つくり直せばいい

7月と8月の放送では、林投資研究所が30年以上つづけている低位株の手法「FAI投資法」を解説しました。

番組オンデマンド映像と、フォローアップのリンクは、こちらのページにまとめてあります。


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デスクを離れて歩き出したら、なにをするのか忘れた……後ろ歩きで席に戻ると“巻き戻し”効果で思い出すのですが、最近はそれも効かなくなってきました。
酷暑の疲れか、単なる老化か・・・

前回示した「時間切れ」の対応について、つづきを述べます。

ポジション保有期間を、「6カ月」に設定していたとします。
6カ月なんて、実はあっという間に訪れます。
で、「まだ持っていたい」と考えるのが“相場あるある”ですね。

踏ん切りがつかない自分に甘くなったとしても、「今週の金曜日まで待つ」「6カ月+3日」くらい、裁量の売買ならば問題ないでしょう。

でも、金曜日の後場に「いや、来週も……」とやり始めると、これはもう糸の切れたタコ状態。
エンドレスに先送りしてしまいます。

こんなダメな状態にならないための工夫があります。

とりあえず切って、ゼロの状態で考え直し、「やっぱり魅力あるポジションだ」と思ったら建て直すのです。

例えば、3日か4日でいいからゼロの状態をキープして考える、これがポイントです。

「その間に動いたら、どうするの?」という質問が来ますが、
6カ月待っても動かなかった銘柄が3日で動くなんて超レアケース。
それよりも、ダメ玉が残るリスクを嫌うべきです。

「先送り」のオプションは、なんとなく行ってしまいます。
でも「切ったあと建て直す」オプションならば終始、行動はキビキビ!

家のかたづけで、いったん全部のものを表に出し、
「これは絶対に捨てない」と思うものだけを戻すワザと同じで、感情を切り離して、切るべきポジションを浮き彫りにします。

──「手仕舞い論」は、次号につづく──

時間厳守

7月と8月の放送では、林投資研究所が30年以上つづけている低位株の手法「FAI投資法」を解説しました。

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飲みに出かけるのが好きな人に帰宅時間を聞いたら、「数日以内に帰る」と胸を張って答えました。
基準がわかりません……。

先号で「現物買いがキケン」と述べました。
利を伸ばすために「待つ」のも相場ですが、現物だから戦略なしの先送りが可能になる……これが落とし穴です。

今回は、その続き、要するに「手仕舞い論」ですが、現物買いの落とし穴で問題なのは「時間」です。

時間の管理が甘いと、問題が発生するのです。

・1割上がったけど5年かかった(現物買いの落とし穴)
・「もう少し待ってから」と思っていたら損が拡大した
・先延ばしして「今さら……」という感じになった

「帰宅時間」と同じです。
電車の運行などとちがい、カッキリとは決まっていません。
それでも、想定する時刻というものがあります。
大幅にズレたら、アウトなのです!

林投資研究所のFAI投資法は実践の本質に目を向けているので、常に「時間」のことを考えています。

マーケットでは、時に想像を超える変動をみせるので、多くの投資家が気にする「価格」について考えるのは難しい、むしろ「時間」を考えるべきです。

FAI投資法の「29項目のルール」でも、時間の経過に言及したものがたくさんあります。
チャート分析も、「4~5年」とか「過去4~5本」「陰線2本」というように「時間」(日柄)で考えるものがメイン。

売買における“時間切れ”は、24カ月と長いのですが、これは、人気の圏外にある地味な低位株が対象だからです。
現実では、もっと短い期間で運用するアレンジも有効でしょう。

デイトレードならば、「1日」あるいは「3日」といった限度があります。
それぞれの戦略を「時間」で考え、仕掛け、手仕舞い、値動きの読み……すべてで時間を意識すべきです。

「予測通り」なのか「見込み違い」なのかの判定、その判定に応じた適切な“次の一手”が見えてきます。

ガチガチのルールは、自分で決めたことなのに守りにくいのですが、前述したように「大幅にズレたらアウト」です。

飲んでいて、うっかり終電を逃したらタクシーで帰ります。
「もういいや」と帰るのをやめちゃうなんてダメでしょう!

多くの投資家が「様子を見よう」と先送りしたり、塩漬け株がいくつもあったりするのは、捜索願が出された行方不明者と同じ状態です。

──「手仕舞い論」は、次号につづく──

8月6日放送のフォローアップ(2)
林 知之

勝つために道具にひと工夫

林投資研究所が30年以上にわたって提唱している低位株投資の手法、「FAI投資法」に関する2回目の放送です。

「下値不安が少ない」「上昇したときの率が大きい」といった長所の裏にある、低位株投資のマイナス面はなにか。そのマイナス面をどう埋めるのか──2018年8月6日のマーケット・スクランブルでは、実際に私たちが選定した銘柄、将来に注目している銘柄を挙げながら、本質となる部分に切り込んで解説しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第138回 東証1部24銘柄で“らくらく2倍”の低位株バスケット投資(プロが行うお宝銘柄発掘法、第2回)

方向を見るための月足

前回、フォローアップ(1)で述べたように、月足で大きなトレンドを確認することは非常に有効です。

例えば、大きな上げトレンドの中で買い戦略を行えば、少しくらいタイミングわるく買ってしまっても、短期間のガマンで株価が戻ってくれることを期待できます。少なくとも、あれよあれよという間にガンガン下がっていくようなトホホな状態にはなりにくいわけです。

