・消費増税と日本 | 矢口新

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☆消費増税と日本

・消費税率引き上げ

2019年10月1日、「消費税率」が10%(国7.8%、地方2.2%)へ引き上げられ、同時に「軽減税率制度」が実施される。

政府広報によれば、「消費税は、他の税とは異なり、子どもやお年寄りの方を含め、広く国民の皆さまに負担をお願いするもの」とあり、「社会保障は、あらゆる世代の安心につながるセーフティネット。安定した社会保障制度を次の世代に引き継いでいくことが重要」だとされる。

そのため、「高齢化が進む中で特定の世代に負担が偏らない財源」、「景気(経済動向)などの変化に左右されにくい財源」、「事業者の経済活動にできる限り影響を与えない財源」で支える必要があるとされる。

また消費税は、「税収が、景気や人口構成の変化に左右されにくく、安定しているといった特徴がある」とされている。


・社会保障の種類と財源

2018年度の社会保障支給額は合わせて121.3兆円だった。内訳は年金が56.7兆円、介護が10.7兆円、医療が39.2兆円、子ども子育て等が14.6兆円となっている。

その財源は、年金、介護、健康保険料で70.2兆円。税金と借金が46.9兆円。残りは資産収入等となっている。
参照:社会保障制度とその財源について


・高齢化の進展と負担増

少子高齢化は先進国に共通した現象だと言われている。一方で、1990年時点での日本の高齢化率はG5諸国中最低だったが、2000年までに他の4カ国を抜き去り、現時点では突出して高い。また、今後も大きく上昇していくと見込まれている。

また、高齢化などに伴い、社会保障制度の保険料負担は1990年度の40兆円から2016年度は69兆円へと約1.7倍に拡大。税金と借金が16兆円から48兆円へと約3倍に膨らんだ。


・それでも年金だけでは暮らせない

社会保障制度を支えるとされているのは生産年齢人口だ。社会保険料負担は70兆円を超え、税負担も増え続けている。それでも、2019年新規裁定65歳カップル(会社員の夫と専業主婦)の受給額は合わせて13万円余りだ。これは年金保険料をフルに支払い続けたケースの平均だ。先ごろ、この金額では老後の生活費が2000万円不足するとの政府試算が出た。

加えて少子高齢化が進展すると、年金制度を維持するためには、支給額を減らし続けるか、保険料負担を増やし続けるしかなくなってくる。バランスを考えれば、その両方が予測される。つまり、将来に生活できないほどの金額を受け取るために、現時点での生活が脅かされるほどの保険料負担、税負担を義務付けられていることになる。

2019年度の社会保障費が政府歳出に占める割合は33.6%で、金額にして34.1兆円と、最も大きい。次いで、国債の利払いなどで23.2%の23.5兆円だ。こちらの負担は超低金利政策に続くマイナス金利政策で減少傾向だが、社会保障費は今後も大きく拡大することが見込まれている。

一方、税率引き上げにより消費税収が2、3兆円上乗せされる見込みで、政府歳入に占める割合は、公債(国債)による借金を除けば、消費税が最大となる見通しだ。もっとも、この程度の増収では焼け石に水の感が強い。


・年金は政府が支えると言うが

日本の2018年度までの税収のピークは1990年度の60.1兆円で、2019年度になって初めて62.5兆円と過去最高を更新できる見込みだ。とはいえ、歳出の規模が100兆円を超えてきているところから、財政収支の赤字幅は2009年度の62兆円をピークに以降40兆円を下回ったことがない。つまり、政府財政の累積赤字は増える一方なのだ。

そこで社会保障制度を支える財源は、借金に頼るしかないのが実情だが、政府債務のGDP比率は240%に迫っており、世界で突出して高い。ちなみに、政府債務のGDP比率が100%を超えているのは世界で16カ国だけ。債務不履行が取り沙汰されているアルゼンチンですら86%と、日本政府の約3分の1だ。

そんな日本政府の債務残高が問題とされていないのは、国内からの借入れがほとんどで、対外債権も大きく、純債権国だからだ。とはいえ、対外債権は民間のもの。国内からの借入れとは、政府が国内の民間から借入れていることを意味している。

つまり、年金は政府が支えるとしてはいるものの、その政府は累積赤字と借金まみれで、法人を含む日本国民の支えなしには立ちいかない状態だ。


・そこで消費増税となった

政府は消費税の特徴として以下の3つを挙げている。

1)負担を分かち合う
2)税収が安定的
3)経済活動に中立的

この3つを検証する。

1)負担を分かち合うのだが、低所得者への配慮から、軽減税率を導入する。標準税率は10%に引き上げられるが、(酒、外食を除く)飲食料品と、(定期購読契約され週2回以上発行の)新聞は、軽減税率として8%のままに据え置かれる。飲食料品の細かな線引きは、上記の参照ページ「社会保障制度とその財源について」をご覧いただきたい。

2)所得税は所得に、法人所得税は企業の利益に課す税金なので、税収が経済動向に左右されることは避けられない。

一方、消費税は売上に課す税金なので、所得が増えようが減ろうが、また、企業利益が黒字であろうが、赤字であろうが、「安定して」国庫を潤すことになる。

これは企業側から見れば、実質的な売上が、消費税率分だけ減ることを意味する。つまり、10月以降は売上から、消費税10%、売上原価、販売費・一般管理費、営業外収益・費用、特別損益を差し引いた後に、法人所得税を支払うことになる。そして残ったのが当期純利益で、配当などの原資となる。

これで、本当に「3)経済活動に中立的」なのだろうか?

