1月6日の放送「2025新年相場 スタートダッシュで買いたい有望株9選」のフォローアップを公開しました。
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2025新年相場 スタートダッシュで買いたい有望株9選
昨年8月はじめにかけての急落を、振り返ってみましょう。
「日銀ショック」などといわれますが、本当にそうだったのでしょうか。
実際のことは、誰がどう検証しても答えなんて出ません。
株価を動かす要因は、数多くあるのですから。
では、「なぜ下げたのか」という各種の解説は、実践的にどんな意味があるでしょうか。
いろいろな意見があるでしょうが、私は「なんの意味もない」と片づけます。
あとになってから“動いた理由”を考えても、過去に戻ってポジションを変更することはできません。実際、1秒前に戻ることもできないのが現実です。
「過去を検証することで将来、役に立つはず」という意見もあります。
でも、過去の数えきれない事例を研究している人が、昨年の急落を予見していたのでしょうか? そんなことはないはずです。
さて、こうした理屈を、さらに極端に推し進めたようなものかもしれませんが、「相場は相場に聞け」という言葉があります。「理屈を考えてもわからないが、現状と近未来は相場に表れる」という意味です。
こうした捉え方、相場への姿勢については議論もあるでしょう。
ただし、値動きを軸にすることで、自分の見通し、その見通しをもとにした現在のポジションから目をそらさないことで、実践的な対応に直結しやすいのが大きな利点といえます。
実際に、中源線による分析では、多くの銘柄が急落前に陰転していました。
「えっ、陰転? まだ上がるんじゃないの?」と感じていたら中源線が陰転し、現実に急落が起きた、ということです。中源線の強みを、再確認できる事例でした。
昨年8月の急落が日銀ショックと呼ばれるのは、「金利上昇=株価下落」という連想があるからです。でも、本当にそうなのでしょうか?
コロナ騒動以降、米国の景気が好調で、いきすぎた部分を抑制する狙いで金利が上昇しました。政策金利上昇の観測が出るたびに「株価下落」と騒がれましたが、ちっとも下がっていません。
日本だけの事情では、先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出が、よく話題に上ります。
「荒れた動きがあるのでは……」と。
でも、そんなタイミングで目立った動きが出ることは、まずありません。
そもそも、「SQのタイミングで急落があったら」とおびえている投資家も、ポジションを減らしたりしていないようです。
利益を上げるためにポジションを動かす、そのために材料を気にしているのかと思うと、材料を話題にするための材料……みたいな感じです。それならば、たとえ見落としが生じる可能性があったとしても、前項で挙げた「株価は株価に聞け」を貫くほうが確実に結果につながるでしょう。
事前に異変を察知して動く──至難の業です。
結局、「1秒前に戻ることはできない」ので、「常に一歩遅れで対応」するしかありません。
でも、一歩遅れたことで、スパッと行動できないのが人間です。
そんな人間の弱さを認め、“弱い状態でも、どうにか結果につなげる”のがテクニックです。
テクニック=予測を当てること、ではないのです。
堂々と、一歩遅れで行動しようではありませんか。
しかし現実では、つい二歩、三歩と遅れがちです。
それでも、行動できずにフリーズして傷口を広げることさえなければ、どうにかなるものです。
こんなところが、相場の本質、いや、神髄と呼んでいいのかもしれません。
中源線は、堂々と“一歩遅れ”の対応をしています。
しかし、数式で答えが出るので、二歩、三歩と遅れることがありません。
「上がりはじめた? じゃあ買いはじめよう」という判断が、中源線のルールです。
その基準が、明確に決まっているのです。
前項で述べたように、各種の材料におびえ、メディアの論調に振り回されるのは、「基準」がユルいことが理由です。誰も明日の株価すら知らないのですから、正解さがしをせずに、自分の基準で堂々と、常に一歩遅れで(しかし大きく遅れずに)行動することに徹するべきです。
前項までの実践論とは趣を異に、新年なので、今年の見通しを簡潔に述べます。
トランプ政権が復活しますね。
彼の素行は品がないと思いますが、政治家としては極めてまともだと思っています。
権力を利用して私腹を肥やす、民衆の敵みたいな政治家が多く、自由の国アメリカこそ、そんな輩が多いというか、あからさまにやりたい放題のように感じています。そんななか、自己満足や周囲からの賞賛だけがモチベーションといえるトランプ氏は、私腹を肥やすインサイダー野郎たちの対岸に立っているはずです。
イーロン・マスク氏を、政府効率化省のトップに指名しましたね。
AI(人工知能)技術の加速が明らかな状況で、アメリカがより効率化すれば、強いアメリカの復活です。
残念ながら軍事的に従属している日本は、この状況で優位に立つでしょう。
また、否応なく米国流株式資本主義を受け入れ、株式市場の未来も明るいのではないでしょうか。
いずれにしても、独自の「基準」と「対応」がカギです。
まだ新年です。
ご自身の姿勢、やり方、考え方を、ワクワクしながら見直してみてはいかがでしょうか。
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日本株 反撃開始! 押し目を買いたい厳選9銘柄
あなたは、なんのために株を買いますか?
