金は調整場面が終了し、上昇相場が再開するか | 陳晁熙

【金は調整場面が終了し、上昇相場が再開するか】
*9月17、18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米連邦準備制度理事会(FRB)が、市場予想通りに政策金利を0.25%引き下げた(2.25%⇒2.00%)。声明では、「貿易摩擦や世界経済減速、インフレ率の2%目標未達など先行きに不確実性が残る」と警戒感を表明し、景気拡大の持続に向け適切に行動するとして10月以降の追加金融緩和に含みを残した。パウエル議長は、今回の利下げを予防的なもので小幅にとどめたとの考えを示した一方で、景気が悪化すればより積極的な利下げが適切との姿勢も示した。

*10月に入って発表された9月米ISM製造業景況指数が47.8と景気の拡大・縮小の節目とされる50を2カ月連続で割り込み、2009年6月以来10年3カ月ぶりの低水準となった事、9月米ISM非製造業景況指数は52.6と、前月の56.4から大幅低下。市場予想の55.0も下回った事などから米景気の先行きに警戒感が強まった。4日に発表された9月米雇用統計は、景気動向を反映する非農業部門就業者数が前月比13万6000人増と、市場予想(14万5000人増)には届かなかった。ただし、7、8月分は上方修正された。失業率は3.5%と49年9カ月ぶりの水準に低下する一方、インフレ指標となる平均時給は前月比横ばい、前年同月比は2.9%と前回の3.2%より低下した。景気減速懸念を強める内容で、米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げを促すとの見方が強まった。

*9月のFOMCでは、参加者による2019年の利下げ想定回数(中央値)が7月と9月の「2回」で打ち止めとなり、市場が予想していたよりもFRBは金融緩和に慎重であることが判明した。米中貿易協議進展への期待感もあって、9月下旬の利下げ確率は50%に達していなかった。

*米中両国は10日からワシントンで閣僚級の貿易協議を再開する。15日に発動予定の対中追加関税第1〜3弾の税率引き上げ回避などを目指して交渉を続ける。両国から米中閣僚級協議で進展がある可能性があるとの発言もあって市場の警戒感は和らいだ。

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しかし、米商務省は10月7日、中国の少数民族ウイグル族らに対する弾圧の制裁として、中国の28団体・企業への輸出を原則禁止すると発表。中国の反発が予想され、両国の交渉が難航するとの懸念が台頭した。米中協議の決裂はリスクオフモードを強め、市場の利下げ期待を高めている。パウエルFRB議長は、8日の講演で、短期金融市場で最近見られたような混乱(金利急騰)が再発しないよう、当局は米財務省証券の購入を再開すると表明した。また、今年3回目となる利下げの可能性もほのめかした。CMEのFED WATCHでは、10月8日における10月の利下げ確率は83%まで上昇した。

*9月のFOMCでは、FRBの姿勢がさほど“ハト派”的でなかった。そのため、0.5%もの大幅な引き下げを見込んでいた金の“強気派”には失望感が強まり、NY金は利益確定売りが優勢となった。1550ドルが上値抵抗線となって売りが強まり、9月下旬には節目の1500ドルを割り込み、10月1日には1465ドルまで下落した。

*米中貿易協議の進展期待もあって上値の重い展開が続いていたが、米国の経済指標が悪化したことに加え、米中協議に不透明感が強まったこと、トランプ大統領の弾劾懸念が強まっていること、英国の欧州連合(EU)合意なき離脱の可能性が高まっていること等から、リスクオフモードが強まっている。

*NY金は年初来の高値(1566.2ドル)から0.38倍押しの水準で反発しており、テクニカル的に調整場面が終了したといえそうだ。ファンドの買い越しも一時31万枚を越えていたが26万枚まで減少し、内部要因的にも軽くなったといえよう。10月29、30日開催のFOMCでは政策金利の引き下げ見通しが高まっている。金利引き下げをにらんでNY金も上昇基調を強めるだろう。


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*東京金は、9月5日に5304円と上場来最高値を更新した後、ダブルトップを形成する格好で調整局面に入った。一時50日移動平均線を割り込んだものの、すぐに切り返しており、5000円の大台は維持されたようだ。テクニカル的にも、高値から50日、100日、200日の移動平均線が順に位置しており、上昇基調は崩れていない。押し目買い有利となる状況が続いており、NY金の出直りを反映して上昇相場が再開しよう。次の高値の心理的な節目は5500円、6000円となりそうだ。

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*「安全資産」需要を背景に、金ETFの増加基調が鮮明になってきた。
 8月27日に昨年の最大量(871.2トン)を超え、9月25日には924.94トンまで増加して年初来の最大量を更新した。このペースを維持するなら、年内にも1000トンの大台を突破しそうだ。


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