個別銘柄の魅力を探る
株価指数の動向を気にする投資家は多いのですが、意外な落とし穴がたくさん……それに、個別銘柄のほうがチャンスがある、やさしく利益を狙うことが可能なのです。
3月5日の放送では、中源線で売買する「銘柄の選び方」を軸に、トレードにおける各種の注意点を挙げ、個人投資家が「どんな資金管理を行うべきか」など、トレードの骨組みを考える内容をお届けしました。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第128回 銘柄を絞った「うねり取り」 ~中源線で売買する銘柄の選び方~)

平均のワナ
今回の放送は、中源線建玉法を軸にして「銘柄の選び方」を考える内容でした。「どの銘柄にしようか……」と考えるときは当然、「儲かるもの」を探します。では、どのように進めていくと、「儲かる銘柄」を見つけることができるのか? 周囲にある情報を整理する方法を考えてみます。
林投資研究所のサービス「中源線シグナル配信」では、上場する全銘柄を対象に毎日、中源線による分析結果を表示していますが、トップページには参考として2つの指数、日経平均とTOPIXの中源線チャート(およびシグナル)を掲載しています。

日経平均 中源線

TOPIX 中源線
日経平均とTOPIXは、ほぼ同じように動きますが、中源線による陰陽の判断を見ると、異なる部分が見つかります。TOPIXのほうは2018年2月上旬までずっと買い線(赤)と、ストレスなく“当たっている”ことがわかりますが、日経平均の中源線には“残念”なところが見受けられます。
2017年8月に日経平均は弱含んで陰転、しかし下げず……この部分は仕方がないと思います。でも、売り線(黒)のまま上昇し、「2」で上抜いたのに売り線が続いた、つまり陽転のタイミングが遅かったことが気になります。また、2018年1月終わりの陰転はいい感じですが、2月に一時的な陽転も残念な結果でした。
TOPIXのほうが常に当たる、ということではありません。
次に挙げるような点に注目してほしいのです。
- 完ぺきな判断基準は存在しない
- 当たることを前提に決め打ちするとキケン
例えば、人気のある指数連動型のETF「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」くらいならいいのですが、日経225先物で目いっぱいレバレッジをかけていた場合、ちょっとした見込み違いが再起不能の大ケガにつながります。
儲けるためにトレードするので、「勝つ」ことが前提なのは当たり前ですが、優秀な戦略であっても「負け」は消せません。負け幅を抑えることはできても、それなりの回数で「ブレ」が生じて当然です。参加者みんなでカネを取り合っている競争の構造なのですから、そのブレが連続するケースだって多々あります。したがって、ブレを吸収できるようにしておかないと、わずかなところで「ドボン」ポイントを迎えてゲーム終了となってしまうのです。
もうひとつ、株価指数そのものについて、注意すべき点を挙げます。
日経平均ならば、21,000円、22,000円……と「水準」にばかり目を向けた予測情報が飛び交っています。私たちプレーヤーにとっては、「雑音が多すぎる」のです。
また、日経平均の予測で取り上げられる要因は、為替動向、要人発言、各種の経済統計などが目立ちます。でも、そもそも日経平均とは、東証一部に上場する約2,000銘柄のうち、たった225銘柄の平均値なのです。
2教科のテストの結果が、どちらも50点でも、0点と100点でも、「平均」は同じく50点です。そんな危うげなものを抱えた数字が、平均という計算方法なのです。
「中源線シグナル配信」のトップページには、参考として掲載している指数よりも重要な情報があります。それが、下に示す「個別銘柄の集計」です。

真の意味で「日経平均を動かす」個別銘柄の判断結果が日々、ここに表示されます。そして、どんなに相場が強いときでも「売り線の銘柄」がゼロになることはなく、どんなに相場が弱くても「買い線の銘柄」がゼロになることはありません。
※「中源線シグナル配信」のトップページは、中源線研究会への登録(無料)で見ることができます。→登録はこちらをクリック!
日経平均の先物を売買するうえで、「構成する225銘柄すべてを個別に判断する」というアプローチをするプロがいるくらいです。ましてや、トレードの対象が個別銘柄ならば、雑音の多い日経平均や、それにまつわるデータや有名人の予測なんて、害になることはあっても有効な情報にはなり得ないのです。
先に挙げたテストの点数のように、個別銘柄と日経平均の動きは別ものです。このことは、次項で示す個別銘柄のチャートでもよくわかります。

まずは理想型
「中源線シグナル配信」では、パフォーマンスが良好かつ安定している銘柄を「ユニバース」(研究対象銘柄)として選定し、シグナル配信であるにもかかわらず約1年間のチャートまで表示できるようにしています。
その「ユニバース」から、理想的な展開を見せている銘柄を2つご紹介します。
4331テイクアンドギブ・ニーズ、および6962大真空です。