株価の基本サイクルは、多くの投資家が考えている以上に長期間にわたります。だから、月足で大局を見ることは、かなり多くの手法に有効です。

番組では紹介しませんでしたが、FAI投資法「29項目のルール」には、次のような付則があります。

買ってから24カ月以上経過したものはいったん手仕舞いし、再検討する

少し雑な説明になってしまうかもしれませんが、丁寧に安値を拾うようにすれば、「24カ月間ボサッとしていても大丈夫」と捉えることができます。結果的に損切りになるかもしれませんが、そもそも大局的に安くなっている銘柄を、ファンダメンタルもチェックして選ぶので、「ケガをしてもかるい」と、のんびり構えることができるのです。

この24カ月を、例えば12カ月、例えば6カ月に短縮して運用する実践者もいますが、基本のルールは24カ月です。ここからも、株価の基本サイクルが長いことを認識してください。

ちなみに、最高24銘柄(一度に保有する限度)に分散することで、期待通りに動かなかった場合でも、資金全体の効率が落ちないようにするのが、FAI投資法の考え方です。

この月足は、1801大成建設です。何度もご覧に入れていますが、4年下げ、3年底練り、そして本格上昇……こんなサイクルがある、これを軸に戦略を考える、全くムリのない自然体の投資法だから、日常忙しい兼業投資家にも適しているのです。

プロが使うチャート

株価チャートでは、なにを見るのでしょうか。
さまざまな観点がありますが、私が考えるのは以下の3つです。

  1. トレンド(方向性)
  2. 勢い(変動の強さ)
  3. 形(集合形、線の組み合わせ)

株価の推移を、プレーンかつ正確に見るには、数字だけがベストです。例えば、日々の終値をタテに並べていく、といった方法です。しかし、人間の感覚で上手に捉える狙いで、株価推移をあえてチャートにするのです。

チャート描画で最も注意しなければならないのは、タテ軸の「位取り」です。
ヨコ軸(日柄)に対して、タテ方向の価格をどれくらいの寸法にするかという、チャート描画の設定です。

タテ方向をギュッと詰めると、ある程度の変動があるのに小さな横ばいにしか見えません。逆に、伸ばしすぎてしまうと、たいした変化率でもないのに大きく動いたように見えます。

パソコン画面の描画では、このタテ軸の設定が、銘柄ごと、状況ごとに異なります。

事例を挙げて説明しましょう。最近になって急落した銘柄、5911横河ブリッジHDです。まずは、急落前の日足チャートをご覧ください。2018年5月2日~7月30日です。

横河ブリッジは、この直後に急落します。
次に示すのは、ヨコ方向の日数は同じまま3立会日ずらした、5月8日から8月2日までのチャートです。期間中の変動幅は大きくなっているのに、タテ方向の寸法は同じままなので、縮めて表示することになります。

2つめのチャートでは、急落前の往来が小さく見えてしまいます。
このような、「表示画面の都合」に合わせた描画に、多くの投資家が慣れているのですが、トレンド、勢い、形を“人間の感覚で上手に捉える”うえでは問題です。

下に示すのは、私の顔写真です。

いちばんは左ノーマル(修正なし)ですが、あとの2枚はタテヨコ比を変えています。中央はタテ長、右側はヨコ長です。どれがいい男かは別として、私たちが日常、理屈抜きの感覚重視で見ている他人の顔が、ちがう印象になってしまうことが問題です。株価推移の数字を、あえてチャートというカタチにしている以上、これと同じ問題が起きないようにするべきなのです。

「待つ」と「限定する」

前項で例に挙げた5911横河ブリッジは現在、2,000円台ですが、株式併合はしていません。業績の伸びを背景に、400円台から大きく上伸したのです。

つまり、ここで紹介している「FAI投資法」において「選んでおくべきだったの?」という疑問が生じる銘柄なのです。

実は以前、この銘柄を選定したことがあります。2000年3月のことです。
FAIクラブ()では、バブル期の上げに乗って多くの成功者を出しましたが、1988年に「マーケット全体が過熱している」と判断して銘柄選定をストップしました。その判断によって、1990年以降の大きな下げを回避できたのですが、その後は2000年3月まで「買い銘柄なし」の状態を維持しました。

※FAIクラブ
林投資研究所が主宰する、低位株投資の研究会。1984年の発足いらい、30年以上活動をつづけ、「FAI投資法」で手がける銘柄を毎月の例会で議論して決定し、個人投資家向けの機関誌『研究部会報』に掲載している。

歴史的な下げ相場の中でも、上昇する銘柄はありました。ただし、極めて数が少なく、狙っても難しかったでしょう。だから、「自分の戦略が機能するようになるまで待つ」という、基本に忠実な考え方を実践に反映して、ジッとしていました。この時の判断は、結果として正解でした。

さて、横河ブリッジを選定しなかった理由は、リーマンショック後の安値が、FAIクラブで基準としていた「400円未満」に達しなかったからです(現在は基準を上げて運営している、編者注)。ただ、「少しだけ基準を上げて選定すれば、成功事例がひとつ増えたのでは?」という意見は出ることでしょう。

