5月12日の放送「これから買うのが正しい、上昇トレンド回帰8銘柄」のフォローアップを公開しました。
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これから買うのが正しい、上昇トレンド回帰8銘柄
まずは、4月の急落を振り返ってみましょう。
といっても、観点はいくらでもあります。
多くの人が思いつく、「突っ込みの安値を狙った買い」を考えます。
ショック安があるたびに、「落ちてくるナイフをつかむか否か」という議論が起こります。
でも、そんな思いつきの“火事場泥棒”は望ましくありません。
最安値を買ったつもりが一段安……あるあるです。
狙った銘柄を、わるくない値段で拾えたが戻らない……あるあるです。
あるいは、うまく買えて期待どおりに戻ったけど、「どこで手仕舞いしていいのか、わからない」なんてこともあるでしょう。
いやいや、うまく買えて、戻って、うまく利食いした、という結果もありますが、思いつきで出動したため、そんな成功体験が先々の売買を狂わすかもしれません。
いろいろとケチをつけましたが、「急落したら○○する」という確固たる戦略が用意されているのなら、結果はわからないものの“想定どおり”に出動するのが大正解です。でも、急落に遭遇してから考えたのなら、手を出すのはご法度。前述したように、突っ込み買いで利益を上げたとしても、長い目で見てプラスにならない可能性だってあるのです。
「落ちてくるナイフをつかむか否か」と議論する、いや、そんな疑問符まじりの言葉が浮かぶ時点で、手を出してはいけない立ち位置だと認識すべきです。
出動した結果はなんともいえませんが、急落を受けて出動できる投資家、「出動するのが正解」という立場の人は、「落ちてくるナイフ……」なんて言葉で考えることなく体が動くはずです。急落があり得ることは多くの人が知っていますが、具体的に想定し、いざというときにアクションを起こす準備をしている投資家だけが、出動して問題ないのです。
実際に、今回の急落は、なかなかキツい下げ方でしたが、けっこう短期間で収束し、一直線に戻りました。それゆえに「買っておけば……」とか「狙っていたのに買えなかった」と嘆く声もあります。事前の準備がなかった人たちです。
そういった投資家、準備が足りない人たちが素直に買えるようなときは戻りがわるい、期待どおりの利益が生まれないものです。
私の売買は、裁量による売買(低位株の分散買い)と、中源線の2本立てです。
裁量の売買は、なにもしていません。
急落前に極めて楽観的だったので、「えっ、マジ?」という感じでしたが、ゆとりがあったので投げることもありませんでした。ジッとしていたら、元に戻りました。
買い増しするという選択肢もあったのですが、すでに一定量を買っていたので、ムリに手を出したくないと考えました。理由は、前項で挙げたとおりです。
もちろん、手がスカスカだったら買っていたでしょうが、買い増しの一環で、数量も限定的だったと思います。
急落時のアクションは想定せず、急落の衝撃は資金管理とポジション管理で吸収するのが基本の戦略です。
今回も私は、急落時の安値圏で買って得することはありませんでした。でも、余分なエネルギーを使ったり、イレギュラーな記憶を強く残すこともなかったのです。
中源線の売買については、後述します。
私は、トランプ政権に期待しています。
一貫して、トランプ大統領の政策は株式市場にプラスと考えてきました。
だから、下げの原因が過激なファンドの売り仕掛けだったとしても、今回の急落には少なからず驚きました。いや、マーケットなので、こうした急落はいつでもあり得るのですが、これほど下げる条件がない状況だと考えていたのです。
そんなことから、資金管理のあり方を考え直す必要もあると思っていますが、株式市場に対しての強気の見通しは変わりません。
会員向けに発行する『研究部会報』や『林投資研究所レポート』では少し詳しく述べていますが、日本の株式市場の環境は好転していくと期待しています。
そんな私の予測どおりになるとしても、株価の自律的な動きはあります。
説明できない、短期的な上げ下げです。
急落のあとの流れにも、こうした個別のバラツキがあります。
