8月4日放送のフォローアップ
林 知之

材料張りの悲劇

映像は、YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」でご覧ください。
ここから狙える、じわり上昇トレンド8銘柄

雇用統計で一喜一憂

米国の雇用統計(2025年7月分)が大幅に下方修正されたことが、マーケットでは話題となっています。でも私は、気にしていません。雇用統計のデータが日本の株式市場にどう影響するのか、具体的にどんな対応が有効なのか、方程式らしきものをイメージできたことはありません。今後も、考えないと思います。

今回の雇用統計の悪化について、一部では、公的部門の人員削減や、回答率の低下といった要因があると指摘されています。

また、関税の影響が不透明であるとの判断から製造業が雇用を一時的に抑制していることも考えられます。しかし、関税を武器に外交を継続し、多くの国から米国への投資を促し、ひいては、米国内産業の再構築、発展や雇用増など将来への期待がもたれているのが現状ではないのでしょうか。

雇用統計の悪化で暴落の危機……いつものように、“材料のための材料”だと感じました。

売りが多かった?

株価が下落した際に、「売りが出た」という表現を目にすることがあります。
でも、株価がついている=売りと買いが同数あった、ということです。

もしも売買動向を正確につかもうとするなら、売買に参加した全員に「なぜ、この銘柄を買ったのか?」「なぜ、3千株ではなく千株だったのか?」と聞かなければなりません。また、売買しなかった全員に、「なぜ売買しなかったのか?」と根掘り葉掘り質問しなければなりません。不可能です。

そもそも、直近過去の動きを見て「変動の理由」をさぐっても、売買・トレードの具体的な戦術にはつながりません。

ほとんどの投資関連情報が、直近過去の後講釈です。
役に立ちません。
では、なぜ、オトナがオトナに向けて、役に立たない情報を発信しているのか?
なぜ、そんな構造があるのか……。

理由は、実社会と金融マーケットの“温度差”です。

学校でも社会でも、「事象には理由がある」「説明が可能」といった前提で話が進みます。これが、一般社会の常識です。相場の世界では全く別のジョーシキがあるのですが、それを説明するよりも、誰もが受け入れる、わかりやすい情報を発信したほうがビジネス的に正解なのです。

だから、株価が動いた理由なんてわからないのに、ビシッとした言葉で解説するのです。
あたかも、すべてのマーケット参加者に質問して、100%のホンネを聞き出したかのように。
そして、そんな“つくりものの情報”が見事に受け入れられるのです。

「半導体」というテーマ

「半導体関連が○○」みたいな解説は、よく目にします。

でも、半導体関連といっても、企業によって業績はまちまち、政策などに変化があったときの影響もさまざまです。「半導体関連だから見込みあり」というだけでは、オトナの分析とはいえません。

半導体関連の銘柄がそろって下落すると、「半導体の相場はバブルだった」なんて言葉が踊るのですが、こういうのも無責任な後講釈です。前述したように、企業によってバラバラですが、半導体そのものは今後も長い間、経済の中心的な存在でしょう。そうした前提があって、誰もが知っていて、そのうえで相場の上げ下げがある、企業ごとに評価が異なる、というのが現実です。

表面的な捉え方を売買に直結させるのが、今回のタイトルとして掲げた「材料張り」です。
言葉を素直に受け止めたら「材料を分析してポジションを取る戦略」ですが、短絡的に行動するという意味で否定的な表現です。
材料張りの姿勢で勝ち残る人は、いないでしょう。

相場は相場に聞け

どんな理論があろうが、いわゆるマーケットの人気で動く株価に、自分のポジションが合致していなかったら利益にはなりません。

「相場は相場に聞け」といわれるゆえんです。

たとえ95%の確率で当たる株価上昇の予測であっても(そんな高確率はあり得ないのですが……)、実際に買って残り5%の見込み違いだったら、「株価変動と手が合っていない」と判断して、とにかくいったん切るしかないのです。

前項で「世間の常識は通用しない」と述べましたが、「努力すれば状況を変えられる」という常識も、やはりマーケットでは全く通用しないのです。値動きは、完全にマーケット任せです。