でも、決めたルールを「ちょっとだけ変更」なんてことをしていると、なにもかもが自由なトレードの世界では、戦略が根底から崩れていきます。メンタル的にネガティブになって“自分イジメ”をすることは避けるべきですが、手法のオペレーションにおいてはビシッと線を引くことが大切なのです。

あとから見るとカンタンだが……

横河ブリッジは、多くの銘柄を観察する中でチェックしていました。でも、「400円未満」という基準を少し超えていたので選びませんでした。結果論の「選んでいたら大成功だった」という言葉は、私たちも思い浮かべました。でも、「ルールだから」と割り切り、「では、今後のためにルールを変更する必然性があるか」と冷静に議論するだけです。感情を入れて考えないようにするのが、実践者の工夫です。

株価が動いたとき、チャートをあとから見ると実にカンタンです。「ここで買っていればよかった」ってやつです。でも、感情を抑えずに、そんなことを言い出すと、売買行動の「軸」を失ってしまうのです。

とはいえ、過去の動きから未来を考えるしかありません。
「全く同じことが繰り返されたりしない」というのが前提ですが、一定の範囲で「歴史は繰り返す」と考えないと、よりどころがないからです。

「FAI投資法」は、低位株を対象にします。
チャート分析の中で最も読みやすい安値圏の動きに目を向け、「上昇トレンドへの変化点」を探します。

そのためには、できるだけ多くの月足を見て慣れることです。他人の顔を感覚的に捉えるのと同じように、月足を眺めながら、理屈に頼らずに「流れの変化」を感じ取ろうと努めるのです。

といっても、いきなり「月足を数百銘柄、手描きでそろえなさい」なんて、ほとんどの人が達成できない苦行でしかありません。その部分をサポートするため、また、多くの月足を描いている実践者をさらに押し上げるために、林投資研究所では「FAI投資法」の資料をコツコツと増やしてきました。

そのひとつが、安値圏の動き、安値圏から立ち上がっていく様子を確認できる、保存版チャート集、『底型・天井型111例』です。A3サイズにまとめてありますが、前述したタテヨコ比は、原寸の大判チャートと全く同じです。こだわっています。

収録した銘柄を2つ、以下に示します。

1つめは1801大成建設、2つめは1780ヤマウラです。
ダイナミックな長期の株価変動を見ることができるうえに、感性が養われます。
こういった資料によって、タテヨコ比が同じチャートを数多く見ると、知らないうちに変動を捉える感覚が芽生えます。

わずかな油断があるだけで、情報を整理できずに混乱します。だから、ちょっとした工夫、こだわりをもつことが、とても大切です。

倒産を避けるファンダメンタル分析

FAI投資法29項目のルールには、ファンダメンタルに関するものが7項目あります。そのひとつが、以下のような、倒産企業を避ける条項です。

ルール22
5期連続無配および債務超過はチャートがよくても避ける。また、その他の財務指標(有利子負債比率、株主資本比率)を見て判断する

私たちがファンダメンタル分析を行う資料は、「データスリップ」という名称です。英語としては、「スリップ」ではなく「シート」が適切なのでしょうが、各種データを時系列に並べ、推移をひと目で見られるように工夫しています。

次に示すのは、東証一部ながら財務の状況が非常にわるい企業の「財務データ」です。

一株資産は低下を続け、有利子負債比率が上昇、株主資本比率は下落と、アブナイ水準に陥っていることがわかります。こんな状態から業績が好転すれば、株価はそれこそスゴい変化率をみせて上昇するでしょうが、難しい分析で難しいものに手を出す必要などありません。

そこそこ優等生なのに、人気で株価が安くなることが多々ありますし、わるい状態から好転するにしても、もっと安全圏での方向転換を狙えば十分です。上場銘柄は、たくさんあるからです。

好転を見つけるファンダメンタル分析

データスリップでは、業績データも時系列で一覧表示できます。会社発表の業績予想が、時間の経過とともに上方修正されたり下方修正されたり、そういった変化を読み取ることができるのです。

これは、番組でも紹介した、ある企業の業績推移です。説明を加えてある通り、赤字が確定すると同時に「来期は黒字転換」と発表しながら、結局は下方修正して赤字で終わる……直近の期はこんなパターンなので、「黒字転換予想をうのみにできない」と評価するのが適正だといえます。

こんどは、暴騰した5911横河ブリッジの業績推移です。

各決算期の最終行は、数字に下線が引いてあります。これが確定値です。
その手前は、それぞれの発表日における予想ですが、2018年3月期までは、上方修正を繰り返していることがわかります。

すでに大きく上伸しているので、このデータだけを見て「まだ買える」という判断につながることもありませんが、安値にいる、あるいは、それほど上がっていない状況で、こうしたよい変化を確認できれば、強い買い材料といえます。

さて、事例を挙げて解説しましたが、それほど難しいことはしていません。私たちは、長期にわたって低位株投資を行っていますが、各企業、各業種の事情に詳しいわけではありません。こうして、項目を絞り込んで限定的に見ているだけです。

ただ、推移を丁寧にチェックしますし、肝心の株価変動を中心に考えていくので、単に「業績がよくなる」とか「わるくなる」なんて子どもっぽい視点ではなく、実践的な答えを出すことが可能なのです。

次回のフォローアップ(3)では、再び具体例を挙げながらの月足チャート解説、そして、ひとつの手法を継続して行うプロの思考というものに触れる予定です。
お楽しみに!


