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☆株価4万円予想は撤回

1989年末にピークをつけた日本株が崩壊した要因としては、政策金利の引き上げや、不動産融資に対する総量規制などがよく知られている。

とはいえ、需給面での株式の「持ち合いの解消」や、信託銀行の年金運用部が保有していた株式の「代行返上売り」も、実弾の株売りが出たという面ではもっと深刻な要因だったと言える。

何故なら、利上げや景気後退懸念で売った株式がどこかで買い戻される可能性は低いとは言えないが、「持ち合いの解消」で売った株式が買い戻される可能性は極めて低く、年金の「代行返上売り」で売られた株式が買い戻されるにはGPIFによる再投資を待つ必要があったからだ。

株式の持ち合いとは一種の政策投資で、グループ企業などがその結束を深めるためにお互いの株式を互いに保有し合うことだ。これは日本市場への一種の参入障壁だと見なされ、解消への圧力が高まっていた。

政策投資とは対象企業に対して主に営業的な関係を強化する目的で株式を購入することで、金融機関が今でも全体の約5割に相当する30兆円超を保有しているとされる。

日本取引所グループが発表している株式の投資家別売買動向によれば、2005年1月から2021年4月にかけて、信託銀行は1.9兆円の買い越し、生損保は7.9兆円の売り越し、都銀等は5.8兆円の売り越し、他金融は2.0兆円の売り越し、投資信託は1.2兆円の売り越しだった。

信託銀行が買い越しなのは、GPIFなどの年金勘定が含まれているためで、自己勘定では相当量の売り越しだと見ていていいだろう。

このことは、我々の資産を運用している機関投資家は軒並み売り越しで、買い保有で運用する年金を含めてさえ、総額15兆円の売り越しなのだ。また、個人投資家はこの期間に47.1兆円も売り越している。このことは、それ以前にそれ以上を買い越していたことを意味している。バブルとは言え、中身のある株式保有があったのだ。

5月13日、三井住友トラスト・ホールディングスが大手金融機関として初めて持ち合いなど政策保有株をすべて売却すると発表した。今後、同行保有の約1兆4000億円(時価ベース)が時間の問題で全額売却される見通しとなった。

一方、2005年1月から2021年4月にかけての買い越しは、プライマリー市場にからむ証券自己勘定を除けば、事業法人が23兆円の買い越し、他法人が4.7兆円の買い越し、外国人投資家が31.9兆円の買い越しだ。加えて、日銀が36.1兆円買った。

自社株買いを含む事業法人の買い越し額は2019年に4.2兆円と盛り上がりを見せていたが、コロナ以降は急速に萎み、むしろ売り越し基調となっている。また、日銀はこの4月と5月で701億円しか買っていない。

日本株の下値はまだ固い。下がると年金が買えるようになるし、日銀に暴落を静観する選択肢があるとは思えないからだ。

しかし、上値を誰が買うのか? 年金は株式保有比率を守るために上値を売ってくる。コロナ後の事業法人の余力は限られている。日銀は現状のレベルですら買ってこない。ここに金融機関から最大30兆円を超える政策投資の解消売りが出てくるとなると、外国人投資家ですら荷が重いのではないか?

私はここ10年ほど日本株は上昇すると言い続け、ここ数年は4万円に到達する可能性に触れてきた。しかし、10%への消費増税に次ぐコロナ禍、「欲しがりません。勝つまでは」と際限のない自粛を要請する政策、タガが完全に外れた政府の累積赤字と債務残高などを鑑みると、前言を撤回せざるをえない。

とはいえ、日本株の下値の堅さと世界的なカネ余りを鑑みれば、上値はまだある。まだあるとは思うが、海外に引っ張られる形のあだ花でしかない。上げれば今度こそ中身のないバブルなのだ。盛り上がって急騰するようなことがあれば、利食いの売りを考えてもいいだろう。

繰り返すが、日本が再生できる道は1つしかないと見ている。抜本的な税制改革だ。詳しくは新著をお読みいただきたい。同書では、どうして金融機関が保有株式を売り続けているのかについても解説している。

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