だから、中源線のように、予測の的中を求めず、値動きの変化をブレない基準で判断しつつ、慎重かつ丁寧な3分割の売買をするといった発想が、実践者に愛されているのです。「極めて現実的で実用的である」と認識されるのです。

「結局は値動きしだい」という現実に目を向けていれば、私が説いた“世間の常識とマーケットのジョーシキ”に自然と気づくし、たとえスタートが材料張りの発想でも、足りない部分を補う適正な思考が展開されるはずです。


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7月7日放送のフォローアップ
林 知之

ブレない戦略「押し目買い」

映像は、YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」でご覧ください。
底値圏離脱・上昇トレンド継続中の9銘柄

「押し目」の定義がブレまくる

一般的な情報は、「その場だけ価値を感じてもらえればいい」というような、ゆがんだ商業的価値で生み出されています。だから、最大級の警戒が必要です。

株価指数が下落した、つまり“平均”という数値が前日よりマイナスだっただけで「相場が下がった」という前提を立てます。また、それを「押し目」と呼んだりもします。

「押し目」とは、「上げ途上の一時的な下げ」です。
「現在は上げ相場である」という、主観的な判断が前提に必要なのです。
トレンドを測る期間によっても、答えはちがってきます。

それなのに、一般的な解説で「押し目」と決めるなんて……カジュアルを通り越してデタラメです。

もっぱら情報の受け身である私たちは、こうした細かい部分に注意する必要があるのです。

「時間」を無視したら相場難民

積極的に情報を見にいくときにも、注意すべきことは多々あります。

例えば、単純に株価をチェックするとき。
持ち株について、現在値、前日比、自分の買い値だけを考える……あるあるの光景ですが、そこには「時間」の概念がありません。

もし現在値が買い値とほぼ同じ、あるいは少しだけ高い場合、いわゆるヤラレのポジションではありません。でも、もし相当な時間が経過していたら、どうでしょうか?

「数カ月、少なくとも6カ月以内」という想定で買っていたのに、買ってから10カ月が経過している──時間の概念を無視して価格をチェックしていたとしても、心の奥底にはそれなりのストレスが蓄積されているはずです。明確な言葉が浮かばなくても、無意識に違和感が生じていることでしょう。

現在値と買い値の差がなくても、こうして一定の時間が経過している場合と、そうではなく買ったばかりでは、プレーヤーである自分自身の状態がかなりちがいます。このギャップには、ちゃんと配慮しなければなりません。

もっと単純な例も示しましょう。
「1割取った」という結果が1カ月なら、これは成功例です。
でも、10年がかりならば、売買・トレードとして評価することはできません。

時間は、誰にでも平等です。
なにもしなくても、一定のペースで進んでいきます。
でも、「自分の時間」は自分でつくっていますし、ある程度まではコントロール可能です。

時間を意識せず、情報は常に受け身……これでは“相場難民”です。
そんな領域に、近寄ってはいけません。

長めの時間軸が正解

相場に限らず、また誰もが同じだと思うのですが、つい細かいことを気にしてしまう、近視眼的になってしまう傾向があると思います。

大枠が整ったら、こんどは細部にこだわる──当然の順序ですが、細かい部分を考えすぎて大枠がおろそかになるケースもあります。あるいは、不要なほど細かいところを考えてしまうとか。

売買・トレードの場合、つい短期的な変化を気にしすぎてしまいます。

中源線を利用して数カ月のトレンドを見て買っている、「相場ははじまったばかり」と考えているのに、「今日は安かった。不安だ」とか、なぜかそんな気分になったりもします。

「情報に注意しよう」という趣旨のことを述べましたが、ちまたの情報は、どうしても短期的です。基本的には、「その日にどんな動きがあったか」に焦点を当てています。スポーツ速報的な感じで、日替わり、切り取りの傾向がかなり強いといえるでしょう。

情報に対して受け身の姿勢が強いと、1日単位の動きをもとに売り買いを考えているわけではないのに、1日刻みの切り取り情報がなだれ込みやすくなります。
この状況は、とてもキケンです。

外部からの情報にしても、脳内の情報にしても、短期的なことにフォーカスしがちです。
だから、意識的に“長めの期間”を観察するのが正解なのです。

長期波動にも注目

さて、今回の番組は「押し目買い」をテーマにしました。
中源線なので、数カ月単位のトレンドに狙いをつけて、「買うか買わないか」「買うとしたら、どんなタイミングで乗るか」が課題です。