もちろん、「儲けるため」と答えるでしょう。
では、どうなったら儲かりますか?
「買い値よりも、売り値のほうが高い」というのが条件ですよね。
つまり、買ったあと株価が上がる、ということです。
当たり前のことですが……。
想定する売り値よりも安く買う必要がありますが、いくらで売れるかはわからないので、「安く買おう」とするのが売買のスタートです。
実は、この部分で多くの人が、うっかりミスを犯すのです。
売るのは、未来の話です。
でも、過去と現在を比べて「安くなった」と買いを検討するケースが、かなりあるでしょう。
「株価が上がったり下がったりを繰り返す」という前提なら、間違っていません。
それに、未来のデータはないので、過去と比較して安くなったことが理由でもよさそうです。
ただ、「安く買った」あとの可能性について、わるい状況を考えない傾向が必ず生まれるのです。
わるい状況とは、すなわち、「安く買ったけど上がらない」とか「安く買ったが、さらに下がった」という結果です。
実践家は、次のような言葉で行動をコントロールしようと試みます。
多くの個人投資家が最初に考える「安く買う」は、いわば“二の次”の条件なのです。
前項で述べたような、イメージのちがいから、「誤った逆張り論」が広く認知されています。
「下がっている段階で買うんだ」というものです。
下がっている段階で買い出動し、しかも「安く買う」って、よく考えれば実現が困難なはずです。
上がるときも下がるときも極端に動く、理屈に合わないほど“いきすぎる”のが株価変動です。
だから、最安値のタイミングを当てようと「落ちてくるナイフをつかむべきか否か」なんて議論をするのは、現実的とはいえない発想なのです。
買うには、少なくとも「下げ止まる」ことが条件です。
「下げ止まった」という、自分なりの確信が必要ということです。
でも、上がるまでに時間を要する状況なら、まだ買いのタイミングとは言いきれません。
資金効率やリスクを考えたら、前述したように「保有期間が短い」ことを優先したいのです。
理想の買い場は、「上げトレンドの直前」です。
そんなタイミングを目指しながら、「できれば安く買いたい」という難しい望みを実現しようという各種のテクニックがあります。
下げ止まったと感じて少し買い(試し玉)、そのポジションを基準に「買いが正解かどうか」をさぐります。同時に、買いという判断が正解との前提で、「安く買いたいけど時間がかかるのはイヤだ」と考えながら、分割で慎重に買い進みます。
頑張ってリスクを取りながら先回りして「安い買い値」を実現しながらも、タイミングが早すぎてグズグズになるのを嫌い、ポジション操作と資金管理にエネルギーを費やすのです。
これが、まっとうな逆張りです。なかなか苦労を伴う作業です。
さて、どんなに深く相場を理解していようが、どんなに経験が豊富であろうが、生身の人間として誤った方向に傾く傾向は消えません。
下がってきた時点で、早く買いたいと思ってしまうのです。
「安値圏でモタモタする期間を避けることができれば、高く買ってもいい」と考えながらも、「最安値を拾いたい」とか「逃してしまったらイヤだなぁ」といったイメージは残ります。
だから、「買いは遅かれ」という格言があるのです。
みんながやってしまう、ベテランでもやってしまいがち、だから格言が生まれ、その格言が伝えられてきたのです。
単に「安い買い値」を意識した買い方でも、「あっ、待っていれば安く買えた」なんてことが多々あると思います。強く意識して、買うタイミングを遅らせるのが、ひとつの重要なテクニックなのです。
今回の放送で紹介した元気のいい銘柄を手がけるなら、「どこで決断するか」という感じです。でも、同時に紹介した出遅れ的な銘柄なら、「慌てずに待つ」姿勢が求められます。
今回も、相場の深い部分に踏み込みました。
単純な基本のようで、それなりに深いと思います。
つまり、なかなかに複雑で、ささいなことでも多くの観点に発展していく余地があるのです。
だから、一概に善し悪しを語ることが難しいのです。
番組で紹介している「中源線建玉法」も、私は素晴らしいと考えているツールですが、長所の裏には当然の欠点があります。その欠点がすごく気になる人は、「好みではない」という結論を出さざるを得ないでしょう。
ただ、「ここがスゴいんだ」という中源線の価値は、今回述べた王道、適正な買いタイミングを見いだそうとしている点です。
中源線は、株価がいくら下がっても「買い」とは判断しません。
「下げ止まり」+「上がる気配」を検知して、はじめて「買い転換」が判断されます。
「買いは遅かれ」が、わかりやすい数式として仕上がっているのです。
前述したように、最終的には「個人の好み」です。
でも、こうした実践的なツールに触れるだけでも、売買スタイルを見直す貴重な機会が生まれるはずです。
というわけで、いちど「中源線研究会」に無料登録して、日々のデータを眺めてみてはいかがでしょうか。
メールアドレスを登録してもらいますが、勧誘のメールをたくさん送ったりすることはありません。かなり重要なお知らせ以外、ほとんど送っていないのです。これはこれで、どうなの? というレベルで反省しているくらいです。安心して、登録してほしいと思います。お待ちしています!
