利食いドテンは愚の骨頂 | 株式投資「虎の穴」

利食いドテンは愚の骨頂──相場格言・金言のひとつです。

愚の骨頂とは、このうえなく愚か、最上級のバカ、という意味です。
これでもかというほど強いダメ出しですね。
それほどヒドい売買なのでしょうか……。

まずは、「ドテン」から説明しておきましょう。
ドテンとは、売り買い逆という意味です。

買いポジションを手仕舞いしてカラ売りにまわるのは、「ドテン売り」です。
逆の「ドテン買い」は、カラ売りから買いにまわることです。
会話では、「下がりそうだから(上がりそうだから)、ドテンしたよ」みたいに使います。

タイトルに掲げた「利食いドテン」は、値動きを当てて利食いすると同時に、ポジションを売り買い逆にする行動です。

例えば、3千株買った銘柄が見事に上昇したとき、ジッと見ていて「ここが天井だ!」と3千株売り手仕舞い、その場で即、3千株カラ売りを建てる、といった売買です。

なんだかカッコいいですね。
それに、「当たっているときが攻め時」「取れるときに取るべき」といった考え方で肯定することも可能です。

でも格言では、「愚の骨頂」だと一刀両断しているわけです。

決め打ち的な“一点狙い”をキケンだと述べているのです。

キツい言葉を並べれば、

 「おまえ、相場の天井がわかるのか?」

 「神様にでもなったつもりかよ」

といった感じですね。

たしかに、そのとおり。

しかし、未知の未来に対して一種の決め打ちをしなければ、売買・トレードがはじまりません。どうすればいいのか……。

強い決め打ちをせず、どうしても一歩遅れの対応を受け入れ、株価変動にユルユルとついていく姿勢です。「ここが天井!」なんて値段(チャートのタテ軸)だけで一点を当てようとせず、チャートのヨコ軸の時間(日柄)をうまく利用する方法があります。

3千株の買いポジションを持ったまま、例えば100株のカラ売りを建ててみる、という「ツナギ」のテクニックがあります。利が乗っているもとのポジションはそのまま、少し両建てにするわけです。

そのカラ売りだけに目を向けて「なんか苦しい」と感じるなら、「まだ上がる」と判断できます。逆に「カラ売りがいい感じ」ならば、上げ止まっている可能性を意識します。そして、もう少しカラ売りを増やしながら、さらに状況を判断します。「やはり上げ止まりかも」と感じたら、こんどは徐々に現物を手放していき、ユルユル~っとドテンしていくのです。

もっとシンプルなのは、利食い手仕舞いのあと「休み」をはさむテクニックです。
勢いのあるうちに買いポジションを売り手仕舞いします。利益を確保して、ポジションがマル(ゼロ)の状態で相場を観察します。ニュートラルな気持ちで値動きを追いながら、「カラ売りできるか?」と考えていくのです。

ポジションがマルでニュートラルな気持ちだと、「あれっ、強いね。もっと上かな?」なんて思うこともあるでしょう。いったん区切りをつけているので、「あらためて買いで乗ろうか」なんて行動もやりやすいでしょう。

利食いドテンは愚の骨頂──これは、決め打ちしたい気持ち(自然な心理)を戒めているのです。

3千株の仕込みも、値動きを注意深く見ながら分割で行います。
少しずつ増えていき、最後に2,700株から3千株の満玉状態に移るときが、ある意味、決め打ちですが、「見込みが当たったようだ」「完全に上昇トレンドに入った」と確信をもってから、押し目でスッと300株買う、くらいの感じで十分です。

「そんなの決め打ちじゃない」と思うかもしれませんが、そんな感覚を戒めているのです。

下に配置した、同じテーマの動画では説明していませんでしたが、「損切りドテン」という行動もあります。これは、問題ありません!

買ってみたが上がらない……どうも弱い。
「トレンドはこれから下向きだな」と判断しても、損切りを素直に実行するのが難しいのですが、「損切りドテンはOK」というアイデアがあれば、損切りというネガティブな行動だけでなく、あらためてカラ売りを仕掛けるというポジティブな行動がセットなので、遅れずに行動することができます。

ドテン、カラ売りしないまでも、損切りを素直に実行できそうです。
 

ブログ一覧に戻る