押し目待ちに押し目なし……日経平均の強さとは裏腹に個別銘柄は足踏み状態。目先高値をつけたあと、頭を垂れたままスパッと切り返せない銘柄が目立つ。
こうなると、個人投資家は目は、どうしても出遅れや押しの深かったものに向かいやすい。
下落トレンドから底の形が徐々に整ってきた銘柄、保合下限で底堅く推移する銘柄にスポットをあててみた。
Author Archives: kanrisya
1月4日放送のフォローアップ
1月4日放送のフォローアップ
林 知之
個別銘柄のかたちはわるい
日経平均は年末にかけて高かったのに、持ち株は上がらない……
こんな実感は錯覚なのか、それとも真実なのか──。
丑年の相場は「つまずき」といわれますが、ブル(Bull=牛)は英語で上げ相場を意味します。さて、2021年の相場はどう動くとみればいいのでしょうか。
2021年1月の放送は大発会当日の夜、いつもの定点観測や中源線の統計数値から、現在の相場を実践的に分析しました。
映像は、「YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」」でご覧ください。
【株式市況 銘柄解説 定点観測】大発会で占う“ブル年”相場
株価指数と個別銘柄のギャップ
株価指数の動きと個別銘柄の動きには、常にズレが生じます。
例えば数年単位で株価指数が上昇していた場合、「株式市場に資金が流入している」「株価は上げ基調だ」と考えて間違いありませんが、個別銘柄については、その数年間ほぼ動きがない、あるいは、逆に下げトレンドを形成しているケースも数多くあるものです。
バブル相場の最終局面の1989年、株価指数は上値を追いましたが、個別銘柄の伸びはみられませんでした。その状況に至る底上げは前例のないものでしたが、上昇のタイミングは個々に大きくズレていました。
ITバブルのあとの2003年春、日経平均は下落して7千円台の安値をつける一方、値の安い個別銘柄は完全に真逆のトレンドで力強い上昇をスタートさせていました。
現在はどうでしょうか? わかりやすく、2020年の最後を観察してみます。
11月と12月に日経平均はグイッと上昇し、「30年ぶりの高値」と報じられました。しかし、個別銘柄で上伸しているものは、ほんの一部分です。適度に上げてきた銘柄も、多くは頭打ちという状況に見えます。
最終的な判断は人によって分かれますが、少なくとも、「株価指数が高いのだから」と焦って銘柄を探すことだけは避けたいところです。見ている範囲や値動きの狙い方がちがえば、相場の評価も大きく異なるのです。
個別銘柄の定点観測
前項で述べたことについて、実際のチャートを見ながら解説しましょう。
まずは日経平均の中源線チャートです。
※中源線なので、赤が買い線、黒が売り線です。
11月に入るとグイグイ上伸し、12月前半に保合をみせたあと、年末にかけて再び新値を取りました。力強い上昇です。次に個別銘柄のチャートをご覧ください。
富士通ゼネラル(6755)は、コロナショックの3月に一番底、翌4月に二番底をつけてから約2倍の水準まで上げました。しかし直近は、11月に高値を取ったのに上げ損ない、12月に陰転(赤→黒)して下げ歩調です。
もう1つ、個別銘柄のチャートを示します。
テイクアンドギヴ・ニーズ(4331)はウエディング事業を手がけている会社。コロナ禍で、相当に苦戦している業種のひとつです。だから上がらない、と納得してしまうでしょうが、このように安値で這いつくばっている個別銘柄は、業種を問わず意外とあるのです。
※番組では、いつもどおり、8銘柄の定点観測を行いました。ぜひご覧ください。
視聴はこちら!
「強い」「弱い」なんてホントはあり得ない
株価について「強い」とか「弱い」とか、なにを基準に評価していますか?
いろいろな観点がありますが、よくあるのは“直近で上げているか、下げているか”というものでしょう。でも、それは過去の出来事。現時点で将来を考える場合には、別の観点や基準を持ち出すでしょう。
もちろん、直近のトレンドがつづく、というのも判断要素のひとつですが、実際にはいろいろな条件で判断しているはずです。
落ち着いて考えると、「現時点から上がるか下がるか」は、誰にとっても五分五分のはずです。現時点で値段がついているということは、自信をもって「買いだ」と判断している参加者と、「売りだ」と確信している参加者が等しく存在している状況、といえるからです。
身もフタもない理論のようですが、実はこれが最も科学的な説明なのです。
では、「強いから買い」とか「弱いから売り」という判断は、いったいなんでしょう……それぞれの参加者が、独自の基準で考えた結果の、いわば偏った“価値判断”です。
相場の強弱について談義する際は、こういったプレーンな理論をベースに意見交換する場合もあれば、一定の判断基準が一致していることを前提に「強いよね」などと会話する場合があります。私たちは、けっこう難しい会話をサラッとこなしているということです。
半面、そんな優秀な感性が盲点を生み、当初の観測に固執して失敗することもあります。
だから、例えば強気のときに、「あえて“売り目線”で観察してみる」なんてアプローチも有効だったりするのです。
「買いだと思う」「買ってよさそうだ」「ガマンできないから買う!」と突っ込んでいくのではなく、「待て待て。カラ売りできるかどうかを考えてみよう。ムリだと結論づけることができたら、本当に買いだと自信がもてる」という発想です。
実はこれ、来週1月11日の放送で紹介する内容です。
「成人の日」で祝日ですが、夜8時に番組を公開します。
ぜひ見てくださいね!
