トルコリラ円、先週の動き・今週の予想 | 陳晁熙

【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は、米国との関係悪化懸念、トルコ中銀の外貨準備高の減少、経済改革計画を巡る失望感、地方選後の不透明感等が嫌気されて下落した。トルコのエルドアン大統領はロシアのプーチン大統領と会談し、ロシアの戦闘機S400導入を確認した。エルドアン大統領は会談前に7月に納入する意向を示した。また、シリア問題に関しては、ロシアが攻撃し緊張が高まっているイドリブの状況改善に向け共同で取り組む方針を示した。ロシアからトルコ経由でヨーロッパへガスを供給するためのパイプライン「トルコストリーム」の年内稼働を目指すことを確認した。トルコ初の原子力発電所をロシア企業ロスアトムが建設しており、これに関しての工事等について協議した。

ロシアとのビッグプロジェクトに関して協力意向を示している一方で、米国との関係悪化が懸念された。エルドアン大統領は、3月末に行われた統一地方選のイスタンブール市長選について、投票箱担当者の指名などで不正があり、投票を無効とすべきだと述べた。エルドアン陣営はイスタンブール市長選の結果に不服で現在、再集計を行わせており、この集計が終わり次第、トルコ選挙管理委員会(YSK)に再選挙を申請するという。もし再選挙決定となると、市場の懸念は高まるとの見方が強まった。トルコ中銀は、今月5日時点の外貨準備高が279億4000万ドルだったと発表。前週の297億2000万ドルから減少した。トルコ国民が貯金を外貨に両替していることがリラへの信頼感低下を示していると見られた。

*今週のトルコリラ円は、ジリ安基調が続きそうだ。米国とトルコの関係悪化に注意したい。米国はトルコに対してS400(ロシア製の地対空ミサイルシステム)の導入をやめるように強く要請している。トルコがそれに応じないことで、米国は4月1日にF35に関連する機器のトルコへの出荷を停止。ペンス副大統領は3日、トルコの北大西洋条約機構(NATO)残留の是非にまで言及した。しかし、トルコはS400導入の方針を撤回するつもりはないようだ。トルコがS400を導入した場合、NATOに関わるため米国にとっては極めて重要な問題になろう。米国がトルコに対して経済制裁を発動することも考えられる。

昨年はブランソン牧師を巡って米国との関係が悪化しトルコリラの急落を招いた経緯もあり、今回もトルコリラ売りが強まる可能性があり、注意が必要だろう。また、3月末に実施された地方選挙の混乱も懸念される。主要2都市の市長選でエルドアン大統領が率いる与党・公正発展党(AKP)が敗北し、政府が国民に痛みを強いる経済構造改革の導入に踏み込むという期待は萎んでしまった。

エルドアン陣営はイスタンブール市長選の結果に不服で現在、再集計を行わせており、この集計が終わり次第、トルコ選挙管理委員会(YSK)に再選挙を申請するという。もし再選挙決定となると、市場は懸念を高め、リラの下押し要因になりそうだ。なお、再選が決定した場合トルコリラ円は17円台へ下落し、逆に却下された場合は21円まで上昇する可能性があるとの予測も出ている。

アルバイラク財務相は10日、景気回復に向けた改革計画について説明した。これには、国営銀行の資本基盤強化策などが含まれる。280億リラ(約5500億円)相当の国債を発行し、債券の形で国営銀行に資本注入すると発表した。2018年の通貨危機後、貸し出しに占める不良債権比率が高まっている国営銀の財務を改善するという。ただ、今回の資本注入がどこまでトルコ経済の立て直しに効果を発揮するのかは不透明。アルバイラク氏は経済改革計画の中で、税制改革や年金制度改革、食料インフレ対策についても言及したが、詳細は今後発表するとした。


【トルコ経済指標】
15日月曜日
16:00 1月失業率前回13.5%、予想14.6%

16日火曜日
16:00 2月鉱工業生産前年比前回-7.3%、予想-6.2%
16:00 2月小売販売前年比前回-6.7%、予想-5.8%
20:30 2月住宅価格指数前年比前回+7.60%

17日水曜日
16:00 3月住宅販売前年比前回-18.2%

19日金曜日
19:30 自動車生産前年比前回-15.5%、予想-20%


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*予想レンジ:18.00円~21.00円


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