値幅取りの現実的な可能性
株価変動は、うねりと呼ばれる適度な上げ下げあり、長く大きく上下するトレンドあり……。予測が難しいのは当然として、値動きに“ついていく”際の判断基準は「天底」ではなく、いわゆる「変化点」であるべきです。
1月29日、2018年最初の放送では、12月の放送で紹介した「変化点」の観点でトレードの本質を追究し、具体例として中源線建玉法の効果を説明しました。
2月5日の放送は、1月の続編として、中源線が「変化点」をうまく捉えた事例を紹介するとともに、表裏一体の欠点によって“手が合わない”事例も紹介し、トレードの現実に迫りました。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第125回 うねり取りを深く考察する ~変化点を捉える中源線~)
(第126回 うねり取りを深く考察する ~中源線の性格を知り、使いこなす~)

交渉の余地はない
私たちは日常生活で、価格の交渉をすることができます。
「もう少し値引きしてもらえないかしら?」
「2つ買ったら安くなる?」
実際にするかどうかは人それぞれ、地域によっても温度差があるようですが、多くの場面で交渉が可能です。
ビジネスでは、取引先との相互繁栄、いわゆる「Win-Win」が前提ですが、交渉することもあります。
例えば・・・
「次の納期を希望通りにするから、今回はこの値段で買ってくださいよ」
「即決済するので、3%値引きしてもらえないでしょうか?」
株の売買はどうでしょうか。
「指値」という制度があるので一見、一般的な商取引と同じように交渉が可能だと感じますが、それは錯覚です。
株式市場に特定の相手はいない、つまり「不特定多数の参加者」が集まっている場なので、価格は常に“市場任せ”です。指値という行為は、“市場任せ”で決まっている価格の短期的なブレの範囲で値段を指定している、一方的に意思表示しているだけなのです。
では、私たち投資家、トレーダーは、「安く買う」「高く売る」を実現するために、なにをするべきか──最も大切なのは売り買いの「タイミング」です。
チャートのタテ軸の「価格」とヨコ軸の「時間」、この2つの要素で「トレンド」を判断して行動を決するのです。実際には、「タイミング」のほかに「数量のコントロール」がありますが、簡潔にするために単発の売り買いで考えます。
- 「上がる」と思うから買う
- 「下がる」と思うからカラ売りする
- 「確信がもてない」からなにもしない
これらを具体的な行動に移す際、どんな要素を考える必要があるのでしょうか。
- トレンドの「変化点」を、どう判断するか
- どの「タイミング」で仕掛けるか
- トレンドがないと判断したら建てずに待つ
- 「乗れたかどうか」を、どのように判断するか
- ダメだと判断する基準と「損切り」のタイミングは?
- 乗れたときに「待つ」こと
とりあえず思いつくことを並べましたが、実に多くのことを考えて、自ら決断しなければなりません。それが、ひたすら続くのがトレードです。なおかつ、トレードの期間も数量の増減も、すべて自分の自由意思……無限の選択肢を抱えて前に進まなければならないのです。
「安く買う」「高く売る」というイメージに固執している余裕なんてないのです。大きな波ならば、少しくらい高くても買う姿勢が求められます。
「交渉できる」という錯覚を完全にゼロにして、“市場任せ”の値動きに対する出処進退にエネルギーを集中させることが大切なのです。

足し算は効かない
タイミングをどう判断するか──常につきまとうのが、予測の当たり外れという切実な問題です。
どうしたって当たったり外れたり……だから、損切りの判断も含めた「ポジション操作」のタイミングを考えるのが正しいと、頭では理解できます。一方で、見込み違いによるネガティブな感情は、ボディーブローのようなダメージとなるので、やはり「避けたい」と強く願います。
そこで、ほとんどの投資家が行うのが、複数の判断基準を重ねて「当てよう」とすることです。
シンプルな終値だけのチャートを使う人は、ほとんどいません。
情報を処理しきれる確信などなくても、情報量の多いローソク足を好みます。
そのローソク足に、2本ほどの移動平均線を重ね、さらに・・・。
こうして判断材料を増やしても予測の的中率は上がらず、逆に下がることもあるのですが、いずれにしても「なにをどうしたら、どのように調整できるかわからない」複雑なものをつくり上げてしまうケースがほとんどではないでしょうか。
少なくとも、前項で述べたように、プレーヤーとして欠かせない「行動のコントロール」に振り向けるエネルギーが不足してしまうのが最大の懸念です。
おカネのことだから真剣に考えるわけですが、「当てよう」という気持ちが強すぎて混乱する投資家が非常に多いと感じます。どうしても、「足し算」で精度を上げようとしてしまうのです。

