8月3日放送のフォローアップ(1)
林 知之

だまされない情報処理のコツ

新型コロナウイルスについて、マーケットは「未知の恐怖」を忘れつつあります。
つまり、マーケットの先見性によって“その次はなにか?”を模索しているのです。

「もう警戒を解くべき」「経済停滞の悪影響のほうが大きい」といった意見が正しいかどうか、まだ正解は出ていないのですが、世界各国が金融システム維持に動いた結果、株式市場の明るい未来が見えているといえるでしょう。

とはいえ、整理不足の銘柄も少なくないうえに、数カ月単位の自律的な上げ下げもあり、強い銘柄もあれば弱い銘柄もある状況です。とくに直近の値動きは、そんな跛行色が顕著に現れていると感じます。

2020年8月の放送は、7月に取り上げた6銘柄のその後を追うとともに、私が実際に売買している銘柄を挙げて個別の観察を行いました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第184回 オレの銘柄どうなった? ~コロナ後の相場を個別銘柄で徹底検証~

まとめてはいけない

いつも、「日経平均を見て相場を考えてはいけない」と述べています。

例えば先週、7月27日(月)、日経平均の大引は22,715円85銭(前日比-35円76銭)でした。日経平均が前日比マイナスだったことを受け、翌日の日経新聞の相場解説は「小幅続落、リスク回避の売り」という見出しで、「米中対立の激化が懸念される」ことを理由に「国内株相場にもリスク回避の売りが広がった」という解説でした。

しかし、東証株価指数(TOPIX)は「+3.73」と前日比プラスでした。

また、東証一部の個別銘柄は、次のような変化でした。

値上がり1,424銘柄
値下がり683銘柄
変わらず65銘柄

どちらかというと、「総じて買われたが、日経平均はマイナスだった」という説明ではないのでしょうか。いずれにしても、「株は高かった」とか「安かった」とまとめるのはムリなのです。

番組で取り上げた銘柄の中源線チャートを数銘柄、下に示します。
値動きは銘柄ごとにバラバラ、ということがよくわかります。

赤が買い線、黒が売り線です。

 

日経平均株価

4331テイクアンドギヴ・ニーズ

8604野村HD

9984ソフトバンクグループ

みなさんも、銘柄数は限定的でいいので、同じ銘柄を追い続けるようにしてください。
必ず、以前にはなかった感覚が芽生えます。

わかりやすい分類は使うな

番組では、「年前半とか、これからの後半といった区切りに意味はない」とコメントしました。

わかりやすく分類したり安易にまとめたりして結局は見ている人を煙にまく・・・
そういう情報発信をしたくないのです。

売買を実践しているみなさんと一緒に、プレーヤー目線で相場を考えていきたいのです。

番組の中では、「株価の先見性」についてもコメントしました。
「現在どういう状況なのか」ではなく、「これから先、近未来にどうなるのか」を織り込んで株価は動いているのです。ただ、どれくらい先まで織り込むかは、その時々で異なります。計算できません。

“投資家を煙にまく”系の情報では、「現在は○○だから」と売られている理由、あるいは買われている理由をまことしやかに解説する一方、その情報と株価の動きが合わないと「この点は株価に織り込み済み」などと片づけます。

煙にまかれたくない!
それなら、近寄らなければいいのですが、社会人として日々のニュース系の情報を遮断するのも難しいので、常に注意しておくのが現実の対応でしょう。

「わかりやすく分類したり、まとめたりした情報は素人だまし」
「素直に受け入れてしまうと、負ける側に近づく」

決して“ひねくれ”ではない、大切な認識です。

トレードの本質を考えよう

ここまで、「これをするな!」「こいつはダメ」と否定を連発しました。
結論として、「こうしましょう」という肯定形の説明に移ります。

強い否定の“禁止事項”も大切なのですが、行動指針として「こうするんだ」という方向性が必要です。「自分自身の考え方」をもつということです。

「売買とはこういうものだ」と定義した、“トレード哲学”にあたる考え方もあるでしょう。
それを土台に、「自分の売買範囲は東証一部の小型株だ」というような指針を固めておくことも大切です。上下の予測に気を取られて忘れがちですが、自分が「どれくらいの期間の上げ下げを狙っているのか」という“売買期間”の問題も極めて重要です。

