「兆し陽線」を見つけよう!
バリュー株投資、低位株投資──呼び名は知られていても、体系だった手法を目にする機会はほとんどありません。“目先の商売”しか考えない銘柄情報ばかりだからでしょうか……。
林投資研究所が30年以上にわたって提唱している「FAI投資法」は、29項目のルールによって明確な行動指針が示されているので、誰でも手がけやすいのが特長です。また、月足で大きな上げ下げを観察すると、値動きパターンや集合形で騰落を判断しやすい、俗っぽく言えば「当たる」のです。
2018年7月9日のマーケット・スクランブルでは、実例を挙げながら、月足を使って上げトレンドの開始を判断する方法を解説しました。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第136回 らくらく2倍の低位株投資 ~プロが行うお宝銘柄発掘法~ 第1回)

とことん厳選する
割安銘柄を発掘する──投資関連情報の筆頭ともいえる観点です。
でも、ほとんどの情報は、不特定多数の投資家を相手にするビジネスです。だから、観点が定まっていません。読みものとしては、おもしろいのですが……。
言ってみれば、気楽に見ることのできるバラエティー番組みたいなものです。
断片的には有益な情報もあるのですが、それだけを拾うのは絶対にムリ、全体としては「競争の中で他人に差をつける」ような内容ではない、ということです。
一般的な個人投資家、つまり、ふだんは別の仕事をしている兼業投資家としては、どこかで他人の手を借りなければなりません。もちろん、プロこそ専門家の情報を利用するのですが、一般の投資家のほうが自由に情報を入手する結果、どこかで他力本願な姿勢に傾きます。そして、あまり有益ではない情報を無防備に受け入れてしまう機会が多くなります。
まずは、売買の頻度を抑えるべきです。
少なめの機会に集中し、そのときだけでいいから“プロと同じ”厳しい気持ちで臨んでみてください。「休むことができる」という、個人投資家に与えられた最大の武器を活用するのです。
こうして絞り込むことが、質を高める秘訣です。
売買の機会だけでなく、手がける銘柄も手法も厳選して、自分に合ったものに絞り込むべきなのです。
ちなみに、今回紹介している「FAI投資法」は、低位株に絞り込んでいます。
また、「上がればいい」ということではなく、選ぶときの観点も絞り込んでいます。だから、結果論に惑わされることなく、安定した視点で市場を観察し続けることができるのです。

上げの直前を買えるか?
「相場を当てることは至難の業」と認識しつつも、生身の人間としては「当てたい」わけです。そんな生々しい気持ちを、否定することはできません。そんな気持ちこそが、人間の創造性を生むからです。
前項で示したような「絞り込み」を行うと、ちょっと背伸びした行動だって、ちゃんとコントロール下におさめることができます。確固たる基準があるから、行きすぎたときに警告が出る仕組みを維持できるのです。
さて、相場は価格の変化によって利益を狙う行為です。
目先ばかりを追うとバランスを欠きますが、同じ値幅を取るなら短い時間で実現したほうが有利なのは明白。誰もが話題にするような大きな値動きは間違いなく「荒れ場」ですが、一定の動きが発生する期間にポジションを持ちたいと考えるのが当然です。
何年もかけて下げたあと安値を這いつくばっている低位株……人気の圏外に放置された銘柄なので、本格的に上がる場面を狙うのは当たり前ですが、相場が若ければ若いほど安全性が高いので、上がり端を捉えようと考えます。
その延長で、「できれば、上げ始める直前で買いポジションをつくりたい」という理屈が生まれます。ふつうは難しいことですが、人気の圏外にある低位株は、見事なほどに“枯れた”状態なので、チャートに形ができやすく、高い的中率を期待できるのです。
具体的に、ルールの文言を見てみましょう。
ルール4
三角形に注意。切り上がり、二等辺、切り下がり、各三角形のうち切り上がり三角形が最も強い。とくに2~3年あるいはそれ以上かかって形成された三角形は大きく上伸する
ルール5
三角形の先端陰線下部の十字は直ちに買い
ルール6
2番底の陰線下部の十字は直ちに買い
長期波動を観察するので、いずれも月足チャートの見方です。
横ばい(保合)の振幅が徐々に小さくなっていくと、右側がとがった三角形が形成されます。だんだんと“煮詰まった”状態になるわけです。日を追うごとに振幅が小さくなる、つまり、保合の上辺と下辺が近づいていくことで、ルール4に示された「三角形」が形づくられるのです。
三角形は、非常に強力なサインです。
煮詰まったあとは、上下どちらかに大きく放れます。
安値圏で出現すれば当然、大きく上昇します。
ただし、なかなか出現しません。
この、出現頻度が低い「集合形」のルールを、どのように使うかは、次項で詳しく説明することにして、ルール5とルール6の「十字足」について説明します。
ルール5もルール6も、「直ちに買い」という強い言葉が使われています。
これも、強力な買いサインだということです。
ローソク足に使う4本値のうちの「始値」と「終値」が同値の場合、「高値」と「安値」を示すタテ棒(ヒゲ)を加えて“十文字”になるので、「十字」とか「十字足」と呼びます。日足では出現頻度が高いでしょうが、月足では「月初の寄付」と「月末の大引」が同値になる必要があり、なかなか出現しません。私たちは1円ちがいまで十字足としていますが、それでも出現の頻度は低いので、「出現したときは強力」と認識できるのです。
詳しくは、拙著『東証1部24銘柄でらくらく2倍の低位株選別投資術』をお読みください。
(↑こちらのページでは、内容のチラ読みもできます)

