ドル円相場:今週の見通し | 陳晁熙

【ドル円相場:今週の見通し】
今週のドル円相場は下値を固める展開になりそうだ。先週末にドルが上昇したのは、2015年10~12月期の米実質国内総生産(GDP)改定値が年率換算で前期比1.0%増と上方修正され、1月の個人消費支出も前月比0.5%増と堅調だったからだ。米国景気の先行き懸念が後退し、追加利上げに動きやすくなったとの見方が広がっている。1月の小売売上高(除自動車・ガソリン)は0.4%と前回の0.1%から大幅改善した。1月の耐久財受注(前月比)も4.9%と前回の-4.6%から大幅改善し、懸念されていた製造業にも復活の兆しが出ている。1月PCEコアデフレータ(前年比)は1.7%と前回の0.5%から上昇しており、米連邦準備制度理事会(FRB)がもう一つの課題としているインフレ率も改善している。今後の経済指標次第では、3月15、16日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)において、FRBが追加利上げを決定する可能性があるとの見方が強まった。また、26、27日に中国上海で開催された主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議において、市場の安定化を目指し「あらゆる政策手段を動員する」との共同声明が採択され、為替の競争的な切り下げを回避するという従来の合意も改めて明記された。しかしG20では、具体的な政策に踏みこんだわけではなく、スローガン的な文言で締めくくられた。これを受けて、投機筋が方針を転換するかどうかだが、今週は4日に2月の米雇用統計も控えているため、いったんは、ドル売り・円買いポジションは巻き戻すのではないか。2月の米雇用統計は、今の所、非農業部門就業者数は19.5万人と雇用状況の改善と見なされている20万人を下回っている。賃金の伸びも前回は0.5%上昇だったが、今回は0.2%上昇の予想で力強さに欠ける。予想通りの内容なら、再び、ドル売り・円買いが強まる可能性もあるだろう。また、英国の欧州連合(EU)離脱問題で、ポンドが思わぬ急落をするような場合、リスク回避の円買いが強まる可能性もあるため、注意が必要だろう。原油相場は下げ止まりの気配を見せつつも、依然として不安定な地合いにあり、米国の株式市場も原油安の影響を大きく受けている状況から、ドルが買い戻されても上値にも限界があるだろう。

予想レンジ:112.00円~115.00円

【テクニカル】
*ボリンジャーバンドの-1σラインを上回り、中心線(21日移動平均線)まで戻した。終値が中心線をブレイクすれば、115円台が視野に入る。MACDはゴールデンクロスし、RSI(14日)も下値を切り上げているため、-1σラインを割り込んで安値を更新する可能性は低いだろう。
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*CFTC建玉2月23日時点:ファンドの円買いは5万2734枚(前週比+4833枚)と買い越し幅は増加。総取組高は25万7064枚と前週比8079枚の増加。ファンドは依然として、ドル売り・円買いを継続。G20に加え、今週末の2月の米雇用統計を控えて、円買いポジションが縮小しているかどうか注目したい。
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