今回の放送でテーマに掲げたことで、このフォローアップのタイトルでは「ミソとクソ」と表現したのですが、“短期狙いをするときの銘柄選び”の観点です。
急落に遭遇してから思いつきで出動するのは、最初の項で述べたとおり、望ましくありません。
それに、そうした難しい売買を提案しようとは思いません。
でも、値動きというものを捉える知識として有益だと思うので紹介します。
多くの人が、大きく下落した銘柄に目を向けます。
「大きく下がったのだから、リバウンドも大きいしスピーディー」という論理です。
そんなケースもありますが、「下がったあと戻りがわるい」ということもありますし、相場全体の反転が遅れたら「さらに下落する」というオチもあります。買い増しのタイミングで、たまらずに投げてしまうかもしれません。
逆に、「市場全体の急落でも下げ渋っている銘柄のほうが手堅い」というのが、実践者の正しい認識ではないでしょうか。大きく下がって「真空地帯をグッと戻る」と期待させる銘柄は、実はミソではない──常識的なオトナが素直に発想することは、マーケットでは逆であることが多いので、経験豊富な人もあらためて考えてみるべき部分でしょう。
私は、裁量の売買について「なにもしなかった」のですが、中源線は、今回のような急落に敏感に反応します。だから当然、シグナルに従ってポジションを動かしました。
でも、急落のあとは、「売り増しシグナルを見送る」「状況を見て裁量で買い返済する」ことを最初から考えていました。シグナルどおりに「カラ売り」に傾けないようにする、ということです。
中源線のルールは、急落にもちゃんと反応します。
でも、丁寧な3分割の売買は、スピーディーな変化を想定したものではありません。
スピーディーな変化に合う設定だと、平時にうまく機能しません。
動きによって「ここは基準を変えて……」なんてことは不可能です。
だから、「平時ではない」と判断したら、「儲けるよりも損をしないように」と売買を控える方向に傾けるのが正解です。
でも、もしルールがハッキリしていなかったら、ブラックボックスの部分があったら、こうした対応をするか否かの判断基準をもてません。その点、中源線は、ルールをすべて公開しているので、どんな場合でも「勝った理由」「負けた理由」がわかります。
そして、極端な動きをしたときにも、それほど迷わずに“イレギュラーな対応”を決めて行動に移すことができるのです。
映像は、YouTubeチャンネル「マーケット・スクランブル」でご覧ください。
今は何もするな! 仕切り直しで買いたい厳選8銘柄
トランプ大統領が発動した関税強化は、おおむね不評です。
たしかに、アメリカだからこそ言えるような極端な内容です。
「○○に刃物」という言葉がありますが、そんな感じですよね。
でも、落ち着いて考えてみる必要があります。
とにもかくにも「今後どうなるか」という話ですが、2つの観点を挙げることができます。
1つは、トランプ関税の真の狙いです。
2つめは、マーケットの反応です。
まず、トランプ関税の真の狙いを考えてみます。
世界経済の流れは複雑だし、政治の駆け引きもあるので難しいわけですが、トランプ大統領の発言は過激で利己的ながら、素直に考えれば、「公平な貿易をしようよ」という提案です。
今回は、関税強化をちらつかせてから交渉という順序ではなく、とりあえず関税強化を発動してから交渉の要請があれば話を聞くという、強烈な先制パンチを繰り出しているだけ、との見方も成立するのではないでしょうか。
好き嫌いはありますし、トランプ大統領のやり方は品がないかもしれませんが、あっという間に世界中の政治家を突き動かしたのですから、たいした政治家ではありませんか。消費大国として先手を打ったのですが、アメリカ国民の富もアメリカ経済の繁栄も、投資と貿易を抜きには成り立ちません。少なくとも、一部報道にある「鎖国」は筋ちがいでしょう。
ちなみに日本は、関税強化騒ぎの前からアメリカに振り回されていますが、アメリカ経済が強化されれば、属国的な立場として恩恵にあずかる面もあるでしょう。
さて、2つめはマーケットの反応です。
交渉の先制パンチを表面的に捉え、「世界経済が混乱する」と過度に反応したと考えられます。
どの国にとっても、自国の安全保障は重要な課題です。
安全保障の土台にあるのは、自国経済の発展です。