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方向感のない相場で、静かに買われる8銘柄
番組でも触れた市況の分析、マーケット全体が現状どのような感じなのかについて、あらためて私の意見を述べておきます。
トランプ大統領の返り咲きが下支え材料なのか、米国の株式市場は堅調な様子です。
一方、日本の株式市場は、株価指数はそれなりの水準にあるものの、個別銘柄の動きは煮えきらない状況といえます。
とはいえ、夏の急落から3カ月が経過し、日本、米国の政治イベントも一巡しているので、政治と株価変動を結びつける“雑音”的な解説、投機筋が仕掛けるスキも減っていくでしょう。それに、「秋の底→年末高」なんてパターンも多いので、ここからの上げに期待したいところです。
ただし、たとえ強気の見通しでも、決め打ちはキケンです。
中源線そのものもそうなのですが、「ユルユルと相場についていく」姿勢が常に正解です。
見ている範囲を決めていたら、その範囲で強い銘柄、弱い銘柄、動意づいてきたかもしれない銘柄と、直近の動きで分類すると「混在」の状況でしょう。そうしたら、強気の見通しでも、少し買ってみて値動きを観察し、そのあと「もう少し買い進んでOKか?」と確認する場面が何度もあるべきです。
さて、株式市場の状況を分析するうえで、個別銘柄のバラツキという観点は欠かせません。株価指数の騰落や水準だけで語る切り口は、大衆向けの子どもだましです。
番組でも紹介したように、株価指数が堅調なわりに、さえない動きの個別銘柄が多い状況です。ここ最近は、「株価指数の騰落と真逆だよ」なんて感じる日もかなりあります。
なんとなく煮えきらない、強いとはいえない、これから底固めかも、もしかしたら一段安か……こんな銘柄も少なくないと思います。
半面、番組でも示したような強い銘柄があります。
そんな元気な銘柄の存在が、ジワッとながら増えてきているようです。
ただ、こうした好転の流れが継続するとは限りません。
期待どおり継続するのではなく、急に悪化する、微妙にしぼむ、といった残念な展開もあり得ます。でも、期待以上に好転してマーケット全体が明るくなる、という可能性もあります。
どんな流れになるかを見極めながら、ポジションを取っていくしかありません。
だから、前項で述べた「ユルユルと相場についていく」姿勢が求められるのです。
「こんな展開だろうな」と確信ある予測(自分なりのシナリオ)を立て、それに合うポジションを取りながらも、決め打ちすることなく、その後の対応を用意しておきます。対応をシンプルにまとめると、以下の3とおりです。
ちなみに、中源線は、こういった臨機応変な対応がわかりやすいルールとして定められていて、実践者の生身の感覚と通じやすい点が魅力なのです。
最初の項で、「見ている範囲を決めている」という姿勢を示しました。
上手な人、プロは、観察する範囲、実際に手がける範囲を限定しています。
範囲が決まっていると、次のようなプラス面が生まれます。
見ている範囲に動きがない場合、利益のチャンスもないということです。
それではダメだと一蹴する向きもありますが、私たち個人投資家は、いわば“組織力のない個人商店”です。個人商店なりの戦い方をしなければなりません。
ラーメンもあるし、フレンチもあるし、焼き鳥もある……そんな店、うまくいきますかね?
