・激動の時代を活きる | 矢口新

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☆激動の時代を活きる

生きるという言葉に「活きる」を充てた意味は、このコメントを最後まで読んで頂ければ分かる。激動という言葉を大袈裟に感じる人もいることだろうが、既に激動だと感じている人もいることだろう。激動が恐いと感じる人がいる一方で、今の状態に耐え切れず、激動を求めている人もいることだろう。

世界的に見れば、曲がりなりにも統一に向かってきた世界が、分断へと方向を変えた。象徴としては、平和的には英国のEU離脱、そうでないケースはロシアのSWIFT(国際間銀行決済システム)からの追放だ。これは、安定から激動への変化を示唆している。


また中国では、今後5年間は続投する習近平氏が、台湾統合のためには米国との武力衝突さえ厭わない姿勢を明確にした。これまで中国のトップは独裁を避けるために、2期10年と決められていたが、習氏はそれを反故にした。それを正当化するためにも台湾統合は譲れない目標だと言えるだろう。

そして、習氏は李克強首相、胡春華副首相などエリート集団ともいえる共青団出身の有力者を一掃し、自身の子飼いなどイエスマンだけで指導部を固めた。そのため年齢や経歴から、後継者と目される人材が指導部からいなくなった。つまり、習近平独裁体制を築き上げたと言える。

その中国が戦争準備を進めている。習指導部は「今後数年間で利用できる核の選択肢の範囲は広がる」とした。そうした法整備、核を含む軍備増強だけでなく、英空軍や豪空軍の元パイロットたちを高給で雇い入れ、戦術や技術を学んでいるとされる。英空軍からだけでも、30人以上の元パイロットが中国軍に加わったと報道された。これは、台湾統合のためには米国との武力衝突さえ厭わないと言っているのだから、言行一致のためには必然の展開だ。

食料やエネルギーの備蓄も進めている。また、世界の生産量の6割弱を占める粗鋼生産は9月に前年比17.6%増の8700万トンだった。2位のインドは1.8%増の990万トン。日本は12.3%減の710万トン、米国は7.5%減の660万トンだった。中国の戦争遂行能力は高い。


対する米国はどうか? 日経からフィナンシャルタイムズの記事を部分引用する。

(引用ここから、URLまで)

米規制で台湾有事の恐れ 今や中国の政権交代も視野
エドワード・ルース 2022年10月28日

Financial Times
超大国がある大国に宣戦布告したが誰も気づいていないという事態を想像してみてほしい。バイデン米大統領は7日、半導体先端技術の中国への輸出規制強化を発表し、何としても中国の台頭を阻止すると約束、中国への全面的な経済戦争を開始した。だが、ほとんどの米国人は、これに反応しなかった。

(中略)

しかし、バイデン氏が今回とった措置には2つの大きなリスクがある。第1は米国が今や中国の政権交代をも辞さないということを暗黙の目標としつつあることに伴うリスクだ。

(中略)

規制強化の対象は「米国の個人」にも及ぶ。つまり米国籍を持つ市民のみならず米国永住権(グリーンカード)の保持者が許可なく中国での半導体製造にかかわることも禁じている。

このことは、そうした中国人に米国か中国のいずれかを選ぶよう迫ることを意味する。多くは米国を選ぶだろう。だが、米永住権を保有する中国人は何万人もおり、彼らは今後、中国政府がこれまで指摘してきた中国と米国の両方に忠誠心を持つなどあり得ないとしてきた意味を納得することになるだろう。

(中略)

米国人を含む西側諸国の多くの人からすれば、中国は何十年も西側の知的財産権を盗み、それにより軍事力を拡大させてきただけに、中国に対する一連の措置は当然の対応に思えるだろう。

しかし、中国側からすると、米国が中国共産党を永遠に抑え込もうとしているように映る。そのことは、米国が中国の体制転換を狙っているのとほぼ同じことを意味する。

規制が武力による台湾統一のリスク高めた可能性も

第2リスクはもっと差し迫ったものだ。バイデン氏が強気の姿勢に出たことで、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は台湾統一の計画を加速させるかもしれないリスクだ。台湾は高性能の半導体の生産では圧倒的世界トップに位置する。