資本主義において、株式市場の安定や規模の拡大も、経済にとって欠かせない要素です。
リーマンショック以降、政治が積極的に、株式市場や金融システム全般を重視しています。トランプ大統領は金融市場の混乱を想定していたと発言していますが、株価がどんどん下がってもかまわないと考えているはずはありません。もしも、金融システムが停滞するような事態になれば、いや、そうなる前に、政治が収拾に動くのは当然です。
今回は、世界の政治が動いて、双方にとって利益となる答えを出し、アメリカを軸にした新しい構造へ方向性が定まり、資本主義の拡大再生産、右肩上がりの株価、という自然な流れに戻るのだと思います。
前項で述べたように、私は楽観的に捉えています。
しかし、直近で株価が大きく下落したのは、紛れもない事実です。
もともと楽観的だった私にとって、今回の下落は想定を超えていました。
2024年8月はじめにかけての急落以降、過熱とはほど遠い状況にある割安銘柄まで、急速な換金売りを浴びて下げたのです。
プログラム売買の存在なども要因として浮かび上がりますが、とにもかくにも株価が下がった現実を受け止め、株価変動に対する認識を少し改めなければならないと考えています。
今回の急落は別として、根本的な問題として、内容が素晴らしい企業なのに割安な株価が放置されるケースは多々あります。
逆に、内容を伴わずに大きく上昇することだってあります。
理屈だけで説明しきれない「マーケット価格」で売り買いして利益を出そうとしているのですから、前項で述べた「過度な反応」にも、必ず対応することが求められます。
株価が急落すると当然、「これからどうなる?」という議論が起き、さまざまな情報が飛び交います。
それらの共通点は、「なにが正解か」という一点ではないでしょうか。
誰も未来を見ていないのでナンセンスなのですが、それでも大衆は正解さがしをします。
この議論に、巻き込まれてはいけません。
立場によって、正解は異なるのです。
真の意味の「投資」を行うウォーレン・バフェット氏なら、急落を受けて、狙っている銘柄の買い増しを考えるだけでしょう。第1項で挙げた「資本主義の拡大再生産、右肩上がりの株価」という論理のもと、チャンス到来と捉えるだけです。
一方、私たち個人投資家は、ウォーレン・バフェット氏とは全く異なるスタンスで株の売買を行っています。いわば「投機」です。
急落した状況を見て、長期トレンドを見据えた仕込みを行うチャンス、短期的な反発狙いの買いチャンス、と考える参加者もいるでしょう。
でも、下げたことで、いわゆる買い場かもしれないと思いつつ投げざるを得ない参加者もいます。あるいは、超短期の売買専門で、株価水準とかトランプ大統領の政策とか関係なく、変動が大きい荒れた状況をチャンスと捉える向きもあるでしょう。
番組タイトルに掲げた「今は何もするな!」は、最も一般的な個人投資家を意識して、「荒れ場でうまくやろうとするな」「火事場泥棒なんてやめておけ」と抑えるための言葉です。
少なくとも、思いつきで行動したらいけません。
今回うまくいくかもしれませんが、次はわかりません。
それに、成功しても失敗しても、自分なりの売買スタイルというものを乱してしまいます。
「なにもしない」をする──いろいろな分野で重視されていますが、ちょっと精神論的、というかイメージ先行の表現です。カッコつけています。“かましている”感じです。でも、ある意味、とても重たい言葉でもあると思うのです。
やることは決まっています。相場・トレードならば、儲けるべくポジションを取ること、上がりそうな銘柄を買うことです。決まっているから、自然に体が動くものです。だから、意識して動かす必要はないし、そういった“やってる感”を求めるとダメなのでしょう。
前項で、立場・戦略による対応のちがい、いわゆる正解が異なると説明しました。
これは、とても大きなポイントなのです。
値動きを見て短期の狙いで買ったところが、上がらない……ポジションを切るのが正解と思いながらも、感情的に切りたくない……突然に「この会社は素晴らしい製品を手がけている」なんて理屈でポジションのホールドを正当化する──翌日から人気化して利食いになるかもしれませんが、「狙い」と「ポジション」が完全にズレている点が大問題です。アウトです!