前項で「完ぺきな判断基準は存在しない」と述べましたが、この2銘柄のような理想型を考えるのが、トレード戦略を構築する第一歩です。これは中源線が機能している例なので、「中源線では、こんな動きを想定している」「これがモデルである」という理解が、現実の銘柄選びや資金量の設定などを考えるときに重要です。
ここで追加情報をひとつ。
前項の最後で、「個別銘柄と日経平均の動きは別もの」と述べました。
2銘柄の動きを、先ほどの日経平均やTOPIXと比較してみてください。上げ下げの様子、トレンドの転換ポイントが大きく異なっていることがわかります。
雑音と評した、ちまたにある投資関連情報によって、日経平均の動向と個別銘柄の上げ下げを混同している部分があることに気づかされます。

不可避なブレに目を向ける
さて、個別銘柄の観察を続けましょう。
次に示すのは、1515日鉄鉱業と2281プリマハム、2銘柄の中源線チャートです。

日鉄鉱業も「ユニバース」で、全体に“とてもいい感じ”で機能している様子がわかりますが、「これがなければ……」と考えてしまう残念な部分もあるのです。大きな上げは見事に捉えましたが、赤い丸印で囲んだ天井圏では、陰転がダマシ、そのあとの陽転もダマシ……と連敗しています。
あえて言えば、最初の陰転は正解、でも年末・年始の戻りで陽転したのが残念、というところですが、そんなことをあとから考えたって意味はありません。「いくら計算しても、想定通りに動かないこともある」という現実を素直に受け止めるだけです。

プリマハムも「ユニバース」で、700円超まで1年を超える緩やかな上げは、中源線がずっと買い線のままという、不思議なほど見事な捉え方が実現した事例です。
しかし、2017年9月から2018年初めにかけての天井圏では、トホホな展開……陰転がダマシ、陽転がダマシ、陰転がダマシと往復ビンタをくらったのです。直近の下げ、2018年1月に陰転してからはいい感じですが、1年超買い線が続いたことで「よし! 次の転換で大きく張ろう」なんて意気込んでいたら、完全に想定外の負けを喫するわけです。
結論として、これでもかというくらい静かに、淡々と、トレードサイズを変えずに売買を継続することが大切、ということになるのですが、この気づきは今回のテーマである「銘柄の選び方」にもつながる情報です。覚えておいてください。

リスクにさらす金額を考える
値動きの観察から離れ、ちょっと地味な話をします。
プロがとても重視する半面、一般投資家が考えようとしない「資金管理」の問題です。
中源線について、「理想型の展開」とともに、「わるくない銘柄のイヤな場面」を紹介しました。どんな動きをみせるかなんて、常にあとでわかること。だから、プレーヤーとしてブレないためには、「今回は当たるかどうか……」などという、考えてもわからないことには目を向けず、「いつもと同じように行動する」ことにエネルギーを注がなくてはなりません。
予測が当たって当然、利益が出て当然ですが、納得できない負け方をすることも当然の出来事なのです。だから、当たろうが曲がろうが(※)、手仕舞いの仕方で対応して「損小利大」を試みるわけです。
※曲がる=予測が外れるという意味の相場用語
さて、そんな現実のブレを吸収するためには、資金に余裕をもつしかありません。資金稼働率を上げすぎない、ポジションサイズを過大にしない、ということです。
中源線では、変動の大きい個別銘柄でもブレを吸収できるようにと、最大の資金稼働率を50%と規定しています。「えっ、それだけしかやらないの?」と思う人は、ちまたの情報によって基準が過度になっていると考えてください。
しかし、「トレード資金の稼働率」以前に、そもそも「いくらを取引口座に入れるか」という問題があります。
資産額、収入、トレードへの姿勢、等々でちがうため、一概にはいえませんが、トレードするというのは「資産をリスクにさらす」ということです。上げ下げの判断で見込み違いがあるように、トレード全体が失敗するサイアクの事態まで考えておくことが不可欠です。
儲けるため、勝つためにトレードするのですが、想定外の事態でもキズを最小限に抑えるための安全弁を設けておくのが、社会人、オトナの務めです。行為そのものが驚くほど積極的な「トレード」を実行するのですから、これくらい慎重かつ論理的な考え方が必要ですし、その思考が個々のトレード判断にもプラスに働くはずです。

さてさて、厳しいことばかり並べ立てましたが、それだけ相場の変動が激しいということで、別の角度から考えれば、指数とは異なる動きをする個別銘柄、指数よりも大きな変動率をみせる個別銘柄は、トレード対象として非常に魅力的だということです。
また、個別銘柄それぞれの動きを、丁寧に観察することで、日々飛び交う投資関連情報といった“雑音”の影響をゼロに近づけ、プロと同じ思考を実現することも可能になるのです。

次回のフォローアップ(2)は、プロが行うストイックな思考が、実はプレーヤーとしての「自由」を獲得する道だという話をしたいと思います。
お楽しみに!
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