(中略)

米国は、中国が台頭すればするほど米国がそれだけ失うというゼロサム的な見方をするようになったわけだ。

中国が何年も主張してきたこと、特に習氏があからさまに主張するようになったことにバイデン氏が遅ればせながらようやく対応し始めたという言い方もできるかもしれない。だが、だからといって何か安心できるわけではない。

要するに世界の覇権国である米国と、その唯一の有力なライバル中国が今や互いを同じレンズを通して見ているということだ。歴史ではよくあることだが、大国同士のことに他国が口を差し挟む余地はほぼない。

バイデン氏の今回の賭けは効果を上げるだろうか。筆者はこの事態の行方に不安を感じている。習氏が武力による台湾統一に出るのか、自制するのかはわからない。だが、世界は大騒ぎを伴わないまま静かに変質した。今後も砲撃の音など聞かなくてすむ静かな状況が続くことを願うしかない。

参照:[FT]米規制で台湾有事の恐れ 今や中国の政権交代も視野


また、米政府は新たな核戦略の指針となる「核体制の見直し」を公表した。中国が核戦力の拡大・近代化を急ぎ、インド太平洋地域での軍事威嚇に核兵器を使うおそれがあるとの危機感を示した。中国が10年後までに少なくとも1000発の核弾頭を保有し、20年時点の5倍に増強すると見積もっている。

オースティン米国防長官は「米国や同盟国・有志国の利益を脅かす侵略を抑止する米軍を強化する」と述べた。中ロの脅威に対し、日本や欧州の同盟国などと「緊密に連携し、地域ごとの侵略を抑止する」と表明した。30年代までに「米国は歴史上初めて、戦略的な競争相手、潜在的な敵対者として、2つの主要な核保有国に直面する」と切迫感を強調した。

また、喫緊の課題としてウクライナに侵攻するロシアを挙げ、「戦争に勝とうとしたり敗北を回避したりするために核戦力を使う可能性があり、今日の最も深刻な例だ」と述べた。北朝鮮にも言及している。


その一方で、米国防総省当局者は、米空軍が沖縄県の嘉手納基地でのF15戦闘機常駐を見直し、FX22ステルス戦闘機の巡回配備への切り替えを来年に計画していると明らかにした。

嘉手納基地は極東最大級の空軍の拠点。戦略的に重要な場所にあるため、米軍戦闘機が常駐しなくなれば中国が威圧を強める可能性があるとされる。


中国の脅威を指摘する一方で、米空軍を沖縄から後退させる。これは、矛盾だろうか?

私はより差し迫った危機だと見ている。ウクライナが好例だ。

ロシアがNATOの東進を警戒し、対抗策を警告してきたにも関わらず、米国は2014年ウクライナに武装クーデターで親米政権を樹立、NATO加盟準備を法制化させた。そして、ロシアには経済制裁を強め、じりじりと圧力を強めた。そうしていながら、米軍はウクライナに派遣せず、未だにNATO加盟も認めていない。つまり、米国は自分の身には危害が及ばないようにして、ロシアを誘い込んだといえる。

米国の狙いはロシアを叩くことだ。そのためウクライナには出来る限り頑張って貰って、最終的に米国やNATOが乗り出す前に、ロシアをできるだけ疲弊させておくことだ。

また、シティグループはロシアがウクライナ侵攻を始める何週間も前から、ロシアでの業務規模の縮小を始めていたと報道された。同社は2022年1-3月期にロシアへのエクスポージャーを20億ドル削減した。シティグループはエクスポージャー縮小に伴ういかなる実損の報告も行わなかった。

米軍機の沖縄常駐から巡回配備への切り替えは来年だ。これは米軍が中国の奇襲攻撃を避ける意味でも、中国を誘い込むという意味でも、「危機が近い」と言えるのではないか?