自分のやり方を決め、自分の見通しをもとに目先の戦略を定め、そのとおりのポジションをつくったとしても、時間が経過すれば状況は変化します。必然的に、「狙い」と「ポジション」にズレが生じます。ピタリ想定どおり、なんて、超レアなケースでしょう。
どんな場合でも、どんな立場でも、ズレを生じさせないのがトレーダーのシゴトです。
「買いだ」と思って買わなければ、ポジションがないままズレが生じます。
状況が変わったら当然、予測も新しいものに上書きされるので、つくったポジションとのズレを消すためにポジション操作を行います。
短期売買でも、中長期でも、このズレを素早く修正していく作業を求められるので、なかなか厳しいのです。
番組で紹介している中源線は、値動きをパターン分析して、数式で答えを出します。
絶対にブレません。そして、「狙い」と「ポジション」のズレを生むこともありません。
ところが、こうした機械的判断を行うシステムには、数式を重ねて“ブラックボックス”化したものが多いのです。
出てきた答えはわかるけど、「なぜ、そうなのか」がわからない……この点、中源線は、シンプルな数式しかないので、自動的に出てきた答えを感覚的に納得できるのです。
なんとなく眺めているだけの人も、いちど少しだけ近づいてみませんか?
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3月3日の放送「日経平均を見るな! いよいよ動き始めた期待の8銘柄」のフォローアップを公開しました。
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日経平均を見るな! いよいよ動き始めた期待の8銘柄
毎月、番組の前半は、いつもの6銘柄の動きをチェックする「定点観測」です。
見ている人がワクワクする解説は難しい……どんな情報でも、見る人に刺さる部分を切り取っていますが、相場の話でそれをやったら、役に立たないどころか「害になる」と強く考えているからです。
「この1カ月で、こんな動きがあった」
「先週、こんな銘柄が大きく買われた」
こういった話をすれば多くの視聴者を魅了できますが、日替わり判断、飛びつき買い、お遊び売買、その場の気分……ダメトレーダー養成所になってしまうはずです。
番組では紹介していませんが、ほかにも定点観測をしています。
決められた個別銘柄を観察するだけでなく、条件をつけて値動きの統計を取ったりもしているのです。
そのなかで、2月の値動きに興味深い変化を見つけました。
値の安い低位株の観察なのですが、しばらく上げ下げの振幅が小さい「小動き」の銘柄が増えたと同時に、直近の上げ下げを上抜いたと認められる「長大陽線」の銘柄も増えていたのです。
低位株に絞って観察していると、「小動き」と「長大陽線」の数は通常、反比例します。理屈で考えても当然、そうだと思いますよね。ところが2月は、両者ともに増加していたのです。
原因のひとつは、少し前から私が指摘しているように、市場全体で「銘柄の選別が厳しい」ことです。市場から資金が流出している状況ではなさそうなのに、まるで存在を否定されるようにダラダラと売り込まれている銘柄が、けっこう多いのです。
一方、2024年8月初旬にかけての急落以降、長く動きがなかった安値圏の銘柄のうち、それなりの数が直近で、立ち上がってきているわけです。
日経平均の水準と推移を見ていると感じませんが、新しい流れが生まれているのです。
平均は平均、単なる中間値です。
よく例に出しますが、テストで英語と数学の2教科、どちらも50点だったとします。平均は当然、50点です。では、次のテストで英語が100点満点、でも数学は0点だったら? 「なにが起きたんだ?」という状況ですが、平均は1回目と同じく50点です。
日経平均とは、こういう数字です。
上がる銘柄があり、下がる銘柄もあれば、平均は変化しません。
テストの例では、英語がわずか50点から100点満点に上がったことは、ポジティブな事件です。「すごいじゃないか!」と賞賛を集める結果です。でも、数学の0点は、「おい、どうしたんだ?」と周囲が心配する事件です。