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メディアが「〇〇リスク」と警告を発する──。
記者が自信をもって書くということは、おそらく、完全に価格に織り込まれている状況です。
警戒すべきことは、見えないところにあります。

短期的な狙いで買ったのに動きが思わしくない・・・こんなとき、「現物だから待とう」という対応があります。

たしかに、現物だから期限がなく、意図的に待つことができますが、「戦略的に時間をかける」のか「単なる先送り」なのか、多くの場合は後者で、「負けを認めたくない」感情によるものです。

プレーヤーは自分、審判も自分、コーチも自分・・・不合理な行動がたくさんあるのがフツーのことなのです。

株価の変動は激しく、状況は刻一刻と変化します。
「いつ手仕舞いしてもいい」という自由が、危険性を回避する道として与えられています。

その自由を、自分の自由意思で消してしまうというのは、バランスを欠くことになるのです。

あなたが証券マンならば、迷っている顧客に対して「現物なので待っていましょう」と言いきり、現金が余っている別の顧客に時間を割いて営業成績を上げるのが正解です。

でも、あなたはプレーヤーです。
株価を動かしているマーケットの通念について、認めるのか疑うのかを考えましょう。

 

今回は、構造的な問題に目を向けたのですが、延長にあるのは「手仕舞い論」です。
次号以降も、このテーマでお送りします。

8月6日放送のフォローアップ(1)
林 知之

カメが勝つマーケットの法則

林投資研究所が30年以上にわたって提唱している低位株投資の手法、「FAI投資法」に関する2回目の放送です。

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(第138回 東証1部24銘柄で“らくらく2倍”の低位株バスケット投資(プロが行うお宝銘柄発掘法、第2回)

月足なんか見てどうするの?

株価チャートでポピュラーなのは、日足と週足です。でも、私たちは「月足チャート」を重視します。

もちろん、手がける売買法によって、適するチャートが異なります。月足に価値があるといっても、デイトレードに直接使うことはできません。ここで言いたいのは、「かなりの投資家が、実際のポジション保有期間よりも短い期間に目を向けてしまっている」ということです。

一般的な投資関連情報は、“読み物”としての価値を優先するために、半日単位で値動きを解説します。「寄付はNY市場の株高を受けて上昇したが、後場に入ってからは伸び悩み……」みたいなヤツです。これを読んで「明日は?」なんて考えるのですが、現実のポジションは短くても数カ月、ヘタをすると何年も塩漬けだったりします。

月足は、株価変動の「最も大きなサイクル」を見ることができるので、かなり多くの投資家にとって利用する価値がある、見ることで多くの発見があるチャートなのです。

時間軸のアジャスト

7月の放送時から繰り返しご覧に入れている、1801大成建設の月足チャートを示します。ふだん気にする短期的な動きを完全に無視して、「長期のトレンド」を見ようとしてみてください。チャートに書き込んだように、4年間の下げ、3年間の底練り、そしてようやく上昇期に入るという、株価の典型的な長期波動を感じ取ることができます。

今回紹介している低位株の手法「FAI(エフエーアイ)投資法」は、この大成建設のように、長期的に大きく居所を買える性質の銘柄が対象です。一定のレンジで往来するのではなく、それほど業績が落ちていないのに人気がはげて低位に甘んじる時期がある、ということです。こういった銘柄について、長期的に見たときの上げ波動だけを狙い、単純な買い戦略を行います。

長期の下げ波動の中にも、上昇する時期があります。3年間の底練りの中にも、狙って取ることのできる上げ下げが存在します。でも、それらを徹底して無視することで、最終的な結果である損益を安定させようとするのです。

私は、月足を心地よく使って低位株投資を実践していますが、それでも、投資家の性として「今日」「明日」と考える傾向はありますし、前述したような投資関連情報に影響される部分もゼロではありません。

しかし、時々でいいので、十分な時間をつくって多くの月足チャートを眺めると、刹那的な方向に傾いた感覚がアジャストされます。汗をかいた体が水分で満たされるような、狂った時計が正確に調整されるような、正常に戻る快感を得ることができます。

短期のトレーダーの中に、意識的に「自分の売買期間よりも少し長めのチャートを見る」ようにしている人がいます。これも、つい近視眼的に傾いてしまったトレンド判断の感覚を、本来あるべきところにアジャストするためでしょう。

昔のマーケットは、上場銘柄などの構造が極端に変化しなかったので、選んだ数銘柄を何年でも何十年でも追い続けるプロ相場師がいました。極端な場合は、たった1銘柄だけです。現在も、このように思いきり銘柄を絞り込んでいるトレーダーはいます。

しかし彼らも、マーケット全体のすう勢はチェックしておきたいと考えます。そのとき、月足チャートが有効です。自分が手がけている銘柄は日足、シンプルな終値の折れ線チャートで値を追いながら、それ以外に適当に選んだ50銘柄、100銘柄は月足で動きを眺めます。こうして、マーケット全体の大きな流れを、さりげなく確認するという方法です。