こういった「基準」があることで、外部からの情報を自分なりに評価することができます。
ひねくれて否定するわけでもなく、なんでも聞いてしまうわけでもなく、わかるはずのない“正解探し”をするわけでもなく……。

番組で紹介している「中源線建玉法」を素直に実践する場合でも、「この部分は疑わずに従うべきだ」とか「このルールは100%納得できない」といった自分自身の評価があって当然です。

安易につくられた情報を受け入れていると、「次はどの銘柄が上がるの?」とか「株は買いか売りか」なんて思考に陥り、ダメ情報から離れられなくなります。

誰が、なにを持ち出しても、どれだけ情報を集めても、その情報を精緻に分析しようと試みても、未来の株価を言い当てることはかないません。現実の売買では、確固たる考え方を土台にした明確な指針でポジションを取り、予測の当たり外れを判断しながらポジションを変化させていくことが求められます。

「確固たる」と表現しましたが、株価の予測だけでなく、「自分にとってこれが正しい」という基準も常に『仮説』です。きっちり守りながらも、「間違っていたら修正しよう」とか「もっとよい考え方があるかもしれない」と模索していく姿勢が不可欠です。

こんなデリケートな部分を大切にしながらも、売り買いを決断する“現場”では、迷わずにズバッと行動する──これがトレードの本質です。

次回のフォローアップ第2回では、「中源線シグナル配信」の具体的な設定を取り上げながら、中源線のキザミ値について考えたいと思います。お楽しみに!

番組フォローアップ(2)は、「中源線シグナル配信」(対象:全上場銘柄)の会員限定のブログに公開し、同時に会員限定でメール配信も行います。


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「待つ」という発想

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わが家の愛犬にご飯をやるとき、おすわりをさせます。
でも、ガマンできずに腰を浮かせて前のめりになるのです。
なんだか情けないのですが、そんなところがカワイイ!

日経平均の水準を見ると、すでにおいていかれた感覚が芽生えるかもしれません。
でも、個別株が売買の対象なら、別のアプローチをするべきです。

どんな戦略でも、どんな見通しでも、共通のキーワードは「待つ」ことです。

すべて“例えば”の話ですが……

指数上昇をけん引する銘柄の最後の上げに乗るなら
「どこまで待つ(ポジションを維持する)か」

蚊帳の外にある銘柄の買い場を探すなら
「いつまで現金ポジションを温存して待つか」

ほかにも、いろいろな「待つ」がありますが、自我を押し殺してガマンするのではなく、「感じるままに行動するため、積極的に待つ」という発想があると、イメージは一変します。

「次のチャンスを待つ」という発想があれば、素早い損切りといった瞬発力も生まれます。

私は現在、低位株の本格的買い場を待つ姿勢です。
でも、「そろそろ準備」とワクワク感があります。

解説と事例は、ただいま印刷中の『研究部会報』7月号で述べました。
7月28日(火)発行、同日に発送します。
お楽しみに!

7月6日放送のフォローアップ(1)
林 知之

当てなくもいいんだ!

株価指数は強いし、それを支える個別銘柄もある、というのが株式市場の現状です。
しかし、多くの個別銘柄の動きは当然バラバラで、安値で保合、中段で保合、高値近辺で保合という具合……“次の一手”を決めかねる投資家は多いでしょう。

そんな状況下でも、私たちは行動を決めて前進しなければなりません。
どんな考え方が有効か、そして適切なのか?