効果の高い引き算
足し算がダメなら、引き算です。
世の中のいろいろなことについて、私たちは足し算で臨むことが多いと思います。
ビジネスマンとして「より知識をもとう!」と頑張ったり、メーカーが製品の機能を追加したり、オペレーションの質を高めようとルールを増やしたり……でも、引き算してみたり、思い切ってゼロに“リセット”してみることも必要だと思います。
トレードでは、「足し算したくなる」のがふつうなので、引き算を意識することの有効性が高いのです。
カンタンに考えてみましょう。
予測の精度を高めようとする足し算もありますが、トレード機会を増やす足し算もありますよね。これら2つの“複合型”が、相場あるあるです。
「動意づく銘柄を、もっと正確に予測できないか」
できるのなら、みんなやってますよね。
「保合は逆張りで取って、大きなトレンドには順張りでもいいから乗ってねばる」
そんな器用なことができたら、苦労はありません。
「株はうねり取り、FXと225先物はデイトレ、仮想通貨も積極的に」
金融市場は多数のプロがカネの取り合いをする場です。返り討ちに遭いますよ。
世界中のプロたちと対峙するには、予測をする際の判断基準(要素)も、手法も絞り込むのが基本中の基本です。ゼロにしたうえで、1つだけ選んでみる。しばらくして、「もう1つ足しても大丈夫かな?」と慎重に検討する──この程度が限界です。
1つの手法でも、ついトレード機会を増やそうと考えがちです。
その原因は、「どうだろう……いまいち確信がもてない」という状況でも、「取り損なったらイヤだ」と考えて手を出してしまう心理です。「わからない」「ビミョー」といった状況を思い切って捨て、「よし、ここだ!」と思える状況のときだけ出動するようにして、「行動の精度」を高めるよう努めるべきなのです。

理想型と負ける現実
足し算ではなく引き算だ──ストイックなことを述べましたが、そういったシンプルな姿勢が、複雑かつデリケートな売買行動をうまくコントロールする土台となります。また、うまく乗ってガチッと取る「理想型」を強くイメージしても、カンタンには「欲しがりすぎ」になることなくバランスを保てるのです。
最初から最後までストイックさを維持する、「やってはいけないことを避けるだけでいい」と提唱する実践家もいます。でも私は、上記のような土台を前提に「明るくポジティブなイメージ」が望ましいと考えています。
では、中源線が価格の波を見事に捉えている事例を見てみましょう。
必要以上にコーフンするためでなく、落ち着いて理想型を確認するのが狙いです。

番組でもご覧に入れた、7532ドンキホーテHDです。
チャートの左半分では、数カ月単位の「うねり」をみせています。「1」で下げを取り、「2」で上げを取り、いい感じで機能している様子がうかがえますね。
中央に赤い丸印をした部分では、ちょっと迷走しています。
しかし、「3」で陽転したあとは「4」まで、こんどは大きなトレンドにしっかりと乗っています。
赤い丸印の部分のかるい連敗、「3」の陽転後の一時的な陰転(青い丸印)は、全く気にならないほど理想的な展開といえるでしょう。
この銘柄は、林投資研究所の「中源線シグナル配信」で研究対象として選定した「ユニバース銘柄」の1つです。長期のバックテストによって、パフォーマンスが良好、かつ安定していると判断したものだけを選んでいます(2018年2月現在95銘柄)。
しかし、そんなユニバース銘柄でも、半年や1年くらいの期間で見ると、想定したように勝てない、機能していない……そんなことがあるのも現実です。

1722ミサワホームは以前、なかなかいい感じで機能していました。
でも、直近1年では、買ってヤラレ売ってヤラレと、ホントにいいとこなし……つらい連敗が続いているのです。こんなことが起こるのが現実のトレードです。
では、いつごろ当たり始めるのか──誰にもわかりません。長期間のデータを見る限り「機能する銘柄だと判断できる」というだけです。

2726パルグループは、2017年1月から4月にかけての下げを取り、夏にかけての上げも見事に捉えました。当然、2017年10月の陰転に対して「こんどは下げをビシッと取れる」なんて期待しますが、実際には陰線(売り線)になったあと下げ渋って上昇、高値で陽転しても伸びずに再び陰転と、「あれれ」な展開です。
最後に陰転したあとは、期待通りに弱含みですが、このように当たり外れに波があるのが当たり前で、この中源線の当たり外れ、目先のゆらぎを当てようとしたら、中源線の基本ロジックを無視するような基準をひたすら足し算していくことになりかねません。いや、ほとんどの場合そうなるでしょう。
なにもかもが自由なトレードの世界では、力加減が難しいですね。

次回のフォローアップ(3)は、原理原則を理解した人でもやってしまう“相場あるある”、人間だからこそのミスを考える内容です。
お楽しみに!
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