銘柄がちがっても数カ月単位のトレンドがある点は同じですが、もし数年単位のトレンドに焦点を当てていたら、捉え方が全くちがってきます。

中源線ならば、もちろん中源線のシグナルが基本ですが、チャートを見る私たちの感覚では、数カ月ほど上がったところで「上げ止まるか」「下向きになったらカラ売りだ」といったことを考えます。

でも、数年単位のトレンドを見ていたら、数カ月上がったところで、「長期波動が上向きになった。押したら買いだ」と狙いをつけるかもしれません。

番組で、私はこんなコメントをしました。
「長期の安値圏から、最近動きはじめた銘柄もある。夏か秋に押したら買い、と判断できる銘柄もありそう」

長期波動なので、月足で見る必要があります。
例えば、このような月足です。

わかりやすく、直近の数年だけを示しましたが、実際には5年、10年単位で流れを観察しています。

この月足を見ると、長期的な安値でグズグズしたあと、安値保合の末期でダメ押しの底をつけ、2025年になってから、そんなグズグズ傾向を打破するような上げ方をしています。こんな変化をみせている銘柄が、けっこう多いのです。

日経平均4万円という水準で相場の先行きを考える議論が多いのですが、個別銘柄の大局を見ていると、つい最近になって株式市場は“新たなステージ”に差しかかってきた、くらいに感じて、強気の姿勢を強めたいと考えてしまいます。

ちなみに、月足を示した銘柄は、「押したら買い」と考えて狙っています。
「読みどおりなら数年間は上げがつづくから、しばらくは押し目買いに徹しよう」という発想です。

自分のやり方をもつ者が勝利者

中源線で、数カ月のトレンドを取りにいく押し目買いだけでなく、月足による大局の観察で数年単位のトレンドを狙う視点も紹介しました。

それぞれ、時間軸が異なります。
だから、異なるやり方です。
きちんと切り分けないと、混乱します。

ふだん、どんなやり方をしているか、かるく振り返ってみてください。
時間軸、すなわち「どれくらいの期間を観察するか」が、定まっていない、揺れてしまう、意識が足りなかったかも、という部分はないでしょうか。

この「時間」による売買の分類、思考の整理、情報の切り分けは、売買・トレードの生命線だと私は考えます。

自分のやり方がガチッと固まっているのが、正しい姿勢です。
「個人投資家だから……」とカジュアルに考えがちですが、売買・トレードに費やす時間が短いなど、プロに比べて不利な点があるからこそ、器用に立ち回ることを目指すのではなく、これでもかというくらいシンプルにやり方を定め、範囲を限定しておくのが正解です。

この「やり方」という部分がユルい場合、少しでもおカネが余っていると、「今買う銘柄はないだろうか?」と考えます。そして、情報をさがします。積極的に行動しているようでいて、めっちゃ受け身です。

専業トレーダーならば、時間をかけて試行錯誤するなど、少し守備範囲を広げるような行動が可能です。といって、専業トレーダーでも、うっかり背伸びしてドツボにはまったりしています。

情報でもなく、予測でもなく、こうした土台の姿勢を考えるのが第一です。


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6月9日放送のフォローアップ
林 知之

個人投資家が勝つための条件

映像は、YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」でご覧ください。
大相場が来る前に買っておきたい8銘柄

自然な値動きとは

4月はじめにかけての急落では、それこそ“ミソクソ一緒”に売られました。

でも、安値にとどまる期間は、極めて短期間でした。
急落=自分の出番と位置づけている人にとっては、おいしい場面だったと思います。

そんな特殊な狙いを準備していなかったマーケット参加者は、どうだったでしょうか。
「急落した」「なにか買おう!」と即座に行動した人、つまり、思いつきで動いて頻繁にヤラレてしまう投資家は今回、勝ったでしょう。
一方で、そんな思いつきでヤラレてしまうことのない人、一定の慎重姿勢をもった人は、丁寧に考えているうちに買い場を逃したのではないでしょうか。