朝は出勤客向けのコーヒーとドーナツ、昼は定食、夜は居酒屋……ムリがあります。
多少のアレンジはあっても、やはり範囲を絞ることで強みが生まれ、それが利益につながると考えるべきです。株の取引は素早く方向転換できますが、物理的に可能というだけで、好結果が期待できるということではありません。むしろ逆でしょう。
だからプロこそ、扱う銘柄の範囲を決めています。
それに対して、相場と向き合う時間に制約のある個人が、プロよりも幅広い範囲を対象にしたら、混乱しかありません。
昔のプロは、極端な場合、たった1銘柄を長年にわたって観察しながら、年に数回程度のチャンスを見つけてサクッと利益を取る、なんてことをしていました。
銘柄の範囲を決めておく、1銘柄だけあればいい……ちょっと納得しても、実行に移すのは難しいかもしれません。あまりにもストイック、あまりにも特殊、なんだか楽しくなさそう、というところでしょう。
たしかに、「勝つためになにをするか」とまじめに考えた場合でも、楽しみの要素は必要だと思います。苦しいこと、つらいこと、ガマンが必要なことなんて、ゼッタイにつづきません。
では、目についた銘柄を気軽に手がければいいのか──前述したように、結果は出ないでしょう。
範囲は決めているものの、その範囲がそれなりに広く、端から見ると「常に新しい銘柄を手がけている」ような人もいます。そして、好結果を出している。こういう人であっても、本当に“なんでもあり”ではないはずです。少し器用なだけで、やはり自分の守備範囲とか、自分のやり方とか、「これは外せない」という線引きがあるはずです。
楽しみの要素も必要と述べましたが、あるときは値動きを見て飛びつき、別のときはファンダメンタルで銘柄を選び、いろいろな人の意見に耳を傾けて……これでは、思想も哲学もないつまみ食い、口座に残るのは一貫性のないダメポジションのコレクションでしょう。
確固たる軸というか「芯」のようなものがあるから、その路線を崩さないように少し寄り道する“臨機応変”が価値をもつのです。
番組ではいろいろな銘柄を紹介していますが、コーフンして飛びついてくれ、ということではありません。少なくとも「やり方」、すわなち、「どんな売買をして利益を取るか」を決めておけば、手がける銘柄もおのずと決まってきます。楽しさを求めてユルくしようとしても一定の範囲を逸脱することなく、適正な臨機応変が実現するはずです。
相場観だけでなく、私が示す値動きの捉え方、例として示す売買戦略などについて、常に「自分は賛同できるか否か」と考えてください。そんな思考を楽しんでみてください。長続きする楽しみ方を維持しながら、勝ち組への道を進むことができるでしょう。
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新政権は新潮流を生み出せるか~石破内閣の評価を占う8銘柄
9月27日の自民党総裁選で石破氏が勝利、新しい総理大臣に決まりました。
決選投票の結果が出たのが同日の大引後で、午後3時の大引で前日比903円高だった日経平均は、先物の夜間取引で2,000円を超える大幅下落を演じました。高市氏が敗れて石破氏が首相になったことを嫌気したということで、「石破ショック」と呼ばれています。
ところが石破氏は、事前にコメントしていた金融課税の強化を見送るなど、持論を覆す発言がつづいています。詳細を確認して解説するほど十分な知識も情報もありませんが、マーケットの成長路線に変化なしと評価された──政治と日経平均を結びつけたら、このように理解できます。
財務省に反対されながらも最終的に実現したNISA制度の拡充など、マーケット拡大の路線が、新政権下でも継続するという見通しが生まれているということです。
分配よりも成長、企業も自社の価値を向上させるべく積極的に動く、マーケットに参加する投資家が同じ方向に圧力をかけつづける、という期待があるといえるでしょう。
過去の株価変動を評価し、将来の株価を予測するにあたって、ジャマになる要素、ジャマになり得る変則的な動きなどを「ノイズ」と呼びます。
なにがノイズかは、人によってちがいますが、私は、政治のイベントも大きなノイズのひとつだと感じます。
9月27日に日経平均が大きく上昇したのは、高市早苗氏の総理就任を期待した動きと解説されますが、では、それ以前の変動を、「高市総理誕生」でうまく説明できるのでしょうか。私自身も9月27日夜間、そして週明けの下げは石破ショックと認識しますが、それ以外に株価を押し下げる要因はいっさいなかったのでしょうか。
プレーンに掘り下げると、あらゆる政治のニュースがノイズではないか、と思えます。
前項のコメントは、大きな政治イベントが、少なくとも一時的には株価を動かしたという前提で述べていますが、株価を見るときの軸にする気持ちはありません。
純粋な“うねり取り”の売買を考えてみましょう。
株価は、さまざまな要因で動きます。