「平均は同じです」ではなく、「暴騰して倍化」(英語)、「驚異的な急落」(数学)というのが、運用資金の増減につながる変化、私たち売買実践者が気にかけるべき“事件”なのです。
対面営業の証券会社で新人営業マンが電話番をするとき、不安になって先輩に質問します。「相場を聞かれても答えられません」と。すると先輩は、「大丈夫、あそこを見て日経平均と前日比を言えばいい」と教えます。実際、電話してきた常連客は「おおっ、新人か。頑張れよ」なんて、日経平均しか聞かずに満足げに電話を切るのです。
「頑張れよ」なんて、優しい人なのですが、日経平均を重視する人=最も厚い個人投資家層=売買技術が高くない人=はっきり言ったら負け組──あらゆる分野に通用しそうな理屈です。
日経平均は日本の経済力を示す数字──。
そうでしょうか?
私には、単なる数字にしか見えません。
5年間で日経平均が50%上昇していたら、その5年間は「株が買われた」「市場が発展した」と解釈していいでしょう。でも、やはり平均は平均ですし、単なる数字だと思うのです。
一時期、株式併合が流行しました。
東証が売買数量の単位を100株に統一すると決めたあと、おそらく少額の株主が増えることを避ける目的で、株式併合を実施する上場企業が多数、出現したのです。
投資家の評価が低くて株価が100円……売買数量が100株になったら、わずか1万円で株主になることができます。名簿を管理して各種の郵便物を送ることを考えたら、コストを計算して「1万円の株主かぁ」と考えても当然です。
しかし、発行株数を10分の1に減らす、つまり10株を1株に併合すれば、既存の株主は持ち株数が10分の1になり、市場の価格は無条件で10倍、最低の100株だけ買う場合の最低投資金額は10万円に上がります。
ただ、内容がよろしくない企業が株式併合をすると、そのあと売られる傾向があるのです。
内容がいまいちで100円に低迷していた、でも、それ以上下がる気配はなかった
↓
株式併合で株価が1,000円になった。見た目はカッコよくなった
↓
割高な感じがするのか、絶対値が上がって下値不安を感じるのか、なぜか下落する
↓
500円(以前の50円)まで下落する
実際に、こういった銘柄が、いくつもあったのです。
私たちは「併合崩れ」と呼んでいました。
数字のマジックで100円を1,000円にすることが可能、つまり株価は単なる数字だといえるのですが、単なる数字にしては不合理な評価が行われている現実も浮かび上がります。
私たちは生身の人間です。いくら計算しても、「売買マシン」になることはできません。
そんな不安定な部分を認め、それでも好結果を出す、ちゃんと利益を上げる方法を考える必要があります。
人間ならではの錯覚に陥らないようにする土台は、なんといっても「ゆとり」です。
余裕がない状態、例えばムリな金額を運用して「損したらタイヘンだ」「なにがなんでも勝たなくては」と考える状態では、必然的にミスが増えるでしょう。
でも、ゆとりがあるだけでは結果が出ません。
確固たる考え方が必要です。
考え方とは、「予測の当て方」ではありません。
予測は当たったり当たらなかったり……どちらの結果もあり得ます。
だから、「予測どおりに動いたら、どうするか」と「ダメだと判断する基準はなにか、そのタイミングはいつか」など、自分なりのプランを用意して売買に臨むのです。
中源線は、計算で売り買いを決めます。
「売りだ」「買いだ」と言いきります。
でも、その当初の予測に固執しません。値動き傾向が変われば、「買いだ」と言いきったくせに「やっぱり売りだ」と覆します。
でも、それでは乱暴、不測の損失が蓄積することもあるので、全体の資金管理をしたうえで、さらに売買数量も3分割で管理します。
このように実践的かつ実用的なので、番組で取り上げているのです。
少なくとも、「日経平均信奉者」や「銘柄情報ハンター」の世界から離れて、オトナとして、「株式市場でなにが起きているか」「どうすれば勝てるか」をまっとうに考える少数の人だけが生き残るのが、相場という特殊な世界です。
