9月からの上げをプロの目で検証
日経平均が23,000円を突破・・・こんな情報を大きな入口として掲げるのは無責任というもの。現実には個別銘柄の動きはさまざまだからです。
2019年11月11日放送のマーケット・スクランブルでは、直近の上昇相場における個別銘柄を分析し、そこから、中源線という“ツール”の使い方や、トレード戦略のあり方をさぐりました。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第168回 大相場を見逃すな! ~中源線でチェックする大きなトレンドの転換~)

2019年9月からの上げ相場
日経平均が23,000円を突破したことは、多くの投資家の心を動かす大きなデータでしょう。「よし、明るい未来がある」「利益を取るために行動しなくちゃ!」と。
一方、「でも、オレの銘柄は上がってないよ……」なんて声も少なくありません。
日経平均をはじめとする指数(インデックス)は、株式市場を外部から見たとき、非常にわかりやすい数値を示してくれます。でも、しょせんは平均値、単なる“中間値”です。
2人の男性がいて、1人は身長が160センチ、もう1人は180センチ──このとき、「2人の男性の身長は平均170センチです」と片づけていいのでしょうか。ちがいます! 「1人は160センチと小柄、もう1人は180センチと長身」と説明しなければいけません。
株価指数にも、全く同じことがいえます。
売買を実践する立場にいるのなら、売買の対象となる個別銘柄を丁寧に見なければなりません。また、先物やETFの売買で指数そのものが対象でも、その指数を構成する個別銘柄の変動が重要な要素です。それこそが「中身」ですから。
というわけで、個別銘柄の動きをチェックしますが、まずは比較対象として日経平均のチャートを示します。
※中源線なので、赤が「買い線」で黒が「売り線」です。
※実際には、売り買いそれぞれ3分割の売買を行います。

9月に入って上昇、9月後半から10月にかけて弱々しくなるものの、10月中旬からは大きく上伸して高値を追っています。
次に示すのは、三井住友建設(1821)です。
日経平均採用銘柄ではありませんが、日経平均と同じ波動で上昇しています。

こういった銘柄を見ると「日経平均の値動き=個別銘柄の値動き」と考えたくなりますが、実践者として雑すぎる認識です。次の項で、異なる値動きをみせる銘柄を見てみましょう。

指数の使い道
日経平均と異なる動きをしているのは、例えば下の東海東京フィナンシャルHD(8616)です。

9月に上昇して10月初旬にかけて押した……ここまでは同じですが、東海東京はその後も安値圏の保合で、動意づく雰囲気が薄いままです。
同じ金融でも、次に示す野村HD(8604)は、対照的に上昇しています。
ただし、日経平均とは異なる波動、8月からグングン一本調子の上げをみせています。

ここで示した事例は数が限られていますが、このように個別銘柄の動きを見ていくと、次の2つのことがわかります。
- 日経平均と連動する個別銘柄は、むしろ少ない
- 株価指数は、個別銘柄の先行指標にはならない
この項の見出しは「指数の使い道」ですが、うう~ん、見当たりません……。
相場格言のとおり「人の行く裏に道あり花の山」と考えたら、「日経平均を気にしている平均的な一般投資家の逆をやる」ために、あえて目を向けない、と存在を否定する対象でしょうね。

中源線の機敏性
さて、前項で示した2つの金融株は、値動きのちがいが歴然としていましたが、よく見ると、中源線の機敏さがわかります。野村HDの上げ始めをサッと捉えたのも、東海東京の保合でダマシが出ているのも、中源線の判断に機敏性があるからです。
中源線が陽転(売り線→買い線)して、上げの波に乗っていく状況を示したのが、下の図です。

黒い線(売り線)で推移したあと、適度に逆行(上昇)する動きで機敏に「陽転」を判断しています。しかし、決め打ちすることなく、3分割の最初の3分の1しか買いません。
その後、陽転後の高値を更新したところで「この陽転の確度は高い」と2回目の判断を行い、そのあとは押し目で買い増しして予定数量まで増やします。
この「2回目の判断がある」ところが、中源線の大きな特長です。
機敏に判断して行動をスタートする(ポジションを取りはじめる)のですが、すぐに満玉張ってしまうような雑なことはしません。こうして、「動きについていく」「値動きのなかを泳いでいく」丁寧な実践者の感覚が、わかりやすくルール化されているのが中源線です。
しかも、ルールはすべて公開しているので、「勝った理由」「負けた理由」が常に明確、すなわち、適切な評価を行うことで将来につながる知恵が蓄積されるという、ツールとして大切な機能を持ち合わせているのです。

プロが定点観測する理由
トレードで大切なのは、基準が一定であることです。
いわゆる「ブレ」がないことです。
例えば「常に中源線で見る」というように、同じツールを使いつづけることが不可欠です。ちなみに、ルールがブラックボックス化されているようでは、ツールとしての条件がそろっていないと言わざるを得ません。
また、判断に多少の幅がある裁量でも、なんでもありのユルユルではいけません。
そして、同じ銘柄を、愚直に観察しつづけることも重要です。
使っているツールの「上手な使い方」を積み上げていくことにつながりますし、銘柄ごとのクセを考えて「確信ある最終判断」を導き出すことができます。
「ブレがないこと」と述べましたが、予測を高い確率で当てることではありません。
予測を当てるのは困難、ゆえに“ブレのない判断”が求められるのです。

フォローアップ第2回では、終わりのほうで触れた「上手な使い方」と「確信ある最終判断」という深い部分を考えてみます。お楽しみに!
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