ここでも米国の狙いは中国を叩くことで、台湾防衛ではない。台湾や、おそらく日本、韓国にも出来る限り頑張って貰って、最終的に米国が乗り出す前に、中国をできるだけ疲弊させることなのだ。


一方、中間選挙を控え、必ずしも安泰とはいえないバイデン政権に対し、習近平氏はまずは太子党(中国共産党の高級幹部の子弟等で特権的地位にいる者たち。習氏の父親も建国の英雄)のライバルたちを蹴落とし、側近でも実力者たちは次々と排除し、今回はとうとう共青団すら排除、安定した独裁体制を築き上げたかのように見える。もっとも、今後は内輪揉めが危機となるかも知れない。

中国は、経済的には2011年にドル建ての名目GDPで日本を抜き、世界第2位の経済国となった。そのためか、2011年1月にはヘンリー・キッシンジャー氏が「米中両国が冷戦状態に入りつつあると警鐘」を発し、同年11月には当時のオバマ大統領が訪問先のオーストラリア議会での演説で、アメリカの世界戦略を「対中国抑止」へと転換することを宣言した。これは、中国が名実ともに米国のライバルと目されるようにまでなったことを意味している。

そしてウクライナ戦争により、長年の盟友であり、ライバルであり、敵でもあったロシアから、最も頼りにされる存在ともなった。

つまり、国内の経済問題やコロナ対策で顕著になった国民の不満の高まりを除いては、習近平氏は我が世の春を謳歌しているとも言えるのだ。

もっとも、経済問題や国民の不満対策として、対外的な攻勢、台湾統合という目に見えた結果を欲する可能性もある。また、69歳にもなる習近平氏が戦略的に自身の安泰を図ること自体が、中国政治を不安定化させることになる。今後、中国が世界の激動の目になっていく可能性が高い。


日本の戦後は、日本史上で江戸時代の安定期にも匹敵する安定・平和な時代だった。しかし、中国はそうではない。日本の戦後に国共内戦があり、その後も文化大革命など、国民の価値観や地位が激変してきた。

今後、日本人もそうした時代を迎える可能性の準備として、当時の中国の人たちの人生を描いた香港映画をご紹介したい。

以下が、アマゾンプライムの紹介文だ。


(ここから、URLまで)

1940年代から60年代にかけて、文化大革命へと激動する中国・毛沢東時代を、必死に、そして逞しく生き抜こうとする家族の姿を描いた珠玉の大河ドラマ!1940年代の中国。資産家の福貴(グォ・ヨウ)は、博打に明け暮れる毎日。ある日、博打の借金のため、全財産を失い、妻の家珍(コン・リー)は子供たちと家を出て行ってしまう。すべてを失った福貴は、影絵芝居で全国を巡演し生き延びていく。戦火の中をかいくぐり辿り着いたわが家で、貧しいながらも家珍はやさしく福貴を迎えてくれた。しかし、娘の鳳霞は言葉が話せなくなっていた…。(C) 1994 ERA INTERNATIONAL(HK)Ltd.

参照:活きる(字幕版)


「生きる」という題の映画は、黒澤明の映画にある。1952年公開の日本映画だが、既に安定・平和な時代を彷彿とさせるものだ。

共に名作だが、今の私には激動の時代を「活きる」方が刺さる。博打の借金で全財産を失うのはほんのイントロ部分で、後はほとんどの中国人がそうであったように運命に翻弄されてしまう。そんな中で、それなりに幸せを噛みしめながら、ひたすらに、淡々として生きるのだ。

ロシアのウクライナ侵攻で、ロシアの文化や芸術までもが否定され、以前から日本にいたロシア人たちもがいじめにあったという。仮に、日本と中国とが戦争するようなことになっても、そういうことにはならないように願いたい。

日本人、ロシア人、中国人を問わず、ヒトは国や民族、政治体制、思想の違いを超えて、それぞれの運命に翻弄されながら、ひたすらに活きているのだから。

 

 

 

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