1989年度の消費税導入以降、日本経済は経済規模(名目GDP)で前年比マイナス成長だった年が7回ある。一方、消費税収はこの期間も確かに安定している。しかし、景気減退期にでも一律で国庫に一定額を納めることが、経済活動に中立的だろうか?

名目GDPの成長率を見ると、1990年度をピークに日本経済は急速に減速し始め、5%に引き上げた翌年の1998年度にはマイナス成長に陥る。以降2012年度までの15年間は基本的に低迷する。実際、名目GDPのピークは1997年度で、統計方法の見直しで30兆円上乗せした2016年度まで更新できていなかった。

また、政府の総税収のピークも1990年度だ。税収増を狙って消費税を導入したはずなのに、所得税や法人税などの他の税収が大きく落ち込んだために、むしろ総税収が減ったのだ。

1990年度の税収が60.1兆円、その後7年間は50兆円台を維持するが、1998年度から2013年度までで50兆円を超えたのは、2000年度の50.7兆円と、2007年度の51.0兆円の2回だけだ。2009年度などは38.7兆円しかない。

これで分かるのは、消費税と、所得税、法人税とはトレードオフの関係にあり、あちらを立てれば、こちらが立たないのだ。それも当然で、国が売上を天引きするものだから、所得税、法人税を支払う原資が減ってしまうのだ。例れば、「成長を待てば途中で脱落するものが出てきてしまうので、芽は若いうちにすべて摘んでしまうのが良い」とするのが消費税だ。

そうすれば確かに、消費税収は安定する。景気が悪くても一定量を徴収するので、更に景気を悪化させるのだが、安定はする。一方、景気が良くても消費税収の伸びは安定的だ。つまり、今後どんなに景気が良くなっても、もう大きな税収増は望めない。

法人税収が減ったのは、消費税導入により景気が悪化したのに、それでも消費税を取り続けたためだ。そのために、1990年度から欠損法人(赤字で税金を支払わない企業)が急増する。しかし、それだけではない。政府は同時に法人税率を引き下げたのだ。

社会保障費が足りない、政府財政は大赤字で増税が必要だとしながら、一方では減税を行ったのが、1989年度度の税制改革だ。結果として総税収が減り、財政赤字が拡大し、政府債務が膨張し、社会保険料を上げ続けたのは前述の通りだ。


・資金供給と経済成長

消費税率を5%に引き上げた翌年の1998年度から、日本経済はマイナス成長に陥る。以降2012年度までの15年間は基本的に低迷する。前述の通り名目GDPのピークは1997年度で、統計方法の見直しで30兆円上乗せした2016年度まで更新できていなかった。

では、2013年度からの経済成長はどういうことか? 2014年度には消費税率を8%に引き上げたのだが、それでも政府が戦後最長と豪語するような経済成長が見られたのだ。

結論を述べると、この成長はカネで買ったものだ。文字通り、輪転機で刷ったカネで名目の成長率を買った。

日銀の資金供給量は2011年まで、概ね100兆円以内だった。それが、2014年1月に200兆円を超え、2015年5月に300兆円を超え、2016年8月に400兆円を超え、2018年10月に500兆円を超え、日本の経済規模に迫っている。ちなみに、1997年の名目GDPは533兆円で、当時の資金供給量は50兆円ほどだった。つまり、資金供給量を10倍とすることで、昔の経済規模を取り戻したことになる。


・景気拡大がないと高齢化が進む?

日本の高齢化が急速に進展した1990年以降、日本経済には他のG5や先進諸国、あるいは多くの新興市場国には見られなかった特徴がある。1990年度から日本経済は鈍化を始め、同時にインフレ率も急低下を始めたことだ。そして、1997年度からは成長そのものが止まった。また、この時期には自殺者も急増した。

グロスの成長が止まり、そこに税金をかけられた中で、企業収益を高めるにはどうするか? 多くの日本企業が出した答えが、コストカットだった。人件費、設備投資額、研究開発費などだ。つまり、日本企業は数値合わせと、生存することだけに注力し、成長しようとする意欲を捨てたように思える。実際に、世界市場での日本企業の競争力は急速に低下した。「Japan as No1」などと呼ばれた時代が、1989年の税制改革の直前にはあったという事実は、今となれば冗談にしか聞こえない。

人件費カットのシワ寄せは生産年齢人口を直撃する。不安定な雇用、伸びない賃金、上がり続ける税金と社会保険料負担。中間層の没落を伴う格差拡大。その結果としての、G5でも突出した少子高齢化の進展。それらがデススパイラルとなって、日本の社会保障制度を危うくしているのだ。


こうして振り返ると、「消費税導入+法人税率引き下げ」の1989年の税制改革が日本没落の主因だ。仮に、そうしたことを望んだ他国がいたとすれば、その国の思惑通りに日本は坂道を転げ落ちた。そうして見ると、2019年10月の消費税率10%への引き上げは、その総仕上げとなるのかも知れない。

1989年4月の政策金利は4.2%ほどだった。財政赤字幅も小さく、公債発行額は6兆円余りだった。資金供給量は35兆円ほどだ。問題は、消費税が過去のように景気後退を招いた時、日本政府にはもう打つ手が何もないことだ。せめて、これ以上民間の活力を削ぐことだけは止めて頂きたいと願うばかりだ。

 

 

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