来週は、テーマ別の番組をお届けします。
前述したとおりの内容で、タイトルは「まだ上がる? もう下がる?……売り目線で眺める株式市場」。
1月11日(月・祝)夜8時公開です。お楽しみに!
2020年12月新刊
大発会で占う“ブル年”相場
丑年の相場は「つまずき」などといわれますが、英語でブル(Bull=牛)は上げ相場を意味します。
2021年の相場はどうなるか──1月4日、大発会の夜から放送しました。
ぜひ、ご覧ください! →YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」
【株式投資 買い銘柄 売り銘柄】東証一部銘柄は売り優勢か
~個別は年末に向けてじわり押し目~
歴史的なハイボラティリティに翻弄された2020年。
12月の相場は打って変わって値動きのない展開となった。
指数は横ばい、上げも下げも続かない。
保合どころか、ほぼ一直線に真横に伸びた。
一方で、個別の銘柄は目先達成で売り転換するものも多く、全体に弱含んだ。
新着動画「株の塩漬けをつくらない方法」
株価の予測をピシピシと当てる方法はありません。
だから、見込み違いも仕方がない……でも、損切りが遅れてしまうのが現実。
的確な損切りの判断と行動──どうしたら実行できるのでしょうか?
具体的な考え方を紹介しました。6分59秒の動画です。
→ → 視聴はこちら(YouTube動画)
動画「株の塩漬けってどうなの?」
年末高は要警戒? ~循環物色か、爬行色が強まるのか
日経平均やTOPIXを見ると膠着状態ですが、個別銘柄は上げはじめ、下げはじめ、保合と爬行色が鮮明です。一気に吹き上がるのか、いったん調整か。
年末高を警戒する向きも少なくないなか、静かな循環物色をみせる個別銘柄をじっくり観察してみました。
12月14日放送のフォローアップ
12月14日放送のフォローアップ
林 知之
物色の移り変わりを読む
年末ラリー、掉尾の一振……最近は、不合理を承知で個人投資家が物色の手を広げる状況を目にしない気がします。
でも、11月後半から、これまで動きのなかった銘柄にも資金がまわってきたような気配。株価指数の伸びに一歩、いや数歩くらい遅れて個別物色が活発になるか!
12月14日、2020年最後のマーケット・スクランブルでは、こんな観点で個別銘柄をさぐってみました。
映像は、「YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」」でご覧ください。
(第192回 大相場への序章? ~年末ラリーを牽引するのはどんな銘柄?)