「形」ではなく「意味」だ
投資関連情報には、例えば「買い場をズバリ判断する」といった言葉で、秘密めいた予測法の宣伝があります。変化点を見出そうとする姿勢は間違っていませんが、なんだかコドモじみています。
FAI投資法のルール4にある「三角形」も、同じ類のものに思えるかもしれませんが、「安値圏で動きが収れんする」という確固たる根拠があります。ルール5とルール6の「十字足」も同じで、安値圏において極めて小動きになる、だから「いよいよ動意づくだろう」と、適正な説明が可能です。
安っぽくチャート上の形を求めるのではなく、ルールが示す「意味」を考えてください。「安値圏において極めて小動きになる」という値動きの流れ、変化していく状況に注目するのです。
FAI投資法の「29項目のルール」は、お遊びに類するような秘密の予測法ではありません。月足チャートを正しく、とても実践的に観察するための基本が、わかりやすい言葉で示されているのです。だから、ドンピシャリな形がなくても、応用することで実用的な見方につながります。

動き始めてからでいい
長い期間の下げと底練りから立ち上がるタイミングは、最も“おいしい”買い場です。ただ、そのタイミングをつかむのは難しいので、実際には「動き始めたことを確認してから乗ろう」という場面が多くなります。
大きく下げた、安値圏で整理の横ばいをみせた、そして、今までの暗い雰囲気とは明らかに異なる上げ方をした──「長期の上昇トレンドが始まった」と判断すべき状況です。これを確認するのが、月足に現れる「兆し陽線」です。
ルール7
安値に来ての5連続陽線は買いの準備。次の2連続陰線をみてから買い
ルール7は、それほど長くない陽線が5本続いた状況、集合形で「兆し陽線」とみなすケースを示しています。通常、月足で5本も陽線が続いたら“ひと相場”ですが、安値圏の月足では不思議なことに、それほど上昇せずに陽線が5本続くことがあります。覚えておく価値のある値動きパターンです。
さて、もっとわかりやすい「兆し陽線」を説明したルールが、以下に示すルール8~ルール12です。
ルール8
底練りの中で小動きになったあとの兆し陽線に注意。そのあとの陰線2本をみて買い
ルール9
底練りの中で過去4~5本を一気に上抜く陽線は上げの兆し
ルール10
保合、または安値からの長大陽線は、そのあとの3分の2押しで買い
ルール11
W型、M型後の切り返し(両抜きも)は上げのはじめ
ルール12
6~12カ月(またはそれ以上でも)の上げ下げが90度前後のとき、その下げトレンドを上抜く陽線は上げの第一歩
詳しい説明は、書籍『東証1部24銘柄でらくらく2倍の低位株選別投資術』を読んでもらうとして、全体を短い言葉で説明しておきましょう。
「大きく下げて長期の底練りをみせた。その状態でピンと陽線が立った」
明らかに“トレンドが変化した”と思わせる陽線、それが「兆し陽線」です。
単に、安値で長い陽線が出ただけではダメです。
いわゆる「傾向の変化」を強く感じさせる陽線です。
これを当たり前に感じ取るためには、多くの月足を見るしかありません。たくさんの事例に触れて、慣れるのです。補助の資料として林投資研究所が力を込めて作った、『底型・天井型11例』という保存版チャート集があります。でも、数は少なくてもいいから、大きな用紙に手描きしてみることをおすすめします。
たくさん眺めるだけで、ちゃんと勉強になります。
「株価のトレンドは、こう変化していくんだ」ということが、からだに入ってきます。
その際に大きな助けとなるのが、FAI投資法の「29項目のルール」です。
では、実際の「兆し陽線」を見てみましょう。
繰り返し説明に使ってきた、1801大成建設が安値から立ち上がるタイミングで、とてもわかりやすい兆し陽線をみせています。

