賢い人が犯すミス
株価変動は、うねりと呼ばれる適度な上げ下げあり、長く大きく上下するトレンドあり……。予測が難しいのは当然として、値動きに“ついていく”際の判断基準は「天底」ではなく、いわゆる「変化点」であるべきです。
1月29日、2018年最初の放送では、12月の放送で紹介した「変化点」の観点でトレードの本質を追究し、具体例として中源線建玉法の効果を説明しました。
2月5日の放送は、1月の続編として、中源線が「変化点」をうまく捉えた事例を紹介するとともに、表裏一体の欠点によって“手が合わない”事例も紹介し、トレードの現実に迫りました。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第125回 うねり取りを深く考察する ~変化点を捉える中源線~)
(第126回 うねり取りを深く考察する ~中源線の性格を知り、使いこなす~)

大きく取ったあとに…
仕事でもスポーツでも、「流れがよくなった」と感じたら積極的に行動しますよね。当然の感覚、当たり前の発想です。
でも、トレードにおいては、そんな発想がすぐに“いきすぎた行動”につながります。

上のチャートは、2281プリマハムの中源線です。
赤で示す買い線(買いポジションを取る)で大きく上がっています。
この期間では400円ちょっとからスタートしていますが、もっと前から買い線が続いていたので、1年超の上げで倍化しているのです。
長く買い線が続いたことで、「ねばった」「大きく取れた」と気持ちは高揚します。そして、2017年9月の終わり、久しぶりに陰転して黒い売り線になったタイミングでは、こんなことを考えるかもしれません。
「こんどは長期間、ダラダラ下げが続くか! よし、数量を増やそう」
結果は……半月ほどで再び陽転、そのあとすぐに陰転、しかし下げずにまた陽転と、今までの流れがウソだったかのような連敗が出現しました。
もし、それまでよりもポジションサイズを大きくして臨んでいたら、どうなっていたでしょう。しっかりと取ったあとだから、小幅の連敗があっても「トレードの経費」として吸収できるはずなのに、思いつきで数量を増やしたために「納得できない損金」が発生することになります。
大切なカネを株式市場に投じること自体が、とても積極的な行動なのです。
そもそも、「十分な数量だ」と認識してポジションをつくったはずです。
大きく取れたからといって、「的中率が上がった」ということではありません。次もカンタンに取れる、今までの数量は少なかった、などとヘンな思考に惑わされないよう注意しなければなりません。
車でカーブを曲がるとき、時速50キロでスムーズに走れたからといって、次の同じくらいのカーブに50%増しの時速75キロで入っていくなんて人はいないでしょう。でも、トレードの場合、例えば「2千株で利益が少なかった。次は5千株(150%増し)にしようか」くらいのことは誰でもやってしまいます。不思議ですね。
※今回のフォローアップも、林投資研究所の「中源線シグナル配信」で「ユニバース」(パフォーマンスが良好かつ安定している研究対象銘柄)に選定している銘柄を事例として示します。次項以降に掲載する銘柄も、すべて「ユニバース」です。

取り損なったあとに…
注意が必要なのは、大きく取ったあとだけではありません。
取り損なったあとも、つい冷静さを欠いて次の行動を考えてしまいます。

5208有沢製作所も、ゆっくりながら長い上昇トレンドを、中源線がビシッとつかまえた事例です。しかし、高値圏の判断は期待通りにいきませんでした。
2017年12月、高値保合の中でガクンと下げて陰転しました。
長く続いた買い線が終わって買いポジションは利食い手仕舞いで“めでたしめでたし”なのですが、陰線のまま切り返して数日後に陽転……これが高値づかみとなり、さらに1月の終わりには再び陰転したのです。
動きがあれば機敏に反応するのが中源線の特徴であり強みですが、こうして一時的にダマシが連続する、いわゆる連敗はあり得ます。
仮に、この見事な上げを取り損なって「よし、次はやるぞ!」なんて意気込んだ場合、たとえ売買数量が少なくても、感情的には大混乱します。
実は、チャート右端の陰転(赤→黒)のあと(この期間のつづき)は、いい感じで下げているのですが、そんな“おいしそう”な動きを見送ってしまうミスもあり得ます。
つまり、大きな上げを取り損なったあと、「よし」と気合いを入れて臨んだところ、高値圏で売ってヤラレ、買ってヤラレ、最後の陰転に乗らずに「え~~っ」なんてトホホな展開です。
粛々と、静かに散歩をするようにトレードを継続するべきなのです。
といって、「カネがほしい」と切望して参加している以上、感情のコントロールというか、感情と行動を切り離すのが難しい……でも、こんなことこそが他者との差をつける唯一のポイントなのです。
淡々とシグナルを出す中源線の価値は、こういった理想の姿勢、プロのトレードを再現できるという点にあるのです。