日経平均などの指数は、やはり単なる平均なので、マーケットの変化を正しく読み取ることができません。だから、個別銘柄を幅広く見たいのですが、そんなときに便利で合理的なのが月足チャートなのです。

ある程度の銘柄数でも、月に1回なので、時間がかかりません。肝心の売買をジャマすることがなく、広い視野を維持することが可能です。使い道が想像できない状態でもかまいません。一度、月足に触れてみてください。

1カ月待てない

林投資研究所の低位株投資「FAI投資法」では、29項目のルールを制定しています。

基本となるルールは、次のように書かれています。

ルール1
4~5年下げ、3段下げ完了の銘柄を買う

「3段下げ」の詳しい解説は、書籍『東証1部24銘柄でらくらく2倍の低位株選別投資術』にありますが、「十分に下げた」と解釈してもらえれば問題ありません。

さて、「4~5年下げ」の部分は、どうでしょうか?
多くの投資家が、「えっ、そんなに長く?」と感じるようです。
しかし、長期の上げ下げで大きく居所を変える銘柄は、短くても数年単位のトレンドをみせます。これに逆らわず、うまく利用しようと努めれば、勝つ確率が飛躍的に高くなります。誰もが取り組みやすい、やさしい、手堅い売買が実現するのです。

さて、29項目のルールについて、もう1つ見てみましょう。
29項目のうち7項目を占める、「兆し陽線」に関するものです。

ルール8
底練りの中で小動きになったあとの兆し陽線に注意。そのあとの陰線2本をみて買い

何年もかけて大きく下げた銘柄が対象、わかった!
底練りがある、これもわかった!
小動きのあとに長い陽線が立てば上げの兆し、ガッテンした!

ここまで進んでも、「そのあとの陰線2本をみて買い」と言われて、「えっ、月足だから2カ月だよね? そんなに待つの?」と反応してしまう人が大半です。

なじまないかもしれませんが、こうして月足で長期波動を見ている場合、月足で陰線2本なんてあっという間、「即刻買い」とほぼ同義です。

ここで、実際に選定して大暴騰した事例を紹介します。
5301東海カーボンです。

東海カーボンは、2015年5月に349円で買い銘柄に選定しました。
(チャートの点線部分です)

十分に底練りをみせた、下値が切り上がって煮詰まった感じがするから「いよいよだ」と考えたわけです。ところが、残念なことに出損ないました。結果として、300円台から2,000円超まで見事に上昇したのですが、本格的な上げスタートまで1年以上かかりました。

「これでいいのだ」と片づけるつもりはありません。
上げの直前を理想と考えています。
でも、人気の圏外にある低位株を対象にする以上、これくらいのズレは覚悟しなければなりません。

「今日」「明日」といった短期の時間軸でアプローチして、信用取引を利用して「よし、1週間勝負!」なんてノリでポジションを取りながら、「あれ、半年たって期日だよ……」みたいな結末を迎えている多くの個人投資家と比べたら、確固たる姿勢で株価の基本サイクルに正面から向き合っていると言いきれます。

投資の王道

長期の波動を無視すると、ケガをしやすくなります。
電車にたとえてみましょう。

上り電車か下り電車かは、表示を見ればわかります。でも株価は、上がるのか下がるのかがわかりません。上り電車に見えて、実は下り電車だったりするのが、株価変動です。上り方向にピクッと動いたので飛び乗ったら、ピタッと止まって下り方向にグングン走り出す、あるいは、一時的に下り方向に走ったと思ったら猛スピードで上り方向に加速する、そんなケースが多々あるのです。

だから、目の前の動きではなく長期波動を軸に考え、多少待つことを覚悟で臨みます。効率がわるくなるのを防ぐために、分散などのポジション操作に注意します。大きな流れをつかむための資料を用意します。カネ儲けですから、全部ラクチンでは実現できません。

ただ、「苦行に耐えてください」などと言うつもりはありません。
ハードルが高すぎたら、意味がありません。

林投資研究所では、個人投資家向けの機関誌『研究部会報』に、私たちが選定した銘柄を掲載しています。それを見ながら、少しずつ実践していく道を用意しています。

さて、「時間がかかる」という点について、つけ加えておきます。

私は、「長期投資がいい」などと言うつもりはありません。
同じ1割の利益を取るのに、1年かかるよりも1カ月、1カ月よりも1週間のほうが、いいに決まっています。

ただし、多くの投資家が試みる短期トレードは、“望ましくない思考”“実現しない妄想”によるものです。効率を考えるので、すぐに動くことを期待したり、上げ始めを狙うのは当然ですが、少しは時間がかかってしまうことを承知で手堅く仕込み、ちょっと待ち伏せ的な姿勢を取る──これが、投資の基本形、「王道」と呼ぶべきあり方です。

次回のフォローアップ(2)では、林投資研究所の低位株投資「FAI投資法」で使う、こだわりの道具を紹介します。再び、選定銘柄の事例も盛り込みますので、お楽しみに!