大きく下げて安値圏に到達したあと、約4年間の底練りですが、その後半は徐々に下値を切り上げています。カチッと線を引いて「三角形」を見出すことはできませんが、三角形っぽい形が見えると言っていいでしょう。
このように、三角形のルールを応用して眺めていると突然、1本の長い陽線が立ちます。明らかに「今までの流れを打ち破る」陽線、いわゆる「トレンドの変化」を強く感じさせる陽線です。そして、かるい押しを挟んで本格的な上昇に移っています。
これが兆し陽線で、三角形のように「動き出す直前」を見つける視点とはちがい、多くの事例を見つけることができます。
中源線の核となる「上げに転じたようだから買い始めよう」という考え方と同じで、値動きについていく素直な対応です。
ちなみに、前述した『底型・天井型11例』には、あえて解説を載せていません。見る人の感性を向上させるための資料だからです。
しかし、数銘柄をピックアップして“あえて解説”したページがあります。
ぜひ、ご覧ください。
→あえて解説 底型・天井型111例

現在の株式市場と低位株投資の将来性
株式市場は2012年末から上げ始め、すでに5年半が経過している──もう買えない、アブナイといった慎重論の根拠とされていることですが、いつも説明しているように個別銘柄の動きは見事にバラバラで、現在も上昇していない銘柄、割安と認識できる銘柄がたくさん残っています。
もちろん、出遅れ出ずじまいというオチもあるのですが、すでに何年も下げている銘柄もあるなど、相変わらずバラバラな状況に対して、安易な観察で結論を出す姿勢には疑問があります。やはり、ひたすら個別銘柄を観察して意見を言うべきで、単なる平均である日経平均株価を見ているだけでは、株式市場の実態はつかめないでしょう。
80年代のバブル期は、個別銘柄が隅々まで買われました。完全な“底上げ相場”だったので、90年以降はヒドい下げ相場に移行しました。ただし、通常は、上げるものあり、下げるものあり、動かないものあり、という具合に入り混じっていると考えることができ、今後も低位株に投資するチャンスは続くと私は考えています。
現在、林投資研究所で「買い銘柄」に選定しているのは44銘柄で、そのうち26銘柄が“最低限”と考えている2倍を達成しています。2018年になってから買い選定した銘柄を除くと、7割強が倍化達成している状況です。
その中には、2015年まで全く動かずに安値を這いつくばっていた銘柄があります。チャートをご覧ください。

6958日本CMKは、2016年に動き出し、2017年に大きく上伸しました。慎重に銘柄を選ぶ結果、逃してしまうこともある中で、選定後すぐに暴騰した大成功例です。
しかし、「銘柄が当たれば儲かる」という考え方は、明らかに間違っています。FAI投資法は“低位株の選別投資法”なので、銘柄選びが重要なのは当然ですが、絵に描いたような結果など望めません。思った以上に時間がかかることだってありますし、試行錯誤をしながら「これでいいのか」と自問自答し続ける部分は、ほかの手法と同じです。
投資法の根底にある考え方を理解し、「資産運用」の行動全体をバランスよく整えることが不可欠です。FAI投資法の考え方を、部分的に取り入れる場合でも、しっかりとした理解が必要です。
でも、手法として完成度の高い「FAI投資法」は、ちゃんと利用する道筋が存在します。実用性のないヘンな銘柄情報と同じに捉えたりしないでください。

これで、7月放送のフォローアップは終了しますが、林投資研究所が誇る低位株投資の手法「FAI投資法」については、紹介したいことがまだまだあります。8月の放送は7月の続編、低位株投資の魅力やポイントを、さらに詳しく解説します。
お楽しみに!
東証1部24銘柄で
らくらく2倍の低位株選別投資術
林投資研究所で30年以上続く低位株投資の手法「FAI投資法」の完全解説版。倍化した実例と解説もあります。
選定銘柄を載せた『研究部会報』特別編集版(PDF)ダウンロード特典付き
詳しい内容はこちら(内容のチラ読みもできます)