大きな変動を見て…
もう一発、やはり、かかわり方に関係なくコーフンしてしまう事例をお見せしましょう。

9994やまや、この銘柄は2017年9月の終わりに陽転し、10月に動意づいて暴騰する動きにビシッと乗っていました。
チャートには、高値の陰転で「利食い」と書き入れました。
陰転したので、中源線に従ってドテン売り、つまり買いポジションの利食いが確定したのですが、1単位(3分割の1回分)のカラ売りは直後の陽転で踏んでドテン買い、高値圏で増し玉して3単位買ったあとビミョーに弱くて「苦しい……」という展開です。
暴騰を買いで取ったとしても、見ているだけで「逃したぜ」という状況でも、高値圏に達してから「こんな動きしてるよ」と発見したとしても、私たちプレーヤーは自然とソワソワするでしょう。
では、ソワソワを抱えながらも、いつも通りに行動するためには、どうすればいいのか──メンタルを鍛えるのではありません。自分が好む手法で、ハッキリとした指針をもっていればいいのです。

システムトレードのワナ
さて、「ハッキリとした指針をもとう」と考えた場合、ひとつの答えが「システムトレード」です。
統計的な分析を使うだけでなく、具体的な売り買いをカチッとルール化しておこうというものです。中源線の利用も、ある意味、システムトレードです。
でも、システムには「パラメータ」という要素があります。
これについて、中源線で説明しましょう。
中源線では、「1分(ぶ)」という単位で値動きの幅を計ります。その1分を1円とするか2円とするか、あるいは5円とするか……この設定で判断が変わるのです。
でも、「分」というのは、中源線だけのもので、一般的な観点ではありません。
「痛みの度合いを表す単位として、鼻毛を1本抜くときの痛みを『1ハナゲ』とする」なんてフェイクニュースがありました。これはジョークですが、全く同じアプローチで値動きを計る基準を定めたのが、「分」という単位です。
いわゆる「調節つまみ」ですね。
例えば「4分の逆行」と定義したとき、1分の値が1円なら4円の逆行で条件を満たしますが、1分を2円に設定したら2倍の8円幅ないと条件を満たさなくなります。
だから、ベースとなる数式は同じでも、パラメータの値によって反応の度合いが変わり、売り買いの判断も異なるものになるということです。
トレードは、未知の将来に向けてポジションをつくります。
しかし、どう頑張っても、数分後の価格さえ予測することはできません。
だから、常に「過去のデータを分析して推測する」しかないのです。
過去のデータを分析する──とても科学的なアプローチですが、「単に過去の値動きに合う設定を見つけるだけ」という、実にバカげたことをしてしまう危険性があるのです。
「パラメータをオプティマイズする(最適化する)」なんて表現すればカッコいいのですが、例えば「過去1年間で最高のパフォーマンスになる」設定を導き出したところで、将来の実際の値動きでうまく機能する保証はありません。特定の期間の値動きに“合わせすぎてしまう”結果、多くの場合、「こんなはずでは……」という設定を正解だと思い込んでしまうのです。
カーブフィッティングと呼ぶのですが、「ほら、このシステムは儲かるでしょ!」というウソっぱちの宣伝に使われるだけでなく、自分が使うシステムをベストな状態にしようとして陥るワナでもあるのです。
裁量トレードでも、常に新しい値動きを相手にする以上、同じ苦しみがあるのですが、数式を用いて数字をいじくっていると、おかしな方向に傾いていることに気づかない悲劇があり、その代表的なものがカーブフィッティングです。
ちなみに、根本の発想である「売買ロジック」そのものを、過去の値動きから作ってしまうケースもあります。もちろん、儲からないシステムを、見た目の華やかさだけで売りつける、そんな卑劣なビジネスで利用されるわけです。
許しがたい手口ですが、多くの投資家が引っかかってしまう、そういう錯覚があるという事実を覚えておいてください。

賢くヤラレる方法
さて、しっかりしたプロセスでトレード方法を組み立てたとしても、現実の当たり外れから逃れることはできません。「損小利大」という言葉の通り、見込み違いの負け回数を減らすのではなく、その際の損を抑えるしか手はないのです。
見込み違いのポジションに時間をかけず、マイナスの値幅を小さく、おかしな言い方ですが「賢くヤラレる」のです。

1515日鉄鉱業は、この期間の中央あたりに、約4カ月間の大きな上伸があります。中源線の判断では、安値保合のうちに陽転した結果、この上げに乗っています。
でも、その手前、赤い丸印の部分は連敗です。トホホです。
実際に売買していると、けっこうイヤな気分になりますが、それほど大きな値幅ではなく、感情的には受け入れ難いものの、「こんな場面もあるんだな……」と納得しなければいけない現実なのです。
こういった必然的なヤラレを必要以上に嫌うと、前項で述べたような落とし穴にハマる可能性を高めてしまいます。
勝率を上げる試みは、否定できません。
でも、むやみに勝率にこだわらず、「半分当たって半分外れる」という現実を素直に受けとめて、対応方法の質を高めるのが“トレードの王道”だと理解してください。

次回のフォローアップ(4)では、中源線が当たっている事例、手が合わない事例を一挙に並べてご紹介します。そして、「トレードのあり方」を結論づけたいと思います。
お楽しみに!
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