8月1日放送のフォローアップ
林 知之

情報にだまされないために

私たちマーケット参加者は、「情報」に敏感です。
日々、状況が変化し、ときにはスピーディーに対応することが求められるのですから、敏感になって当然です。

ところが、敏感なために錯覚に陥ったり、望ましくない反応をしてしまうことも……。

最近の値動きを眺めながら、「情報の受け止め方」を考えてみます。

映像は、YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」でご覧ください。
押し目待ちに押し目なし? スピード調整後の日本株のゆくえ

「過熱」という言葉に注意

一般的なメディアの表現は、多くの場合、平均的な読者の心理に寄ろうとしています。

「平均的」は、正確ではないかもしれません。
結果的に平均かもしれませんが、「最も層の厚い読者」です。
情報を買ってもらうために当然、厚い層を狙います。

しかし、読者の「不安」や「恐怖心」を上手に利用します。
素直に読者に迎合するのではなく、テクニックを駆使するのです。

相場は過熱しているのか──。
こんな表現を使うのは、それほど過熱していないのに、「もしかしたら過熱?(目先の天井をつけて下げるの?)」と読者が不安に思っている状況です。

私は、「過熱しているかもしれない」という論調があったら、「買いポジションは、ねばっても大丈夫なのかな」と考えます。

記事を書く人もいろいろとオトナの事情を背負い、計算しながら記事を書くので、ブレが生じます。そういった機微まではわからないので、大手メディアが不特定多数に向けて発信する情報は、全く見ないか、見ても気にしないのがベストです。

ちなみに、本当に過熱したときは、記者も雰囲気に飲まれて「大相場がはじまったかも!」なんて思うのでしょうから、それこそ「過熱」という言葉を使わなくなる、という推察ができそうですけどね。

「過熱」を気にする人は平時でも過熱

過熱しているのか──こんな言葉を気にする人は、その人の心が常に過熱ぎみなのかもしれません。相場が動かなくても熱く、動いたときはゲキ熱……必然的に大ヤラレする人の心理傾向です。

前項から、他人を見下しているような表現ばかりだと感じるかもしれませんが、マーケット参加者の心理や自己コントロール能力に大きな差はない、と私は考えます。

優秀な人、常に冷静な人も、わずかながらいますが、それ以外の多数はどんぐりの背比べだと思うのです。だから、私自身も当然、そのうちの1人です。

ただ、落ち着いて全体を見渡し、「そんなもんだよ」と自分のことを自虐的に笑い飛ばす発想があると、“望ましくない思考が悪手に直結する”ことを、どうにか避けることができると思うのです。

こんなところから生まれる知恵が、相場における重要なテクニックです。

難しい場面を経験値と技術で乗り切るなんてカッコいいことは、レアケースでしょう。

カッコわるく大損の可能性から逃げ回り、なんとかマーケットに踏みとどまっていると、ラクに取れるチャンスに巡り会うときもある──これが現実です。

マーケットは好転中

さて、直近の株式市場を考えてみましょう。

日経平均が1カ月で約2,000円幅、上昇しています。
読者を脅かす「過熱」という言葉を目にしなくても、その手の市況解説に慣れた多くの人が、頭に思い浮かべます。

前述した論理で「だから過熱していない」という結論の出し方もありますが、純粋に値動きを見ていて、「やっと株らしさが戻ってきた程度」と私は考えています。

そんな相場観を支持するひとつが、個別銘柄を中源線で判断した結果、「東証一部 陽線(買い線)銘柄数」の推移です。

長い期間、大きく買いに傾いた時期がありません。
だからこそ、「売り買い半々の線を上抜いた現在、しばらく買えない状況だ」と弱気の見通しを立てることも可能ですが、増減を繰り返しながらジリジリと買い線銘柄の数が増えているので、少なくとも、警戒するほど過熱しているとは思えません。

ちなみに、ペロシ米下院議長の台湾訪問に中国が反発し、米中関係が悪化している、アジアの地政学的リスクが高まっているとの意見が出ていますが、米中ともに戦争する余裕などないと思います。それぞれ、国内の不満をかわすための政治パフォーマンスをしていると感じます。

それこそ、読者の不安を突くメディアの常套手段、と捉えても、ひねくれではないと思うのです。

【期間限定】セミナー動画を公開

番組内でも紹介しましたが、7月に開講した本格的な学習コース「FAI投資法マスタープログラム」の初回を7月16日に実施し、その最初の1コマを、期間限定ですが、ノーカットで公開中です。

公開した映像では、実践する私たちが実際に「買い選定」した銘柄を挙げながら、値動き観察のポイントを紹介しています。実践的な内容だということを見てもらいたいと考えています。

このコースの詳しい案内は、こちらのページをご覧ください。

次回放送は本日(8月4日)の夕刻、テーマ別の番組をお届けします。

タイトルは「低位株に妙味? 耳をすませば聞こえる大相場の産声」。
長く出番のない低位株、割安株に変化の兆しがみえます。そんな部分に焦点を当て、これからの物色対象を考えてました。番組をお楽しみに!


