同じことを繰り返す美学
相場の状況は日々、異なる顔をみせます。
でも、同じ人間が完全な“日替わり”の対応をするなんて非現実的なことです。
「自分が狙う値動きパターン」を決めて売買に臨み、それを軸に“日替わり”の変化にどう対応するか──こういった発想は不可欠です。
「基本路線」と「アレンジ」の関係やバランスについて、考えてみました。
映像は、YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」でご覧ください。
反騰の狼煙を上げろ! 暑い夏を制する株

定点観測の意味
毎月、第1回の放送では、いつも同じ8銘柄を紹介しています。
その都度、投資家が“食いつく”話題を前面に出すと商業的にウケがいいのですが、そういった路線とは、むしろ逆の内容に仕上がります。
それに、個人的な強気の見通しを述べているのに、紹介する8銘柄の値動きにワクワク感がない……あっ、今回もそんな雰囲気でしたね。
でも、一般的な“日替わり”情報とは一線を画した「定点観測」は、相場に携わる人間がとても大切にしていることです。実践家が講師を務めるスクールでは、定点観測を中心にしているところも数多くあるのです。
日経平均などの株価指数を見ることで、相場全体のすう勢がわかる、大きな流れを確認することができる──これが最大の勘違いです。上がる銘柄がある一方で下がる銘柄があるのが、株式市場の変化です。私たちプレーヤーが目を向けるべきものです。上がる銘柄と下がる銘柄が相殺されてしまう「平均」には、大きな落とし穴があるのです。
めんどくさいと感じたら、3銘柄でも5銘柄でもいいです。
自分で選んだ個別銘柄の動きを継続的に観察する「定点観測」を、ぜひとも実践してみてください。

中源線の判定と実際のポジション
前項で重要性を強調した「定点観測」は、プロが行う理想的な行動の一部分です。
どんな分野でもプロは、同じ基準でデータを捉え、同じ結果を出そうと努めます。
料理人なら、素材の質が変わっても同じ味、同じ食感の料理を仕上げようとします。鉄道員は、どんな天候でもダイヤどおりに列車を運行しようと努力します。
ただ、相場の場合は、結果のブレが極端に大きいのです。
「3年間でプラスになっている」といった結果が、売買を評価する正しい視点なのでしょうが、直感的にはもっと短期間の結果が気になりますし、1回ごとの勝ち負けも心に影響します。
とはいえ、そんな直感だけで考えていると、商業的にうまく作っている日替わり情報に、まんまと引っかかってしまいます。
こうした心のブレは、経験豊富なプロでも、日常的な課題です。
だから、自分の基準にブレが生じたときのアジャスト(調整)を工夫します。
「中源線建玉法」のように数式を使うのは、「そもそも基準がブレないかたちを持つ」という発想によるものです。
その中源線の判定をもとに、「この転換は○○」とか、その時々の判断を下して売買を決めます。中源線が「買い」なのにカラ売りすることはありませんが、最後は人間の判断なので、カチッとした答えを出す中源線がベースでも、人間の感覚を盛り込む余地は十分にあります。
料理人が「今日は少し塩を多めにしよう」と考えたり、鉄道員が天候の変化でオペレーションを工夫するのと同じ『プロの対応』を、自然に身につけるものだと自負しています。

基本路線&アレンジ
中源線の自慢として、多くのトレードシステムとは異なる部分を紹介します。
ズバリ! ルールがシンプルなのです。
終値だけを点で打ち、その点を直線で結ぶ「折れ線チャート」は、ローソク足のように豊富なデータを持っていません。そのかわり、流れ(株価変動のトレンド)を素直に観察できるのが特長です。
そんな折れ線チャートのパターン分析でトレンド転換を判断する中源線は、サラッと説明を聞くともの足りない、「これでいいの?」と感じるかもしれません。
でも、そこに大きな強みがあります。
極めてシンプルなので、完全にアナログ思考の私たち生身の人間でも、最初から最後まで判定の中身を把握できるのです。
ということは、アナログ思考によって売買数量を変更してみたり、パラメータ(変数)をいじってみたり、プレーヤーとして思いつくアレンジを、いろいろと試すことが可能なのです。
またもや料理にたとえます。
一般受けする調理器具の一例をあげると、電子レンジや炊飯器(細かいメニューボタンが設定されている)ですが、それぞれの機能にどんな差があるのか考えずに使うことが多いと思います。
かたやプロの道具は、無骨でシンプルです。
鍋に取っ手が付いていないほどです。
だから、中源線を実践しようとしたとき、「はい、じっくり勉強してくださいね」と言うしかないのですが、マーケットの競争で勝とうとするのですから、それを「めんどくさい」などと思わず、「今までとは違う世界が見えるかもしれない!」とワクワクしてほしいのです。
今日、明日、来週……忙しく変化する株価を追う作業があるので、立ち止まって考える機会が意外と少ないかもしれません。それでもいいと思います。ただ、別の脳で「ひとつの手法を学んでみる」ことも大切です。
中源線がすべてではなく、手法としてきちんと確立されたものは数多くあります。
素人だましの日替わり情報ではなく、プロっぽい思考で売買・トレードに臨んでみることを強くおすすめします。

39年の歴史
私たちの身近には、流行を追った商品が無数にありますが、何十年も変わらないシブい品物も少なくありません。
例えばスナック菓子の「かっぱえびせん」や、ふりかけの「のりたま」などは、半世紀以上のロングランで売れています。
こうした製品は、ただ単に最初の製法を継続しているのかと思っていたら、全くちがいました。毎年毎年、少しずつ味を変えるなどの努力をしているそうです。なるほど!
番組で扱っている「中源線建玉法」も、ルールそのものは変えていませんが、時代に合わせて「中源線シグナル配信」のサービスをはじめたり、学習のための動画を作成したり、泥くさいレベルながらに企業努力をしています。
林投資研究所で提唱する低位株投資の手法「FAI投資法」も、すでに40年近い歴史を刻んでいます。最初に作った「30項目のルール」のうち、消滅したものもあります。ファンダメンタル分析の具体的な基準を追加した項もあります。
でも、骨子はいっさい変わっていません。
株価変動の普遍的な部分に目を向けているので、変わりようがないのです。
かっぱえびせんの材料が、エビから鶏肉に変わらないのと同じです。
FAI投資法が中源線と異なる大きな点は、時間軸のちがいでしょう。
低位株に選別投資するうえで、月足を使った長期波動の観察を行います。
そして、数年間の上げトレンドを見出して、分散投資するのです。
のんびりした印象をもつかもしれませんが、日々の動きを見ながら多めの銘柄を手がけるので、ヒマだと感じるような手法ではありません。また、実際の売買では銘柄を入れ替えていくので、範囲を限定したプロのやり方でありながら、「銘柄選び」という少し俗っぽい楽しみの要素をそなえています。
今月から、このFAI投資法をじっくり楽しく学ぶ、本格的な学習コースをスタートさせます。
「どんな内容なの?」と、のぞき見するだけでもいいので、ぜひこちらのページをご覧になってください。
次回放送は本日(7月7日)の夕刻、テーマ別の番組をお届けします。
タイトルは「テクニカルリバウンドでも値幅さえあれば勝機はある」。
わかりにくい動きばかりの市場で、わりと目先の上げを狙う視点を紹介しました。番組をお楽しみに!

2020年12月新刊




















