・株式市場の歴史 | 矢口新

━━━━━━━━━━━ Seminar on Trading ━━━━━━━━━━━
    殿堂入りメールマガジン:「相場はあなたの夢をかなえる」
    ☆無料版(参照&登録):https://www.mag2.com/m/0000031054.html
「生き残りのディーリング」の著者による経済と相場の解説(折に触れて)
★有料版(\840税込:購読登録):http://www.mag2.com/m/0001111340.html
まぐまぐ大賞2016:資産運用(予想的中!)第1位(毎週月曜日)
━━━━━━━━━━━━【 Dealer's WEB 】━━━━━━━━━━━━━

・iPad、iPhoneでお読みの方は、上部アドレスバーにある[リーダー]をクリックすると、読みやすくなります。

 

 

☆株式市場の歴史

まずは、個人が行える資金運用の代表的なもの、株式投資の話をしましょう。

さて皆さんは、株式投資は金持ちだけのもの、株式市場は貧富の差を拡大させると思ってはいませんか?

確かに、2009年の米株の底入れに始まった世界的な株高で、持てる者と持たざる者との格差が大きく広がりました。世界のビリオネアのほとんどは自社株を中心とした株式を保有していると言えます。

しかし一方で、株式市場は富を分散させることに役立ってきたのです。企業が株式を発行して、不特定多数の人に株式を持って貰うということ自体が、富の分散なのです。

これは、株式市場の成り立ちを考えると、より理解できると思います。

株式は株主から見れば所有権の証明書ですが、発行側から見ると一種の債務証書(金銭借用書)です。

債務証券などの転売取引は12世紀頃からフランスや北ヨーロッパのハンザ同盟などの諸都市で行われていたと言われています。1309年には、ベルギーのブルージュにそうした世界最初の証券取引所「Bruges Bourse」が設立されました。

その頃の債務者は債務証券に対して無限責任を負っていました。例えば、「債務不履行の場合には自身の肉1ポンドで償う」と証書にあれば、場合によっては死をもって償うしかなかったのです。(注:シェイクスピアの「ベニスの商人」は弁護人の機知によって救われますが……)

1555年以降に英国で世界最初の法人(会社)が英国王から営業許可を貰う形(勅許会社)で設立されました。モスクワ大公国との貿易を行う「モスクワ会社」や、オスマン帝国との交易を行う「レヴァント会社」などです。

今の国際政治を賑わせている英国、ロシア、トルコなどが、当時も主役たちだったことが分かります。

法人とは法律上の人格で、個人と同じように債務などの履行義務や賠償責任を負います。このように法人を設立し、会社が行った借金を、会社に関係する個人から切り離すことで、会社に出資する、あるいは運営する個人は無限責任から解放されるようになりました。

1600年には、「イギリス東インド会社」がアジア地域における貿易の独占権を認められ勅許会社として設立されました。それまでの勅許会社といえば、王侯貴族や大商人たちが集まって行なっていたレベルでしたが、イギリス東インド会社は従業員を雇い、「1回の航海ごとに出資金を募り、船が戻ってきたら配当金を支払う」という仕組みをとりました。これは、まだ航海ごとの単発契約でした。

一方、オランダでは対アジア向けの中小の貿易会社が数多く存在し、1601年末までに15の船団からなる65隻の船が東方に派遣され、香辛料などを満載にして戻ってきたとされています。その結果、競争が激化し十分な利益が確保しづらくなってきていました。そんなところに規模の大きなイギリス東インド会社が参入してきました。

そこで1602年3月、オランダ連邦議会主導で中小の貿易会社が統一され、「オランダ東インド会社」が設立されました。また、同社はアムステルダム証券取引所で、世界で最初の株券を発行し、世界初の株式会社となりました。

株式も資金調達という意味では一種の借金ですが、会社がその所有権を小口に株分けして売却する形を取ります。つまり、出資者(株主)はその会社の株式出資割合に応じたオーナーとなるのです。英語で株式のことをStockやEquity、あるいはShareと言いますが、それぞれ株、所有権、分け前といったような意味です。

オーナーなので、株主はその会社が破綻した時には、出資額全額を失います。とはいえ上記で述べたように、法人が行った借金の返済義務を株主個人や経営者が負うことはありません。昔も今も株主のリスクは、自分が支払った金額の範囲内だけに収まるのです。