東証1部24銘柄で
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林投資研究所で30年以上続く低位株投資の手法「FAI投資法」の完全解説版。倍化した実例と解説もあります。

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1971年創刊で、数多くのプロを輩出してきた。会員は、初心者からファンドマネージャーまで幅広い。FAI投資法の選定銘柄、実力につながる実践家の読みものなど内容多彩。
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ただ眺めるだけで「チャートの感覚」が身につく
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7月9日放送のフォローアップ(3)
林 知之

「兆し陽線」を見つけよう!

バリュー株投資、低位株投資──呼び名は知られていても、体系だった手法を目にする機会はほとんどありません。“目先の商売”しか考えない銘柄情報ばかりだからでしょうか……。

林投資研究所が30年以上にわたって提唱している「FAI投資法」は、29項目のルールによって明確な行動指針が示されているので、誰でも手がけやすいのが特長です。また、月足で大きな上げ下げを観察すると、値動きパターンや集合形で騰落を判断しやすい、俗っぽく言えば「当たる」のです。

2018年7月9日のマーケット・スクランブルでは、実例を挙げながら、月足を使って上げトレンドの開始を判断する方法を解説しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第136回 らくらく2倍の低位株投資 ~プロが行うお宝銘柄発掘法~ 第1回

とことん厳選する

割安銘柄を発掘する──投資関連情報の筆頭ともいえる観点です。
でも、ほとんどの情報は、不特定多数の投資家を相手にするビジネスです。だから、観点が定まっていません。読みものとしては、おもしろいのですが……。

言ってみれば、気楽に見ることのできるバラエティー番組みたいなものです。
断片的には有益な情報もあるのですが、それだけを拾うのは絶対にムリ、全体としては「競争の中で他人に差をつける」ような内容ではない、ということです。

一般的な個人投資家、つまり、ふだんは別の仕事をしている兼業投資家としては、どこかで他人の手を借りなければなりません。もちろん、プロこそ専門家の情報を利用するのですが、一般の投資家のほうが自由に情報を入手する結果、どこかで他力本願な姿勢に傾きます。そして、あまり有益ではない情報を無防備に受け入れてしまう機会が多くなります。

まずは、売買の頻度を抑えるべきです。
少なめの機会に集中し、そのときだけでいいから“プロと同じ”厳しい気持ちで臨んでみてください。「休むことができる」という、個人投資家に与えられた最大の武器を活用するのです。

こうして絞り込むことが、質を高める秘訣です。

売買の機会だけでなく、手がける銘柄も手法も厳選して、自分に合ったものに絞り込むべきなのです。

ちなみに、今回紹介している「FAI投資法」は、低位株に絞り込んでいます。
また、「上がればいい」ということではなく、選ぶときの観点も絞り込んでいます。だから、結果論に惑わされることなく、安定した視点で市場を観察し続けることができるのです。

上げの直前を買えるか?

「相場を当てることは至難の業」と認識しつつも、生身の人間としては「当てたい」わけです。そんな生々しい気持ちを、否定することはできません。そんな気持ちこそが、人間の創造性を生むからです。

前項で示したような「絞り込み」を行うと、ちょっと背伸びした行動だって、ちゃんとコントロール下におさめることができます。確固たる基準があるから、行きすぎたときに警告が出る仕組みを維持できるのです。

さて、相場は価格の変化によって利益を狙う行為です。
目先ばかりを追うとバランスを欠きますが、同じ値幅を取るなら短い時間で実現したほうが有利なのは明白。誰もが話題にするような大きな値動きは間違いなく「荒れ場」ですが、一定の動きが発生する期間にポジションを持ちたいと考えるのが当然です。

何年もかけて下げたあと安値を這いつくばっている低位株……人気の圏外に放置された銘柄なので、本格的に上がる場面を狙うのは当たり前ですが、相場が若ければ若いほど安全性が高いので、上がり端を捉えようと考えます。

その延長で、「できれば、上げ始める直前で買いポジションをつくりたい」という理屈が生まれます。ふつうは難しいことですが、人気の圏外にある低位株は、見事なほどに“枯れた”状態なので、チャートに形ができやすく、高い的中率を期待できるのです。

具体的に、ルールの文言を見てみましょう。

ルール4
三角形に注意。切り上がり、二等辺、切り下がり、各三角形のうち切り上がり三角形が最も強い。とくに2~3年あるいはそれ以上かかって形成された三角形は大きく上伸する

ルール5
三角形の先端陰線下部の十字は直ちに買い

ルール6
2番底の陰線下部の十字は直ちに買い

長期波動を観察するので、いずれも月足チャートの見方です。

横ばい(保合)の振幅が徐々に小さくなっていくと、右側がとがった三角形が形成されます。だんだんと“煮詰まった”状態になるわけです。日を追うごとに振幅が小さくなる、つまり、保合の上辺と下辺が近づいていくことで、ルール4に示された「三角形」が形づくられるのです。

三角形は、非常に強力なサインです。
煮詰まったあとは、上下どちらかに大きく放れます。
安値圏で出現すれば当然、大きく上昇します。

ただし、なかなか出現しません。
この、出現頻度が低い「集合形」のルールを、どのように使うかは、次項で詳しく説明することにして、ルール5とルール6の「十字足」について説明します。

