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☆無防備より恐い「不安心理」
私が子供の頃の日本の家は無防備だった。敷地があっても門に戸がない家が多く、玄関に鍵があっても掛けない家が多かった。また、鍵を掛けていても貧弱で、玄関の戸自体が強く押せば壊れるような細い木やガラスで出来たものが多く、家の内部を玄関の戸締りで守るというより、単に内と外の境目をはっきりさせることが目的だと思えるようなものも多かった。
一方、家の内部の部屋は襖や障子で仕切られているだけで、視界は遮断できても、音や侵入者を遮断できるものではなかった。それらは仕切りを開け放てれば大きな一室に変わるような構造で、これは現代の多くの日本の家にも引き継がれている。それでいて、大きな問題とはなっていないように思える。
企業の玄関も似たようなもので、物理的な構造は強固でも、ソフト面では守衛や受付がいるにはいても顔パスが当たり前で、内部を守るというより、単に内と外の境目をはっきりさせることが目的だと思えるようなものが多かった。当時は、それで十分に通用していたのだ。それはおそらく日本が島国だったからだけではなく、他者を信頼するという土壌があったためではないか。
日本が国際化するにつれて、また、世界の地政学的リスクの高まりを受けて、そうした「無防備は愚かだ」という趨勢が支配的になってきている。とはいえ、どこまで防備すれば十分なのかという問いへの答えは用意されていない。
同じことは米ソの冷戦時にも言えた。両国は共に数千発もの核弾頭を保有していたが、それでいてさえ、まだ軍拡競争を続けていた。これは現在の世界の国防予算も同じで、どこまで増やせば十分なのかという議論もなされないままに、「不安にまかせて」増やし続けている。
世界2022年の軍事費支出は前年比3.7%増の2兆2400億ドルだった。2021年の0.7%増から急加速、1988年以降での最高額を更新した。
米国は世界全体の軍事費支出の39%を占め、0.7%増の8770億ドル。2位の中国は4.2%増の2920億ドル。3位のロシアは9.2%増の864億ドル(GDP比4.1%)。4位のインドは6.0%増の814億ドル、5位のサウジアラビアは16%増の750億ドルで、これら上位5カ国で世界全体の63%を占めた。米国の伸びが小さいのは政府が債務上限に達していることも要因だと言っていい。
また、韓国は464億ドルで、日本を抜いて9位。日本は5.9%増の460億ドルで10位。ウクライナは640%増の440億ドル(GDP比34%)で11位だった。
どこまで防備すれば十分なのかが分からないのはコロナ対策も同じだった。疫病対策で先行し、少なくとも相当期間は効果的な鳥インフルエンザなどの感染地域全体の「殺処分」に、ヒト相手ではどこまで近付ければ十分なのかが分からないのに、「不安にまかせて」日常生活や経済活動の殺処分に相当する行動制限を行った。とはいえ、各地で行われている鳥の殺処分でさえ、時期と場所を変えて再発し続ける鳥インフルエンザなどへの究極的な防備とはなり得ていない。
またコロナ対策の緩和を受けて、今、私が住んでいる地域では季節外れのインフルエンザが小学校で流行し始めたが、長く続いたマスク生活で病原菌に対する抵抗力が落ちたせいだと言われている。つまり、これまでのコロナ対策自体が新たな疫病拡大の要因をつくってしまったのだ。
そして、鳥インフルエンザが各地で繰り返していることが示唆しているのは、コロナ禍の大規模な再来も、その可能性があるということだ。とはいえ、今回のコロナ対策は無理に無理を重ねたものであったために、次回のコロナ対策への経済的、社会的な対応力は極めて制限されることになる。
どんなものが相手でも完全な防備など見込めず、効果が見込めるものには、それなりの副作用があるのだ。これが教えてくれるのは、何事も優先順位だということだ。
戦争は、戦勝国であっても大きな人的被害や経済的被害を免れない。そのために、戦勝国は敗戦国から領土を奪ったり、賠償金を要求するなどしてきた。第二次世界大戦ではそれが緩和されたと喧伝されてはいるが、それは程度問題だけで、敗戦国が戦勝国の損失補填をする構造そのものには変化がない。
戦争の当事国は勝ち負けに関わらず利益よりも損失の方がはるかに大きい。戦争で利益を得られるのは、当事国に武器などの援助を行う「戦時景気」に預かれる国だけなのだ。これは、各地で現在進行中の戦争や内戦にも当て嵌まっている。つまり、戦争の当事国になることは、勝てる見込みがある国でさえ避けねばならないものなのだ。国防はそれを前提にしなければ、国防本来の意味をなさない。
日本の国防予算は構えを大きくして、敵対国の「不安心理」を煽るだけのものだ。武器があっても弾がなければ戦えない。弾を作るには工業力が欠かせない。武器と弾があってもエネルギーがなければ戦えない。エネルギー自給には水素を含む再生可能エネルギーが欠かせない。また、モノがあってもヒトがいないと戦えない。食料自給は有事にこそ不可欠となる。
また、ミサイル攻撃に備えて地下のインフラを再点検、再構築することは、温暖化による被害への備えともなる。Jアラートのような行動制限を伴いながら不安心理を煽るだけのようなものは、百害あって一利がない。仮にJアラートが促す避難による混雑等で死傷者が出るようなことがあれば、それはミサイルによる間接的な被害なのか、政府の政策による自滅的な被害なのか、いずれにせよJアラートがなければ防備できた被害だと言える。
「不安心理」は無防備より恐い。地に足のついた食料、エネルギー、経済インフラなどの自給、自立への予算配分は、経済を進展させ、国力を高めることができる。それが、敵対国には手強い相手となることで抑止力を高めることになる。これこそが国防ではないか?
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