半年以上もシラケ鳥
“小松の親分さん”こと、俳優の小松政夫さんが亡くなりました。
個性が豊かで魅力的な人だったと思います。
「シラケ鳥」って流行しましたね。私は、電線軍団が大好きでした。
合掌
株式市場ではいつでも、上げ相場の気配が出るやいなや、「買え~買え~」と鳴く“買い買い鳥”が飛び回ります。業界全体で投資家をあおる──こう表現すると、いかにも下劣な印象ですが、多くの投資家がそんな情報をのどから手が出るほど欲しているのも事実です。
とても俗っぽく、どこか安っぽいのですが、これこそが兜町の文化、株式市場の素直な姿です。
だから、お利口さんを振る舞いながらも、こうした熱い動きを無視してはいけません。不合理かつ熱のこもった変動こそが、マーケット参加者全員にとって「利益の源泉」です。
相場師殺すにゃ刃物はいらぬ 寄り引け同事にザラ場なし──。
動きがなくては、どうにもならないのです。
とはいえ、モグラたたきのように「こっちだ」「こんどはこれだ」とキョロキョロするのは俗にいう“イナゴ投資”。器用かつ機敏に行動しているつもりが、ひたすら情報に翻弄される側、情報弱者側に寄っていくことになるでしょう。
手がける銘柄の範囲を決めておくか、手がける値動きのパターンを決めておくと、「自分のスタイル」を貫くことができます。当然、その方法が機能しない時期、出動チャンスが極めて少ない期間も生まれるのですが、それを受け入れるべきです。
株式市場では毎日、なにかしらの銘柄に動きがあるので、狙って取れそうな気もしますが、そんなにうまくいくはずがありません。機会損失に対して「損しちゃう」なんて言葉を思い浮かべることなく、「大ヤラレしなければいい。それよりも、自分のスタイルを崩したくない」と考えるのが王道です。
さて、中源線は機敏な反応がミソです。
3月中旬にかけての急落も、その後の急騰も、見事に反応してくれました。
ところが、そのあと株価指数が順調に推移するなか、物色される個別銘柄は一部分に限定といえる状態でした。多くの銘柄は、動くと見せかけてコケる……どうにも読みにくい状況、ほとんどの投資家にとって、やりにくい相場がつづいたと思います。
しかし、11月後半からは様子が変わってきましたね。
まあ、ド直球で「年末ラリー」なんて言葉を使うのは避けたほうがいいとしても、シラケ鳥しか飛ばない状況から脱してきたと感じています。
“蚊帳の外”銘柄が動く
“シラケ鳥”相場のなか、多くの銘柄が低迷していました。
しかし、そうした蚊帳の外にあった銘柄が順に動意づく──こう判断できるような変化が起こっています。
毎週金曜日の夕方、株式市場の1週間の動きを中源線で見る、「ウイークエンド株式投資」という番組をお送りしています。
「林投資研究所YouTubeチャンネル」で、1回が6分~7分です。
毎週、中源線でトレンドが転換した数銘柄を取り上げて紹介するので、前項で否定したような“週替わり”の情報と思われそうですが、範囲を決めているうえに、中源線というブレない観点があります。
この「ウイークエンド株式投資」のなかで最近、おもしろみのない安値の動きから陽転した銘柄をいくつか紹介しましたが、その後も魅力的な推移を示すものがあります。
本格的には来年かもしれませんが、皮肉なことに、コロナ禍を機に株式市場が新たなステージに進んだ気がします。
みなさんも、自分の得意分野を意識した「定点観測」をつづけて、いろいろな変化を察知することを楽しんでください。情報は集めるものではなく、自分自身でつくり出すものです!
金融相場のスタートか
本格的には来年かもしれない……前項で述べたのは、「まだ」のようで「もう時期が到来している」という現時点での予測ですが、私なりの裏付けがあります。
林投資研究所はバブルの時代、1984年に、「FAIクラブ」という低位株投資の研究・実践の会を発足させ、現在まで毎月欠かさずに例会を行っています(2011年3月、東日本大震災の翌日のみ休会)。
メンバーは全員、数百銘柄の月足を同じ規格で手描きし、株価の最も基本的な長期サイクル、数年から5年、10年の上げ下げを幅広く観察しています。
主な目的は「低位から数年かけて上昇する銘柄を見つけること」ですが、結果として、日経平均の観察などからは絶対に見えない、株式市場の真の姿を目にすることができるのです。
2013年から2014年に大きく上昇する銘柄も多数ありましたが、「アベノミクス相場」といわれるなか安値低迷していたのに2017年、2018年に暴騰した銘柄もありました。
直近は、この手法で対象となる動きが乏しいのですが、そのかわり、早めに大きく上伸した銘柄が長期の下げトレンドを経て、再びチャンス到来かという状況です。
日々の雑多な情報ではなく、長期の波動に目を向けると、例えばコロナ禍による金融緩和についても、次のような仮説を思い描くに至ります。
「結局は、リーマンショック以降、政治が積極的に金融マーケットの水準・機能の維持にかかわっている。また、“株高を土台にした経済成長”という構造が年々、強固になってきたのではないか」
株式市場は今後も拡大、発展していく流れがあると確信します。
一方で、十分な企業価値があるのに安値に放置されている銘柄は、ちまたで指摘されているように、かなりの数に上ります。
「そろそろ本格的に出動」「来年以降が楽しみ」と考え、12月の例会でも新たに2銘柄を選定しました。月足で見る長期的な波動、目先における個別銘柄の値運びなどから、変わり目にさしかかっていると感じています。
フォローアップ第2回は、具体的な事例で中源線の機能を再確認しながら、シグナル配信の情報をバランスよく利用するためのヒントを紹介します。お楽しみに!
※番組フォローアップ(2)は、「中源線シグナル配信」(対象:全上場銘柄)の会員限定のブログに公開し、同時に会員限定でメール配信も行います。
2020年12月新刊