先進国のエボラ感染者がいなくなり、相場の材料として忘れ去られつつあります。
確かに先進国では二次感染で死ぬ人もおらず、マリで感染拡大が報告されていないのでは安心する気持ちもわかります。
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しかしアフリカでは全くおさまっていません。
11月2日の時点では累積感染者13,042名、累積死者4,818人に達しています。
増え方が鈍くなっているからと安心してはいけません。
リベリアでは火葬を義務付けたために、家族がエボラ患者をこっそり土葬する例が増えているという報道があります。
これが本当であれば、表に出ていないだけで感染は拡大していることになります。
エボラはたった一人の感染者から5千人の死者を生み出すので、決して油断できないのです。
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日本でも金曜日に2件の感染疑いが報告されました。
渡航制限をしないのですから、これから何度でも同じことが起こります。
しかし慌てることはありません。
混乱を避けて適切に対処するために、エボラ出血熱について現時点でわかっている「事実と確率」を改めて整理します。
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1. 感染の本命は血液。末期患者・死体・残留物に強い感染力がある。
2. 末期以前の唾や汗など「広義の体液」からは感染しにくい。発症前後までは家族や恋人であっても感染確率は低い
3.「だるいな」程度でエボラとわかり先進国で治療を受けると助かる。そこで誤診されたり1日2日遅れると危ない
4. 先進国に散発的にやって来るだけなら十分封じ込められる。しかし同時多発すると医療システムが破壊される
5. 先進国より新興国がはるかに危険
6. 防護服や買いだめの必要はない
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1. 感染の本命は血液。末期患者・死体・残留物に強い感染力がある。
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今回のエボラの症状を見る限り、小説や映画にあるように「全身から血を吹き出して死ぬ」ということはないようです。
しかし潜伏期間が長く散らばり、初期には偽陰性も見られることから、かなり少ないウイルス数でも感染することが推測できます。
それでいて「広義の体液」で感染しないということは、発症前であっても血液に触れると感染する可能性は大です。
末期から死亡時にかけてウイルスが増殖すると細胞が破壊され、血液が唾・汗・尿に浸み出して来ます。
そうなると「広義の体液」によって感染するのでしょう。
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感染者・死亡者に医療スタッフが多いのはこのためです。
たとえ防護服を着ていても、気付かぬうちに少しの血を浴びて感染してしまいます。
リベリア・シエラレオネ・ギニアなどの西アフリカ諸国では、医療システムが破壊されて患者を受け入れることができません。
すると家族が看病することになり、末期患者や死体から感染することになります。
医療のプロでも避けられないのですから、一家全滅となるのが当然なのです。
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2. 末期以前の唾や汗など「広義の体液」からは感染しにくい。発症前後までは家族や恋人であっても感染確率は低い
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発症前後までは汗・唾・糞尿・吐瀉物(嘔吐物)など「広義の体液」から感染する可能性は低いようです。
たとえば飛行機に乗ったときすでに発症していた例(ソーヤー氏)などを見ると、同乗者・CA・空港関係者などは感染してはいません。
近くに座っても、トイレが同じでも、感染しなかったということです。
そして事例は少ないですが、嘔吐物をかけられた人も、ラフな服装で高圧洗浄した人の感染例も先進国ではありません。
発症前後まで一緒にいた家族や恋人の感染例もあまり聞きません。
もちろん感染しないとは断言できませんが、感染者がまだ動ける状態であれば「広義の体液」から感染する確率は低そうです。
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精液は「広義の体液」ですが、その感染力は未知数です。
ただし「精液の中に3か月、エボラウイルスが残っていた」という話もあり、油断はできません。
42日を過ぎてエボラの脅威が去ったと思っても、恋人同士の超濃厚接触によってエボラが復活する可能性があるということです。
これは封じ込める上での盲点となりえます。
今はまだ不明なことが多いですが、事例が増えるにつれてはっきりするでしょう。
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3.「だるいな」程度でエボラとわかり先進国で治療を受けると助かる。そこで誤診されたり1日2日遅れると危ない
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西アフリカでのエボラによる死亡率は7-8割と推測されています。
しかし先進国で二次感染した医療関係者は、すべて後遺症もなく助かっています。
死亡率7割の病気で4人すべてが助かる可能性は0.81%です。
事例が少ないうちは断言できませんが、先進国では「死亡率7割」よりずっと低いと思います
つまり「早期発見できて先進国の医療を受けたら、死亡率は大幅に下がる」ということです。
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基本的に、ウイルスには対症療法しかありません。
輸液をして安静にし、自己免疫で戦うしかないのです。
先進国はその「当たり前の対処」ができるので、死亡率が下がると考えられます。