ルール5もルール6も、「直ちに買い」という強い言葉が使われています。
これも、強力な買いサインだということです。

ローソク足に使う4本値のうちの「始値」と「終値」が同値の場合、「高値」と「安値」を示すタテ棒(ヒゲ)を加えて“十文字”になるので、「十字」とか「十字足」と呼びます。日足では出現頻度が高いでしょうが、月足では「月初の寄付」と「月末の大引」が同値になる必要があり、なかなか出現しません。私たちは1円ちがいまで十字足としていますが、それでも出現の頻度は低いので、「出現したときは強力」と認識できるのです。

詳しくは、拙著『東証1部24銘柄でらくらく2倍の低位株選別投資術』をお読みください。
(↑こちらのページでは、内容のチラ読みもできます)

「形」ではなく「意味」だ

投資関連情報には、例えば「買い場をズバリ判断する」といった言葉で、秘密めいた予測法の宣伝があります。変化点を見出そうとする姿勢は間違っていませんが、なんだかコドモじみています。

FAI投資法のルール4にある「三角形」も、同じ類のものに思えるかもしれませんが、「安値圏で動きが収れんする」という確固たる根拠があります。ルール5とルール6の「十字足」も同じで、安値圏において極めて小動きになる、だから「いよいよ動意づくだろう」と、適正な説明が可能です。

安っぽくチャート上の形を求めるのではなく、ルールが示す「意味」を考えてください。「安値圏において極めて小動きになる」という値動きの流れ、変化していく状況に注目するのです。

FAI投資法の「29項目のルール」は、お遊びに類するような秘密の予測法ではありません。月足チャートを正しく、とても実践的に観察するための基本が、わかりやすい言葉で示されているのです。だから、ドンピシャリな形がなくても、応用することで実用的な見方につながります。

動き始めてからでいい

長い期間の下げと底練りから立ち上がるタイミングは、最も“おいしい”買い場です。ただ、そのタイミングをつかむのは難しいので、実際には「動き始めたことを確認してから乗ろう」という場面が多くなります。

大きく下げた、安値圏で整理の横ばいをみせた、そして、今までの暗い雰囲気とは明らかに異なる上げ方をした──「長期の上昇トレンドが始まった」と判断すべき状況です。これを確認するのが、月足に現れる「兆し陽線」です。

ルール7
安値に来ての5連続陽線は買いの準備。次の2連続陰線をみてから買い

ルール7は、それほど長くない陽線が5本続いた状況、集合形で「兆し陽線」とみなすケースを示しています。通常、月足で5本も陽線が続いたら“ひと相場”ですが、安値圏の月足では不思議なことに、それほど上昇せずに陽線が5本続くことがあります。覚えておく価値のある値動きパターンです。

さて、もっとわかりやすい「兆し陽線」を説明したルールが、以下に示すルール8~ルール12です。

ルール8
底練りの中で小動きになったあとの兆し陽線に注意。そのあとの陰線2本をみて買い

ルール9
底練りの中で過去4~5本を一気に上抜く陽線は上げの兆し

ルール10
保合、または安値からの長大陽線は、そのあとの3分の2押しで買い

ルール11
W型、M型後の切り返し(両抜きも)は上げのはじめ

ルール12
6~12カ月(またはそれ以上でも)の上げ下げが90度前後のとき、その下げトレンドを上抜く陽線は上げの第一歩

詳しい説明は、書籍『東証1部24銘柄でらくらく2倍の低位株選別投資術』を読んでもらうとして、全体を短い言葉で説明しておきましょう。

「大きく下げて長期の底練りをみせた。その状態でピンと陽線が立った」

明らかに“トレンドが変化した”と思わせる陽線、それが「兆し陽線」です。

単に、安値で長い陽線が出ただけではダメです。
いわゆる「傾向の変化」を強く感じさせる陽線です。

これを当たり前に感じ取るためには、多くの月足を見るしかありません。たくさんの事例に触れて、慣れるのです。補助の資料として林投資研究所が力を込めて作った、『底型・天井型11例』という保存版チャート集があります。でも、数は少なくてもいいから、大きな用紙に手描きしてみることをおすすめします。

たくさん眺めるだけで、ちゃんと勉強になります。
「株価のトレンドは、こう変化していくんだ」ということが、からだに入ってきます。
その際に大きな助けとなるのが、FAI投資法の「29項目のルール」です。

では、実際の「兆し陽線」を見てみましょう。
繰り返し説明に使ってきた、1801大成建設が安値から立ち上がるタイミングで、とてもわかりやすい兆し陽線をみせています。

大きく下げて安値圏に到達したあと、約4年間の底練りですが、その後半は徐々に下値を切り上げています。カチッと線を引いて「三角形」を見出すことはできませんが、三角形っぽい形が見えると言っていいでしょう。

このように、三角形のルールを応用して眺めていると突然、1本の長い陽線が立ちます。明らかに「今までの流れを打ち破る」陽線、いわゆる「トレンドの変化」を強く感じさせる陽線です。そして、かるい押しを挟んで本格的な上昇に移っています。

