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☆ここからは円高か、円安か?

7月29日のニューヨーク市場で円相場は3日続伸、前日比1円05銭円高・ドル安の1ドル133円20銭近辺で取引を終えた。2週間ほど前の139円台からは4%以上の上昇で、6月中旬以来の円高水準となる。

こうしたことで、今後は円安に進んでもそれはオーバーシュートで、円安は定着しないという見方が出てきた。ロイターの記事を引用する。


「1990年代に円売り・円買い双方の為替介入を手掛けたことで『ミスター円』として知られる元財務官の榊原英資氏は29日、日米の経済環境が変化しているため、急激な円安は続かず、日銀が為替市場に介入する必要はないと述べた。

ロイター・グローバル・マーケット・フォーラムで『(円は対ドルで)140円に達するかもしれないし、140円すら超えるかもしれないが、150円や160円など一段と大幅に進むことはないだろう』と指摘。円安は主に日米間の金融政策の違いによって引き起こされたが、『今は状況が変わりつつある』とした。

また、世界経済の後退圧力が高まっているため、日銀は今後数年間は緩和政策継続を余儀なくされるかもしれないと言及。ただ、それが日銀にとって『機会を逸する』ことにはならないとの見方を示した。」

参照:円安続かず、日銀の為替介入必要なし=「ミスター円」榊原氏


この記事は非常に簡潔なので、同氏の発言内容をどれくらい伝えてくれているのかは分からないが、ここにある「円安は主に日米間の金融政策の違いによって引き起こされたが、『今は状況が変わりつつある』とした」点についてだけ、私見を述べる。


まず、「円安は主に日米間の金融政策の違いによって引き起こされた」ことについてだ。

ここでの「日米間の金融政策の違い」とは、金融緩和の継続を決めている日本に対し、金融引き締めに転じた米国を意味している。

日銀は2016年1月に始めたマイナス金利政策を今後も継続する。資産購入枠もコロナ後に倍増させた12兆円を維持したままだ。

一方、米連銀は2022年3月から利上げを開始、既に2.25%も引き上げた。また、6月からはネットベースでの資産売却による資金回収も始めている。

これによって、日米金利差が大幅に拡大。単純化すれば、円売りドル買いしてドルを保有すれば、これまでより2.25%も多くの金利が得られることになった。

その意味では、「円安は(主に)日米間の金融政策の違いによって引き起こされた」と言っても間違いではない。

とはいえ、ここで(主に)を()で括ったのは、他にも金利差に負けない大きな要因が円安に繋がっているからだ。

まずは、参照図01をご覧いただきたい。
参照図01:ドル円レートと日本の貿易収支(出所:財務省)
 

この10年間で、このような勢いでドル円が上昇したのは2回目だ。2012年の後半から、2015年の終わりにかけてで、日米金利差は動かなかったが、ドル円は76円から124円に上昇した。この時の主な要因は、日本の貿易赤字だと私は見ている。

貿易赤字とは、輸入金額が輸出金額を上回ることで、日本の場合では主にエネルギーを買うための外貨需要が、輸出で得た外貨供給を上回ることを意味する。貿易赤字とは、端的に言えばドル不足で、そうしたドル買い需要がドル円レートを押し上げるのだ。

今回の円安ではどうか?

上図01の下の部分に書いているように、過去最大の貿易赤字になる見通しだ。日本は世界でも有数のエネルギー海外依存国なので、今後の世界情勢を鑑みれば、貿易赤字が定着してしまう可能性が高い。ウォールストリート・ジャーナルなどは、「米国産ガスが世界で争奪戦」としているので、高い天然ガスを買わねばならなくなる可能性が高い。

岸田政権はそうした今後の世界情勢を鑑みて、国防費を倍増させる計画だが、武器購入などで、ここでも大量のドルが必要となるはずだ。

また、日本は食糧の自給率を下げ続けている。ここでも外貨需要が減る見通しが立たない。エネルギーのほぼ全て、食糧の大半を海外依存していて、岸田政権はどのようにして日本を「自衛」するつもりなのだろか?
参照図02:日本の食糧自給率(出所:農水省)
 


また榊原氏は、日米間の金融政策の違いについて、「今は状況が変わりつつある」と述べる一方で、「日銀は今後数年間は緩和政策継続を余儀なくされるかもしれない」と言及している。このことは、米国の金融政策も緩和に転じるということを意味するのだろうか? とはいえ、米連銀が0.75%の大幅利上げに踏み切ったのはほんの数日前だ。この点に関しては、榊原発言は意味不明なので、解説は避けておく。

私が知る限り、世界的な利上げは進行中で、米国もまた道半ばだ。つまり、円相場トレンドの2大要因とも言える、日本の貿易収支と、円と海外金利差のどちらもが長期的な円安トレンドを示唆している。

こうした円安トレンドが止まる見通しは今のところない。どこまで行くのかさえ分からない。日本産業の空洞化により円安が輸出拡大に繋がる割合が下がっており、生活必需品の輸入依存を進めたために、円安がさらに貿易赤字を拡大させる可能性が高いからだ。

ここ2,30年間の日本の政策は、海外へのバラマキを続けながら、海外への依存を深めると言う奇妙なもので、日本を土台から弱めることに繋がってきた。

その結果ともいえる貿易実需と資本実需が置かれた現況を鑑みると、ここ2週間ほどの円高は投機資金の反対売買によるものである可能性が高い。そうした自律反発によるものでは6~7円幅の反転は十分な値幅なので、経験則から円安に戻る日も近いと見ている。

関連:ドル円130円超えなのに、日銀はマイナス金利政策を継続

 

 

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