・バイデン政権の狙い | 矢口新

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☆バイデン政権の狙い

バイデン米政権は5月28日、2022会計年度(21年10月~22年9月)の予算教書の一環として財政見通しを公表した。詳細は以下の通り。下記の表は日本人には余り関係がなく、非常に見難いので飛ばしても結構だ。
参照:〔表〕米予算教書の財政見通し


同政権は同時に経済見通しも公表した。こちらは景気や金融政策を通して、日本経済にも大きな影響を与えることになる。上記の表よりは見易いので、目を通して頂きたい。
参照:〔表〕米予算教書の経済見通し


この表からは、2021年から2027年までの実質GDP、GDP価格指数、消費者物価指数、失業率、3カ月Tビル利回り、10年国債利回りの、米政府の見通しが見られる。

実質成長率は5.2%増から1.8%増へと漸減していく。

名目GDPから実質GDPを計算することに用いたインフレ率は1.8%から2.0%で安定している。

消費者物価で見たインフレ率は2.1%から2.3%と、若干高めで安定する。

失業率は5.5%から3.8%へと低下する。

3カ月Tビル利回りは0.1%から継続的に上昇し、1.6%となる。

10年国債利回りは短期金利の上昇を受けて、1.2%から2.7%に上昇する。


この米政府の経済見通しのうち3番目までは、国際機関や民間のエコノミストだけでなく、米連銀の中にも異論はあるだろう。何故なら、財政、金融両面での前代未聞の資金供給が、この程度の経済効果しかないことを疑問視する人が多くいても不思議ではないからだ。

逆に、4番目の失業率はマクロの経済政策だけではここまで改善するかは疑問だ。これが有権者への単なるアピールでないとすれば、ミクロ面で失業率の低下に繋がる政策を取ることを示唆している。

4番目は金融政策を示唆するという意味で、最も重要なものかも知れない。何故なら、3カ月Tビル利回りは政策金利に強く連動するからだ。

この見通しが示唆しているのは、米連銀は2022年中にも利上げを開始し、2027年には政策金利が1.5%ほどになっている可能性だ。

1~3番の経済成長率やインフレ率の見通しからは利上げを続ける必要がないので、逆に利上げを続けるからこそ低成長でインフレ率が安定すると見るべきだろう。

この利上げが5番目の10年国債利回りの上昇に繋がることになる。

もっとも、3カ月Tビル利回りと10年国債利回りとの連動は、この表のようになる確率は低い。これでは長短金利差が1.1%から1.3%で安定することになるからだ。3カ月Tビル利回りは政策金利と連動するが、10年国債利回りは市場の需給に大きな影響を受ける。

いずれにせよ、この政府見通しが正しければ、投資家が恐れるものは何もない。今の投資家が恐れているのは、景気の加速に伴うインフレ率の急上昇で、その結果としての政策金利と市場金利の急上昇だからだ。


私自身は、財政、金融両面での前代未聞の資金供給が、この程度の経済効果しかないと思わない。また、財源確保としての富裕層への増税も、経済成長とインフレ率の押上げに繋がるのではないかと見ている。

何故なら、これまでの膨大な資金供給に対して、インフレ率が上がらず、政策金利も低水準だったいわゆる「ニュー・ノーマル」の主因を、私はこれまでの富裕層や企業への税優遇と、それに対する一般大衆の税・社会保障費負担増に見ているからだ。

つまり、政府当局による膨大な資金供給の大半を富裕層が独占してきたために、彼らの豪邸や豪華ヨット、プライベートジェット、宇宙旅行などの消費がもたらすだけの経済効果では、世界的な低成長、低インフレ、低金利にならざるを得なかったと見ているからだ。

例えば、10人の大金持ちが毎年100台の自動車を買っても、年間1000台にしかならない。一方、一億人が10年に1台買うだけでも、年間1000万台売れる。桁がいくつも違うのだ。

私はバイデン政権の狙いが思惑通りに進めば、世の中は良くなると見ている。私の新著「日本が幸せになれるシステム」とは、消費税の撤廃、富裕層への増税を意味しているのだ。

これまでの一般国民(貧困化)→政府(赤字)→富裕層(使い切れない資産)への資金の流れを、富裕層(余剰資金の徴収)→政府(黒字化)→一般国民(安心できる生活)へと逆流させることを提案している。

それが景気拡大や社会の安定化を通じて富裕層にも恩恵があることに多くの人々が気付けば、社会は変わると見ている。実際に、米国は変わりつつあると言えるのではないか。

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