西アフリカの死亡率が高いのは、その「当たり前の対処」ができないからでしょう。
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一方で、アフリカで感染し先進国で治療を受けた人はかなりの確率で死亡しています。
リベリアから入国しアメリカのダラスで発症したダンカン氏は、病院で一度追い返されてからエボラと診断されて死亡しました。
NYで発症したスペンサー氏は、エボラ感染の可能性があると自覚しているにもかかわらず気分が悪くなるまで病院に行かず重体です。
先進国で「おかしいな?」程度でエボラの検査を受け、治療してもらったらセーフ。
感染したかもと思ってから先進国に向かう、あるいは先進国にいても気分が悪くなってから病院に駆け込んでもアウト。
ほんの1日あるいは数時間の遅れが命取りになるということでしょう。
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4. 先進国に散発的にやって来るだけなら十分封じ込められる。しかし同時多発すると医療システムが破壊される
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これらのことから「先進国に散発的にやって来るだけなら十分封じ込められる」という結論が出ます。
隔離して安静にし、輸液と解熱剤で体調を整え、血清やウイルス増殖を抑える投薬をすればかなりの確率で治ります。
しかし同時多発的に各所で発生すると、対処しきれません。
医者や看護師が感染し、院内感染が増え、医療システムが崩壊します。
そうなれば地域の人は他の病気で死んでしまいます。
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そうならないために、行政と民間レベルで対処することが必要です。
たとえばエボラ患者を発見した病院の経営が危うくならないよう、政府がサポートする。
感染国から帰国した人は1か月以内に発熱したら地域の医療機関を受診せず、保健所に連絡してその指示に従う。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola.html
心当たりがない人も「むやみに病院に行かない」「あらかじめインフル予防接種や歯科医療を済ませておく」などの側面支援をする。
みんなでひと手間かけることで多くの命を救うことができます。
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5. 先進国より新興国がはるかに危険
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あなたがいま、日本にいることは非常にラッキーです。
我々には整備された医療システム、上下水道、物流システムがあります。
ウイルスの増殖を抑える薬もあります。
このような問題意識を共有し、立ち向かう人々がいます。
西アフリカと最も交流が薄く、地続きで密入国する人々もいません。
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しかしそれは世界でも極めてなのです。
多くの国では飲む水もありません。
整備された法律も、医療システムもありません。
風邪をひいただけなのにエボラと診断され、隔離された場所で本当に感染します。
病院で受け入れられず、道端や家の中で死んでいきます。
それを食べて元気に走り回る犬がいます。
人々は死体のそばを裸足で通り、エボラは先進国の陰謀だとうそぶきます。
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先進国だけでエボラを食い止めても、それでは解決になりません。
中国・インド・ブラジル・メキシコ・ナイジェリア・バングラディシュ・インドネシアあたりでエボラが土着化したらどうなるでしょう?
それらの国を抜きにして、経済を回すことはできません。
また先進国で医療を受けようとする人々によって、我々の社会は破綻します。
渡航制限を設定して西アフリカにエボラを封じ込めない限り、いつかは死ぬロシアンルーレットを続けるようなものです。
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6. 防護服や買いだめの必要はない
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これは心強い材料です。
もし汗や唾でも感染するのであれば、感染地域では手すりも吊革もエレベータのボタンも触れません。
電車・バスなどの座席に座ることもできません。
外出するときは必ず手袋をし、その外部に触れないように脱ぎ、厳重に梱包した上で焼却することになるでしょう。
子供やペットにまで防護服を着せて、使うたびに捨てなくてはなりません。
その必要がないのはありがたいことです。
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また買い溜めをする必要も小さいです。
動ける人々同士が話をしたり、モノを運ぶことによって感染することはないからです
多くの人が引き籠っていたところで、封じ込められるウイルスではありません。
それよりも通常の生活をして経済を回した方が健全かつ安全です。
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エボラに関する事例が増えて来たことで、かなりのことがわかってきました。
しかしこのまま感染拡大を止められなければ、文明が崩壊するリスクが高まってしまいます。
変異の可能性も高まり、よけいに厄介なことになります。
渡航制限をして西アフリカで封じ込め、先進国が軍隊を送って隔離・治療するのが最も有効と考えます。
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気になるチャート20141107 「追加緩和バブル」と死んでゆく新興国
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