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※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

7月4日放送のフォローアップ
林 知之

同じことを繰り返す美学

相場の状況は日々、異なる顔をみせます。
でも、同じ人間が完全な“日替わり”の対応をするなんて非現実的なことです。

「自分が狙う値動きパターン」を決めて売買に臨み、それを軸に“日替わり”の変化にどう対応するか──こういった発想は不可欠です。

「基本路線」と「アレンジ」の関係やバランスについて、考えてみました。

映像は、YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」でご覧ください。
反騰の狼煙を上げろ! 暑い夏を制する株

定点観測の意味

毎月、第1回の放送では、いつも同じ8銘柄を紹介しています。
その都度、投資家が“食いつく”話題を前面に出すと商業的にウケがいいのですが、そういった路線とは、むしろ逆の内容に仕上がります。

それに、個人的な強気の見通しを述べているのに、紹介する8銘柄の値動きにワクワク感がない……あっ、今回もそんな雰囲気でしたね。

でも、一般的な“日替わり”情報とは一線を画した「定点観測」は、相場に携わる人間がとても大切にしていることです。実践家が講師を務めるスクールでは、定点観測を中心にしているところも数多くあるのです。

日経平均などの株価指数を見ることで、相場全体のすう勢がわかる、大きな流れを確認することができる──これが最大の勘違いです。上がる銘柄がある一方で下がる銘柄があるのが、株式市場の変化です。私たちプレーヤーが目を向けるべきものです。上がる銘柄と下がる銘柄が相殺されてしまう「平均」には、大きな落とし穴があるのです。

めんどくさいと感じたら、3銘柄でも5銘柄でもいいです。
自分で選んだ個別銘柄の動きを継続的に観察する「定点観測」を、ぜひとも実践してみてください。

中源線の判定と実際のポジション

前項で重要性を強調した「定点観測」は、プロが行う理想的な行動の一部分です。

どんな分野でもプロは、同じ基準でデータを捉え、同じ結果を出そうと努めます。
料理人なら、素材の質が変わっても同じ味、同じ食感の料理を仕上げようとします。鉄道員は、どんな天候でもダイヤどおりに列車を運行しようと努力します。

ただ、相場の場合は、結果のブレが極端に大きいのです。
「3年間でプラスになっている」といった結果が、売買を評価する正しい視点なのでしょうが、直感的にはもっと短期間の結果が気になりますし、1回ごとの勝ち負けも心に影響します。

とはいえ、そんな直感だけで考えていると、商業的にうまく作っている日替わり情報に、まんまと引っかかってしまいます。

こうした心のブレは、経験豊富なプロでも、日常的な課題です。
だから、自分の基準にブレが生じたときのアジャスト(調整)を工夫します。

「中源線建玉法」のように数式を使うのは、「そもそも基準がブレないかたちを持つ」という発想によるものです。

その中源線の判定をもとに、「この転換は○○」とか、その時々の判断を下して売買を決めます。中源線が「買い」なのにカラ売りすることはありませんが、最後は人間の判断なので、カチッとした答えを出す中源線がベースでも、人間の感覚を盛り込む余地は十分にあります。

料理人が「今日は少し塩を多めにしよう」と考えたり、鉄道員が天候の変化でオペレーションを工夫するのと同じ『プロの対応』を、自然に身につけるものだと自負しています。

基本路線&アレンジ

中源線の自慢として、多くのトレードシステムとは異なる部分を紹介します。

ズバリ! ルールがシンプルなのです。

終値だけを点で打ち、その点を直線で結ぶ「折れ線チャート」は、ローソク足のように豊富なデータを持っていません。そのかわり、流れ(株価変動のトレンド)を素直に観察できるのが特長です。