2020年7月の放送では、プロの実践的な思考を紹介しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第182回 ジェットコースターで手が出なかった投資家必見! ~上げも下げもしない相場の次の一手~

「強気」にもいろいろ

「相場は強いね~」
「上がると思うよ」
「株は買いだろ!」

「強気」という言葉でひとくくりにされる相場見通しですが、同じように表現しても内容はいろいろです。

例えば私は、6月と7月の放送で強気の見通しを述べましたが、「株式市場の長期波動は上向き」ということで、目先については中源線の売買を軸に上昇を狙うものの、じっくりと買いポジションを積み上げていくタイミングは少し先かもしれない、くらいの感覚です。

さて、本題に戻ります。

同じように目先の相場について強気を語る場合でも、人によって大きく異なります。

「日経平均はまだ上がる」と考えている場合もあれば、「出遅れ株がチャンス」という視点だってあり得ます。あるいは、「グイグイきている銘柄に、まだ上値がある」と狭い範囲に限定した相場観かもしれません。

場合によっては、「買った銘柄が上がっていて、そろそろ利食いを考えている」なんて状況で他人に強気を言う、いわゆるポジショントーク、「売りたい強気」というケースもあります。ズルいよ……と感じるかもしれませんが、人間の自然な心理かもしれません。

「次の一手」と聞かれたら……

相場の先行きを当てたいので「見通し」「予測」に目が向きがちですが、大切なのは、その見通しと具体的なポジション操作のセットです。

だから、「今ここで取るべきポジションは?」とか「次の一手は?」というイメージから考えはじめ、「その根拠となる見通しはなに?」と確認するのが実践的だといえます。

仮に見通しどおりになったときの手仕舞いや、見込み違いだったときの損切りについて、きちんと考えることにつながるからです。

マーケット・スクランブルで毎月、相場の話をしていますが、人気度を上げるためにはズバリの予測を自信満々に語るべきなのでしょう。外れたら「おい、こんどは当ててくれよ」、当たったら「次はなに?」と視聴者を引きつけるからです。

でも、そんなふうに“情報をつくる”姿勢は嫌いなので、実践につながる観点を紹介しています。

次の一手──とても大切な視点です。

ぜんぶやる!

7月の放送では、個別銘柄の異なるパターンを紹介しました。

日経平均が強張っている……これだけで考えても具体的な対応策は見えません。自分なりの戦略に照らし合わせ、対象とする個別銘柄を判断するのが実際です。その際に、「わからないから手を出さない」といった選択肢を用意しておくことも重要です。

番組で紹介したのは保合(もちあい)の銘柄、つまり横ばいの動きで「どっちに動くんだろう」と感じる銘柄です。実際、こういった値運びをみせる銘柄が現在は多いからです。

そして、“次の一手”という観点における、ひとつの答えとして、「ぜんぶやる」と述べました。でも、決して雑なコメントをしたつもりはありません。

機械的に判断するシステムがあれば、そのシステムのシグナルに従ってポジションを取り、今後の動きについてシステムが新たなシグナルを出せばそれに従うという、「流れに沿ってポジション操作する」きちんとした対応が実現します。

グズグズとした相場つきが一変して総強気になれば、中源線が反応してどんどん陽転していくでしょう。

こうして「中源線に身を任せよう」と考えることができる理由は、次のとおりです。

  • ルールがすべて公開されている(納得できる)
  • ルールがシンプル(混乱しない)
  • 実践者の感覚をそのまま数式化している(値動きを追う感性と一致する)
  • 3分割のポジション操作がルール化されている(無責任な“当てもの”ではない)

中源線は、プロが好む売買ツールです。
とても実用性が高いものなのです。
単に「売り」とか「買い」などと、断片的な判断を示すオモチャではありません。

プラスマイナスが逆になる不思議

「ぜんぶやる」という行動を説明した際に、一般的な“あるある”の誤りを取り上げました。

「強気の見通しで、10銘柄を買う」という戦略について、少し先の「次の一手」を考えた内容です。

「相場は上だ」という見通しが当たったとしても、選んだ10銘柄がすべて期待どおりに上昇することはないでしょう。スルスルッと上がる銘柄もあれば、動かない銘柄もあり、なかにはズルズルと弱含みに推移する銘柄もあるはずです。