さて、戻る場面でも、多くの銘柄が同じように動きました。
もちろん例外はありますが、かなりの数の銘柄が急落、そして一気に戻すという展開だったのです。

4月後半からは落ち着きはじめました。
そして、決算発表もからんで、個別銘柄の動きに差が生まれました。

急落なんて存在しなかったかのように以前の上昇トレンドを継続して上伸する銘柄あり、急落した分を戻しただけで保合になる銘柄あり、あらためて下がっていく銘柄あり……。

急落の余韻があったのか、ふだんとは異なるガタガタとした値運びが目立ちましたが、とにかく個別銘柄の値動きはバラバラになったのです。

株価指数、特に日経平均を見て、「今後の方向は?」とか「買っていいのか?」と議論する向きは多いのですが、個別銘柄のトレンドとは結びつきません。

長期でも、中期でも、あるいは短期でも、上がるものあり下がるものあり、動かないものあり──マーケットにおいて、とても自然な状況なのです。

情報のデフォルメ

情報は常に、ある方向に偏ります。
もっぱら、発信者の意図によって傾くのです。

他人をだます意図、ウソをつく姿勢もあるでしょうが、そもそも必ず偏るものなのです。

例えば、結婚相手を探すうえで自分のプロフィールを書くとき、わざわざ「足がくさい」なんてことは言いません。「くさくない」とも書かず、あえて触れません。

消費者に向けて自社の商品を紹介するときも、全く同じです。
表裏一体のマイナス面だってあるはずですが、プラスの面を強調して魅力として示します。
当然です。

相場の情報は、どうでしょうか。

一般投資家に関心をもってもらいたかったら、「明日の株価なんて、わかるものか」といった本心は言いません。

市況解説においては、約4千ある上場銘柄を幅広く分析、解説するなんて、難しいことはしません。平均という、実に雑だけど、非常に便利な数字を掲げて、「上か下か」という観点を前面に出します。1週間の流れ、1カ月の流れ……実践的に深掘りしたら難しいので、「その日の動き」だけを示します。

個人投資家が相場・トレードで勝つために役立つ情報は、個人投資家の手がラクに届く範囲には、ころがっていないのです。

番組では毎回、新しい銘柄を紹介しています。
でも、そんな情報をきっかけに目を向けてもらうこと、そして、銘柄情報は“ひとつの観点”であることを理解してもらうこと、そうした根底の部分について一緒に考える姿勢をもってもらうことが狙いです。

銘柄情報を発信して、投資家を中毒にしようとは思っていません。
上記のような自立した姿勢を促す、そんな狙いを実現するために、銘柄情報をうまく利用しているつもりです。

戦う相手は誰?

相場・トレードで勝つために、なにを考えるべきか──。
「戦う相手」を考えてみましょう。

ほかのマーケット参加者が全員、ライバルです。
おカネの取り合いをしています。
でも、そういったライバルが攻撃してくることはありません。

そうしたら、戦う相手は「株価変動」でしょうか?
これも、勝つために役立つ発想ではないと思います。
予測不能な株価の動向を見事に当てる、みたいなムチャな話に発展していくでしょうし、相手と対立しつづけるなんて、しんどいものです。

未来を当てなくても、常に一歩遅れでいいのです。
現実には、二歩か三歩ほど遅れることもありますが、それ以上は遅れないようにすれば十分で、理想として「一歩遅れで素早く対応」と考える感じです。

このように考えていくと、戦う相手は「自分自身」です。
誰も攻撃してこないなか、自らの意思でポジションをつくる、あるいは手仕舞いするのです。
体力や筋力、経験値に関係なく、予測が当たれば含み益は勝手に伸びます。
でも、売り手仕舞いのタイミングを自分で決めて実行しないと、含み益はふところに入ってきません。

しかし、好循環が生まれることは、なかなかありません。
「悪循環に陥らないようにする」のが精一杯、そんな感覚が正解でしょう。
「相場は自滅のゲーム」と呼ばれるゆえんです。

個人投資家が勝つための条件

さて、「相場は自分との戦い」と述べましたが、本当は、自分とも戦わないほうがいいのです。

絵に描いたような予測の的中を捨てても、現実的な範囲で理想を手に入れようとするでしょう。
やっぱり、「当てる」という発想に縛られる、いや、自分で自分を縛りつけるのです。

