、オトナとしては不十分な返答が多いそうです(『凄腕ディーラーの戦い方』巻末対談、坂本慎太郎氏の言葉)。
私も多くの投資家と接する中で、「的中率9割を実現したい」とか「資金を毎年2倍にしたい」なんてムチャを言う人が多いことを経験してきました。
値動きをビシッと言い当てることができたら素晴らしいのですが、不特定多数の投資家が同じ土俵で競争しているのですから、さすがに絵空事といわざるを得ません。「最安値を買う」とか「最高値を売る」なんて、たった1回でも偶然に頼るしかないのです。
私が提唱するのは「50%」という数字です。
いろいろなものに、この「50%」を当てはめるのです。
- 「買いだ!」と確信して、その通りの結果になるのは50%。
- そこそこの幅で動いたとき、値幅の50%取れればサイコー!
- 資金全体をうまくコントロールするには、稼働率の上限が50%。
- 「いけるかな」と感じる場面でも、出動を50%に抑えてちょうどいい。
- 「この情報はスゴいかも!」と思っても、話半分、50%に評価する。
- 「この銘柄は1万株買いたい」と思っても、50%の5千株にしておく。
クソつまらないと感じることでしょう。
でも、日々カネの取り合いが演じられる株式市場で、それなりの結果を出そうと考えるならば、これくらいの力加減が適切、真の意味での「理想」なのです。
どうしても納得できない人は、「儲かりまっせ!」というノリで銘柄情報をバシバシ送ってくれる業者と契約し、こづかい銭に限定してスリルを楽しんでください。

「ゴメンナサイ」でいいんだ
テレビでテニスの試合を見ていると、サーブが外れる(フォールトになる)ケースが非常に多いと感じます。テレビに映る超一流の選手たちは、ほぼ100%の確率で線の中にサーブを打つことができるのでしょう。でも外れる……バシッと打たないと、勝負に勝てないからです。
世の中には、相手がいなくても、うまくできないケースはあります。
例えば、2メートル先のかごに、ほぼ100%の成功率でボールを投げ入れられるとしても、一発勝負で「入れたらご褒美」「外したら晩メシ抜き」なんて条件をつけられたら、ビビって確率が落ちますよね。
床に幅30センチでテープを貼り、その中を歩く。カンタンですよね。
でも、高さ10メートルの場所に渡した幅30センチの足場板の上を歩けと言われたら……コワくてできません。
ここで、トレードの現実を考えてみます。
上記の例と同じで、「激しい競争がある」「(カネのことだから)非常に緊張する」状況で売り買いを決めなければならないのです。しかも、選択肢は無限にある……未知の未来に向けて「さあ、決めなさい!」と迫られるので、ミスをするのが当たり前なのです。
ティッシュ配りをして、何%の人に受け取ってもらえますか?
街で女の子をナンパして、何%の人が首をタテに振ってくれますか?
食品売り場の「試食」なんて、販売員の感覚では「疑う余地なくおトク。なんで食べてくれないの?」というところでしょうが、多くの人は素通りします。
まあ、仕事でもなんでも、成功率は意外と低いものです。それでも、「そんなもんだよね」と片づけて次のステージに進んでいるはずです。
相場の見込み違いなんて当たり前、ちがったら「ゴメンナサイ」とひと言、そしてサッと対処して次のトレードにそなえればいいのです。力を入れるのは、「当てる」ことではなく「対応する部分」です。