最もいけない次の一手は、「上がってきた銘柄をさっさと利食いして、ダメな銘柄を残す」というものです。心理的にやってしまいがちな対応ですが、プラスマイナスが逆なのです。

上がってきた銘柄は“よい銘柄”です。それを切って“わるい銘柄”を残したら、手の内はどんどん悪化するばかりです。

ダメな銘柄を切るのが第一で、売った分は現金ポジションにしておくのが安全です。
資金稼働率が下がって余裕が生まれ、手の内に残るのは“よい子”だけ。
こういった発想を大切にして、いざというとき、そのとおりに行動できるよう心がけておくのです。損切りが先行する状況には抵抗を感じるでしょうが、「将来を考えて次の一手を決める」相場では欠かせない考え方です。

インターネット放送「マーケット・スクランブル」は、こうした実践的かつ実用的な考え方を紹介して、同じプレーヤー同士で高めあっていこうというコンセプトでお送りしています。

次回も、ぜひご覧ください!

次回のフォローアップ第2回では、あらためて中源線のロジックを見つめながら、「仕掛け」に焦点を当てたポジション操作を考えます。お楽しみに!

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脱・コロナ脳

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コロナウイルスの脅威は無視できないものの、それを強調する報道の偏りを認識することが大切です。

情報について受け身になりがちな私たち個人投資家は、“流行の情報に抗うこと”が求められているのに、一般のニュースも投資関連情報も「コロナ」が決まり文句。
知らないうちに強く影響されています。

どんなときも忘れてはいけないテーマですが、とくに現在は、「コロナ」をいかに無視するかがカギです。

厳しく考えれば、「アフターコロナを考えよう」もコロナ脳。
短絡的な銘柄発掘に近づく心配があります。

「コロナを懸念した弱気に逆らおう」というのは、抗おうとしながら“コロナワールド”のど真ん中。

こういった思考が、ニュートラルに近づくヒントですが、意識しすぎてしまうと、これまた思いきりコロナ脳なので、ひと工夫が必要です。

最も気をつけるべきは、3月の安値を振り返ることでしょう。
「時間の経過」とともに変化する株価を見ているのに、時間を無視してチャートのタテ軸だけで考えてしまいます。

3月に突っ込みの安値があろうがなかろうが、「今後のトレンドがじっくり上昇」ならば、この先でタイミングを計って「買う」ことで利益が望めます。

実際、月足で長期トレンドを観察すると、適度に安いのに「整理」が足りない低位株が多数見つかります。

しかし、コロナの混乱を経て整理が進めば買い場が近づきます。
本格的に、安心して低位株に投資できる環境が整います。

そんな近未来を想定して、林投資研究所が長年取り組んでいる低位株投資の手法「FAI投資法」のルール解説本を作りました。

『【徹底解説】FAI投資法 完全ルールブック』

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事前予約の特典は、以下の4つです。

1.送料無料 300円→0円
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(すでにお持ちのみなさんには別の書籍をプレゼントします)
3.優先発送
4.キャッシュレス5%還元
(クレジットカード決済および店頭PayPay)

二番底はいつ来る?

日々の投資関連情報を流す大手メディアは、ホントにいいかげんだと感じます。

強烈だったのは2016年、米大統領選のビフォー・アフター。
「トランプ氏が勝利したら暴落必至」と言っていたのに、選挙後に強い相場がスタートするやいなや、「トランプラリーが始まった」だって……

昨日、6月11日のNYダウは大幅下落。
1861ドルもの下げについての解説は、「コロナ感染の第2波を懸念」だそうです。

えっ、第1波でパニクっているころから、『第2波を警戒すべき』と盛んに言っていましたよね。
悪材料として突然に出現したように書かないでよ。

株価が3月から戻る過程では、ひたすら「二番底懸念」という魔法の言葉を使いました。

ところが・・・みんなが気にしてソワソワしている間に日経平均は一時23,000円を超えました。“いまさら感”が強く漂います。

この「二番底」問題では、メディアの論調だけでなく、投資家側にも反省点があったと思います。
そんなことをテーマにお送りしたのが、6月8日の「マーケット・スクランブル」生放送です。

