・分断化を恐れるな | 矢口新

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☆分断化を恐れるな

冷戦終結後の世界経済はグローバル化の進展と共に、高成長時代を謳歌した。世界貿易機関 (WTO) が発足した1995年から2020年までに、世界経済の成長率はドル建て名目GDPで、2.73倍となった。

同時期に米国経済は世界経済と同じ2.73倍の成長、中国は20倍も成長したが、日本経済はむしろ縮小した。
参照図01:世界3大経済国の名目GDPの推移(出所:国連統計局)
 

中国のこうした急成長に大きく貢献したのは、世界最大の人口を持つ中国の安価な労働力と、巨大消費市場の恩恵に預かろうと、先進諸国がこぞって技術や資金を提供したことだ。

ところが、中国が日本を追い抜き、世界第2位の経済となった2010年以降から、米国の対中政策に変化の兆しが現れた。そして2018年以降は当時のトランプ大統領が追加関税など厳しい対中政策を採るようになった。

一方の中国は、習近平政権が2013年以降、一帯一路構想やアジアインフラ投資銀行などを通じて、米国の世界覇権に挑戦する姿勢を打ち出した。

米国の対中政策はバイデン政権になっても、ウイグル自治区の人権問題、香港の民主化運動、台湾併合問題などもあって、対抗姿勢が強まっている。

そして、2022年初頭のロシアのウクライナ侵攻に対する米国主導の対ロシア制裁に、中国をはじめとする多くの国々が従わないところから、世界は分断化の様相を強めることになった。

そこで、日本経済はグローバル化の崩壊、あるいは世界の分断化で、中国なしで乗り切れるのかという懸念が高まってきている。

しかし、上図01と下図02が示唆しているのは、日本が自分の成長を犠牲にしてまで、中国の成長を助けた可能性だ。少なくとも経済成長に関しては、日本にとってのグローバル化は恩恵よりも犠牲の方が大きかったことになる。

世界貿易機関(WTO)の発足がグローバル化の象徴だとすれば、それ以前の日本経済はいずれ米経済に追いつき、追い越す勢いであったのが、同時期から縮小に転じたのだ。
参照図02:世界3大経済国の名目GDP推移と米国の対中政策
 

日本経済にとってのグローバル化は、その恩恵よりも犠牲の方が大きかったのだとすれば、分断化を過度に恐れる必要があるだろうか?

日本経済は中国やロシアがない世界で既に今とほぼ同じ規模に到達していた。その後の低成長の理由を少子高齢化や労働人口の減少とするのは論理的ではない。労働者が本当に不足しているのならば、労働者は希少価値を持つことになり、労働者の待遇が改善するはずだからだ。

ところが、実際には非正規雇用が増え続け、賃金は低迷し、残業なしには生活もできない人々が増え続けている。これはグローバル化によって産業の空洞化が起こり、日本に労働力の余剰が生じたことを示唆している。

グローバル化がもたらした世界経済の高成長時代に、日本経済は縮小均衡でいたが、その中でも貧富格差は拡大したので、一般の日本人の生活は絶対的に貧しくなっただけでなく、相対的には大きく諸外国に抜かれ、取り残されることになったのだ。

参照図03:日米仏豪韓国の平均年収推移(出所:ウォールストリート・ジャーナル)
 


もっとも、円建て見た日本経済の事実上のピークが1997年であったように、日本経済停滞の原因をグローバル化だけに求めるのは無理がある。私は消費税導入を伴う1989年度の税制改革が日本経済に最も大きな悪影響を与えたと見なしている。

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いずれにせよ、日本がグローバル化の崩壊を過度に恐れる必要はないのではないか? むしろ日本復活のきっかけに変えることが出来ないだろうか?

世界が分断化されるのならば、食料の安全保障、エネルギーの安全保障を真剣に考えて、自給化を進める必要が出てくる。また、サプライチェーンの充実も求められるようになる。日本人や日本企業は、それらの新たな、そして大きな需要に十分に応えられるのではないか?

日本には、世界の国々と比較して、十分な個人の金融資産、銀行預金残高、企業の内部留保がある。円安も追い風にできる。そして、優秀な人材だ。

私は世界のトップ企業に勤め、ノーベル経済学賞受賞者やMITの教授とも仕事をしたが、日本人の能力が劣ると感じたことは一度もない。

また、特に感じるのは一般的な日本人の実務能力の高さだ。一流大学の大学院卒や東大卒の日本人と、大学に進まなかった日本人の実務的な能力差をほとんど感じないというところだ。

グローバル化の崩壊は、日本にとっては大チャンスかも知れない。一方、グローバル化でも衰退し、その崩壊でも衰退では哀しすぎる。分断化を何としてでもチャンスに変えねばならない。

そのためには、消費税のように日本経済の足を引っ張るような税制ではなく、1988年までの日本がそうであったような、国民の成長力を信じる税制に戻す必要があるのではないか。

 

 

 

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