そんな折れ線チャートのパターン分析でトレンド転換を判断する中源線は、サラッと説明を聞くともの足りない、「これでいいの?」と感じるかもしれません。

でも、そこに大きな強みがあります。

極めてシンプルなので、完全にアナログ思考の私たち生身の人間でも、最初から最後まで判定の中身を把握できるのです。

ということは、アナログ思考によって売買数量を変更してみたり、パラメータ(変数)をいじってみたり、プレーヤーとして思いつくアレンジを、いろいろと試すことが可能なのです。

またもや料理にたとえます。
一般受けする調理器具の一例をあげると、電子レンジや炊飯器(細かいメニューボタンが設定されている)ですが、それぞれの機能にどんな差があるのか考えずに使うことが多いと思います。

かたやプロの道具は、無骨でシンプルです。
鍋に取っ手が付いていないほどです。

だから、中源線を実践しようとしたとき、「はい、じっくり勉強してくださいね」と言うしかないのですが、マーケットの競争で勝とうとするのですから、それを「めんどくさい」などと思わず、「今までとは違う世界が見えるかもしれない!」とワクワクしてほしいのです。

今日、明日、来週……忙しく変化する株価を追う作業があるので、立ち止まって考える機会が意外と少ないかもしれません。それでもいいと思います。ただ、別の脳で「ひとつの手法を学んでみる」ことも大切です。

中源線がすべてではなく、手法としてきちんと確立されたものは数多くあります。
素人だましの日替わり情報ではなく、プロっぽい思考で売買・トレードに臨んでみることを強くおすすめします。

39年の歴史

私たちの身近には、流行を追った商品が無数にありますが、何十年も変わらないシブい品物も少なくありません。

例えばスナック菓子の「かっぱえびせん」や、ふりかけの「のりたま」などは、半世紀以上のロングランで売れています。

こうした製品は、ただ単に最初の製法を継続しているのかと思っていたら、全くちがいました。毎年毎年、少しずつ味を変えるなどの努力をしているそうです。なるほど!

番組で扱っている「中源線建玉法」も、ルールそのものは変えていませんが、時代に合わせて「中源線シグナル配信」のサービスをはじめたり、学習のための動画を作成したり、泥くさいレベルながらに企業努力をしています。

林投資研究所で提唱する低位株投資の手法「FAI投資法」も、すでに40年近い歴史を刻んでいます。最初に作った「30項目のルール」のうち、消滅したものもあります。ファンダメンタル分析の具体的な基準を追加した項もあります。

でも、骨子はいっさい変わっていません。
株価変動の普遍的な部分に目を向けているので、変わりようがないのです。
かっぱえびせんの材料が、エビから鶏肉に変わらないのと同じです。

FAI投資法が中源線と異なる大きな点は、時間軸のちがいでしょう。
低位株に選別投資するうえで、月足を使った長期波動の観察を行います。
そして、数年間の上げトレンドを見出して、分散投資するのです。

のんびりした印象をもつかもしれませんが、日々の動きを見ながら多めの銘柄を手がけるので、ヒマだと感じるような手法ではありません。また、実際の売買では銘柄を入れ替えていくので、範囲を限定したプロのやり方でありながら、「銘柄選び」という少し俗っぽい楽しみの要素をそなえています。

今月から、このFAI投資法をじっくり楽しく学ぶ、本格的な学習コースをスタートさせます。

「どんな内容なの?」と、のぞき見するだけでもいいので、ぜひこちらのページをご覧になってください。

 

次回放送は本日(7月7日)の夕刻、テーマ別の番組をお届けします。

タイトルは「テクニカルリバウンドでも値幅さえあれば勝機はある」。

わかりにくい動きばかりの市場で、わりと目先の上げを狙う視点を紹介しました。番組をお楽しみに!

 


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株式投資【虎の穴】 過去は未来を映す鏡ではない!

マーケットに参加する私たちは、プレーヤーです。

だから、予測してポジションを取ったあとの結果を受け入れて「次の一手」を考えます。
感情もありますが、“最良の一手”を決めて行動することを優先します。

予測が曲がっても「自分の価値は低い」などと思わず、でも負けを認めて、遅れずに敗戦処理します。実に器用な行動です。

そして再び、過去のデータから未来を考えて「当てよう」と努めます。

どんな思考が、儲けるための「正解」なのでしょうか?

→ この動画を見る 株式投資【虎の穴】(林投資研究所チャンネル)

【初心者から抜け出すための技術】 「タテ軸」を見るな!