時間があるときにご覧ください。

『買いたい弱気? ~ 二番底はいつ来るのか……』

フォローアップ第1回のブログも、さきほど公開しました。
 正しい「二番底」 →週報のページ

6月8日放送のフォローアップ(1)
林 知之

正しい「二番底」

株式市場は3月の安値から上昇して日経平均は23,000円、いろいろな思惑から「二番底」を気にする向きが多いなか、強い戻りをみせています。

二番底はいつ来るのか、そもそも二番底とは?
どういった認識が正しいのか?

6月8日の放送は、「二番底」という分析アプローチを、実践的な観点で考えました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第180回 買いたい弱気? ~ 二番底はいつ来るのか……

天井も底も2回ずつ

「天井も底も2回ずつ」といいます。
相場格言のようなものです。

しかし、コロナショックの二番底について繰り返し話題に上ったのに、とうとう日経平均は23,000円に到達しました。

この状況を見て無責任に後講釈するつもりはありません。
しかし、多くの人が「二番底」を気にする観点、というか理由に問題があるのではないか──これが、6月放送のテーマでした。

番組で紹介した二番底の事例をご覧ください。

これは、5301東海カーボンの月足です。
200円台の安値にいたのですが、2016年の終わりから上げはじめ、2017年、2018年と暴騰して2,000円をかるく超えたのです。ほぼ10倍に化けました。

この大きなトレンドを見てもらうために月足を示したのですが、長い底練りに目を向けてください。とりあえず安値圏に到達したのは2009年なので(赤丸の1)、本格上昇までのモタモタで約8年が経過しています。

もっとクッキリハッキリ「底」らしいのは、2012年でしょう(青丸の1)。
これを一番底とすると、二番底は2016年(青丸の2)……長期波動では、一番底から二番底まで約4年の日柄を要しているのです。

これは特殊な例ではありません。
月足で長期波動を観察すればわかりますが、よくある“標準のモデル”のようなチャートです。

このように、「二番底」という観点は実践的に有効なのですが、これを現在の相場に当てはめた場合、すでに整理が進んでいる銘柄でも今年の夏から秋に二番底、多くの銘柄は来年以降ではないかと感じています。

直近で投資家が気にした「二番底」は、いくつかの点で間違っていたのです。

タテ軸ではない

ちまたで「二番底」が話題となった理由として、2つのことが挙げられます。

ひとつは「買いたい弱気」。
安値で買おうとしたが買えなかった、買いたい、少し押してほしい……こういう心理ですね。

もうひとつは、単純に「上がってくれ」と祈る心理です。
下げたところで不安になったがポジション調整の発想すらなく、戻ってもポジションを動かす気がなく……ただ買いポジションを抱えて「下げてほしくない」と不安なだけの状態です。

前者は「なにかアクションを起こそう」としているのに対して、後者は完全に受け身の姿勢です。だから、前者の心理はあながち否定できません。

ただ、両者に共通している問題点は、チャートのヨコ軸(日柄、時間の経過)を無視してタテ軸(価格)のみを気にしている点です。また、個別銘柄の動きはバラバラなのに、やみくもに日経平均を気にしていることもよろしくありません。

私たちは値動きを「株価チャート」で確認します。
そして、トレンド、勢い、形(集合形による予測)といった観点で観察して売買を考えます。

いろいろと複雑な思考を繰り広げるのですが、実はたった2つの要素しか存在しません。
2次元で表現されるチャートは、価格(タテ軸)と日柄(ヨコ軸)の2つの要素だけで構成されます。このうちの1つ、「日柄」を軽視した時点で、チャート観察という行為はボロボロに壊れてしまうのです。