2月3日の放送「本格上昇はまだ? 静かにコツコツ買う底練り・底固め8銘柄」のフォローアップを公開しました。
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本格上昇はまだ? 静かにコツコツ買う底練り・底固め8銘柄
2月3日に紹介したのは、出遅れ狙いの銘柄です。
毎回、テーマを立てて銘柄を紹介しますが、単なる銘柄情報番組を作っているつもりはありません。テーマや銘柄をきっかけに、“実践のあり方”を考えてほしいと思っています。
今回のフォローアップでは、「出遅れ狙いという戦略を、どう認識するのが正解か」という問題を考えます。
出遅れ、つまり「まだ動きがない」銘柄です。
でも、「当分は動かないだろう」ではありません。
もし動きそうもないのなら、買う理由はありませんから。
「出遅れ」という呼び方のとおり、「あと少しで動くだろう」という観測があるから、買いを決断するのです。この部分は、当たり前のようですが、とても重要です。
うっかりすると、単に安いというだけで買ってしまいます。
実は、買うときに高くても安くても、どちらでもいいのです。
なによりも買ったあと上がることで、理想は時間をかけずに上がること、これだけです。
「安いものを買った」と満足できるのは、日常の買い物(消費行動)です。
誰も未来のことはわからないので、常に予測で行動するのですが、下がってきたものを買おうが、動きのないものを買おうが、あるいは上昇の勢いを感じて買おうが、どんな場合でも、見据えるのは「近未来の値上がり」です。
上げトレンドで買いポジションを持っていると儲かる──。
こう考えるのが実践家です。
買い物とはちがうので、「上げの波に乗る」という意識が非常に重要なのです。
中源線では、常に「逆行」に注目します。
「今は上げトレンド」と判断していたら、逆行の「下げ」をチェックします。
下げ方のパターンを見て、「上昇から下落に移った」と判断する必要があるからです。
現在が下げトレンドと判断している場合、逆行は「上げ」です。
上げ方を見て「おっ、上昇に移ったか」と判断します。
そんな変化を捉える実践者の感覚をシンプルな数式に落とし込んだルールが、中源線の核です。
ちなみに、大きく下げても、下げ止まっても、日柄が経過しても、買いとは判断しません。
感覚的に表現すると、ピクンという上げがあり、それを抜くクイッとした上げがあったとき、「上昇スタート」と判断するのです。
いわゆる順張りといえますが、「見据えるのが近未来の値上がり」なのですから、実に素直な基準ではないでしょうか。この中源線の着眼点を、裁量の売買に持ち込んで考えてみましょう。
「下がってきた」「下げ止まったか」「買っていいか」と目をつけることがあるでしょうが、うっかりすると、買い物と混同して「安い」だけで買ってしまいます。
あるいは、「逃したら悔しい」という気持ちが前面に出て、慌てて買ってしまうなんてこともあります。
ここに、中源線の発想を持ち込むと、「待て待て、買ったあと期待どおりに上がるのか?」と、今後の値動きの可能性を冷静にチェックする時間が生まれます。
そうか、出遅れている銘柄を買っても「上がらない」という結果があるのか……こう気づきます。手堅いつもりが、時流に乗らない銘柄を集めてお腹いっぱいになったら、大切な資金はリスクにさらされているだけの状態です。
「出遅れ出ずじまい」という言葉があるように、出なかったときのことも考えて、出遅れ銘柄の仕込みを検討する必要があるのです。
下がってきたところで買うのが逆張り──この説明には、大切な実践的視点が欠けています。
前述したように、買うときの狙いは「近未来の値上がり」です。
「下がった」だけでなく、まずは「下げ止まった感じ」が条件で、もうひとつ「上がりそうだ」という判断も必要です。