「タテ軸」とは、チャートのタテ方向のこと。

つまり、損益を決める「価格」を見るな! という意味です。

誰だって「価格」を気にします。
その結果、あたりまえの錯覚が生じ、望みとは逆に『自分がトクしない』思考をしてしまうのです。

林投資研究所が自信をもってお届けする実践論です。
ぜひ、動画をご覧ください。

→ 動画を見る 株式投資【虎の穴】(林投資研究所チャンネル)

株式投資【虎の穴】 手法=予測法ではない!

将来について「予測」しなかったら、売買・トレードがスタートしません。

ところが、予測を当てることばかり考えていると、期待する結果を出すことができません。

手法(売買のやり方)のなかで、「予測」の位置づけは?

また、「予測」の重要度は?

プレーヤーとして、自分自身の思考のバランスを整えるための動画です。

→ この動画を見る 株式投資【虎の穴】(林投資研究所チャンネル)

【初心者から抜け出すための技術】 得意技で勝負する

値動きを分類してみると、実にさまざまなパターンが浮かび上がります。

・往来(ボックス相場)
・ブレイクアウト(上伸または下落)
・ジリ高継続
・長期のダラダラ下げ

また、突発的に方向を変えてしまいます。

こんな気まぐれな株価変動を相手に、どうしたら結果を出せるか──。

ぜひ、動画をご覧ください。

→ 動画を見る 株式投資【虎の穴】(林投資研究所チャンネル)

株式投資【虎の穴】 職人の売買「うねり取り」

うねり取りとは、どんな売買か──。

「どの銘柄を買えばいいの?」
「どの銘柄がおトク?」
「誰の予測が当たるの?」(それを当てる……)

こういった姿勢は、情報弱者への路線まっしぐら。

そんな誤った世界とは一線を画する、売買・トレードの『本質』に近づく最短距離が、うねり取りの実践です。

→ この動画を見る 株式投資【虎の穴】(林投資研究所チャンネル)

6月6日放送のフォローアップ
林 知之

読みとポジション操作のバランス

株価指数は半値戻しを達成し、個別銘柄にも動きがみられます。
半面、「オレの銘柄は調子よくないよ」という向きも多いと思います。

株式市場全体は堅調で、私も今年の後半について強気の見通しですが、積極的に買いポジションを増やすタイミングはもう少し先かもしれない──こんな慎重な認識を大切にしています。

変わり目の株式市場と向き合い、どんなことを考えるべきでしょう。

映像は、YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」でご覧ください。
上手くやろうとして下手を打つ相場

市況は好転中

株価指数の分析で株式市場の実態をつかむのは難しいことですが、指数の順調な戻りとともに日々、値上がり銘柄の数が一定以上ある現状は、市況好転中と考えていいでしょう。

中源線による個別銘柄の分析でも、売り線銘柄が減って買い線銘柄が増加する流れを確認できます。

チャートはクリックで拡大

こういった統計値は、中源線シグナル配信のトップページに掲載しています。
シグナル配信を契約しなくても、「中源線研究会」に登録(無料)するだけで毎日閲覧できます

 旧東証一部の銘柄について、統計を継続中です。

マーケットの先行きは、常に「どうなるかわからない」ものですが、12月以降はジリジリと陽線銘柄数が増加している傾向を確認できます。

また、いわゆるウクライナショックで買い線銘柄数が急激に減った際も、日経平均が安値をつけた3月9日に499銘柄と、極端に少ない数にはなりませんでした(コロナショック時は65銘柄まで激減)。戦争によるエネルギー資源の高騰、日本のエネルギー政策の先行きなどが不安材料と認識できますが、以前にも言及したように、マーケット全体では強烈な悪材料と受け止めなかったようです。

強い銘柄も少なくない

株式市場は堅調ですが、物色のほこ先が広がっていく動き、資金が循環する動きはいまひとつ。そのなかで、「強い銘柄がへこたれず、さらに上伸する」傾向がみられます。

例えば、下に示す東邦チタニウム(5727)は、ウクライナ問題に絡む材料があるとはいえ、驚くほどの上昇ぶりです。私はこの銘柄を長く売買していますが、今回は「ちょーキモチいい」とつぶやくほど取れています。ちなみに、6月7日大引で「2/3手仕舞い」(3単位のうち2単位をいったん利食い手仕舞い)というシグナルが出たので、6月8日の寄付で売りました。