株価が上がった、下がった……変動の理由について、ちまたには「なるほど」と思える解説がありますが、客観的かつ正確な分析なんてあり得ません。多くの人が納得する理由を、後講釈しているに過ぎないのです。
そして実際に個別銘柄の値段は、その企業に特別な材料が出現しなくても、適度に上がったり下がったりを繰り返します。ここに目をつけるのが、うねり取りです。
何も材料がないなかで上がったり下がったり──いわゆる“自律的”な上げ下げがわかりやすく、計画的に利益を狙うのに理想的と考えられるのです。
値動きパターンを分析して分割売買を行う「中源線建玉法」も、全く同じ考え方をベースにしています。
極端だと感じるかもしれませんが、「価格以外はすべてノイズ」と片づける考え方も、ちゃんと成立するのです。
もう少し丁寧に説明すれば、「自分が株価の変動要因を集めて分析しなくても、プロを含む多くのマーケット参加者が分析して売買した結果、価格が動いている。だから、株価そのものが結論」ということです。
これまた乱暴だと否定する向きもあるのですが、政治や為替などの外部的な要因のほか、業績変化といった個々の銘柄の材料、そして、計ることが難しい「人気」という要素まで、すべてが盛り込まれているのが“現在の価格”という説明は、否定しにくいでしょう。
だから、材料の分析を完全に捨てて、値動きに対して「いつも一歩遅れだけど、ポジション操作をして結果を出そう」という実践論が浮かび上がります。
これが、「相場技術論」です。
うねり取りも、うねり取りを機械的判断で行おうとする中源線建玉法も、この「相場技術論」に基づいています。100%に近い確率で近未来の株価を言い当てる方法が見つからないかぎり、これしか道はないというのが、実践的には非常にシンプルで、方向性を決めやすいのです。
番組では常に、「個別銘柄の値動き」という表現を使って、目を向けてほしいポイントを強調しています。
日経平均でもなければ、政治の動向でもなく、ドル/円の動きや水準でもなく、ひたすら個別銘柄の“値運び”を見ながら、自分の見通し、そして現在のポジションを「どう動かすか」(動かさないという決断も含む)を考えるのが、現実だと思うからです。
今月の番組で紹介した銘柄を、抜粋して確認しましょう。
4月から7月まで大きく下げ、7月おわりから今回の上昇がスタートしています。
8月5日の急落時は下げましたが、わずか2日の押しからサッと切り返し、グイグイと上伸しました。
日経平均の動きからアプローチしても、言葉のテクニックでまとめることは可能ですが、「株価変動=日経平均の変動」という姿勢では、やはり矛盾が生じます。
1月末を高値に、現在の水準まで、約6カ月間の下げトレンドをみせました。
8月5日にかけての急落時にも当然、下げています。そこでダメ押し的な安値をつけました。でも、そのあとは戻りが鈍いままモタモタしています。
個別銘柄全体の傾向、あるいは分類したときの各グループの傾向、といった観察の観点はありますが、それが時間の経過とともに生き物のように移り変わり、いつも通用する解説としては「個別銘柄がバラバラに動く」といった言葉しか浮かんできません。
今回のフォローアップでは、「政治なんて無視して株価を見よう」というメッセージを発しました。抱えているポジションを忘れて純粋に株価変動を観察すると、いま述べたように個別銘柄のさまざまな動きに気づき、最終的な結論として「政治のニュースは大きなノイズだ」といった、潔い切り捨ての発想にたどり着くのです。
急落から約1カ月、もう落ち着いたという意見もあるが、決して慌てる必要もない。
あらためて、急落直後、そのあとの値動きと、現実の売買戦略を考えてみましょう。
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円高でも買われる日本株~ここから狙いたい8銘柄
まずは、売買・トレードの原則論を述べました。
どんなときでも、「自分が想定していたとおりに売買する」ことがゼッタイです。
数字や数式で決めていたことでも、裁量売買のイメージで決めていたことでも、そのとおりにポジションを取らなければいけません。
直前で変更したら……臨機応変の域を出て、要するに「なんでもあり」になってしまいます。自分自身の手で、自分の売買をユルユルにしてしまうのです。
もしも実行(仕掛け)の直前で「大幅な変更が必要だ」と感じたら、どうするか──ポジションを取らず、戦略の見直しを行うしかありません。
売買・トレードは、ひとりですべてを行います。
プレーヤーである自分のほか、プレーヤーをチェックしたり励ますコーチ、全体の流れを確認する監督、等々、自分だけで数役をこなす器用な行動を求められます。意外と難しいことを、私たち個人投資家はやっているのです。
そのなかで、ちょっとでもユルいことを許したら、全体がユルユルになるのは必然。感じるまま、自由闊達(かったつ)に行動する部分は大切ですが、「枠」そのものをユルくしたら壊れてしまうのです。
今回の急落は、想定できたでしょうか?
