今年の相場と今の相場観
2023年も残り2週間。
環境はわるくなさそうなのに結果が出ていない……こんな声も多いようです。
今年の相場を振り返りながら、これからの売買実践を考えてみましょう。
映像は、YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」でご覧ください。
高値保ち合い継続中~天井波乱か、底固めか(前編)
かるい春高のあとダンマリ
2023年の相場を振り返ると、私の印象は、「かるい春高のあとダンマリ」です。
期待していて春高はあったのですが、多くの銘柄がバンバン上がる、といった状況ではありませんでした。でも、ぼちぼち利食いでき、まずまず満足という感じだったのです。
ところが、あらためて6月以降コツコツと仕込んだポジションが、9月に出損ない、現時点でもグズグズ傾向です。株価指数の水準は高くても、個別の伸びがわるい、動意づいてきたと思っても勢いが生まれない……状況はわるくないと感じていますが、年後半は期待したようなパフォーマンスに届いていません。
短い言葉でまとめましたが、人によって大きく異なるはずです。
「まとめ」といえば、「今年の漢字」というのがありますね。
毎年12月、その年の世相を表現する漢字1文字を決め、京都の清水寺で発表されます。
発表の場では、清水寺の住職が大きな和紙に今年の漢字を書くのですが、字を選んでいるのは「日本漢字能力検定協会」です。
ちなみに今年の漢字は「税」でした。
ネット上に、「坊さんは税金払ってないじゃん」なんてツッコミが散見されましたが、お坊さんの収入は給与所得で、ふつうに納税しているはずです。宗教法人として、部分的に優遇されているだけだと思います。
そもそも、お寺が決めているわけではありません。
こうした勘違いは別としても、「税」が日本人全員にとっての「今年」を表しているかどうかは疑問です。相場もしかり。私なりに今年をまとめてみましたが、あなたはどうだったでしょうか。
個人投資家の現状は二極化
私の売買パフォーマンスは、不満はあるものの、ダメな結果とはいえないくらいでした。でも、各方面にヒアリングした結果、個人投資家の現状は二極化しているようです。
丁寧に売買した人は、難しい値動きながらも、どうにか乗りこなしてきたようです。
一方、少しでも油断した人は、塩漬け的なポジションが蓄積されていたり、結果として利益もない、あるいはマイナスのようです。
株式市場全体の“環境”としては、わるくないと考えています。
日本人投資家の資金も一部は米国株市場に流れているなどの要因で、指数が堅調なわりに個別銘柄の勢いが極めて不十分です。だから、「動意づいてきたな」と感じる変化があっても、長続きしないのです。
ただ、そうした変化を眺めていると、「やはり、行き場を探しているホットマネーは潤沢なんだな」と感じます。
ゆとりの有無が勝敗を決する
個人投資家のパフォーマンスは二極化──前項では、「丁寧に売買した人」に対して「油断した人」とざっくり分けて解説しました。
紙一重で生じたプラスマイナスのポイントは、なんでしょうか。
まっ先に思い浮かぶのが、売買資金の「ゆとり」です。
といっても、「資金が多い人がラクだった」ということではありません。
資金量がある人でも、ムリな買い方をしていたら、あっという間に苦しくなります。
「資金量に応じた“ゆとり”を維持しているか否か」が重要です。
株式投資は、消費を目的とする日常の買いものとは異なりますが、あえて買いものにたとえて考えてみます。
おカネを持っている人でも、高価なものをどんどん買ったら、サイフの中身はしょぼくれてしまいます。自分が持っている範囲で、バランスよく買いものをすることが求められます。
でも、チマチマと計算するのもストレスフルですよね。
ほしいものを、ほしいだけ買うけど、サイフの中身はちゃんと残っている──こんな力かげんが身についていたら理想的です。
相場・トレードも同じです。
最初は計算して、手がける銘柄数、1銘柄の株数などを決めますが、値動きに臨機応変に対応するうえで感覚やイメージも重要な手がかりです。その感覚が適正か否かは、大きな課題なのです。
さて、「ゆとりが足りないな」と感じたら、年末という区切りを利用して、大掃除をしてみてください。相場の見込み違いはミスではありませんから、いつでも、気づいた時点で修正作業を行えばいいのです。
いちばん効果的なのは、「いったん全ポジションを落とす」ことです。
家の中を片づける「断捨離」と同じテクニックです。
全ポジションを落として、完全に現金だけにします。
その状態、つまり、ポジションも気持ちも“ニュートラル”な状況で、冷静に考えるのです。
持っていたポジションを見直し、「やはり、この銘柄は維持したいな」と強く思うものは、サッと買い直します。でも、「それほどでもないな」という銘柄は、いったん忘れます。
この作業で、ダメなポジション、いまひとつパフォーマンスが出ないポジションは消えます。
そして、自分なりに確信のあるポジションだけが残り、余裕資金もグッと増加します。
FAI投資法ルールを公開
売買に必要な“ゆとり”を手に入れる近道は、株価変動を「長期トレンド」で捉えることです。
月足で観察するのがいちばんです。
誰だって日々の動きに気をとられる傾向がありますが、月足で長期の上げ下げを見ていると、各種の雑音が脳内から消えるのです。
そんな視点を、そのまま売買実践に落とし込んでいるのが、林投資研究所が行っている低位株投資の手法、「FAI投資法」です。
ちなみに、銘柄選定や売買のルールは、番組で軸にしている中源線建玉法と同様、公開しています。 → FAIルール(全項目)はこちらをクリック!
この投資手法をゼロから学ぶ学習コースがあり、その一部をYouTubeで無料公開しています。ぜひご覧になってください。
FAI投資法マスタープログラム「1-1 低位株投資の魅力と弱点」
FAI投資法マスタープログラム「6-1 これからの実践的課題と勉強法」
12月、2本目の動画は、YouTubeで公開済みです。
【投資戦略 注目株】高値保ち合い継続中~天井波乱か、底固めか(後編)
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