これが兆し陽線で、三角形のように「動き出す直前」を見つける視点とはちがい、多くの事例を見つけることができます。

中源線の核となる「上げに転じたようだから買い始めよう」という考え方と同じで、値動きについていく素直な対応です。

ちなみに、前述した『底型・天井型11例』には、あえて解説を載せていません。見る人の感性を向上させるための資料だからです。

しかし、数銘柄をピックアップして“あえて解説”したページがあります。
ぜひ、ご覧ください。
あえて解説 底型・天井型111例

現在の株式市場と低位株投資の将来性

株式市場は2012年末から上げ始め、すでに5年半が経過している──もう買えない、アブナイといった慎重論の根拠とされていることですが、いつも説明しているように個別銘柄の動きは見事にバラバラで、現在も上昇していない銘柄、割安と認識できる銘柄がたくさん残っています。

もちろん、出遅れ出ずじまいというオチもあるのですが、すでに何年も下げている銘柄もあるなど、相変わらずバラバラな状況に対して、安易な観察で結論を出す姿勢には疑問があります。やはり、ひたすら個別銘柄を観察して意見を言うべきで、単なる平均である日経平均株価を見ているだけでは、株式市場の実態はつかめないでしょう。

80年代のバブル期は、個別銘柄が隅々まで買われました。完全な“底上げ相場”だったので、90年以降はヒドい下げ相場に移行しました。ただし、通常は、上げるものあり、下げるものあり、動かないものあり、という具合に入り混じっていると考えることができ、今後も低位株に投資するチャンスは続くと私は考えています。

現在、林投資研究所で「買い銘柄」に選定しているのは44銘柄で、そのうち26銘柄が“最低限”と考えている2倍を達成しています。2018年になってから買い選定した銘柄を除くと、7割強が倍化達成している状況です。

その中には、2015年まで全く動かずに安値を這いつくばっていた銘柄があります。チャートをご覧ください。

6958日本CMKは、2016年に動き出し、2017年に大きく上伸しました。慎重に銘柄を選ぶ結果、逃してしまうこともある中で、選定後すぐに暴騰した大成功例です。

しかし、「銘柄が当たれば儲かる」という考え方は、明らかに間違っています。FAI投資法は“低位株の選別投資法”なので、銘柄選びが重要なのは当然ですが、絵に描いたような結果など望めません。思った以上に時間がかかることだってありますし、試行錯誤をしながら「これでいいのか」と自問自答し続ける部分は、ほかの手法と同じです。

投資法の根底にある考え方を理解し、「資産運用」の行動全体をバランスよく整えることが不可欠です。FAI投資法の考え方を、部分的に取り入れる場合でも、しっかりとした理解が必要です。

でも、手法として完成度の高い「FAI投資法」は、ちゃんと利用する道筋が存在します。実用性のないヘンな銘柄情報と同じに捉えたりしないでください。

これで、7月放送のフォローアップは終了しますが、林投資研究所が誇る低位株投資の手法「FAI投資法」については、紹介したいことがまだまだあります。8月の放送は7月の続編、低位株投資の魅力やポイントを、さらに詳しく解説します。
お楽しみに!


東証1部24銘柄で
らくらく2倍の低位株選別投資術
林投資研究所で30年以上続く低位株投資の手法「FAI投資法」の完全解説版。倍化した実例と解説もあります。

選定銘柄を載せた『研究部会報』特別編集版(PDF)ダウンロード特典付き

詳しい内容はこちら(内容のチラ読みもできます)


7月9日放送のフォローアップ(3)

7月9日の放送内容について、フォローアップ第3回を「週報」に掲載しました。

フォローアップ(1) 実践者の過半数が億トレーダー  7月14日掲載

フォローアップ(2) “底で買う”は実現可能か  7月21日掲載

フォローアップ(2) 「兆し陽線」を見つけよう!  本日掲載

すべては「使い方」

本日発行のメールマガジン「1分間の相場実践知識」の内容を、そのまま掲載します。メール配信をご希望の場合、こちらのページからお申し込みください。


7月9日の放送は低位株投資の話。
林投資研究所が誇る「FAI投資法」のルールから、月足の読み方などポイントを解説。

オンデマンド映像はこちらをクリック!

☆フォローアップブログが自慢です。
第1回 実践者の過半数が億トレーダー
第2回 「底で買う」は実現可能か
第3回(「兆し陽線」を見つけよう!)は明日、7月28日にアップします!


シュレッダーにスルメを入れると「さきイカ」になる?
実際にやってみた猛者のツイートは、まとめサイト「Togetter(トゥギャッター)」にあります

売買の「手法」でも、手法の一部である「予測法」でも、「それ、儲かるの?」「勝率は?」なんて観点が前面に出てしまいがちですが、常に無限の選択肢があるので、やはり“使い方”次第、というのが現実です。

例えば移動平均線。
(私は使うことそのものに否定的ですが、使い方によっては有効性があるとも考えます)

「移動平均線で儲かるか」なんて観点は、子どもじみていて論外、議論として成立しません。

「何日線を使うか」という設定の問題があるほか、「どんな状況を、どう評価するか」が課題です。
もちろん、選択肢は無限にあります。

初心者が最初に触れる情報には、「ゴールデンクロスで買い」とありますが、ゴールデンクロスが「売り」でも「売りの準備」でもいいし、ポジションの取り方も無限に考えられます。

使わないぶら下がり健康器を洋服掛けとして活用するように、自由に使い方を考えるのが投資家のシゴトです。

(後記)
突然に発生した台風12号が上陸しそうです。
自宅の点検や対策は今日のうちに、あぶないと思ったら早めの避難をお願いします。