とにもかくにも、「一歩遅れの対応」です。

上がると思って買ったら弱含み……「ああ、そうですか」と損切り撤退、現金(ニュートラル)の状態に戻ります。

上がると思って買ったのに、時間が経過しても動意づく気配なし……「ああ、そうですか」と見切り売りして、別のチャンスをさがします。

利食い売りしてよろこんでいたら、翌日にストップ高……「死んだ子の年を数えるな」なんて格言もありますが、利食いして悲しむなんて、自分で自分を攻撃するようなものなので、サクッと次に目を向けるべきです。「もう少しねばることは可能だったか」と振り返りますが、考えすぎてタラレバ地獄に近づかないことが第一です。

番組でも触れましたが、私は急落時、裁量によるポジションは全く動かしませんでした。でも、急落時、そのあとの戻りという過程でポジションを抱えたままだったので、「脳内に余分な情報があったらイヤだな」と考えました。だから、相場が落ち着いたあとは余裕資金で買い増ししたいところ、あえて手仕舞い売りから“通常の売買モード”に回帰しようとしました。

この行動には、予測の要素はありません。
自分の心理を自己評価してギリギリを攻める、そんな発想もありません。
ほかのマーケット参加者とも、株価変動とも対立せず、自分自身とも対立しない姿勢です。
やってみると、とてもラクなのです。

中源線のルールも、まさにこれです。
ピクッと上昇して「上がりそう」と判断したら、そこから買いはじめます。陽転です。
でも、分割で買っていきます。決め打ちしません。

ところが、上げると見せかけて下がる……陽転がダマシという展開もあります。
すぐに下向きになって「再陰転」したら、「ああ、そうですか」と分割で買った1単位を投げ、同時に2単位を売り建てします。

対立せず、ひたすら順応するのです。
中源線のロジックに議論はあっても、中源線の売買に選ぶ銘柄についてさまざまな意見はあっても、こうした基本姿勢、いわば「相場との距離感」については、誰もが認めるところでしょう。

今回は、勝つためには「戦わないこと」というアイデアを、私なりに解説しました。
好みに合わせて、上手に利用してほしいと思います。


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5月12日放送のフォローアップ
林 知之

ミソとクソの見分け方

映像は、YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」でご覧ください。
これから買うのが正しい、上昇トレンド回帰8銘柄

突っ込み買いは正解なの?

まずは、4月の急落を振り返ってみましょう。

といっても、観点はいくらでもあります。
多くの人が思いつく、「突っ込みの安値を狙った買い」を考えます。

ショック安があるたびに、「落ちてくるナイフをつかむか否か」という議論が起こります。
でも、そんな思いつきの“火事場泥棒”は望ましくありません。

最安値を買ったつもりが一段安……あるあるです。
狙った銘柄を、わるくない値段で拾えたが戻らない……あるあるです。

あるいは、うまく買えて期待どおりに戻ったけど、「どこで手仕舞いしていいのか、わからない」なんてこともあるでしょう。

いやいや、うまく買えて、戻って、うまく利食いした、という結果もありますが、思いつきで出動したため、そんな成功体験が先々の売買を狂わすかもしれません。

いろいろとケチをつけましたが、「急落したら○○する」という確固たる戦略が用意されているのなら、結果はわからないものの“想定どおり”に出動するのが大正解です。でも、急落に遭遇してから考えたのなら、手を出すのはご法度。前述したように、突っ込み買いで利益を上げたとしても、長い目で見てプラスにならない可能性だってあるのです。

「落ちてくるナイフをつかむか否か」と議論する、いや、そんな疑問符まじりの言葉が浮かぶ時点で、手を出してはいけない立ち位置だと認識すべきです。

出動した結果はなんともいえませんが、急落を受けて出動できる投資家、「出動するのが正解」という立場の人は、「落ちてくるナイフ……」なんて言葉で考えることなく体が動くはずです。急落があり得ることは多くの人が知っていますが、具体的に想定し、いざというときにアクションを起こす準備をしている投資家だけが、出動して問題ないのです。

実際に、今回の急落は、なかなかキツい下げ方でしたが、けっこう短期間で収束し、一直線に戻りました。それゆえに「買っておけば……」とか「狙っていたのに買えなかった」と嘆く声もあります。事前の準備がなかった人たちです。