もちろん、常に強気と弱気がいます。
真剣に買う人と、確信をもって売る人がいるから、値段がついているのです。
だから、「やっぱり下げた」と思っているマーケット参加者はいます。
でも、これほどの急落、幅広い銘柄が売られる状況を予見した人はいないでしょう。
値動きの流れから、「こうした急落があり得る」と可能性を考えることはできたでしょう。
でも、その可能性を重視してポジションを動かす戦略が、現実的でしょうか?
そのとおりに売買して、安定した利益が出ると計算できるのでしょうか?
急落後の解説(単なる後講釈)で、「事前にわかっていたかも」と感じるだけです。
だから、「下げた!」「リバウンド狙いで買うか」と、急落で思いついた戦略を実行したら、前項で述べたようなユルユルな状況をつくり出してしまいます。
ましてや、急落で悪化したポジションを「救済しよう」と、その悪化したポジションを維持したまま新しいポジションをつくるなんて、やぶれかぶれの一手としかいえません。
8月のフォローアップでも述べた観点ですが、大切なことなので繰り返しました。
「行動の範囲を決める」という発想がない人は早い段階で大ケガをしてマーケットから退場、その発想が薄い人も、どこかで大ケガをするのです。
中源線による個別銘柄の判断では、急落の前にけっこうな数の銘柄が陰転していた、と8月の放送やフォローアップでも報告しました。
やはり、数式による判定、機械的な判断に大きな価値があると再認識できました。
では、このあと目先の相場については、どうでしょうか?
急落からグッと戻った銘柄が多いのですが、そのまま落ち着いてくれて「あの下げはなんだったの?」とつぶやくような状況ならいいのですが、乱高下したら、価値ある数式だってうまく機能してくれないでしょう。
極端な値動きを想定していたら、ふだん利益を出すことができません。
中源線の転換も、基本の「普通転換」は、「下げ止まってピクついて初動」とか「上げ止まってモタモタして少し下げかける」といった変化によって判断しています。多くの実践者が納得できるような、“平時におけるトレンド転換”です。
中源線は、ルールが極めてシンプルです。
発展形として、さまざまな数式を追加していくアレンジだって考えられますが、ルールがシンプルなので「感覚的に捉えることが可能」という点が、中源線の大きな特長です。
「ダマシが出やすい状況だ」と判断するのもラクだし、その判断をもとに裁量を加えることも容易なのです。
だから、ただ中源線のシグナルどおりに売買して「儲かった」「損した」と一喜一憂するのではなく、「売買の判断とは、どうあるべきか」という本質に、自然と目が向くのです。時間の経過とともに見識が深まり、技術が向上していくことが期待できるのです。
今回の急落を演じたのは、主にプログラム売買だと思います。
もちろん、個人の狼狽売りで突っ込みが発生した事例もあるでしょうが、“売りが売りを呼ぶ”極端な下げは、プログラム売買が主導したはずです。
あそこまで売りたたいて、果たして利益が出たのか……。
詳しいことはわかりませんが、そんなことまで考えてしまいます。
不本意な結果だったなら当然、プログラムの見直しをするでしょう。
生身の人間の考察をもとに、人間の手によって。
でも、私たちは、自分の大切なカネを動かしています。
不本意な結果が出る前に、自分の手で見直しをしたいのです。
だから、数式が有効といっても、複雑な構造で“ブラックボックス”的なものをつくり上げてしまったら、ツールとして問題あり、ということです。
つい何かに頼りたくなるのですが、いわゆる“打ち出の小槌”は存在しません。
現実的な範囲、自分がコントロールできる部分で工夫して、結果を求めるのが王道です。