6月6日大引まで
チャートはクリックで拡大

このようにグイグイとくる銘柄が散見されることが、「株式市場は好転中」とコメントする根拠のひとつですが、前述したように物色の対象は限定的です。

私は中源線で8銘柄を追いかけていますが、ほかの7銘柄のうち1銘柄がいい感じで上昇している以外、東邦チタニウムみたいに思わずはしゃぐような状況ではありません。

裁量による売買で割安な低位株も買っていますが(FAI投資法)、さえない動きから脱して落ち着いてきた程度で、強いワクワク感が芽生えるほどの変化はありません。

話題に上る銘柄はあるし株価指数も堅調なのに、「オレの銘柄はどうなってるんだよ」とボヤく声が各方面から聞こえてくる状態ですが、私自身も同じような気分です。

出遅れ株はどうなの?

さて、資金が巡ってこない多数の銘柄が現在、出遅れという状態です。

そこで、「出遅れ銘柄を買う」発想とともに、「強い銘柄の崩れを狙う」(カラ売り)発想もあると思います。

ただ、後者のカラ売り戦略は、もともと難易度が高いうえに、今の相場ではキケンなにおいがします。個人的な肌感覚ですが、強い銘柄がしぼまずに再度上がっていく流れはカンタンにおわらないと思うのです。

本題の「出遅れ狙い」について考えましょう。

現状のように好転中と判断できる状況下では、十分に勝算がありそうです。
ただ、基本的に「動いていないから出遅れ」なのです。「出遅れ狙い=手堅い」という捉え方は正しくありません。

こうしたことも踏まえ、ジレる気分を抑えながら、もう少し動きが明確になってから手を出すくらいのイメージでいいような気がするのです。個人的な相場観と戦略なので、押しつけるつもりもありませんが、私は裁量の売買で余裕資金を残したまま、3月上旬以降は買い増ししていません。

さらに動きが出て“GOサイン”と判断したあと、買い増しの前に、あえて手仕舞い売りをして“弾み”をつけたいと考えています。

出遅れは、たとえ動かなくても大きな下げの懸念がないともいえますが、やたらと時間がかかる場合は、資金を寝かせてしまうばかりか、メンタル的にも疲労します。当然、時間が経過するうちに、あらためて下落リスクも生まれます。

このあたりのことが、「出遅れ狙いが手堅いとはかぎらないよ」と、意図的に言葉にする理由です。

“おいていかれる感”という判断基準

前項で、「GOサイン」という表現を使いました。

株価指数が上昇するなかで割安な出遅れ銘柄がある──この条件だけで、「出遅れをどんどん買えば儲かる」と考えがちですが、前項で述べたように、「よし!」と仕込んでも動いてくれないことも多いのが現実です。

私は、「相場の基本イメージは順張り」だと考えています。
できれば安く買いたいわけですが、下がったから買うのではなく、あくまでも「これから上がる」という見通しで買いポジションを取るのが相場です。

だから、逆張りで買う場合でも、見据えるのは「近未来の値上がり」しかありません。
過去と比べて安くなった……これは、買ったものを消費する“買い物”の論理です。

ちなみに「逆張り」とは、順張りのイメージで近未来の値上がりを見据えながらも、あえて少し先回りを試み、リスクを取りながら頑張って安値を拾おうとする売買です。

「順張り」「逆張り」をテーマにしたYouTube動画もあります。

【それホントなの?】株式投資は逆張りが正解

例えば、見ている銘柄群が一定期間で「すべて値上がり」していたときに、「よし、本格的な上昇期に入った」と判断するとか……あくまでもひとつの例ですが、単にチャートのタテ軸の価格だけを見て「安くなった」と考えるよりは、こういった観点が実用的だったりします。

順張りイメージを否定せず、いわゆる“おいていかれる感”が増して「ガマンできない」となってから買いポジションを積み増す──これこそ、「相場についていく」素直な感性ではないでしょうか。

と、こんな原稿を6月7日から6月8日かけて書いているうちに、対象とする割安な低位株に、さらにジワッと動きを感じています。

さあ、どうする! どこで動くんだ!

相場って、おもしろいですね。

次回放送は本日(6月9日)の夕刻、テーマ別の番組をお届けします。

タイトルは「先行銘柄か、出遅れ銘柄か ~日経平均半値戻しの次の一手~」。
グングン上伸する銘柄がある一方で、出遅れ銘柄が多い現状を見ながら、ベストな戦略をさぐります。番組をお楽しみに!


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