中源線のルールのように、実際にピクついてから買うのではなく、もう少し早く、動きがないうちに買うのが逆張りです。でも、ただ下がっているというだけで手を出すのではなく、「下げ止まっているうえに、上がりそうだ」という判断があり、「でも、わずかでも動き出す前に有利な値段で買っておこう」と苦労するのが、逆張りのテクニックです。
ちなみに、グイグイと下げている最中に「エイヤ~」と買い向かうのは、目先の突っ込みの安値を買える可能性もありますが現実の確率は極めて低く、多くの場合は「下げ過程で買いポジションを持つ」ことになるでしょう。
“上げトレンドで買いポジションを持っていると儲かる”のです。
逆張りのつもりが、逆行するポジションを持っただけ……相場“あるある”ですが、根底には、逆張りの誤った認識があるのです。
相場は、1秒前に戻ることができません。
そして、1秒先のこともわかりません。
中源線の陽転も、「上がるだろう」と勝手に判断しているだけです。
だから、「まずは3分の1買うだけ」なのです。
出遅れ銘柄は、「出遅れているだろう」と考えているだけです。
実際には出ないこともあるし、一段安するケースだってあるのです。
安値圏でモタモタしているので、「崩れた(一段安した)」と判断するのもラクです。
崩れたら、さっさと切るつもりで買うのです。
「出ずじまい」の結果も想定しておき、時間が経過したら切って現金化、次のチャンスをさぐると最初から決めておくべきです。
緻密に考えても、しょせんは「だろう」なのです。
確率は五分と五分、「一手目で当ててラクラク儲けよう」という発想が誤りで、二手目、三手目でどうにかするのが、相場の実践です。
中源線の陰陽転換、増し玉に進むかどうかの二度目の判断、そして3分割のポジション操作は、「だろう」という現実を手放さないための安全帯なのです。
「上がるに決まっている」という強い確信があるからポジションを取ることができるのですが、「それは『上がるだろう』ってだけだよね」と行動を見張る“第二の自分”がいなければなりません。
トレードは「売りと買いしかない単純作業」などといわれますが、心理面を考えると実に複雑なことを私たちはこなしているのです。
1月6日の放送「2025新年相場 スタートダッシュで買いたい有望株9選」のフォローアップを公開しました。
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2025新年相場 スタートダッシュで買いたい有望株9選
昨年8月はじめにかけての急落を、振り返ってみましょう。
「日銀ショック」などといわれますが、本当にそうだったのでしょうか。
実際のことは、誰がどう検証しても答えなんて出ません。
株価を動かす要因は、数多くあるのですから。
では、「なぜ下げたのか」という各種の解説は、実践的にどんな意味があるでしょうか。
いろいろな意見があるでしょうが、私は「なんの意味もない」と片づけます。
あとになってから“動いた理由”を考えても、過去に戻ってポジションを変更することはできません。実際、1秒前に戻ることもできないのが現実です。
「過去を検証することで将来、役に立つはず」という意見もあります。
でも、過去の数えきれない事例を研究している人が、昨年の急落を予見していたのでしょうか? そんなことはないはずです。
さて、こうした理屈を、さらに極端に推し進めたようなものかもしれませんが、「相場は相場に聞け」という言葉があります。「理屈を考えてもわからないが、現状と近未来は相場に表れる」という意味です。
こうした捉え方、相場への姿勢については議論もあるでしょう。
ただし、値動きを軸にすることで、自分の見通し、その見通しをもとにした現在のポジションから目をそらさないことで、実践的な対応に直結しやすいのが大きな利点といえます。
実際に、中源線による分析では、多くの銘柄が急落前に陰転していました。
「えっ、陰転? まだ上がるんじゃないの?」と感じていたら中源線が陰転し、現実に急落が起きた、ということです。中源線の強みを、再確認できる事例でした。
昨年8月の急落が日銀ショックと呼ばれるのは、「金利上昇=株価下落」という連想があるからです。でも、本当にそうなのでしょうか?