そういった投資家、準備が足りない人たちが素直に買えるようなときは戻りがわるい、期待どおりの利益が生まれないものです。

林の売買は2パターン

私の売買は、裁量による売買(低位株の分散買い)と、中源線の2本立てです。

裁量の売買は、なにもしていません。
急落前に極めて楽観的だったので、「えっ、マジ?」という感じでしたが、ゆとりがあったので投げることもありませんでした。ジッとしていたら、元に戻りました。

買い増しするという選択肢もあったのですが、すでに一定量を買っていたので、ムリに手を出したくないと考えました。理由は、前項で挙げたとおりです。
もちろん、手がスカスカだったら買っていたでしょうが、買い増しの一環で、数量も限定的だったと思います。

急落時のアクションは想定せず、急落の衝撃は資金管理とポジション管理で吸収するのが基本の戦略です。
今回も私は、急落時の安値圏で買って得することはありませんでした。でも、余分なエネルギーを使ったり、イレギュラーな記憶を強く残すこともなかったのです。

中源線の売買については、後述します。

株式市場の環境は変わるか

私は、トランプ政権に期待しています。
一貫して、トランプ大統領の政策は株式市場にプラスと考えてきました。

だから、下げの原因が過激なファンドの売り仕掛けだったとしても、今回の急落には少なからず驚きました。いや、マーケットなので、こうした急落はいつでもあり得るのですが、これほど下げる条件がない状況だと考えていたのです。

そんなことから、資金管理のあり方を考え直す必要もあると思っていますが、株式市場に対しての強気の見通しは変わりません。

会員向けに発行する『研究部会報』や『林投資研究所レポート』では少し詳しく述べていますが、日本の株式市場の環境は好転していくと期待しています。

そんな私の予測どおりになるとしても、株価の自律的な動きはあります。
説明できない、短期的な上げ下げです。

急落のあとの流れにも、こうした個別のバラツキがあります。
今回の放送でテーマに掲げたことで、このフォローアップのタイトルでは「ミソとクソ」と表現したのですが、“短期狙いをするときの銘柄選び”の観点です。

急落に遭遇してから思いつきで出動するのは、最初の項で述べたとおり、望ましくありません。
それに、そうした難しい売買を提案しようとは思いません。
でも、値動きというものを捉える知識として有益だと思うので紹介します。

多くの人が、大きく下落した銘柄に目を向けます。
「大きく下がったのだから、リバウンドも大きいしスピーディー」という論理です。

そんなケースもありますが、「下がったあと戻りがわるい」ということもありますし、相場全体の反転が遅れたら「さらに下落する」というオチもあります。買い増しのタイミングで、たまらずに投げてしまうかもしれません。

逆に、「市場全体の急落でも下げ渋っている銘柄のほうが手堅い」というのが、実践者の正しい認識ではないでしょうか。大きく下がって「真空地帯をグッと戻る」と期待させる銘柄は、実はミソではない──常識的なオトナが素直に発想することは、マーケットでは逆であることが多いので、経験豊富な人もあらためて考えてみるべき部分でしょう。

単純なルールが中源線の強み

私は、裁量の売買について「なにもしなかった」のですが、中源線は、今回のような急落に敏感に反応します。だから当然、シグナルに従ってポジションを動かしました。

でも、急落のあとは、「売り増しシグナルを見送る」「状況を見て裁量で買い返済する」ことを最初から考えていました。シグナルどおりに「カラ売り」に傾けないようにする、ということです。

中源線のルールは、急落にもちゃんと反応します。
でも、丁寧な3分割の売買は、スピーディーな変化を想定したものではありません。

スピーディーな変化に合う設定だと、平時にうまく機能しません。
動きによって「ここは基準を変えて……」なんてことは不可能です。
だから、「平時ではない」と判断したら、「儲けるよりも損をしないように」と売買を控える方向に傾けるのが正解です。

でも、もしルールがハッキリしていなかったら、ブラックボックスの部分があったら、こうした対応をするか否かの判断基準をもてません。その点、中源線は、ルールをすべて公開しているので、どんな場合でも「勝った理由」「負けた理由」がわかります。

そして、極端な動きをしたときにも、それほど迷わずに“イレギュラーな対応”を決めて行動に移すことができるのです。


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