だから実践家は、常に2つの要素を等しく扱うために、「タテ軸を見るな」という言葉を戒めとして使ったりします。

こういった実践的な発想、プロの思考を紹介したのが、私の新刊『プロが教える株式投資の基礎知識 新常識』です。ズバリ、「タテ軸を見るな!」という項目もあります。

番組でテーマとした「二番底」についても、多くのメディアはそういったキーワードを見出しに入れます。投資家の不安心理につけ込んで無責任な記事を書いているのですが、いつの間にか毒されているのが私たち個人、情報の受信者です(キツい言い方をすれば「情報弱者」)。

知らずにすり込まれてしまった「間違ったジョーシキ」を、正しい常識に入れ替えてほしい──こんな思いで作った本です。


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マーケットの変化

さて、番組で紹介した「東証一部、陽線(買い線)銘柄数」の推移をご覧ください。

東証一部の銘柄を、ひとつずつ個別に「中源線建玉法」で強弱判断した結果です。“平均”という雑な計算方法の日経平均とはちがい、市場全体を観察するうえで実践的な統計値です。

」で、陽線(買い線)数は1,700を超えました。
東証一部上場、約2,100銘柄のうち1,700銘柄が「買い」に傾くというのは珍しいことです。林投資研究所の「中源線シグナル配信」サービスを開始していらいの記録です。

ただ、この記録は、極端な下げの反動によるもの、「勢い」でつけた数値と考えることができます。うかつに評価できない、という意味です。

ところが、その後いったんおちついたあと、4月、5月とジリジリ増加し、あらためて1,800銘柄に達したのです()。

無責任なメディアが「二番底」という言葉でつまらない記事を書き、日経平均2万円のレベルで売りを誘っている間に、注目すべきマーケットの変化が起きていたと感じます。

相場なので、上げ下げがあるのは当然ですが、「株高を背景に成長を図る経済構造」がより強固になった──大きな目でマーケットを眺めて、こんな考えが浮かぶのが自然ではないでしょうか。

ただ、目先の数カ月を追うときは、また別の視点が必要です。
次項で具体例を挙げながら解説して、フォローアップ第1回をまとめたいと思います。

中源線の時間軸

3月中旬から3カ月が経過し、すでにひと相場が終わったのかもしれません。
昨日(6月11日)のNYダウ暴落(-1,861ドル)が引き金になって目先、下げトレンドに移る、というシナリオです。

もちろん、来週か再来週にグイッと切り返し、強気もビックリの金融相場がつづくかもしれません。

いずれにしても、「二番底懸念」なんて論調にあきれていたところ、NYダウが6月11日に暴落した理由を「コロナ第2波を懸念」と言いきるあたりは、ホントどうかしていると感じます。

コロナの感染がどんどん拡大していったパニック的な状態のころから、過去に起きた感染症の事例に照らし合わせて「第2波」を警戒する声はありました。私たち一般人も、繰り返し目にした情報です。それを、突然に出現した悪材料のように扱うなんて・・・

情報をつくり、まことしやかな解説を創作するにしても、もう少し手間をかけてほしいものです。

それはさておき、「二番底懸念」という言葉が注目されている間に、いろいろな銘柄が安値から大きく居所を変えました。個別銘柄の中源線チャートをひとつ紹介します。

3月の3,000円割れから5,000円台半ばまで、見事に上げています。
中源線は、ダマシの陰転を1回はさんだだけで、この上げを捉えていますね。

チャートをよくご覧ください。
安値で一番底、二番底と短期間で下げ止まりを感じさせる形をみせ、それから暴騰しています。
(人によっては、一番底、二番底、三番底、と見ます)

「二番底懸念」の流行が盛り上がっている間に、安値固めから上げが加速していたのです。
これが、短い期間の値動きをつかまえるときの時間軸です。

また、中源線がきちんと機能していたことも忘れないでください。

次回、フォローアップ第2回では、個別銘柄による値動きのちがいを観察しながら「二番底」の本当の意味を深掘りしてみたいと思います。お楽しみに!

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