オランダ東インド会社の特徴は、イギリス東インド会社のような単発契約ではなく事業継続を前提としていたこと。株券を発行したことで、小口での出資が可能になったこと。取引所に上場したことで、株式の譲渡が自由になったことです。つまり、少ない資金でも継続したビジネスのオーナーになることができ、株式の形を取った所有権を、市場で自由に売買できるようになったのです。

これで急な出費で出資金を回収したいときには自由に株式を売却できるだけなく、購入価格よりも高い株価で売却し、売買差益を得ることができるようにもなったのです。また、会社が事業で稼いだ利益を分配する「配当」によって、定期的に現金収入が得られるようにもなりました。

株式市場以前には、貿易のような大きなビジネスは王侯貴族や大商人たちが独占していたことを鑑みれば、これは貧富格差の拡大どころか、富の分散に繋がったことを意味しています。

現在のビリオネアたちも、一般の人たちが株式市場のシステムを利用することで、富を築きました。例えば、創業者が発行株式の50%を保有するような新規株式公開では、出資者たちが支払った資金の半分が創業者の手元に入ります。魅力的なビジネスプランがあれば、手持ちの資金が少なくても株式公開でビリオネアにもなれるのです。

後述しますが、ビリオネアになりたければ、こうした小さな資金を格段に大きくするレバレッジを考えることが必要です。スポーツ選手や芸術家、ユーチューバーなども、ファンやフォロワーがレバレッジ機能を与えているのです。

現在の貧富の差の拡大は、株式市場によるものではなく、そうしたレバレッジで得た収益への課税を下げてきたことに大きな原因があります。「相対的に富者に軽く、貧者に重い税制」によってつくられたものだと言えるのです。このことも後述します。

図06:株式市場の役割
 

私は株式市場が中産階級の育成に大きな貢献をし、経済的に力をつけた市民が革命を起こしたことで民主主義が発展してきたと見なしています。実際にサラリーマンが億万長者になったり、少ない資金でも専業トレーダーになる人が出ること自体が、株式市場の富の分散機能を示しています。

現在は、中高生のお小遣い程度の資金でも株式投資やFXトレーディングが行えます。また、チャートなどのシステムも、1980年代や90年代のプロのディーラーでも望めなかったような高性能のものが、基本的に無料で使えるようになりました。そのことで、投資で最も成否を左右すると言えるタイミングを測ることが容易になりました。

ここで述べた「株式市場の歴史」をまとめると、以下のようなものとなります。

法人の発明で、個人から借金返済のリスクが切り離された。
株式会社の発明で、資金調達先が広がった。
株式市場の発明で、転売や、継続事業途中からの投資が可能になった。
それらのことで、リスク限定で、リターンが狙えるようになった。
中途参入、転売などで、タイミングの重要性に気付くようになった。
より多くの人が株式市場に参加できるようになり、富の分散が進んだ。
中産階級が育ち、民主主義に発展した。

 

 

 

・Book Guide:What has made Japan’s economy stagnant for more than 30 years?/ How to protect the pension and medical care systems (Arata Yaguchi: Paperback)

・Book Guide:What has made Japan’s economy stagnant for more than 30 years?/ How to protect the pension and medical care systems (Arata Yaguchi: Kindle Edition)

 

・Quiz Book:What has made Japan’s economy stagnant for more than 30 years?: 57 questions to reveal the problems of the Japanese economy (Arata Yaguchi: Kindle Edition)

 

・著書案内:日本が幸せになれるシステム: グラフで学ぶ、年金・医療制度の守り方(著者:矢口 新、ペーパーバック版)

 

・著書案内:日本が幸せになれるシステム・65のグラフデータで学ぶ、年金・医療制度の守り方(著者:矢口 新、Kindle Edition)
 

・著書案内:日本が幸せになれるシステム問題集・日本経済の病巣を明らかにするための57問(著者:矢口 新、Kindle Edition)




---------------------- Seminar on Trading ---------------------
         毎日、数行! マーケット情報で学ぶ経済英語!
    ☆無料(参照&登録):https://www.mag2.com/m/0000142830.html
一週間のまとめはブログでも読めます:https://ameblo.jp/dealersweb-inc/
------------------------【 Dealer's WEB 】-----------------------

 

 

 

☆【投資の学校プレミアム


☆「矢口新の短期トレード教室」
転換点を見極め、利益を残す方法を学ぶ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?c=9784775991541

ブログ一覧に戻る