負の記憶をつくらない
単独で行動するものは、結果が悪かったときに自分を責めてしまいます。
誰だって一定の向上心があるので、「もっとうまくやれたのに」と感じます。そして、トレードのように独りで戦う分野では、自分を責め続けてしまうのです。
例えばゴルフなんて、トレードと似ています。
独りで頑張る分野ですし、ボールが止まっているのでミスはすべて自分のせいだと考えてしまう、ミスショットのあと自分で対応を考えなければいけない、具体的な対応をするまで“ミスショットした”状態で止まっている……。
プロゴルファーの内面なんて、あまり触れる機会もありませんが、例えばパッティングの結果が悪いときに「グリーンが悪いんだ」なんて極端な言葉を使うようです。もちろん、自分の努力で修正しようとしますが、たまにコースに出るアマチュアではないのですから、とことんやった結果が悪いという状況をまともに受け止めてしまったら“重すぎる”のでしょう。頑張ってきた、これからも頑張る、という前提で、とりあえず「グリーンが悪い」と片づけるわけです。
日本人は生真面目です。
例えばレストランで毎日、皿洗いやホールの仕事をしていたら、皿を割ってしまうこともありますよね。<申し訳ありません>という気持ちで「皿を割ってしまいました……」なんて報告するのが、“標準”のように認識されていますが、多くの国や地域では「皿が割れた」と報告します。毎日のことだから、たまに割れるのなんて当たり前、という合理的な考え方しかしないのです。
トレードで負けたとき、「次も真剣に臨む」「より良い方法を模索し続ける」といった前向きな気持ちを前提に、しかし「予測なんて曲がって当たり前」という合理的な認識で、場合によっては「ヘンな相場だ!」と捨てゼリフを吐けばいいと思うのです。
ただし、『即座に対処する』ことが不可欠、ダメだと感じたら素早い損切りをいとわない姿勢が大切ですけどね。
さて、現実の厳しさをクドクドと述べたところで、とてもきれいに成功した実例を2つ、ご紹介しましょう。どちらも、「中源線シグナル配信」で『ユニバース』(パフォーマンス良好かつ安定の研究対象銘柄)に選定している銘柄です。
※赤が買い線、黒が売り線、どちらも3分割でポジションを増減させます。

2768双日は、安値の保合から上昇に転じる動きを、中源線がうまく捉えています。
上昇の途中、「1」ではっきりと保合を放れています(「2」の押しがビミョーですが……)。このケースでは、保合放れの手前、赤い矢印の部分で陽転して乗っています。「保合放れの前に仕込む」ことができた例です。
「3」では、誰もが「おおっ、買っておけばよかった。まだ上がるかなぁ……」と感じるでしょうが、その時点では、すでに利が乗っている状態です。

9994やまや、これは、ちょっと見事すぎる例ですね。
赤い矢印の部分で陽転、つまり「変化点」を捉えて行動(買い)しています。
このチャートではわかりにくいのですが、ガツンと立ち上がる前の小さいジグザグで、中源線による「陽転」の判断があった、ということです。
ちなみに、そのジグザグでは陽転せず、ガツンと立ち上がった段階でやっと陽転、というパターンだってあります。その場合は、手前の売りポジションにそこそこの損が生じますが、放置してフリーズすることは絶対にありません。生身の人間とちがって「いまさら……」とは考えず、淡々と「はい陽転! 買ってください」とシグナルが出るのです。行動は、売りポジションを踏んで(カラ売りの損切り)ドテン買いです。
今回は2つの例を示しましたが、中源線ならば、このようにピシピシと利益になる、ということではありません。今回のテーマである「変化点」の判断と、それに付随した行動を説明するための例です。
儲けるためにやるのですから、こんな“絵に描いたような理想の結果”が、ある意味、「モデル」のようなイメージとして頭の中に刻み込まれています。しかし、実際には負けが多いことも認識しています。
苦労が多い現実の中、“絵に描いたような理想の結果”をイメージするからスパッと行動できる、それこそが相場という行為の核だと考えます。
勝っても興奮せず、負けても落胆せず、目指すべきイメージは絶対にブレない。常に淡々と行動するよう心がけるのです。
その行動には、事前に安全弁を儲けておくことが必要です。負けトレードもあることを考えて資金に余裕をもつべき、前述した「50%」を大切にするべきだと、あらためて申し上げておきましょう。

安く買わなくてもいい
今回示した2つの事例は、どちらも「保合放れの前に買った」という“キモチいい”成功のケースです。それでも、最安値では買っていません。中源線は「少し上向く動きを見て陽転」「少し弱含む動きを見て陰転」というロジックで、一般的には“順張り”と説明するほうが受け入れやすいルールなのです。
でも本当は、それが最もわかりやすい感覚です。
例えば「最安値を買おう」と意気込んだら、まだまだ下げるうちに買ってしまうとか、安く買ったのはいいけど上がらないなんて展開も多いでしょう。
もちろん、「よし動き始めた!」と判断して買った結果、出損ないということもあるのですが、“いつ動くかわらない電車に乗って座っている”よりも“動き始めた電車にサッと乗り込む”ほうがイメージしやすいはずです。
トレードの実践は、「安く買って高く売る」ではないのです。
むしろ、「高く買って、さらに高値で売る」という発想のほうが素直だと思います。

次回のフォローアップ(3)は、値動きを見るときの大きなポイントを説明します。
お楽しみに!
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