コロナ騒動以降、米国の景気が好調で、いきすぎた部分を抑制する狙いで金利が上昇しました。政策金利上昇の観測が出るたびに「株価下落」と騒がれましたが、ちっとも下がっていません。
日本だけの事情では、先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出が、よく話題に上ります。
「荒れた動きがあるのでは……」と。
でも、そんなタイミングで目立った動きが出ることは、まずありません。
そもそも、「SQのタイミングで急落があったら」とおびえている投資家も、ポジションを減らしたりしていないようです。
利益を上げるためにポジションを動かす、そのために材料を気にしているのかと思うと、材料を話題にするための材料……みたいな感じです。それならば、たとえ見落としが生じる可能性があったとしても、前項で挙げた「株価は株価に聞け」を貫くほうが確実に結果につながるでしょう。
事前に異変を察知して動く──至難の業です。
結局、「1秒前に戻ることはできない」ので、「常に一歩遅れで対応」するしかありません。
でも、一歩遅れたことで、スパッと行動できないのが人間です。
そんな人間の弱さを認め、“弱い状態でも、どうにか結果につなげる”のがテクニックです。
テクニック=予測を当てること、ではないのです。
堂々と、一歩遅れで行動しようではありませんか。
しかし現実では、つい二歩、三歩と遅れがちです。
それでも、行動できずにフリーズして傷口を広げることさえなければ、どうにかなるものです。
こんなところが、相場の本質、いや、神髄と呼んでいいのかもしれません。
中源線は、堂々と“一歩遅れ”の対応をしています。
しかし、数式で答えが出るので、二歩、三歩と遅れることがありません。
「上がりはじめた? じゃあ買いはじめよう」という判断が、中源線のルールです。
その基準が、明確に決まっているのです。
前項で述べたように、各種の材料におびえ、メディアの論調に振り回されるのは、「基準」がユルいことが理由です。誰も明日の株価すら知らないのですから、正解さがしをせずに、自分の基準で堂々と、常に一歩遅れで(しかし大きく遅れずに)行動することに徹するべきです。
前項までの実践論とは趣を異に、新年なので、今年の見通しを簡潔に述べます。
トランプ政権が復活しますね。
彼の素行は品がないと思いますが、政治家としては極めてまともだと思っています。
権力を利用して私腹を肥やす、民衆の敵みたいな政治家が多く、自由の国アメリカこそ、そんな輩が多いというか、あからさまにやりたい放題のように感じています。そんななか、自己満足や周囲からの賞賛だけがモチベーションといえるトランプ氏は、私腹を肥やすインサイダー野郎たちの対岸に立っているはずです。
イーロン・マスク氏を、政府効率化省のトップに指名しましたね。
AI(人工知能)技術の加速が明らかな状況で、アメリカがより効率化すれば、強いアメリカの復活です。
残念ながら軍事的に従属している日本は、この状況で優位に立つでしょう。
また、否応なく米国流株式資本主義を受け入れ、株式市場の未来も明るいのではないでしょうか。
いずれにしても、独自の「基準」と「対応」がカギです。
まだ新年です。
ご自身の姿勢、やり方、考え方を、ワクワクしながら見直してみてはいかがでしょうか。